◎A Case of Curiosities 驚異の発明家の形見函◎
◎著=Allen Kurzweil アレン・カーズワイル ◎訳=大島 豊 ◎解説=若島 正 ◎東京創元社刊
◎オブジェ制作=Fragment/西山孝司・柳川貴代 ◎オブジェ撮影=杉浦敏男+小濱麗子(NEXT) ◎装幀=柳川貴代+Fragment

……形見函、それは尋常ではない物語を宿した骨董の函……
……18世紀=好奇心(キュリオシティ)の時代を生きた仏蘭西版平賀源内……
…… 自動人形発明家の数奇なる生涯をいま、函が語り始める!……
形見函が語る発明家の数奇なる生涯

《――帯より》
◎A Case of Curiosities 驚異の発明家の形見函◎
東京創元社刊
◎著=Allen Kurzweil アレン・カーズワイル ◎訳=大島 豊 ◎解説=若島 正 
◎オブジェ制作=Fragment/西山孝司・柳川貴代 ◎オブジェ撮影=杉浦敏男+小濱麗子(NEXT) ◎装幀=柳川貴代+Fragment


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2003/01/11【発売中】 >>bk1   >>東京創元社

『驚異の発明家(ヱンヂニア)の形見函』
著=Allen Kurzweil アレン・カーズワイル  訳=大島 豊 解説=若島 正
A5判角背上製 本文2段組  定価=本体3800円
+税 カバー=4C+グロスニス

――(クロード・パージュは)素晴らしい才能を持った人物です。
それに組み合わせ るに殉教者でもある。マリー・アントワネットと同じく悲劇的で、
しかも遙かに奇怪 な死の物語でもあるのです。

1983年、パリの骨董品オークションで手に入れた、がらくたの詰まった函。
それは産業革命以前のフランスで、自動人形の開発に心血をそそいだ
天才発明家の 「形見函」 だった。10の仕切りのなかには、それぞれ、広口壜、鸚鵡貝、
編笠茸、 木偶人形、金 言、胸赤鶸、時計、鈴、釦、そして最後のひとつは空のまま。
フランス革命前夜、のちに発明家となる少年クロード・パージュの指が、 ジュネーヴの
外科医によって“故意”に切り落とされる事件が起こる。
ここに端を発する彼の波瀾万丈の生涯について、 形見函におさめられた
10の想い出の品は、 黙したまま雄弁と語りはじめるのだ……。
18世紀という好奇心にみちた時代を鮮やかに再現し、
世界の批評家たちを唸らせた驚異のデビュー作!

ジョン・ファウルズが『フランス軍中尉の女』で19世紀を描いたように、
ウンベルト・ エーコが『薔薇の名前』で14世紀を描いたように、
アレン・カーズワイルはこのデビュー作『驚異の発明家(エンヂニア)の形見函』で
18世紀末の世界を見事に描出した。 ――サンフランシスコ・クロニクル    
《表1袖より》


>> アレン・カーズワイル海外関連ページ

http://www.thei.aust.com/isite/btl/btlinallen.html

>>第二作『 The Grand Complication 』海外紹介ページ

http://www.hyperionbooks.com/theia/2001ss/grandcomplication.htm

2003/03/05
各紙の書評】

小谷真理氏により 日本経済新聞2003年01月26日号に掲載。

風間賢二氏により産経新聞2003年02月9日号に掲載。
>> 産経新聞 http://www.sankei.co.jp/news/030209/0209boo014.htm

種村季弘氏により朝日新聞2003年02月16日号に掲載。
>> 朝日新聞 http://book.asahi.com/review/index.php?info=d&no=3006

月刊 Cut 2003年03月号 特集:おとぎ話が世界を癒す
VOICE「今月の一冊」に山形浩生氏の書評が掲載。

2003/01/06
見本出来。
2002年末、概要をメールでお知らせした “>>bk1<怪奇幻想ブックストア>”店長、
「幻想文学」編集長にしてアンソロジストの東 雅夫氏に
bk1
で『驚異の発明家(ヱンヂニア)の形見函』を取り上げていただく。

2002/12/18
神田錦町の印刷会社、方英社さんに刷り出し立ち会い。
イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックのうち 盛っても盛ってもドライ・ダウンするイエロー・インク。
色校よりクリアに写真が見えたのでそのままお願いする。印刷機械担当の方に丁寧に
調整していただける、方英社さんへの刷り出し立ち会いはこれで4回目。 抜き刷りを一枚頂戴する。

2002/12/11
日清紡さんの新商品・ヴァンヌーボVM135kgとほかの用紙でカバーの色校正紙が2種類出稿。
ヴァンヌーボVMに決定したが、若干まだインクの乗りが浅いので本刷りに立ち会うことに。
2002/12/10
バック地に、同じくディドロ『百科全書』から
精密な時計工具の図版を淡く配置し、 帯のAIデータを入稿。

2002/12/09
定価が本体3800円+税に決定。

本文中、主人公のクロードはディドロに疑問を抱いている。
ディドロが存在しないと考えた類のヱンヂニアを自負していたからである。
(このエピソードは澁澤龍彦著『胡桃の中の世界』で
検証されている 「プラトン立体」の正多面体は
宝石細工師による応用なのか、イデアの世界から純理論的に発見されたのか、
それとも黄鉄鋼に見られるような鉱物の結晶に既にモデルが隠されていて
直観されたのかという箇所を思い起こさせる。)
それでも、その視覚的な挿絵にクロードが惹かれているので
バック地に、ディドロが刊行した『百科全書』から渾天儀・手術道具・時計機械・
動物・植物・昆虫などの図版を淡く配置。 カバー・本表紙・扉のAIデータを入稿。


カバー】>>拡大ページ

本表紙】

扉】

2002/12/04
出力センターにポジフィルムをドラム・スキャナー分解(80MB相当)で
発注。
泊まり込み、 MacでPSの画像調整、グラデーションのレイヤーと格闘。
メール・PDF添付でレイアウトを担当編集さんに確認していただく。

2002/11/29
オブジェ=函+αの制作がなんとか完成し、杉浦敏男さんと小濱麗子さんによる撮影。
ポジフィルムの出来に感心。(この写真には写真ならではの“魔術”を駆使し、
函の中に2つの張りぼて・作り物が入っている )安心した西山はここで退場。

2002/11/28
もう本当にまったくもって、期限は差し迫っている。

「時計と鈴のために金と銀のアクリル絵具!」
「鸚鵡貝スライスどこいった?」「仕切りをどうするか」
「金言に本物の羊皮紙(パーチメント)
ならぬ犢皮紙(ヴェラム)があったはず!
 カリグラフィー・ペンは? セピア・インクは? それよりフランス語の綴りを!」

「運命の女は?」「羽だ!」 「足りない?ハンズ、ハンズへ飛べ」など騒然。


函が形になったところで事務所内に並べ
ポラロイド・カメラで撮影し、
様子を確認する。眼で見るのと違って
客観的になると少し物足りない印象。
「水晶と黄鉄鋼もひとつ仲間に」
「分銅はだめ?」「剥製の義眼とレンズ」
「聖書に蜥蜴を乗せてはどうか」
「蝶は大きすぎる」
事務所や自宅で飾られていたものを持ち寄り、
ひとつづつ増やしたり減らしたりしながら
(事務所へのお客さんにはよく
「コツコツ色々集めましたねー」
と言われるのである)
撮影の位置などを決定。
編集さんに確認していただき、
「図版などを入れてより妖しいカバーに
していきましょう!」
ということで盛り上がる。

2002/11/21
入稿は12月9日のお約束。期限が迫ってきている。

函をとにかく仕上げないと進まない。板を切り、紙ヤスリで角を落したり、水性塗料を塗ったり。
函の底は白地に決めてテクスチャーを付けていく。でも乾かないと進まない。

2002/11/08
角背の束見本出来。 A5角背上製に決定。

2002/11/05
広口壜・鸚鵡貝・木偶人形・釦・鈴・胸赤鶸・空の仕切り◎事務所の飾り棚にある物などで問題はない。

金言・懐中時計◎なんとか出来る。

編笠茸◎ 一番見当がつかない、アミガサタケ。 WEB検索、辞典などで姿形や印象を確認。
「 編笠茸ってなんでWEB販売で乾燥100g¥8000もするんだ!」
「春のきのこで高級食材みたい。 しかも、もう在庫はないらしい」
表参道や青山の高級食料品店、 食材売場で聞き込むが在庫無し。 横浜中華街か
フランス料理店の厨房まで行くのか? しかしそんなに乾燥の実物が 魅力的なのかどうかを思案。

2002/10/31
「形見函」の内容は10。
10の仕切りのあるオブジェ=函をAD西山の元、Fragmentで制作することに決定。
2002/10/30
薄ボール紙の丸背上製束見本出来。やはり弱い印象のため角背上製でもう一冊束見本をお願いする。
2002/10/21
担当編集さんと打ち合わせ。
すっかり忘却していたが柳川が1995年に外苑前でのThe Libraly展のため『貯蔵庫』という
まさに「形見函」のようなオブジェを制作したことがあったのを思い出したのでそんなお話など。
製本はA5並製で本当に良いのか検討中。薄ボール紙の上製束見本をお願いしてみる。
2002/10/15
原稿本文読了。
全体は「函」通りに10章の構成。
広口壜=ヒロクチビン、鸚鵡貝=オウムガイ、編笠茸=アミガサタケ、木偶人形=デクニンギョウ、
金言=キンゲン、胸赤鶸=ムネアカヒワ、時計=(カイチュウ)トケイ、鈴=スズ、釦=ボタン、 空の仕切り。
これだけ限定された内容の函をそのまま描いてくれる画家さんは、いるだろうか。
それにしても見慣れた物が多いような気がするが…比較的入手しやすい物…。これも著者の罠なのか?
考えていたよりも著者がエンターテイナーで本文にも色々な仕掛けがしてあるようだ。
初版の原著カバー(現在発売の洋書版では図版構成になっている)のコピーを見ると
画像調整で様々な道具や顕微鏡などが配置され、なぜか庇のあるオリエンタルイメージの函。
ただし仕切りが8つのものである。 どんなに変更解釈しても函の仕切りだけは
10にしてあげたいと編集さんと意見が一致。 (10の数は指の本数とも照応しているような気がする)
2002/10/05
原稿と一緒に入っていた訳者の大島豊氏が1993年に纏められたという熱意に満ちたレジュメを読む。
18世紀後半のフランスを舞台にひとりの少年の生涯を語る函…時計製作術・薬草学・解剖学などの
テクノロジー、からくり機械・ポルノグラフィーの歴史などの膨大な情報が詰め込まれた小説であった!
異常に心を惹かれていく。しかし動揺してはいけない。
2002/9/28
鮎川哲也賞受賞式・会場にて担当編集さんよりお話あり。
「形見函」 という言葉を初めてお聞きした。 原稿コピーを送っていただくお約束をする。