矯正治療と保定(ほてい)

2018年度に改正された医療広告ガイドラインにより、単なる治療前後の比較写真は掲載できなくなりましたので、各症例別の治療前後の写真は掲載を取りやめました。
矯正治療は歯を動かし終わり歯ならびが良くなっても、それで通院が終わりではありません。保定(ほてい)が控えています。

保定とは、治療後の歯並びを歯列が安定するまで一定期間維持することです。治療後の歯列を維持するために、保定装置(ほていそうち、リテーナーとも呼びます)をつけて年数回通院していただき観察を行います。症例によっては長期間の保定・観察が必要な場合もあります。このページは長期間の保定について説明するために1症例だけを学会の指針(下記の①~⑧を記載)に従ってお示し致します。
当クリニックで矯正治療後、10年経過した患者さんの写真です。最近は年1回ごとの観察です。
観察時には、歯科衛生士による、歯石除去を含む歯のクリーニングやむし歯のチェックを行ってから診察します。
最初は開咬でしたが、治療後の状態が維持されています。(掲載にあたり、患者様の御了解を得ています:№16007)

1.治療前の写真【24歳1ヶ月】です。 最初は、上下の前歯がくっつかない開咬(かいこう)でした。

方針イメージ

 ①主訴:開咬 ②診断名:上顎前歯部の叢生を伴う開咬 ③年齢:24歳1ヶ月 ④治療に用いた主な装置:マルチブラケット装置 ⑤抜歯部位:上下顎左右の第一小臼歯 ⑥治療期間:2年7ヶ月 ⑦治療費:総額75万円(消費税込) ⑧矯正治療に伴うリスクや副作用:歯の痛み、むし歯、歯周病、口内炎、発音障害、クラック、歯根吸収、歯肉退縮による歯根露出、金属アレルギー、顎関節症、歯の形や補綴物・修復物の修正・微調整・再製作、装置の誤飲、補綴物の一部破損、稀に歯が動かなかったり失活歯になる、後戻り、術後のかみ合わせや歯並びの変化など。なお、治療には個人差がありますので参考としてご理解下さい。

2.治療後の写真【26歳10ヶ月】です。 上下の歯の内側に保定用ワイヤーを接着しています。

 

3.保定中:治療10年後の写真【37歳1ヶ月】です。 歯並びが維持されています。

 

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について (日本矯正歯科学会の記載例を引用)

  • ① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
    ② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
    ③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
    ④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
    ⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
    ⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
    ⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
    ⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
    ⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
    ⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
    ⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
    ⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。
    ⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
    ⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
    ⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
    ⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
    ⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
    ⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

舌側矯正やマウスピース型(カスタムメイド)矯正装置について
申し訳ございませんが、当院では舌側矯正(リンガルブラケット矯正法)やマウスピース型矯正を致しておりません。

当クリニックの院長は、日本矯正歯科学会認定臨床指導医に認定されております。これは学会で指定されたいろんな咬合状態を持つ症例の治療結果で審査されるわけですが、提出した全症例が合格点に達しないと審査に合格しないと認定されない厳しい資格です。しかも、5年毎の更新に合格しないと資格が剥奪されます。この審査や更新審査に提出した症例はすべて通常の矯正(唇側=表側に装置をつける矯正)で治療しています。
当院では、表側に器具をつけて精密に歯を動かせるマルチブラケット装置でないと日本矯正歯科学会で認定されたレベルの治療を提供できませんので、舌側矯正やマウスピース型矯正を当院では行っておりません。
通常の表側の矯正治療が気になる患者さんは、金属のブラケット(一本一本の歯についている装置)でなく、歯に似た色のセラミックブラケットを選ばれれば、かなり目立たなくなりますし、さらに、ワイヤーも銀色でなく白色のホワイトワイヤーにされれば、より一層目立ちにくくなります。
舌側矯正やマウスピース型(カスタムメイド)矯正装置をご希望の場合、申し訳ございませんが他院をインターネットでお調べ下さい。
ご迷惑をいおかけ致しますが、よろしくお願い申し上げます。