リエちゃんは恥ずかしがり屋さんです。ママとパパ以外の人とお話しをすると、すぐに顔が真っ赤になってしまいます。だから、リエちゃんは入ったばかりの小学校でもまだお友達ができません。

 小学校に行くのもリエちゃんは好きではありません。
 行く途中の道沿いのお家に一匹の犬がいるからです。犬は「シーズー犬」という種類で、ララという名前です。ララはいつも庭の芝生の上で遊んだり、寝転んだりしています。
 小さくてかわいいララはみんなの人気者です。同じ小学校のみんなはララと仲良く遊んでいるのですが、リエちゃんは近づくこともできません。

リエちゃんはもっと小さな頃、迷子になったことがあります。その心細いときに大きな犬にほえられたことがあって、それからずっと犬が恐いのです。
 だから、リエちゃんがこのお家の前を通るときは、一生懸命に走ります。タッタッタッとララを見ないようにします。

 今日は、そんなリエちゃんのお誕生日です。パパとママと三人でママのおいしい手料理やケーキを食べました。
 恥ずかしがり屋さんのリエちゃんもパパとママといるときには顔が赤くなりません。

 ケーキを食べ終わると、パパがお部屋を出ていきました。どうしたんだろう、とリエちゃんが思っていると、すぐに扉が開いてパパが戻ってきました。
 そのパパの足の影から、お顔がふたつ、リエちゃんをのぞいていました。クリクリとした目に小さな鼻をしたお顔です。

 「フェレット、って言うんだよ、リエ」
 パパは言いました。

 次の日、リエちゃんは二匹のフェレットとお散歩することになりました。
 昨日の夜に、二匹の名前も決まりました。パパとママとリエちゃんで決めました。
つぶらな目をしたのがモモで、モモよりもちょっと小さなのがビビです。

 



 お散歩は、赤と青の細いひもをつけてしました。

 最初のうちは、モモとビビの歩いたり走ったりするのに合わせるのがうまくいきませんでしたが、少しずつ慣れていきました。

 お散歩をしていると、いろんな人がリエちゃんに話しかけてきました。
 モモとビビが珍しいからでしょう。いつもはママとパパ以外の人に話しかけられると、顔が真っ赤になって何も話せなくなってしまうリエちゃんでしたが、今日は違いました。

 その理由は、みんながリエちゃんよりもモモとビビを見てくれるので、リエちゃんはあまり恥ずかしくないのです。それに何より、モモとビビを見ると、誰もがやさしい顔になるのです。
 だから、リエちゃんは恥ずかしくありませんでした。

「何ていう生き物なの?」、「この子たちのお名前は?」、「さわってもいい?」…。
 そんな風に聞かれるたびに、リエちゃんはちょっと小さな声ですが、しっかりと答えることができました。リエちゃんにとって、そのようなことは初めてのことです。

 お散歩をしていると、シーズー犬のララのいるお家の前に来てしまいました。ララはいつものようにお庭でお昼寝をしています。

 すると突然、モモとビビがタッタッタと、ララに近づいていきました。そして、ララのおなかのところで、コロンと寝転がったのです。
 リエちゃんは、とてもびっくりしましたが、モモとビビをつれてくるためにゆっくりとララのところに行こうとしました。
 リエちゃんは、ララが起きてしまわないかと、ドキドキしていました。

 リエちゃんが歩きだすと、ララが目を開けて、モモとビビの頭をペロッと一度づつなめました。
  とってもやさしく、とってもやさしくなめました。
 

 それを見ると、リエちゃんの恐さはまるで魔法のように消えてしまいました。

 リエちゃんはララのところへ行って、ララの頭をなでました。ララは気持ち良さそうにあくびをひとつしました。モモとビビもララのおなかの上で気持ち良さそうでした。

 モモとビビは、リエちゃんに一日おくれのとっても素敵な誕生日プレゼントをしてくれたようですね。

                                                 おわり
                                                        

やさしいプレゼント
この作品は,キリ番777番をゲットしたchimaさんへ捧げます。(^。^)
なお作品に出てくるかわいいペットたちは、chimaさんのホームページで紹介されているコたちをモデルにさせてもらいました。
 内容はフィクションです♪
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作/イラスト:さわね たかひろ