甲本ヒロトとのエトセトラ4


ーアニメ、ヒーロー編ー


思いっきり体育会系の私と思いっきり音楽系の浩人さんと、妙に意気投合したのは、二人ともガキの如くTVアニメやヒーローが好きだったことである。お互い年も一才しか違わなかったので、話題がほぼ共通していた。

私は当時民放2社しかなかった秋田出身だったこともあり、浩人さんから秋田でオンエアしていない情報をいろいろ教えてもらった。例えば、

「『マイティジャック』の音楽担当は富田 勲だぜ!知っとった?」

とか。


悔しい。私は『マイティジャック』の存在は知ってたが、なんせ秋田でオンエアしてなかったのでわかるはずが
なかった。でも、浩人さんは何故か『マイティジャック』のレコードを持っていて、
レコードプレーヤーで聞かせて説明してくれた。

浩人さんの入れてくれたコーヒーを飲みながら、壮大な『マイティジャック』の音楽にうっとり二人とも聞きほれていた。『マイティジャック』の音楽で4畳半一間のアパートから、心は宇宙に飛んでいた。

ところで、なんで『マイティジャック』のレコードを持っていたのか?

浩人さんは暇があればお茶の水の中古レコード店でいろいろ物色してたらしい。



家賃が厳しいとか言ってバイトしてるわりには、



へんてこなレコードを買ったり、

へんてこなグッズ

を浩人さんは買っていた。



世田谷にある
『ゴジラ屋』にたまに行っては、なんか買って私に自慢していた。

今、私の記憶の中にあるものといえば、
怪獣ブースカの人形とスペクトルマンの人形


とくにスペクトルマンの人形にいたっては


「これ復刻版でないんだと。えーやろ!」

と自慢げに私に語っていた。しかし、その人形はアイアイお猿さんのポーズをした埴輪のごとく、へんてこな格好をしたスペクトルマンだった。しかも妙に胴長で、横幅がある。


今でいうところの佐々木 健介みたいなレスラー的な


ズンドウスペクトルマン


であった。



他にもいろいろ持ってた。ガチャガチャで集めたようなちっこい人形もあったような気がする。

キングジョーとかのウルトラセブン系の人形もいろいろあった。

そうそう。『ウルトラセブン』に関してはお互いいろいろ、しゃべりました。当時のウルトラマン
シリーズの中でシリアスなストーリー仕立ての『ウルトラセブン』について浩人さんはかなり気に入ってました。

特にかなりシリアスな内容のシリーズ後半は、大のお気に入りでした。お勧めは



「ノンマルトの使者」




らしい。内容は忘れた。あと、幻の第7話も知っておりました。

幻の第7話は放映されなかったお話。核実験で皮膚がケロイド状になった巨大人間が襲う話。原爆団体がクレームがついてか、人権上の問題かわからないがその話を浩人さんから聞いた記憶がある。さすが、岡山出身。

ある日、私のビデオデッキで見たいものがあるということで、浩人さんがやってきた。
当時のバンドメンバー「コーツ」のベース(あるいはギター?)担当の通称かめさん、多分亀山さんからきたと
思う。たまに、浩人さんの部屋に遊びにきてはがやがや騒いでいる、私からすれば


Noizyな集団の一味


であった。身長は浩人さんより高め。同じように、モッズパーカーを着込んでいる姿に、

「最近はこれがはやりなのか?」

と思ったこともあったが、結局うちのアパートの周りでこんな格好しているのは、大学生活4年間を通じて





浩人さんとこのかめさんだけであった....





ちなみに、当時の京王線幡ヶ谷駅のホームのある円形の柱には「かめ」というキズがついていた。私は通学
時にこのキズを見ては「きっと浩人さんのいたずらに違いない!」と思っていたが、真相はさだかでない。
今でもあるのかなあ?

さて、このかめさんも結構おたっきーなお方でした。浩人さんといっしょに「ゴジラ屋」に買い出しにいっていた
のは、多分この人である。

この二人がそろいもそろってあるビデオを見たいという。そのビデオは


TVシリーズ
人造人間キカイダー



有名な石の森正太郎作のヒーローである。サイドカーにのるヒーローは当時斬新であった。

しかし、その二人が見たいというのはキカイダーシリーズの中のとある1話。タイトルがへんてこだったので
今でも鮮明に覚えている。

タイトル
「悲しみの人力少女」



いかにもあやしい。この二人が夢中になるのもわかるような気がする。

私は浩人さんからビデオを受け取り再生した。

二人は何も語ることなく、シーンとしてみていた。


内容はたしか、自分の体を改造された女の子が、キカイダーを助けるために自爆するとかいうお話だったかな(かなり、忘れた)。タイトルとは裏腹に、あまり怪しくない内容であった。


ヒーローものに関しては、戦闘シーン中心の私にとってはたいしたことのない内容であった。ビデオが終わり、ふと二人を見てみると





浩人さんは体育館座りをして、顔を半分膝のなかにうずくめながら、目がうるんでいた。


かめさんは正座をしたまま、大粒の涙をぼろぼろ流していた。



「あーーー面白かったーーー。ええやろ。」


だと、あんたら二人、どーゆー感性しとるんだい?


甲本ヒロトとのエトセトラはあと少し続く。

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