A.著作

1.
『脱「原子力ムラ」と脱「地球温暖化ムラ」−いのちのための思考へ』(新評論 2012)四六判上製 224頁 1890円































  フクシマ原発事故によって原発の「安全神話」は崩れたが、地球温暖化にからむCO2の「危険神話」はいまだ増殖を続けている。「原発」と「地球温暖化政策」は、我々の近代科学思考と深い関わりを持ち、蜜月の国策事業として遂行されてきたが、今なお「地球温暖化問題」の実像に迫る議論はタブー視されたままである。本書は、フクシマ原発事故の本質を見据えながら「原発」と「地球温暖化政策」の雁行の歩みを改めて辿り直し、3・11の衝撃のなかで私たちが深く思考したはずの「大きな問い」の続きを、読者と共に考えていこうとするものである。


本書の書評(紹介)掲載誌紙


東京新聞 2012年9月23日(日)

『自然と人間』 2012年10月号 自然と人間社
『人間会議』 2012年冬号 宣伝会議
『出版ニュース』 2012年12月下旬号

http://maeda-akira.blogspot.jp/2012/10/blog-post_21.html

http://yaplog.jp/itoh_kiminori/archive/505

http://blog.livedoor.jp/shokunoh/archives/6714981.html



2.
『地球温暖化問題原論−ネオリベラリズムと専門家集団の誤謬』 (新評論 2011) A五判上製 354頁




  1980年代に「地球温暖化問題」が顕在化して以来、この現象は地球を破滅に導く災厄として人々の意識に深く刻み込まれてきた。「地球温暖化問題」の国際的な交渉は「国連気候変動枠組条約」となって規範化され、1997年の同条約第3回締約国会議(京都会議)において採択された「京都議定書」では、排出枠取引などの京都メカニズムがCO2など温室効果ガスの削減方法として取り入れられた。

地球温暖化防止政策にかかわる世界の交渉は、実質的にこの京都メカニズムを中心に行われているが、今日、その実態は京都メカニズムを利用してのビジネス、儲け話の範疇で語られることが多く、倫理的な欠陥を露呈している。

しかし、「地球温暖化問題」なかんずく京都メカニズムはその出生からすでに市場主義の落とし子であった。そのことに気付かず、京都メカニズム誕生から今日に至るまで礼賛の論調は絶えないが、筆者は京都会議の頃からそのネオリベラリズム性に疑義を呈し、著作等を世に送り警鐘を鳴らしてきた。2005年に上梓した増補新版「京都議定書」再考!−温暖化問題を上場させた市場主義¥約』は、その市場主義性を徹底的に暴いたものである。

当時から5年が経過し、今回はこの問題により根源的な視座から迫るべく、新たな構想で本書を上梓することになった。本書も京都議定書や京都メカニズムが持つネオリベラリズム性に的を絞って書き進められるが、京都メカニズムに対する見境のない見解が科学者や環境NGOなどを中心に大手を振ってまかり通っている。その意味で本書では、ネオリベラリズムの政治性とともに、環境学や科学者、そしてそれに追従する環境NGOなども追及の対象になっている。人間の生のあり方を真っ当なものにするためにも、われわれは「地球温暖化問題」そのものが持つ問題性に対して、根本的なところから議論し直さなければならない。(2011.1.)


本書の書評(紹介)掲載誌紙

http://macroscope.world.coocan.jp/yukukawa/?p=570

http://chikyuza.net/n/archives/6302


『環境ビジネス』 2011年4月号、宣伝会議

東京新聞  2011年5月1日(日)

『金融財政ビジネス』 2011年7月14日号、時事通信社



3.
『増補新版「京都議定書」再考!−温暖化問題を上場させた“市場主義”条約』 (新評論 2005) 四六判上製 352頁





推薦の言葉(本書の帯より転載)
「早くも2000年の時点で、京都議定書を支配する市場万能主義の危うさを類書にない分析の確かさで見抜いた書」(法政大学社会学部教授・環境社会学  池田寛二)

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 1997年に国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)が京都で開かれ、地球温暖化の原因とされるCO2など温室効果ガスの初期配分(具体的な削減値)や削減方法を盛り込んだ京都議定書が採択された。

 京都議定書は、地球温暖化の原因はCO2等温室効果ガスの人為的な排出にあるとするIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の見解を基にしており、「環境保護派」の人々は、削減率などに不満はあるものの、人類を救う第一歩として評価した。

 しかし、筆者には京都議定書がたいそう危ういものに思われた。

 2000年に上梓した本書旧版『欲望する環境市場−地球温暖化防止条約では地球は救えない』は、京都議定書を中心とした地球温暖化問題と市場との関係を問うたものであり、京都議定書の危険性に言及した疑義の書であった。

 京都議定書では、CO2の削減方法として、排出枠取引など、市場を通してのCO2売買が認められたが、これは言葉を換えていえば、CO2を上場したことであり、地球環境問題が市場の論理で動いていくことを示していた。しかし、はたして気候変化などの環境問題を、市場が解決できるのであろうか。

 今日のパン代にも困る途上国につけ込んで、先進国が排出枠を安く買いたたくことも考えられよう。その時、途上国は石油などの安定的な消費から見放され、貧困との間で負の連鎖に陥らないとも限らない。環境問題を市場に委ねることには、大きな危険が伴うのである。

 旧版を世に問うて以来、世の中の市場主義への流れはますます加速している。それに抗する意味で、旧版以後の5年間に起こった気候変化(地球温暖化)と市場に関わる主な出来事を書き加えたのが、本書増補新版である。

 京都議定書は発効したが、その採択と同様に、素直に喜べるものではない。むしろ、CO2の上場と売買は、京都議定書の発効によって正当性を与えられ、今後ますます市場の攻勢は強まるであろう。増補新版には、京都議定書を問い直すための有益な情報を盛り込んでいる。
          

本書が引用ないし参考文献として挙げられている書籍は次の通りです

槌田敦『CO2温暖化説は間違っている』(ほたる出版 2006)

池田寛二編著『地球環境問題の現場検証 インドネシアに見る社会と環境のダイナミズム』(八千代出版 2006)

増田耕一・明日香壽川・吉村純・河宮未知生「地球温暖化への懐疑論に関する考察」日本科学者会議編『日本の科学者』Vol.41 No.9(日本科学者会議 2006)

薬師院仁志他著『暴走する「地球温暖化」論』 (文藝春秋 2007)

一方井誠治『低炭素化時代の日本の選択 環境経済政策と企業経営』(岩波書店 2008


本書の書評(紹介)が掲載されたのは、次の誌紙です。

環境新聞 2006(平成18)年2月1日

本の街 2006年2月号

出版ニュース 2006年2月中旬号

月刊環境ビジネス  2006年3月号

The Doshisha Tokyo News   2006  March

資源環境対策   2006年4月号

One Purpose   2006  April


4.
『欲望する環境市場--地球温暖化防止条約では地球は救えない』(新評論 2000)四六判上製 306頁
          

 
 
 本書は環境レジームのなかの気候変化(地球温暖化)問題、なかでも京都議定書に盛り込まれた京都メカニズム(排出枠取引・共同実施・クリーン開発メカニズム)を中心に検証しています。地球環境政治や国際関係論の市場戦略の観点から京都メカニズムを考察するさきがけとなった書です。

 近年地球が温暖化しその原因は二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの人為的な排出にあると言われることが多いのですが、エアロゾル、太陽の磁場変動など温室効果ガス以外に原因を求める見方もあり、またこの温暖化がどの程度の期間続くかについても諸説があります(現在地球は間氷期にあり、昨今の地球温暖化は、その間氷期における小さな揺り戻しに過ぎないと言われます)。さらに、地球の温暖化がもたらす大量の雨水が深層大海流に影響を与え、暖流の流れを遮ることによって逆に地球の寒冷化を促すという考え方もあります。 

 IPCCの報告書やメディアの報道等によって、地球温暖化の原因がCO2の人為的な排出にあるというようなことが事実として受け入れられる傾向にありますが、先に見たような多様な考え方が存在するところから、昨今の「熱狂した地球温暖化説」に対しては慎重に臨まなくてはならないと考えます。

 そのうえで、筆者の主要な関心事は、温暖化防止の環境政策(経済的方策)である排出枠取引制度などの京都メカニズムが、「環境保全」や「地球を守るため」に考えられているのかどうか、国際的にもそのような観点から条約などが整備されてきたのかどうか、にあります。

 環境保全とは違う位相にある国家の利益追求、なかんずく経済的な利益追求に地球温暖化問題が利用されているのではないか、という疑念です。

本書では、京都メカニズムの功罪について考察し、温室効果ガスの国際的な排出枠取引の推進が新たな市場を開拓し、その市場(貿易)においては排出枠取引の持つ所得移転的な効果よりも、排出枠の売却による産業の縮小・荒廃のほうが勝り、このような取引においては、先進国は先進国のまま、途上国は途上国のままという固定化を促す危険性を論証したものです。

 気候変化(地球温暖化)のレジームをこのような視点から論じた類書はなく、その点で多くの注目を集めています(1)。  (2)。  (3)。

 本書は、ネット上で、たくさんの推薦をいただいています。そのいくつかを紹介しますと、環境問題を知るための本厳選24冊(環境NGO「A SEED JAPAN」)『日経エコロジー 書籍レビュー』エコブックちこ店長の推薦などです。

 また、大学でのテキストとしても推薦されています。
 大学附属図書館の蔵書にあるかどうかは、ここで検索してください。


本書が引用ないし推薦図書(参考文献)として挙げられている書籍は次の通りです。

*槌田敦「石油文明の次は何か」『名城論叢』第1巻第3号 2001年3月


*池田寛二「地球温暖化防止政策と環境社会学の課題−ポリティックスからガバナンスへ−」
  環境社会学会編集委員会編『環境社会学研究』第7号 有斐閣 2001年10月


*日外アソシエーツ 編 『環境問題情報事典 第2版』 (日外アソシエーツ 2001)


*槌田敦『新石油文明論』 (農山漁村文化協会 2002)


*西村智朗「排出量取引」 高村ゆかり・亀山康子 編 『京都議定書の国際制度 地球温暖化交渉の到達点』(
信山社 2002


*薬師院仁志『地球温暖化論への挑戦』(
八千代出版 2002

 
*富士総合研究所・みずほ証券 『図解 よくわかる排出権取引ビジネス』(日刊工業新聞社 2002

 
井出義則 「地球環境問題と環境ビジネス」 生野正剛・早瀬隆司・姫野順一 編 『地球環境問題と環境政策』 (ミネルヴァ書房 2003) 



松井賢一『エネルギー問題!』(NTT出版 2010)


本書の書評(紹介)が掲載されたのは、次の誌紙です。

『税と経営』2000.11.11.号

『税のしるべ』2000.11.20.号

『スポーツニッポン』2000.11.21.

『東京・中日新聞』2000.12.3.

『産業と環境』2000.12.月号

『ポリマーダイジェスト』2000.12.月号

『中小企業と組合』2000.12.月号

『本の街』2000.12.月号

『千葉日報』2001.1.15.

『週刊金曜日』2001.2.2.号

『税務経理』2001.3.13.号

『ビジネス法務』2001年3月号

『ビオシティ(季刊)』2001.4.月号

『環境と正義』2001.6.月号

『The Doshisha Tokyo News』 2001SEPTEMBER


5.『誰が環境保全費用を負担するのか--地球温暖化防止のシナリオ』(中央経済社 1998)208      

東西冷戦構造の崩壊後、地球環境破壊が人類共通の解決すべき課題とされ、その典型の一つが気候変化(地球温暖化)の問題であると主張されています。その地球温暖化を「防止」するための方策としては、大きく分けて自主的努力、規制的措置、経済的方法があり、本書では主に環境政策としての経済的方法に力点をおいて考察しています。

環境政策としての経済的方法には環境税、課徴金、補助金、排出枠取引などがあり、環境税の典型的なものとして、炭素税が北欧などで導入されています。排出枠取引制度は二酸化硫黄に関してはアメリカ国内で実施されており、本書執筆時の1997年に開催された「気候変動に関する国際連合枠組条約第3回締約国会議」(COP3)において採択された京都議定書には、二酸化炭素など温室効果ガスの排出枠取引制度の導入が盛り込まれました。地球温暖化の問題に多くを割いていますが、環境NGOなどの活動にも触れており、環境問題全般を見渡せるように執筆してあります。

 本書は大学のテキストや
卒業論文の参考文献になっています(1)。  (2)。  (3)。 (4)。
 大学附属図書館の蔵書にあるかどうかはここで検索してください。

 都道府県市区町村等の公共図書館でも検索できます。

 また、環境税肯定側立論の根拠資料としても採り上げられています。

 

本書が引用ないし参考文献(推薦図書)として挙げられている書籍は次の通りです。


*坂口洋一 『循環共存型社会の環境法』 (青木書店 2002)


本書の書評(紹介)が掲載されたのは、次の誌紙です。

『税と経営』1998.12.11.号

『商工新報』1999.1.1.号

『本の街』1999.1.月号

『税務弘報』1999.2.月号

『税のしるべ』1999.3.8.号

『中小企業と組合』1999.4.月号

『資源回収新聞』1999.6.5.号

『環境緑化新聞』1999.6.15.号

『税務経理』1999.6.22.号

『産業と環境』1999.6.月号

『ビジネス実務法務』1999.6.月号

『資源環境対策』1999.7.月号

『米穀新聞』1999.8.6.号

『JLC社労士会報』1999.春夏合併号

『ELSA会報』2000.4.28.号


B.学会活動

1.環境科学会

  *査読論文
    1)「環境と開発に関する世界委員会」発足の経緯に関する一考察   『環境科学会誌』 第19巻 第3号   2006年5月
    2)「Sustainable Developmentの訳語についての考察」 『環境科学会誌』 第20巻  第6号  2007年11月
    3)「ブルントラント委員会発足時における南北対立の考察」  『環境科学会誌』 第21巻 第6号 2008年11月

 *
学会発表
    1)地球環境問題に関する日本環境外交のプレゼンス−1970〜80年代−  2005年9月9日
    2)京都議定書における基準年とホットエアーに関する考察  2006年9月5日
  3)地球温暖化問題に関わる科学と政治   2008年9月18日

2.環境経済・政策学会

  *学会発表 
    1) ブルントラント委員会と認識共同体   2004年9月26日

3.日本環境学会

  *学会発表 
    1) SDの権威の源泉と認識共同体   2004年6月26日
    2) ブルントラント委員会発足時における南北対立   2004年6月26日
    3) 環境と開発に関する世界委員会発足の経緯と西欧社会民主主義   2004年6月26日
    4) ナイロビ会議の再評価  2007年7月8日
    5) ブルントラント委員会とブラント・パルメ委員会の共通性  2009年6月14日

    6) 地球温暖化問題と世代間衡平性  2010年6月20日


4.環境社会学会

5.日本国際政治学会


6.コモンズ研究会


C.論文等

1.「誰が環境保全費用を負担するのか--環境税とは」

『税務弘法』(中央経済社)1998年1月号から10月号まで連載(36月号を除く)。

 環境問題のなかでも特に地球温暖化の問題に焦点を当てて、温室効果ガスの削減方法として環境税の導入について述べるとともに、二酸化炭素の排出枠取引
  制度の可能性などについて論考しました。
『誰が環境保全費用を負担するのか--地球温暖化防止のシナリオ--』のもとになったものです。

    掲載の月号とタイトルについては、こちらをご覧ください


2.『ビジネス法務』(中央経済社)に排出枠取引の現状について執筆。

1)19993月号「CO2を減らす排出枠取引の仕組み」

2)20002月号「無限に広がるCO2排出枠取引市場」

3)20014月号「CO2排出枠取引市場の現状」



3.『JRガゼット』(交通新聞社 2003年2月号)に京都議定書について執筆。

  タイトル;「京都議定書の陰で進行する『環境の商品化』」



4.1999年3月から、インターネット上のメールマガジン『World Reader』に地球温暖化問題等に関し、次の3つのタイトルで記事を配信。


 1)「20世紀は二酸化炭素排出の世紀であった」(6回連載)
 2)「地球温暖化防止とマーケット」(5回連載)
 3)「環境記」(3回連載)

  本連載のうち、特に排出枠取引と市場との関係については、次の評価を参照して下さい。



5.『自然と人間』(自然と人間社 )に京都議定書について執筆(インタビュー形式)。

  タイトル;「京都議定書再考!」(2007年9月号)
   タイトル;「サミットで議論される「温暖化対策」の危険な狙い」(2008年7月号)


D.講演

 1.「地球温暖化と排出枠取引」エントロピー学会東京例会(20001223日)

 2.「環境問題とこれからの企業経営」全国中小企業団体中央会(200137日)

 3. 「環境問題にどう取り組むか」 全国シロセット加工業協同組合(2001年10月15日)

 4. 「京都議定書」 法政大学大学院 政策科学研究科 国際環境政策事例研究(2006年1月13日)



E.自然保護活動

19734から、日光国立公園・尾瀬の山小屋で自然保護活動に従事しました。


F.その他

朝日新聞(2002年1月6日、日曜日、1面)の連載特集記事「アメリカ アメリカ」に活動と意見が紹介されました。


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