ラッシュ(RUSH)            

このバンドを語る時、よく言われるのが「アメリカ、イギリス等では有名なのに
日本では無名に近い」てな言い回しです。なんか、ふた昔くらい前の言い回し
みたいですが、これは事実です。洋楽の情報なんか昔とは比べ物にならないくらい
豊富になったような気がしますが、やはり言語や嗜好の違いか、意外と文化面での
バリアは今だに高いような気がします。あ、このページ、かなり長文です。(苦笑)

最初で最後?の84'来日公演の際のチラシとパンフ。「グレイス・アンダー・プレッシャー
ツアー」の一環として来日した。84'頃は円高バブルの頃で、ラッシュを含めて「一生
日本で見る事は出来ない」と思われていた、大物?バンドが続々と来日し、洋楽好きには
夢のような狂喜乱舞の数年でした。(苦笑)

なんか、レア物自慢みたいになってるFavoriteのコーナーですが(苦笑)今回も
超レア物だと思いますよ。20年近く前のコンサートのパンフって事もありますが
このラッシュってバンドが日本に来る可能性が限りなくゼロに近いせいもあるので
最初で最後の、って事になりそうだからです。
冒頭で書きましたが、このバンド、米英では有名です。アメリカではスタジアム
クラスのツアーもやっていたのですから、その人気は推して知るべしでしょう。

チラシのアップ。大阪城ホールとかじゃなくて、大阪府立体育館、てのがスゲえ。
プロレスみたいですね。(笑)

このバンド、ジャンル的に言えば、ハードプログレでしょう。ノヴェラみたいな
ハードプログレを求めたら、ラッシュにあたった、ってとこなんですが、ノヴェラが
リリカルなファンタジックなイメージがあるのに対して、ラッシュはSF的テーマで
アルバムを創ってたりしてたのでスペースオペラみたいなイメージがあります。でも
近年は題材を社会的な事などに求めて、壮大な組曲、みたいな大作志向は無くなって
います。それに加えて、音をむやみに厚く重ねずシャープに研ぎ澄ませた音作りに
なってきているので、元々レッドツェッペリンのコピーバンドから始まったルーツが
出ているのか、パッと聴くとハードロックバンドのようです。(恐ろしくパワフルで
テクニックのあるハードロックですけどね)

前述のパンフの中身。ラッシュはスリーピース、つまりトリオのバンドです。
ライブでも3人だけで演奏しています。ツアーメンバーとかが加わる事は
なく、3人だけでレコードの音を再現してしまいます。驚愕の超絶
演奏テクニックを持った人達なんですよ。

ラッシュは「孤高の」という枕詞がよく付けられて紹介されます。なにせ、そろそろ
結成50周年も視界に入りそうなキャリアを持ちながら、メンバーチェンジは無く
(厳密には今のメンバーになるのはセカンドアルバムからですけど、ラッシュは
今のメンバーで認知されていると言えるので、そういう意味ではメンバーチェンジ無しで
来ている、と言えます)ハードプログレという音楽性のまま、進化を続けているのです。
プログレやハードロック(ヘヴィメタル含む)がえてして、フォーマットに固執して
しまい(様式美とも言えますが)音楽性を停滞させてしまい、時代に取り残されたり
時代に迎合して、自ら空中分解してしまったのに対して、ラッシュは常に時代と対峙し、
進化(プログレッシブ)し続けてきたのです。「変わらないためには、変わり続けなくては
ならない」という言葉がありますが、ラッシュは正にそのようなバンドだとボクは
尊敬と敬愛を持って、ラッシュのファンであり続けています。

「ミュージシャンズ・ミュージシャン」と言う言葉があります。ミュージシャンに尊敬
される、憧れられるミュージシャン、という意味です。最近ではリスぺクトする、なんて
言いますね。近年、新しいプログレバンドが評価を高めていますが、その中でも
ドリームシアターをはじめとする、いくつかのバンドがリスぺクトするバンドとして
ラッシュの名前を挙げています。アメリカの音楽雑誌や日本の「Plyer」誌の人気投票でも
ラッシュのメンバーは毎年ランクインし続けています。メンバー各自がそれぞれのパートで
ランクインするのです。その演奏技術ひとつ取っても超絶なんです。(ドラムのニール・
ピアットは一時、360°ドラムセットを組んで、そのセット全てを使って演奏していました
からねぇ。どうやって、ドラムセットの真ん中まで行ってたんでしょう?笑)


上段左から2〜4枚目のアルバム。そしてライブアルバム。

ラッシュをプログレハードの雄として有名にしたのは3rdアルバム「2112」です。
20分を越える組曲「2112」で幕を開けるこのアルバムはテープが伸びるくらい
聴きまくりました。(笑)ラッシュの魅力はその超絶な演奏テクニック、と
オーディオマニアをも唸らせる、音作りのこだわり、そして、そのレコードの音を
「3人だけで」ほぼ完全に再現するライブ、です。加えて、ドラムのニール・
ピアットが書く、哲学的で難解で示唆にとんだ歌詞です。このニールの思想性が
ラッシュを強靱な意志力に裏打ちされたプログレバンドとして、独特の(そう、
孤高の!)バンドとして彩っているのです。そのダブルミーニング、トリプル
ミーニングとも言える、難解で哲学的な歌詞の解釈はラッシュファンの楽しみで
あり、修業?とも言えます。(苦笑)今もあるのかは存じませんが、かつては
東京大学(東大だけではないかも知れませんが)にラッシュの歌詞研究会などが
あったそうです。確かに歌詞カードの対訳を読むだけでも、その歌詞がいかに
難解で哲学的かは伺い知れます。特にこの「2112」の頃の歌詞は抽象的表現
でしたから、なおさらです。

上段左から5〜8枚目のアルバム。下段はライブアルバム。

ラッシュはひとつの音楽性(テーマとも言えます)を3枚から4枚のアルバムで
構築して、ライブアルバムを区切りとして、次のテーマに移行する、という
歩みを続けています。ですから、このページで紹介しているアルバムはその
区切り順で載せています。こうして辿っていくと、ラッシュは正に進化を
続けてきたのだ、という事を改めて認識すると共に尊敬と敬愛を新たに
しました。そう!彼等はここ数年グループとしては活動していませんが
けっして立ち止まっている訳ではないのです。

上段左から9〜12枚目のアルバム。下段はライブアルバム。

ツアーに出れば、1年の半分をライブする、というハードなライブバンドだった
ラッシュも最近はさすがにそのライブ数を減らしているようです。

上段左から13〜16枚目のアルバム。下段はライブアルバム。

現在(2001.10)の最新スタジオアルバムは16枚目のアルバム
「テスト・フォー・エコー」ですが、いわゆる区切りのライブアルバム
「ディファレント・ステージズ」が98年に出ています。つまり、今までの
流れから行けば、次のステージに向けて・・・となるハズなのですが
そのサイクルが遅れているようです。と、言うのは、ドラムのニールが
奥さんと娘さんを病気と交通事故で立て続けに失うという不幸に見舞われ
ラッシュとしての活動を停止しているからなのです。

上段はCD2枚組のいわゆるベスト盤。下段はデジタルリマスタリングによる、これまた
いわゆるベスト盤。デジタルリマスタリングによる再販は初期のスタジオアルバムにも
順次行われている。1stを除くラッシュのCDはひととおり持っているボクとしては
このデジタルリマスタリング盤は非常に迷うところです。今さら同じCDを買う気は
しませんが、リマスタリング盤の音質の良さは捨てがたい魅力ですし・・・。(苦笑)

しかし、どうやら昨年あたりから、活動再開の動きがある事が伝わってきて
います。今年に入ってからレコーディングに入っている、という話もあります。

昨年出た、Vo&Bassのゲディ・リーのソロアルバムです。音的にはほんのちょっぴり軽い
ラッシュ、って感じです。(笑)

うまくすれば、年内にはアルバムがリリースされるかも、という期待を込めた
ニュースもありますが(笑)まぁ、来年かな、と悟りの境地です。(笑)
でも、アメリカでの事件もありますから、どうなるでしょう・・・・。
しかし、ラッシュはまた新しい進化を見せてくれるとボクは信じてます。