9月24日 2003年   Kagan Workshop

 Dr.Kagan のワークショップ(@お茶の水女子大)はとても良かったです。
 Group Work(グループ活動)と Cooperative Learning(協同学習)の違いを体験するものです。

 先生が教室の前にいて、生徒全員と対する、従来の授業とは違う、生徒参加型の授業を私たちは目指して
 いますね。その際に、物理的にペアやグループにすることで、こと足れりという訳ではないということを実感
 できるワークショップでした。

 Cooperative Learning の4原則は
PIESというイニシャルで覚えることができます。

 
Positive interdependence
 Individual accountability
 Equal participation
 Simultaneous interaction   
の4つです。
 
 これから順番にこの4つを説明していきたいと思います。


9月28日 2003年   Kagan Workshop

 
PIESPpositive interdependence。訳語は互恵的相互依存
 どういうことかというと、授業中の活動で、誰かひとりが得をするということです。
 伝統的授業では、先生が教え、その内容の理解をチェックするために質問をし、手を上げた生徒が答えま
 す。答えた生徒には光が当たり、他の生徒は「当ててもらえなかった」とくやしい。答えても間違っていたら、
 他の生徒が、「私は知っている!」
 つまり、いつも競っていて、someone's gain is other's loss であり、someone's loss is other's gain です。

 そうではなくて、友だちが答えるためには、自分が協力しなくてはならない活動がPです。
 見かけはペアワーク、グループワークでも、一人一人が個別にワークをするのであれば、それはほんとうの
 協同学習ではない。

 そういう意味です。


9月29日 2003年   PIESのI

 Individual Accountability個人の責任です。
 協同学習で、ペアまたはグループで活動した場合、ペアの片方が全然話さない、グループの中で積極的な
 生徒だけが話してまとめる、ということが起きてはいけないのです。
 授業のどこかで、individual performance が必要となるように計画しなければ、ほんとうの協同学習ではない
 というのがケーガン博士の主張です。

 ペア・グループで活動したあと、みんなの前で一人一人が実践する場面を作る必要がある、またあとで評価
 されると生徒に知らせることも必要。

 個人の教室の場合、テストをしませんが、何らかの形で達成度評価することが動機付けになる、と思います
 English Time の場合、Teacher's Bookに testsがついています。私は、このtestsを必ず使います。
 まずは、テキストを開かないでやってみて???のところは、テキストを開いて正解を探します。この正解を探す
 という作業がとても良い復習になるので、実践してきたのです。でも、子どもにとっては、テストがあるという
 ことは励みになります。

 やりっぱなしではダメ、結局子どもたちのためにはならないのです。
 私のワークショップでアクティビティをすると必ず後のチェックの方法を紹介しますね。それも1つの方法です

 とにかく、生徒ひとりひとりが、自分のするべきことを意識することで、学習が成立するということです。


10月1日 2003年   PIESのE

 Equal Participation平等な参加です。
 ペアワーク・グループワークをすると、生徒全員がスピーキングをしたように思いますが、実際には力のある
 生徒、言いたいことがある生徒がたくさん話していて、スピーキングの練習が必要な生徒はあまり話さなかっ
 た、ということもあります。

 ケーガン先生は、それを防止するために、ペアに2分与えたら、一人1分ときちんと枠を与えます。
 4人のグループに4分与えたら、一人1分だよ、と指示します。
 各ペア・グループが自分たちの責任でその時間を守るのです。


10月2日 2003年   PIESのS

 PIESのSはSimultaneous interaction  活動の同時性です。
 もし、先生が1人の生徒をあてて、会話をしたら、残りの生徒は何もしないでそれを見ています。
 グループ内の1人が必ず話している、またはペアの1人が必ず話していれば、全員が同時に会話・活動に
 参加しています。

 私の経験では、young learners に、このような同時の活動をさせることは難しいこともあります。いつも先生
 のattentionを求める子どももいますし、入門期の子どもの場合、ペアで活動するだけの英語量を持っていな
 いこともあるからです。 
 ですが、少しずつ、自分の英語で積極的に授業に参加する態度を養うことはできます。

 というわけで、PIESの4つは、絡み合っていて、1つの要素を取り出すことは難しいですが、とにかくこの4つ
 を満たしているか常に先生が意識することで、授業が変革することは確かです。
 Student-centered(学習者中心)の授業をしていると自分では思っていても、思いこみのときもあります。
 具体的なチェック項目があるということは、心強いです。

 
 競争的ゲームは楽しいし、盛り上がりますが、一番練習が必要な子どもが一番発言が少なくならないように
 気をつけなければなりません。
 また、1つ1つのゲームは、子どもの持っている8つのintelligencesのどれを引き出しているか考えましょう。
 同じ言語材料を異なったタイプのゲームで経験させるようにして、一人一人異なった子どものだれもが、
 自分を活かして授業に参加できるようにすることが必要です。

 そのためには「その日暮らし」のレッスンプランではNGです。1ヶ月の間に、自分のレパートリーを一巡する
 ように考えると良いです。献立を考えるときに、1日の内に全部の栄養素を食べれなくても、1週間の内には
 緑黄色野菜も、穀類も、タンパク質もみんな摂取しているような計画、というとわかりやすいでしょうか?
 (我ながら良い例えだわ。うふ)
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