「公募貯金」

 一年ほど前から公募貯金をしています。
 童話や小説の文芸系の公募に挑戦している僕ですが、未だに大きな成果はなし。
 それでも、新聞の投書や雑誌の投稿などでコツコツと稼いでいます。
 …といっても、図書券などで賞を頂く場合が多いので、その場合は自分の財布の中で現金化するというオリジナルルールを適用しています。


 公募貯金の目的は、ずばり、オメガの時計!

 約三〜四十万円位の物です。

 約一年間での獲得賞金額は、四万五千五百円…。
 このペースでいくと、『十ヵ年計画』ということになってしまいます。もちろん、大きな賞に入選してオメガを手に入れたいという気持ちはあります。けれどもその反面、十年ぐらいの時間がかかってしまっていいかな、とも思うのです。


 それは、公募貯金の貯金通帳を見るときに、こんなことを想像することができるからです。

 何年後か、結婚して、子供が生まれて、その子供が二十歳の誕生日を迎えます。
できれば、息子の方がいいですね。そこで、僕は、自分のしているオメガの腕時計をおもむろに外してプレゼントするのです。
 そして、言います。「これは、俺が文章で稼いだお金で買ったものだ。何よりも宝物だぞ」って。


 公募を長く続けていくのは、エネルギーのいることです。そのエネルギー源は、人それぞれですし、たくさん持っていれば心強いものだと思います。僕にとって、小説家になりたいという夢もそうだし、自分に自信を持ちたいというのもそれにあたります。そして、公募貯金もその一つとなっています。

 少なくとも公募貯金をしている間は、僕は何度も夢を見ることができます。だから、腕時計を手に入れるのに、少しくらい時間を費やしてもいいとも、思ってしまうのです。

あ、でも、やっぱり大きな賞が欲しいですね…。

                                         おわり