安田しん二レコーディング日記
私、安田しん二のスタジオ、FAB ROCKS REC. HOUSEでの奮戦記です。
FAB ROCKS REC. HOUSEはNon DIGITALにこだわった、
ANALOG専門のレコーディング・スタジオです。


 

2004年12月1日水曜日
 前回は、『
伊豆スタジオ』で「ひとり」のリズム・トラックを録りましたが、12月はこの曲の続きと『セルフ・カヴァー&新曲シリーズ』で忙しくなりそうです。
 今日はとりあえず、明日からの準備をしておきます。最近は、機材をスタジオから外へ持ち出す事が多かったので、その影響もあって、コントロール・ルームがかなり散らかってます。整理整頓が苦手な私としても、さすがに身の回りをかたす必要を感じております。とりあえず、ラック・ギアーを元に戻しましたが、それだけでもかなり片づいた感じがします。やはり、今日のうちにかたしておいて良かったです。やれやれ。

2004年12月2日木曜日
 今日は私とよすおさんの2人です。青ちゃんは今日の夜にFAB ROCKS REC. HOUSEに来る予定です。

 先ずは、「ひとり」の前に次ぎに録る曲のクリックと仮コードを入れました。この曲は明日演るつもりですが、とりあえず、この様な「作業っぽい事は先に済ませておこう」と言う事になったのです。
 私達のレコーディング・ペースは、「夜のご飯の支度も同時進行しながらレコーディングする」と言う事もあり、端から見ているとかなりのんびりしてる様に見受けられます。しかし、基本的に演奏者は泣いても笑っても私とよすおさんの2人だけですので、レコーディングする順序をなるべく2人が交互に演奏したり、他の雑用を本番の合間に入れたりして、体力&精神面に負担が掛からない様にしているのです。それでも一旦乗り始めると、かなりのハイ・ペース・レコーディングになります。勿論、無理矢理ハイ・ペースで演る事も出来ますが、「それで良いものが出来るか」と言うと、そうではない事の方が多い様です。私達の演ってるアナログ・レコーディングでは
モチベーションを高めたりリラックスする為の時間はとても大切です。

 ……と言うわけで、夕方になってしまいましたが(クスン…)、いよいよ「ひとり」の歌を録ります。
 この曲は、浅香唯さんに提供した曲です。作詞は穂早菜さんと言う方が、彼女の為に書き下ろしたもので、言葉は当然女性の言葉が使われています。
 元々の詞はとても良く出来てるのですが、男性の私が女性の詞を歌うと言う事には抵抗があったので、実は前回の仮歌の時に、試しに男性の言葉に直してみました。しかし、これはやっぱり矛盾点がいくつも出てくるし、最初の作詞の意図からもかなりずれてしまい、なんだか変なんです。で、やっぱりオリジナルのままの詞で歌を入れる事にしました。意外な事に、録れた歌を聴く限り、私が女性詞を歌ってもなんら違和感は有りませんでした。実は、今回セルフ・カヴァーをする曲は、女性シンガーに提供した曲が多いので、この点はすごく気になっていました。ですが今回、これを録った感触が良かったので、私達はなんだかホッとしております。

 さて、歌の後はコーラスです。コーラスは私が「一人ダビング」で録っていきます。
 リード・ヴォーカルを録った後ですので、ウォーミング・アップもいりません。
 今回のリード・ヴォーカルを録った時のやり方ですが、どんな感じでレコーディングが進行するかと言うと………
 先ず、マイクなどのセッティングを私が一人でし、その間よすおさんには、台所仕事をしててもらいます。ウォーミング・アップまで終わった段階でよすおさんを呼びます。その段階で、実はもう既に
1トラック歌が録れてます。これをよすおさんと一度聴き、「どう?大まかにはこんな感じで…」と私が言い、よすおさんからOKが出れば、いよいよ本番です。因みに最初のトラックは予備としてとって置きます。本番で使うトラックは1トラックです。よすおさんには、主に音程やリズムのチェックをして貰います。私はヘッド・フォンをして、MTRのロケーターも自分で操作します。よすおさんは「いいねえ〜」とかって言って私を結構気持よく歌える様に雰囲気を盛り上げてくれます
………と、こんな感じで私達の歌録りは進行して行きました。
 コーラスも、2人でチェックしながらやって行きます。因みに今回のコーラスでは4トラック使いました。

 コーラスとリード・ヴォーカルが終了したところで、青ちゃん登場。青ちゃんにも歌を一度聴いて貰い、今日はこれで終了。私はMTRのヘッドを無水エタノールで拭き、ラック・ギアーの電源を落とし、後片づけです。よすおさんにはその間に夜の鍋の準備をして貰い、ビールで乾杯です。
 明日はこのコーラスをピンポンでまとめるところから始めます。

2004年12月3日金曜日
 今日は、最初に昨日録った「ひとり」のコーラスをピンポンしてトラックをまとめます。4トラックを2トラックにまとめ、2トラックの空きを作るだけなのですが、ピンポンでまとめるのには単にトラックに空きを作るだけ以外の効果もあります。人によっては、音が悪くなるとか、ミックス・ダウンの時に最終判断出来ないので、ピンポンを嫌う人が多いのですが、私達の場合は、ここで最終判断してしまった時の方が良い結果になる事が多い様です。一度まとめたものは後で演り直しが出来ませんが、ここは「ファイト一発!男のピンポン」と息巻いて演りたいと思います。

 ピンポンが終わり、今度はブースを片づけなくてはなりません。何故なら、今日は次曲のドラムを録るからです。
 この間
コントロール・ルームを片したばっかりだったので、ここのところ、なんだか片づけばっかりやってる気がしてなりません。

 朝昼兼用の食事は、久しぶりに伊東の『福々亭』にラーメンを食べに行きました。私と青ちゃんは醤油、よすおさんは塩を注文しました。いやぁ〜、美味かったです…。
 ラーメンで満足したので、腹ごなしに50分ほどウォーキングをしました。ここのところ毎日ウォーキングをしてますが、これをするとなぜかモチベーションがあがるのです。

 さぁ〜て……、いよいよドラムを録ります。曲は森高千里さんに提供した、「道」です。この曲の詞も女性詞ですが、私はもう迷わずそのままの歌詞で歌うつもりです。
 千里さんのヴァージョンのアレンジは、斉藤英夫さんが演ってくれましたが、そのヴァージョンもとても良いアレンジだったと思います。千里さんの歌も、それから詞も、とても良いと思ってます。唯ちゃんヴァージョンの「ひとり」もそうですが、歌、アレンジ、詞と、全て完成されてると私は感じてますので、実はセルフ・カヴァーをするとしても、それほど驚くほど曲を変えてしまう事は無いと思います。良いところは残しつつもBANANASなりのアイデアとノリを入れて行こうかと思ってます。ただ、元のヴァージョンは打ち込みで、こちらはシンセなどは使わないオール・アナログです。サウンドや曲の質感は自ずと変わって行くと思います。

 今回のドラムも青ちゃんが録りを担当します。私と方向性を話し合いながら、マイクロフォンを立てて行きました。先ずは試しで録ったものを聴いてみます。ここで、青ちゃんが音を再調整する前に、私がドラムのチューニングをし、更にシンバルのセレクトもやり直しました。次に同じ様にまた試し録りをして再度聴きます。今度は青ちゃんがまたドラムの所へ来てマイクの位置の微調整をします。そしてまた試し録り〜再度音の調整〜もう一度ドラムのチューニングの微調整〜スネアのマイクロフォンをセレクトし直し(同じ型の別のシリアルの物に交換)〜試しにスティックを交換……と言う具合にどんどん進行させて行きます。少し時間は掛かるものの、決してにつまってしまう事なく、順調に事は進んで行きます。
 いよいよ本番です。テンポは元のヴァージョンより2つ遅くしてあります(元の方は多分、4分音符=98で、こちらは4分音符=96です)。ここはあらかじめよすおさんと何度もテンポを出しながら確認して決めておきました。たった2つテンポを落とすだけですが、実際に聴き比べると結構違いを感じます。ただ、私達の場合は打ち込みではなく生のドラムや、その他の音の要素が元のヴァージョンとはかなり違うので、実際の出来上がりは、それほどテンポ感に違和感を感じる事は無いのではないでしょうか。

2004年12月8日水曜日
 今日は久松史奈さんの「そっと I THINK SO」と言う曲のドラムから演ります。この曲の久松さんヴァージョンも、私が編曲(勿論作曲も。因みに作詞は久松さん本人によります)をしました。久松さんヴァージョンのレコーディングは、当時、私がマッキントッシュSE30と言うコンピューター(白黒モニターです!!)を購入して1週間もしないうちにスタジオに持って行き、レコーディングしたものです(ソフトはパフォーマーのたしかヴァージョン3辺りでした)。それまで私は、ローランドのMC−500〜MC−500MK II と言うシーケンサーを使って仕事をしてましたが、それがコンピューターを導入する事により、アレンジの自由度がより広がりました。これは私当時の私にとっては、とても有意義な事でした。
 今回は、当時打ち込みで行われたアレンジを「ノン・打ち込み&ノン・デジタル」と言う、BANANAS流のレコーディング方法で再チャレンジです。多分、あまりアレンジのフレーズやコード、テンポなどは変えないと思いますが、それでも質感はかなり変わるはずです。
 ドラムの音は、いつも通り青ちゃんとコラボレーションしながら創って行きますが、今回もマイクロフォンを何回も換えながら、それに合わせてドラムのチューニングも微妙にいじりました。音色は、いつものブリティッシュな雰囲気ではなく、少しだけアメリカンな音色を意識しました。
 ここのところ、ドラムを連続して録ってますので、音が決まるまでは段々早くなって来てる様に感じられます。
 プレイが始まり、ハイ・ハットのパターンを1度だけ変更しましたが、後は難無く、無事に録り終えました。

 ドラムの後は、早速エレピ(ウーリッツァー)を録りました。キーは、久松さんのヴァージョンよりも低く設定し、更に当時創ったデモ・テープよりも低くしてあります。何故かと言うと、この曲の歌い方は、あまり張らず、力んで歌わない方が良いと思って、キーを多少低めに設定したのです。

 と言うわけで、エレピの後は歌とコーラスを録りました。先ほど「ヴォーカルは張らず・力まずに〜」と言いましたが、しかし、パワー感が無くなってはいけません(特に後半は)。ですから、最後のサビにハモを入れて、リード・ヴォーカルのキーを上げずして、張って歌ってる印象にしました。これでしたら、サビのリード・ヴォーカルは力まずに、パワー感を足す事が出来ます。更にちょっとアドリブを加えたところが有るのですが、そこだけは張って歌いました。
 力まず歌う事もそうですが、この曲はリズムをタイトに取って歌う必要が有ります。これが意外と大変だったりして…。
 コーラスは、相変わらず私の「独りダビング」です。和音の積みなどは、その場その場で考えながら演ります。ですから、1番と2番は違うコーラスが出てくるなんて事もしょっちゅう有ります。勿論、“叩き”(ハード・ディスク・レコーディングではコピー&ペイストと言います)はしません。叩きとは、1番だけコーラスを録って(歌詞が同じ場合に限ります)、2番、3番〜は同じ物を貼り付けてしまう事です。これだと、結局同じ物を何回も聴かされる事になり、おもしろみが無くなってしまうと私は考えます。ですから、よっぽどの事が無い限り、私達のプロジェクトでは叩きはしないのであります。

 今日はいつもより沢山録音した実感が有ります。何しろ、ドラム、エレピ、それにリード・ヴォーカル、更にはコーラスまで!!です。当たり前ですが、終わったらグッタリ疲れてしまいました…。

2004年12月9日木曜日
 今日は昨日の続きではなく、森高千里さんに提供した「いつまでも」と言う曲のベイシック・パートを演りたいと思います。
 この曲は以前、日本テレビ系列で放映されてた、『おちゃめなふたご』と言うテレビ・アニメの挿入歌だったナンバーです。このアニメは現在はもう放映されてませんが、その代わり、ドイツやスペインなどで、放映されてると聞いた事が有ります。声優さんは、当地の方々が演られてると思いますが、音楽だけはオリジナルのものを使ってる様です(うわぉ!国際的ぃ!)。

 さて、この曲のベイシック・パートですが、森高さんヴァージョンに少しアレンジを加え、今まで有ったイントロを無くし、代わりにローズ・ピアノと歌の弾き語り風に1コーラス歌います。勿論、クリックなどは使わず、自由なリズムで演るわけです。リズムに対し、淡々と弾くことも出来ますが、ここはリタルダンドなどをふんだんに取り入れました。それが終わるとドラムのフィルを合図にフルオケになって、2コーラス目に突入です。それから、キーも1コーラス目とフルオケの2コーラス目以降は変えました。因みに1コーラス目はCのキーで、それ以降はFのキーに転調です(カラオケのキー・チェンジャーで+5と言うやつです)。当然ですが、Cのキーで歌うのと、その上のFのキーで歌うのとでは、雰囲気がだいぶ変わります。和音などの積み方も変わってくるので、アレンジにも変化が持たせられます。

 今日はとりあえず、「いつまでも」の1コーラス目だけを演りましたが、結局、そこにコーラスなども入れ、少しだけ厚みを持たしました。リード・ヴォーカルもピアノと同時に録ったのですが、それにダブリング用の歌も足し、結局、リード・ヴォーカルは2トラック使いました。

 2コーラス目以降は明日演ります。
 それにしても、なんだか、疲れがたまってる様です(情けない…)。

2004年12月10日金曜日
 今日は青ちゃんが昼には東京へ帰らなくてはなりません。ですが、私が「帰る前に昨日の続き、ドラム録っちゃおう!!」と言い、午前中に録音が始まりました。しかし、なんと、セッティング〜音決め〜プレイと、全部で30分で出来上がってしまいました(イエ〜イv)。別に手を抜いたわけでは有りませんよ。

 昼は伊東の『福々亭』でラーメンを食べ(強力に美味かったぞい!)、青ちゃんは東京へ、私とよすおさんはFAB ROCKS REC. HOUSEへ戻りました。

 午後は「疲れたね」と言う事で、近くの温泉に行きました。結局、その後は次に演るオリジナル新曲の曲の構成をよすおさんと決めて行きました。

2004年12月14日火曜日
 風邪をひいてしまった様で、どうも調子が出ません。
 今日は先週の続き、「いつまでも」の後半部分のエレピを入れ、歌とコーラスまで演ろうかと思います。
 青ちゃんは今日はまだ来てないので、とりあえず、よすおさんと2人でレコーディングです。

 先ず、ウーリッツァーのエレピを録ります。先週も書いた様に、2コーラス目からはCからFへとキーが転調されてます。

 続いてヴォーカルです。なんだか鼻声っぽいのでしょうか?自分では解らないのですが、よすおさんにはそう聞こえるみたいです。鼻は確かに点鼻薬でスウ〜っと通っているのですが…。
 でも、今日はたとえ鼻声でも歌ってみるつもりです(おいおい、無理するなよ…って自分でつっこみ入れなくても……)。
 コーラスとリード・ヴォーカルの録りを同時進行させて行きます。……いつもよりか苦労しています。
 それが終わる頃になると青ちゃん登場です。今日はイデア・サウンドの若きエンジニアの卵、アシスタントのくん(今回は見学です)を連れて来ました。一応、録った歌とエレピを青ちゃんに聴かせましたら、「鼻声だよ。それから、前半はローズだったのに、2コーラス目からはウーリッツァーに変えたの?」って聞かれました。「!!!!」、しまった…、ピアノはローズだったかぁ…。しょうがないので、そのままウーリッツァーの音を残す事にしました。でも、ま、良いんじゃないでしょうか…。

2004年12月15日水曜日
 今日は新曲のドラムスとギターを録ります。しかし、風邪で私の体調は最悪です。今日は熱もある様です(しかし、食欲だけは何故か有るのです…。口いやしいのいでしょうか?)。

 この新曲、2ビート・ナンバーです。しかもテンポは4分音符=200と言う早さです。私の現在の体調では結構辛いです。しかし、それでも根性で乗り越えるつもり……と行きたいです。
 この曲はどういう曲かと申しますと、前半はストレイ・キャッツの様なロカビリーっぽい雰囲気、しかしコード進行はちょっとジャージーです。サビはキャッチーで勢いが有ります。
 珍しくデモ・テープが有ったので、そのデモ・テープに合わせてドラムを叩きます。しかし、そのまま「デモ・テープを聴きながらドラムを叩く」と言うのも難しいので、前回そのデモ・テープにクリックを入れ、それをMTRに流し込みました。曲の構成も、よすおさんと確認しながら私がデモ・テープを編集し、最初に創ったものよりも少し短くしました。
 この曲のドラムの音は、ここのところ録ってる音とは少し趣を変えて、ライヴ感を多めに出す事にしました。ドラムのセッティングもタムを取り、スネア・ドラムもいつものラディック(木胴とメタル)ではなく、スリンガーランドのラジオ・キング(木胴6インチ半)を使いました。シンバルも録りながらセレクトを変えて行きます。今回はスプラッシュ・シンバルもセットしました。
 プレイの方も、予想に反してなかなかハングリーなリズム感が出ました。風邪をひいた事がかえって良かったのでしょうか?

 ドラムが終わって疲れてると、青ちゃんが「今日はもう止めておく?」と聞いてくれましたが、今ドラムスを叩いたリズム感覚が身体に残ってるうちに、どうしてもメインのサイド・ギターを録っておきたかったので、「演るよ…」と言いました。
 使うギターはエピフォンのソレント、私のメイン・ギターです。アンプはマーシャル・ブルースブレーカーです。ブルースブレーカーは、ヴォックスのアンプに比べると中音域が艶っぽく、クランチな音もとても良い感じで、私は気に入ってます。ですが、今回は珍しくこのアンプの前にもう一つプリ・アンプをかまして音を創りました。
 これをプレイする時、コントロール・ルームでプレイするのではなく、アンプの前で暗譜して(おやじギャグ言ってる場合か!?)弾きました。なんとなく勢いが出た感じがします。今日は体調は悪いのですが、かえって必死度が上がったのか、ドラムにしろ、ギターにしろハングリーなプレイと言う印象です(思い過ごし?)。どっちにしろ、この曲に合ったプレイが出来た気がしてます。ラッキーだなぁ…。

 今日はせっかくだから、みんなで近くの温泉へ行き、私はサウナで一汗流しました。そう言えば、何年か前、歌録りの前に風邪をひいてしまい、咳が止まらなかったのを、半身浴で汗を流したら、翌日嘘の様に咳が止まってたのを思い出しました。

2004年12月16日木曜日
 昨日のサウナが効いたのか、どうやら熱は下がった様です。しかし、まだ鼻水が…。
 と言うわけで、今日も新曲のギター・ソロともう一つのサイド・ギター・パートを録ります。

 先ずはソロから。使うギターは昨日のエピフォン、しかしアンプはマーシャルではなく、ヴォックスに換えました。アンプに立てるマイクロフォンも昨日のサイド・ギターとは換えてあります。
 このパートは、気合いを入れて演りたいと思い、私は寒いのに上着はTシャツ一枚でプレイしました。気持ちの問題なのですが、こんな事でも「プレイの内容は変わる」と信じてる私です。やっぱり、ちょっと変でしょうかね?私は「おっ!ブライアン・セッツァーの霊が降りてきたぞ!」と言いながらプレイしてたのですが、みんなは、「どこがぁ…。それにブライアン・セッツァーは死んでないよぉ!」と言って、私を馬鹿にしてたみたいでしたが……。萩谷くんもニヤニヤ笑ってたので、「こらぁ!萩谷!てめえ、信じてないなぁ!」と、八つ当たりしながら弾いてました(はっきり言ってそうとう大人げない……反省…)。でも、お陰様で魂のこもったプレイが残せました。満足、満足(^^)。

 もう一つのサイド・ギター・パートは、リッケンバッカーのエレクトリック12弦ギターで演りました。因みに私は、リッケンの12弦は330と360の2本を持ってます。私の330と360の大きな違いは、形は当然ですが、ピック・アップが330の方が“ハイ・ゲイン”、360の方がそれよりかはパワーが無い“トースター・トップ”が付いてる事でしょうか。あっ、そうそう、それと360はアウト・プット・ジャックが2つ付いてます(使った事無いけど…)。音の方は、330の方が音が太く、360の方がブライトなトーンです。弦もそれを意識して、330の方に更に太い物を張ってあります。私の好みですと、330は主にリード・パートを、360をリズム・パートに使い分ける事が多いです。
 結局今回は、リズム・ギター(コード・カッティング)という事で、360を選択しました。

004年12月17日金曜日
 今日は午前中に、青ちゃんと萩谷君が東京へ帰りました。始めは「先ず、朝一でギターを録ろう!」と言う事でしたが、朝起きたてですと、未だ指が柔らかく、ここで無理をすると指先を痛めてしまう為、それは後で演る事にしました。とりあえず、4人で『福々亭』にラーメンを食べに行き(何故か、いつも結局はこうなる)、そこで青ちゃんと萩谷君とは別れました。私とよすおさんはまたFAB ROCKS REC. HOUSEへ戻りました。

 さて、午後からはグレッチのテネシアンでリード・ギターを録ります。パートは2カ所だけですが、オクターヴ・ユニゾンを使います。一瞬、12弦かと思いますが、ビブラート・アームを使ってますので、それとは一味違った感じになります。

 グレッチのリード・パートの後は、よすおさんのアーム付きのストラトを借りて、もう一つのギター・パートを録りました。これは私達が“なんちゃってアラン・ホールズワース”と呼んでるフレーズで、当然ホールズワースの影響を多分に受けてます。ロカビリーにホールズワースとなると、どうも想像が付かないでしょうが、これはもう聴いて貰うしかありませんね(んで、いつ聴けるんだぁ!…って、自分でつっこみ入れちゃいます。もう暫くお待ちを…)。私は「おおっ!今度はホールズワースの霊が…」と言って演ってましたが、よすおさんには無視されてしまいました(最後は「こんなん出ましたぁ〜」と言って締めるつもりだったのですが…)。

 最後は「道」にウーリッツァーを入れよう……と思いましたら、急にウーリッツァーの調子が悪くなり、「だったらローズだぁ」と言う事でローズを入れようとしましたら、調律があまり良くなかったので、……結局止めました。次回、ヤマハのCP−20を使って演ろうかと思います。ちょっと残念ですが、今週は私の風邪の為、ちょっと効率が悪かったと反省しております。週末はちゃんと静養してまた来週からの長いクールに備えたいと思います(この調子ですと、クリスマスもレコーディングかなぁ?)。2ビートの曲の歌詞も書かなくっちゃぁ!

004年12月21日火曜日
 今日のメンバーは私とよすおさん、それに青ちゃんの3人。よすおさんは前日から伊豆入りしてまして、私と青ちゃんは東京方面から、たった今到着したばかりです。
 一杯のコーヒーを飲む暇もなく、早速「道」にヤマハCP−20を入れます。弾き手は私…しかいませんので、私です。ヤマハCP−20は、エレクトロニック・ピアノで、所謂ローズやウーリッツァー等のエレクトリック・ピアノとは似て異なる物です。「エレクトロニック」と「エレクトリック」の違いは、読んで字の如く、「電子」と「電気」の違いです。「電子ピアノ」と言っても、シンセサイザーとはまた違った独特の発振方法が有る様です(よくは解りませんが…)。音の違いは、平たく言うと音の太さが先ず全然違います。「エレクトロニック」の方が使い難いですが、物は使いよう……です。
 この電子ピアノにはプリセットが4つ(ピアノ2、ハープシコード2)有って、私はこれらを微妙に混ぜて音を創りました。「音を創る」と言っても、単純なもので、プリセット・ボタンを押して、つまみを1〜3ついじるだけ。誰でも簡単に出来ます。ですが、一歩間違えると単にチープなだけなどうしようもない音になってしまうので、注意が必要です。
 さて、プレイの方ですが、曲中に転調が何度もあり、キーだけで3つも使います。元々キーボード・プレイヤーでない私にはちょっと手間でしたが、なんとか演り遂げました。ですが、今日は東京から伊豆に着いてなりすぐプレイしたからか、さすがに疲れてしまいました。

004年12月22日水曜日
 今日は「道」の続きです。昨日エレクトロニック・ピアノを入れたので、早速リード・ヴォーカルを入れたいところですが、朝は声が出ないので、その間にクラップを3トラックほど録りました。私とよすおさんで曲の頭から最後まで、合計で3回ほど手を叩くのですが、私の手は真っ赤っかでした。途中、一度だけ台所に行って手を水にさらし冷やしました。話しは逸れますが、ここの水は冷たくて美味いです。ところが、冬場は手を真水で洗おうなどとしたら、「霜焼けでも出来てしまうのではないだろうか」と心配するほど冷たいのです。しかし、こんな時はこの冷たい水がかえって役立ち、手の赤みはさっと取れてしまいました。音の方もバッチリ。それから、3トラック録れたものを直ぐにピンポンして1トラックにまとめます。此に関しては青ちゃんが録りながらにしてバランスを取っており、私が気付いた時にはピンポンも完了してました(なんと手回しの良い事か)。

 続いてマラカスを録りました。これはテイク1で完了です。「道」は所謂「ハネ」のリズムですので、マラカスと言ってもそんなに気軽なパートでは有りませんでした。ただ、クラップを録った直ぐ後にプレイしましたので、その時の勢いでノって演る事が出来ました。

 本来ならこの後ヴォーカルと行きたいところ………ですが、まだ声が出そうにありません。ここで無理すると良い歌が歌えないだけどころか、喉をつぶすだけですので、時間を雑用などをしながらつぶす事にしました。ここでは私達が寝泊まりもしてるので、レコーディングするだけではなく、同時に雑用や食事の支度などもろもろ、やる事が結構多いのでありますが、これも気分転換になるので、あまり負担と感じた事は意外と有りません。

 さてさて、やっと身体も温まってきたので、いよいよリード・ヴォーカルを録ります。いつもの様にウォーミング・アップをしてから、普段でしたらそこでよすおさんに付き合って貰うのですが、今回は青ちゃんとよすおさんはちょっと買い物に出掛けてしまったので、先に4トラック分ほど歌って録ってみました。するとタイミングよく買い物から帰ってきたので、2人にこの4トラックを聴いて貰い、どれが良いか選んで貰いました。結局3テイク目が良いと言うので、その感じでテイク3を数カ所ほど歌い直して完成です。ここで次にダブル(ユニゾン・パート)を録るのですが、せっかくあと3トラックほど有ったので、青ちゃんにその中からセレクトして貰いました。

 リード・ヴォーカルの後はそのまま字ハモと言うコーラスを2パート分録りました。この時、コーラスにオブリになる様なフェイクなども入れてしまいました。リード・ヴォーカルも最後の方はフェイクっぽく歌ってるので、そこにユニゾンをかぶせてみたりしてみました。

 今日は「道」にピアノと歌が入ったので、明日からはダビングに入ります。普通、歌はオケが出来上がってから入れるのがオーソドックスですが、最近の私達のレコーディングでは、早い段階で歌を入れてしまうのが通常です。ですから、「仮歌」を入れずに済みます。

004年12月23日木曜日
 朝起きて、先ず機材の電源を入れ、その間にご飯を研ぎました(我がスタジオでは、機材の電源を入れて暫くしないと電気が安定しないので、レコーディングの始まる何時間か前に電源を入れておく必要があります)。よすおさんと青ちゃんはまだ寝てます。しかし、珍しい事に、私がご飯を研いでる最中、よすおさんが起きて来たので(普段は最低でも10回は声を掛けないと起きて来ない!!)、そのままよすおさんに付き合って貰い、昨日録った「道」のコーラスをピンポンしてまとめました。そうしてるうちに青ちゃんも起きて来ましたので、朝昼兼用のご飯の準備をしました。
 ここで青ちゃんは朝昼兼用のご飯を「朝昼ケンタイ」と言うので、私とよすおさんは「そんなの聞いた事ないぞ!」とバカにした様に言うと、青ちゃんは「おかしいなぁ。うちの親も親戚もみんなそう言ってたけどなぁ〜」と悩んでる様でした。よすおさん曰く、青ちゃんはその後もずうっとブツブツとその事を言ってたらしいです(…とここで、後日談。その話を家に帰って調べてみますとちゃんと辞書に載っていたのでした。私は直ぐに青ちゃんに「ごめんねメール」を送りました。因みに、ケンタイとは「兼帯」って書くのだそうです。私達もこれからは、「朝昼兼用」とは言わず、「朝昼兼帯」と言う事にしました。いやぁ〜、勉強になりました。それにしても日本語はオクが深い……)。

 朝昼兼帯の(早速使ってます)ご飯を食べて、「クエスチョンズ67&68」によすおさんのヴォーカルを入れます。オリジナルは、実は私が書いたわけではなく、あのブラス・ロックの代表的バンド、シカゴのオリジナルとしてヒットしたナンバーです。実はこの曲には、英語ヴァージョンの他に日本語ヴァージョンもあって、それは彼らが1970年代の前半に日本に来日した際、北山修さんが日本語に訳詞をしたのを彼ら自身が歌ったものです。今回私達が取り上げたのは、勿論日本語ヴァージョン。これは以前、私達が「ミラクルシャドウ名義」、又は「安田しん二&吉岡よすお名義」で出したことが有りましたが、今回はそのリ・ニューアル・ヴァージョンとして創るつもりです。
 「リ・ニューアル」と言うのは、以前のは私のヴォーカル・パートが手違い有って「ボツ・テイク」が使われてた為(その理由は、ここで書くと非常に長くなってしまうので、またの機会に…)、今回はちゃんと「OKテイク」に差し替えて(この作業は既に終わってます)、更に途中の一節にゲスト・ヴォーカルを使ってたところをよすおさんに歌い直して貰おうと言うものです。それからそれからマラカスを入れ、ギターも録り直し(これは後日)、当然ミックスも演り直します。
 よすおさんのヴォーカルですが、彼はこれを録るのに結構緊張してた様ですが、なかなかどうして、良い感じの歌が録れました。歌い方などは私が直接注文を出しましたが、音程などはとても良く、下手な歌手よりは全然上手いです。青ちゃんも「良いよ!」と言ってました。よすおさんの声はなかなか若々しい声です。これからは、よすおさんにも歌を歌って貰う機会がちょくちょく出てくると思います。

 よすおさんの歌の後はマラカスです。青ちゃんは「「道」に戻ろう」と言うのですが、私は「ダメ、マラカス入れてから!」と強行してしまいました。結局、マラカスも10分ほどで終わってしまったので、後は後日ギターを入れてミックスすれば完成です。

 「クエスチョンズ67&68」は、最後にラフ・ミックスを創り、この曲は今日はここまでです。

 さて、やっと「道」に戻って、よすおさんがスライド・ソロを弾きます。これは「ソロ」と言うよりは、「間奏」と「エンディング」で計2回出て来るのですが、1回目はユニゾンで演り、2回目は3声のダブル、つまり6回ダビングをしました。
 使用楽器はギブソンSG(正確には私のSGは、「SG」ではなく、まだ「レス・ポール」と呼ばれてた頃のモデルです。形は紛れもない、SGなんですが、なんでもこのモデルに「レス・ポール」と言う名前をギブソン社が付けたところ、レス・ポール氏本人から、「こんなギターにレス・ポールって付けるのイヤだ!」とクレームを言われたとか、言われてないとか。お陰でそれ以後、これを「SG」と呼ぶ様になったんだそうな)。それからアンプはピグノウズと言うちっちゃなアンプです。私は「これをスーツ・ケースの中に入れてくれ」と青ちゃんに注文を出しましたが、あまり乗り気ではなかった様で、それでも無理矢理そういう風にセッティングしてしまい、青ちゃんはあきれてました。それで効果が有ったか無かったかはよくは解りませんが、とても良い音がしてました。私とよすおさんはそれを「チムニー」と言ってましたが、青ちゃんはムキになって、「チムニーはそんなんじゃない!!」と言うので、かえって私達はそれを「チムニー」と呼んでは、青ちゃんをからかってました。
 先に録った、1回目のユニゾンが終わったところで、「お腹がすいたぁ〜」となり、休憩&食事タイムです。「さっさと食べて次ぎ録ろう」と言う事で、チキン・ラーメンをちゃっちゃと食べ、続きの2回目3声ダブルです。ところが全部終わった後で、「どうも音がこもってるなぁ〜」と思ったら、マイクがちょっと傾いてました…。その音もそんなに遠い音では無かったので、みんなで気にはしてたのですが、録り終わるまでは誰もスーツ・ケースを開けたりはしませんでした。録り終わってから、1回目のパートから続けて聴いたら、「音が違う!!!」となったのでありました。ただ、毎回私が「よすおさん、ピッキング、弱くなってるよ!!!」と言うと、よすおさんが「そんな事はない!!絶対!!」と言うので、ちょっと変なムードにはなってましたが、それも後の祭りです。やはり、1回目のソロを録ったところで休憩を入れて、チキンラーメンなんぞ食べてしまったのがいけなかったのでしょうか…。
 3人ともそうとう落胆しました。青ちゃんが気を取り直して「演り直そうか?」と言いましたが、スライド・ギターでのハモと言う事だったので、相当神経を音程に集中してたので疲れてしまい、どうも今全部演り直す気にはなれません。これは3人共同じだったと思いました。
 結局、「先ずは主旋律だけ録り直そう…」と、主旋律だけ録り直してみました。ところがしかし、かえって他の2声がこもってる事で、主旋律が良い感じで浮き上がり、なんとも言えない様な不思議な雰囲気が出てます。これぞ「ひょうたんから駒」、「ドキュメンタリー性有る、アナログ・レコーディング」の真骨頂ではないでしょうか……って、ちょっと大袈裟かなぁ?

 続いて同じ音色でオブリです。今度は、変なアクシデントなく、無事に録り終えました。

 ここで一応仮ミックスを創りました。と言っても、ベースも入ってないし、ドラム、エレピ、歌、それにギター・ソロとオブリが1〜2カ所ってだけの仮ミックスです。

004年12月24日金曜日
 「道」の続きです。今日は青ちゃん、仕事の打ち合わせが東京で有るので、午前中に帰って行きました。と言うわけで、今日から暫くは私とよすおさんの2人、……淋しいです。

 フェンダーのベースVIでミドル・ベース・パートを入れます。弾き手はよすおさん。このフレーズは、オリジナルのヴァージョンでもリズムのキモになってたところですので、それに忠実に入れました。最終的にはベースも入れる予定ですので、低音があまり有ると後で音が濁ってしまう為、その辺を注意しながら音を創りました。ここで何故フェンダーのベースVIを使って、「“ハネ”のリズム・パターンを刻んだか」と言う事ですが、このパターンをそのままベースで演ってしまうと、リズムが重くなってしまうと思ったからなのです。実は斉藤さんがアレンジした「森高ヴァージョン」も、それをベースとは違った音色で演ってまして、「流石、斉藤さん」と、私はとても関心しました。これは、ラテンのリズム・パターンを応用したもので、このパターンが入る事でメロウな旋律にリズム感が足されるのであります。
 よすおさんは、このパートを難無く弾き終えました(たしか、テイク1か2だったと思います)。

 続いても同じ曲、「道」で、エピフォンのソレントでギターのオブリを入れます。これはビブラート・アームを使って、オクターヴ・ユニゾンで演ります。昨日のよすおさんが弾いたスライド・ギターのオブリと交互に出てくる様になっています。私は、最終的にこのオブリにはいくつかのトラックを使うつもりで、昨日のよすおさんのスライド・ギターのハモ、今録ってるエピフォンのソレント、それから新たにコーラス……etc....です。これが1コーラス目と2コーラス目、間奏後と、毎回パターンを変えるつもりでおります。やはり、せっかく打ち込みではないのだから、まるで“コピー&ペイスト”した様な同じアレンジを毎コーラス聴くのではない方が楽しいかと思うのであります(レコーディングする方の手間は相当なもんですが……)。
 この「道」の詞は、森高さんが書いたものですが、サビの歌詞、「♪春も夏も秋も冬も……」とかって、名詞をどんどん並べてたたみかけて行くところがとても面白いなと思ってました。ですから、オブリなども「入れ替わり立ち替わり音色をランダムに変えて出したら面白いなぁ」なんて思ったのであります。アナログでは有りませんが、一昔前に打ち込みを極めたユニット、スクリッティ・ポリティと言う人たちも、この手法を得意としてました。まあ、私は今回あそこまで極端にはしないつもりですが、その昔好きだったものもとても参考になりました。

 よーく考えてみたら今日はクリスマス・イヴでした。録音はこんなところで止め、よすおさんと2人でシャンペンをあけ、乾杯しました。メリー・クリスマス!!!……って、かなり地味なクリスマス・イヴだったと思います。しかも、「料理はタコもんじゃを2人ですすりながら……」って感じです。相当地味です………。

004年12月25日土曜日
 青ちゃんがいなくなって、いきなりたるんでしまってる様にも見えますが、そ・そんな事はありましぇんよぉ〜。でも、なんだかモチベーションが上がらない気もしますが…。

 ……ってなわけで、先ずは昨日演った、「道」のギターをピンポンしてまとめるところから始めました。

 ギターをピンポンしてトラックを空け、次はまたまたコーラスです。珍しく3声をダブルで演ろうと思うので、6トラック必要です。更にそれを2トラックにピンポンしながら演ろうかと思いますので、8トラック空きが必要です。勿論このコーラスも、1コーラス目とその後とでは違うプレイをするつもりです。つまり、同じパートは2度と出てこないので、1固まり録れたら直ぐにピンポンすると言うのはとても有効な事なのです。
 先ずは一番最後のサビとエンディングからコーラスを入れました。それから2コーラス目のサビ、1コーラス目のサビ、2コーラス目のサビの前……と言う具合に、曲の後ろの方からアレンジを考えながら入れて行ったのです。

2004年12月26日日曜日
 今日は前日とは打って変わって、かなり「やる気モード」になってます。なんと、朝からレコーディングを開始しました。

 今日最初のレコーディング・パートは、「朝はめっぽう苦手」と言うよすおさんが、「道」のギター(今回のはかなり大変なはず…)を弾きました。これはブライアン・メイがよく演る、壮大なギター・ダビングで、普通にギターを録る方法の何倍も手間が掛かる手法です。途中、和音がぶつかったりして、その度に「……」となって効率が悪かったので、珍しく譜面などを創り、更に演りながら録ったパートをピンポンしてトラックをまとめて行きました。
 この壮大なギター・パートでは、この曲の前奏のメロディを担当し、それを元にして、サビにも似たフレーズを入れたりしました(1コーラス目のみ。後のサビは、既に他の音でうまってます)。
 途中、アクシデントなども有り、かなり余計な時間を費やしてしまいましたが、結果的には良いテイクを残す事が出来ました。

 午後は、私がエピフォン・ソレントでリズム・ギターを入れました。普通のアナログ・レコーディングの現場では、リズム・ギターの録りが最後の方になる事なんて、あまりないと思います(打ち込みはこのパターンが多いですが…)。しかし、こうする事で、この曲に足りないエッセンスをリズム・ギターによって注入する事が出来ました。

 私のリズム・ギターの後は、よすおさんがギブソンJ−160Eでアコースティック・ギターのストロークを入れました。これも先ほどのエピフォンのリズム・ギターと同じで、リズムの大事なエッセンスを強調する事が出来ました。
 さあ、これでこの曲に必要なエッセンスは全部入った事になります。「道」は、一応ここまでで、後はミックス・ダウンだけとなりました(ホントかなぁ?)。

 今日は夜ご飯を『福々亭』に行って食べました。その後FAB ROCKS REC. HOUSEに戻って歌入れを始めます。先日、ドラムとギターを録った2ビートの曲です。私は家でこれの詞を書いてきました。題名だけは、まだどうするかは決めてないのですが、一応、ここでは「肩の力を抜いて」と言う事にしておきます。
 そんな仮題が付いたこの曲ですが、歌の方はかなりキーが高く(地声でDまで出さなくてはいけません)、題名の様には肩の力を抜いて演れそうにもありません。しかも、ここのところ風邪気味で鼻が抜けず、かなり苦しい状態です。鼻から音を抜かせられないと、高い声を喉と腹式呼吸だけで出さなくてはならず、それはそれでシャウトした感じで良いのですが、私としてはちょいと困難です。案の定、喉にも相当な負担が掛かってます。結局、終わった時には「ノゾがいてえよぉ〜」となってしまい、時計を見ると夜の10時でした。

 本当は歌を歌って喉が炎症をおこしてそうな時、アルコールは控えるべきなのですが、誘惑には勝てず、「お疲れさんの乾杯」でビールを飲み始めてしまいました。レコーディングは、今日はこれで終わりなのですが、その後飲みながら、「いつだって君を想ってる」と言う曲のアレンジをしました。それが終わって、時計を見ると夜中の12時40分です。この頃には、私はもう酔っぱらってしまってましたが、それでも良いフレーズが浮かびました。この曲のレコーディングは、多分年が明けてから取り掛かると思います。それまでアイデアを寝かしておきます。最後は忘れない様に、よすおさんに譜面をおこして貰い(なんで自分でやらないのでしょうか?)、これで一安心。

2004年12月27日月曜日
 今日からはレコーディング・プログラムを「そっと I THINK SO」に切り替えます。先ずはロンロコを入れます。ロンロコはフォルクローレで使う、チャランゴの一回り大きいやつです。私達はロンロコのチューニングをチャランゴの4度下にしてますので、先ずはコード譜をロンロコ用に移調して書き直すところから始めました。
 ロンロコでは主にリズム・カッティングをプレイしました。

 次はよすおさんがアコースティック・ギター、ギブソンJ−160Eでロンロコとは対になる方のストロークをプレイしました。これらを午前中に録り終わり、『福々亭』へラーメンを食べに出掛けました。

 午後は160Eでイントロのアルペジオ、ギルドの12弦ギターでアルペジオを録りました。アルペジオ関係は、いつもだいたいよすおさんが演る事が多いです。

 それから、エレクトリック・シタールで裏メロを録りました。これもよすおさんがプレイ。ここ数日は、よすおさんがプレイする機会が多い様な気がします。ここは、一丁よすおさんに踏ん張って貰いたいと思います。

 夜、青ちゃんがFAB ROCKS REC. HOUSEに戻って来ました。一応、私達は明日東京に戻るつもりなのですが、青ちゃんは明日一日だけの為に帰って来てくれたのであります。青ちゃん、ありがとう!

2004年12月28日火曜日
 今日はベースを中心に録音して行きたいと思います。
 私達のベースのレコーディング方は、青ちゃん、私、それからよすおさんと、3人でコントロール・ルームに入り、共同作業で音を決めて行きます。よすおさんは勿論プレイヤーです。よすおさんのピッキングの位置や強さで、音はかなり変わります。私はよすおさんにどこの位置でピッキングするか、どのピック・アップを使ってプレイするかを指示します。ベース・アンプのつまみを調整するのも、ここでは私の役目です。青ちゃんは、マイクを立て、コンプなどで音を調整して行きます。ここは阿吽の呼吸で、それぞれが役割をきちんとこなす事と同時に、お互いに注文などを出し合いながら、求めるサウンドへベクトルを向かわせていきます。例えば、「しんちゃん、もうちょっとアンプのトレブル上がらない?」とか、「だったよすおさん、もうちょっとブリッジよりでピッキング出来る?」、「青ちゃん、コンプをもう少しだけ強めに掛けられる?」みたいに、この3人ではの絶妙のコンビネーションと言っても過言ではないと思います。他の人とこんな事を演ってたらケンカになるか、きっと空回りしてしまうのでしょう。

 「そっと I THINK SO」のベースと「道」のベースを昼飯前に録りました。使用ベースはヴァイオリン・ベース……ですが、いつものヴァイオリン・ベースではなく、「キャバーン・ベース」と言われてる、ネックよりにピック・アップが2つ付いてるタイプのを使いました。このベースは前々からよすおさんが所持してたのですが、実はレコーディングに使うのは初めてです。

 行きつけの定食屋さんへ行き、お昼を食べ、最後に「良いお年を…」と挨拶を済ませ、簡単に買い物をして戻ってくると、時間はもう16時を越えてました。

 続きは「いつまでも」のベースです。これはリッケンバッカー4001を使いました。

 「肩の力を抜いて」のベースです。これは2本入れます。1本目はスラップ・ベースっぽく聞こえる様に色々と工夫しました。でもEQは使わずに出来ました。

 今日だけで、4曲分のベースを録りました。よすおさん、ご苦労さんです。


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