私の初ライヴ。こんな私でも、昔は可愛かった……

 私の初ライヴは中2の時、学校の体育館を借りて、『おたのしみ会』と称し、クラスの音楽好きの仲間と演ったバンドがそれですが、実際に入場料を取って演ったのは中3の夏休み、『藤沢労働会館』というホールで、高校生達と演った100円コンサートだったと思います。
 当日は、私にとっても初舞台と言う事で興奮してしまったのか、会場へ向かう途中の交差点で信号待ちをしていたら、急に鼻血がブ〜〜〜っと出て来たのでした(鼻血君こんにちは(^^)/)。私は当時、自分のバンドの名前の入ったタンク・トップを着てました。この“自分のバンド名が入った”と言うと、当時の中学生にしては「ナカナカ、リキが入ってるじゃん!!」と言われそうですが、その書かれた文字は、プリントやワッペン、刺繍と言ったたいそうな物ではなく、“手書き、それもマジックで”と言う、とても可愛らしい物だったのです。この特注(?)のタンク・トップも血で染め、なんだかデス・メタラー(当時はデス・メタルなんて無かったけど………)っぽくなったつもりでしたが、実は情けないの何のって……。
 たしか本番の前日は、みんなで或るメンバーの家に泊まり、別に何をするわけでもなく、盛り上がった記憶があります。で、「やっぱり、ここはこーしたい」だの「あーしたい」だのと、自分達の夢にまで見た初ライヴに対する想いを語り合うのでありました(ま、私だけでしたが……)。例えば、ウィッシュボーン・アッシュのライヴ・アルバム、『ライヴ・デイト』の1曲目は「ザ・キング・ウィル・カム」という曲で始まるのですが、レコードに針を落とすと、いきなり曲が始まるのではなく、ギターとかベースは“ポロロ〜〜ン”みたいに、ドラムは“ダカドコドコドン”てな感じで、まあウォーミング・アップがてらか、ほんの少し音を出すんですよ。それがカッコ良くて、私なんかとってもこんなのに憧れてたんで、メンバーに、「ねえ、俺達も先ずはウィッシュボーン・アッシュみたいに適当に音を出して、暫くしてから演奏しようぜ!!それが何気なくて、絶対カッコイイと思うよ!」と促すわけでした。で、本番になって何気無しにステージに出て行って、ウィッシュボーン・アッシュになったつもりでメンバーめいめいに好きに音を出し始めてたわけです、“ポロロ〜〜ン”、“ダカドコドコドン”って……。しかし、その好きに音を出すってえのが、中学生の私には何処で終りにしたら良いのか分からず、延々と演っちゃったんですね。時計を見ると、ステージに上がってからもう20分近くも経ってるではありませんか!会場は段々ザワザワして来て、そこでやっと「ヤバイ!」と気付いた私は、メンバーに「早く始めようぜ!!」と自分が言い出したにもかかわらず、催促するのでありました。ギターのリフで曲が始まって、ドラムとリード・ヴォーカル担当の私は、なんとかカッコ良く歌えないだろうかと(今更ねぇ……)、相当リキんでいたのでした。先ず最初の4小節(ひと節)歌ったところで、「カッコ良くシャウトなんか決めれたらお客は感動するだろうなぁ」と思うや否や、ホントにシャウトしちまったのでした。「ウ・ウ・ウォ〜〜〜ン!!ヘイ!ヘイ!ヘーーーイ!!(そんでもってマイクがハウリング、“キ〜〜〜〜ン”)」。今そのテープを聴くと顔から火が出るほど恥ずかしい、たとえ一人で聴いてたとしてもです。ましてや、他人なんかには死んでも聴かせられません。当日来てたお客さんはビックリしたでしょうね。でも、きっともう忘れてるでしょうが……(だと良いのになぁ)。
 ライヴも無事終って、夏休みが明け、学校に行くと、すっかり時の人になってました。やっぱり、「しんちゃん、カッコイイー!!」って言われるのを期待してたのですが、先ず友達のM君が私に、「おっ、お前真面目な顔してたなぁ〜」って言うんです。クラス・メイトの女の子も、「真面目な顔してたよ〜!」と言うので、最初はちょっと照れてたのですが、今度はブラス・バンド部の後輩達に会うと、「センパイ、真面目な顔してましたね!」と言われ、ついには、授業が始まると先生にまで、「おい安田、お前、真面目な顔してたらしいなぁ!」と言われてしまうのでした。私ってそんなにいつも不真面目な顔してたのかなぁ?なんだか、嫌になっちゃいますよ〜。


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