このページは「
ふなきさんのほーむぺーじ」内の「厄年親父の過酷な挑戦その12」として2009年に掲載されていたものですが、議員になる準備段階の際のホームページ内容見直しで粛清されたページです。
しかし2022年11月、元秋田市土崎出身の方(♀)に「是非、もう一度見たい」という要望があり、復活させました。記載内容は当時のままとしていますので、時代背景がズレている部分ありますが御理解のうえ、閲覧願います。




厄年親父の過酷な挑戦その12  
西馬音内盆踊りへの挑戦!

2009年4月
秋田での単身赴任生活スタート。かみさんも子供もここにはいないので生活は不便だが、その分行動の自由度は増した。土日は暇なんで原チャリ一つで秋田県内をウロウロすることができた。今まで見たくてもみれなかった秋田県内のイベントをここぞとばかりに見まくる。

竿燈

ヤートセ秋田

大曲の花火

横手のかまくら

男鹿のなまはげ

大館アメッコ市

能代おなごりフェスタ


などなど充分に満喫した。そして2013年12月、単身赴任を終え群馬県に戻る。しかし、心残りが一つだけあった。秋田県南部の湯沢市の近く、羽後町に伝わる盆踊り








西馬音内盆踊り
(にしもない)

を見れなかったことだ!何故か?



県南は原チャでは遠かったからだぁー!

この盆踊りの特集番組はABS秋田放送で見た。なんか不思議にそそられました。








しなやかな動き、綺麗な手先、うなじ...







単なる変態親父じゃねーかぁ!


単身赴任時代、残念だが生の西馬音内盆踊りを見れなかった。しかし、群馬での新生活でこのあとこの西馬音内盆踊りと妙に出くわすことになる。


新生活スタート

群馬県高崎から会社のある立川までの新幹線通勤が始まった。関東平野を営業活動しているうちにいたるところで秋田関連のイベントにでくわす。

2013.09.28 

中央線の中吊り広告で見つけた秋田の大型観光キャンペーン。それが









秋田けけけ祭り

ちょうど土日があいていたので会場の有楽町まで行ってみる。AM10時秋田けけけ祭り開幕。ステージのオープニングイベントが西馬音内盆踊り。寄席太鼓とともにステージの後ろから端縫(はぬい)の衣装に編み笠をつけた踊り子と、ひこさ頭巾に藍染の浴衣を着た踊り子が一列になって登場する。 そして輪になり”音頭”の演奏が始まる。










秋田音頭だな!こりゃ



この音頭の曲でゆっくりとゆっくりとしなやかに踊りだす踊り子。しかし、その姿とは裏腹にその歌詞を聞いてびっくりする。






おめがだおめがだ 踊り子見るたて そんなに立ってみな 立っていいのは電信柱と あんちゃのが○ばがり!








いきなりシモネタじゃねーかぁ!

笑った。ギャラリーはほとんど踊りに見入っていたが、オレは笑った。あと数人笑っている人もいた。笑っているひとは正真正銘の秋田県人だと思う 。これが、西馬音内盆踊りとの初対面であった。


2014.01.17 ふるさと祭り東京

東京ドームで行われる「
ふるさと祭り東京」に行ってみる。

最近は高校の同級生とアトラクションの竿燈見ながら一杯やるのが定番になってきた。この日はステージで西馬内盆踊りも行われた。
外野席から遠目に見たが、別の時間に行われた「阿波踊り」とは全然違い、しっとりとした高級感漂う踊りであった。消防法のからみからか、かがり火がちゃちいのが残念でした。





2014.07.04
神田・湯沢絵どうろうまつり

神田にある商社へ出張。商社へ続く西口商店街に絵どうろうが飾られている。これは正真正銘






湯沢絵どうろうまつり

の灯篭ではないか!丁度この日、神田の西口商店街が湯沢化するイベント「神田・秋田湯沢絵どうろうまつり 」が開催されていた。秋田の酒の試飲で(←当然、仕事したあと)いい気分になっていたらどこからともなく「寄席太鼓」が聞こえてきた。行ってみたら丁度「西馬音内盆おどり」が行われるところであった。



またまた出合った西馬音内盆踊り

ついつい動画にしてしまうくらい優雅な動きだ。そして



2014.10.06 JR大宮駅 秋田の観光キャンペーン

ここから話が一気に加速する。



通勤途中のJR大宮駅で秋田県の観光キャンペーンをやっているという情報を入手!
高崎から通勤定期使えば大宮にはただで行けるので、当然GO!秋田物産の直売のほか男鹿のなまはげ、八郎潟の願人踊りがイベントスペースで演技している。そしてここでも







西馬音内盆踊り

のねーさまが、これでもか!と言わんばかりにこちらに踊りを披露する。んーー、やっぱりかっこいい!
よし!一度、踊り子のねーさまたちに話を聞いてみよう。

演技が終わったねーさまたちが笠取って休んでいるところに緊急取材。



ふなきさん「
いやぁー、お疲れさんだす!西馬音内がら来たんだスか?

ねーさま「
あぃ?秋田の人だがぁ?

ふなきさん「
家は群馬ダスども、生まれは秋田市の土崎ダス!

ねーさま「
土崎の人がぁ!

ふなきさん「
んだ!ところでこの盆踊り、関東平野で教わりたいっていう人っているんだスべが?

ねーさま「
いろんたところでやってるっていうのは聞いたごどあるども、教わるんだったら西馬音内の人から教わらねばダメだ!西馬音内以外の人が教える盆踊りは、やっぱちょっと違うんだ。

ふなきさん「
はぁ...難しいんだスなぁ...

ねーさま「
国立でおへでる人さ、連絡してみるかぁ。あの人だば相談さのってけるんでね。

ふなきさん「
国立ダスかぁ。おれ隣の立川さ通勤してるがら、国立だば行きやすいス。せば、オレの名刺わだすがら、その国立の人さ渡してけねスかぁ?

ねーさま「
んだなぁ。へば、ちょっと紹介してみるかぁ。



踊り子のねーさまに名刺を渡しておいたが、本当に国立の方に取り入ってくれたものだろうか?と半分諦めかけていた。JR大宮駅のイベントから約2ヶ月くらい経ったときだろうか?突然、会社支給の携帯電話がなる。女性の声で話しかけてきた。

電話の女性「
もしもし、ふなきさんですか?西馬音内盆踊りを教えてるものです。ふなきさんの名刺に書いてあった電話にかけてみました。

そーか!会社の名刺渡したから、会社の連絡先に電話したから会社の携帯が鳴ったんだわ。

ふなきさん「
あ、ふなきさんです。電話ありがとうございます。秋田出身で今、立川勤務なんです。国立で教えてるんであれば、隣の駅なので近くなのでどんなもんかなぁと思って...

電話の女性「踊りの教室は月2回くらいのペースでやってて、私の自宅で教えてます。教室は土曜日にやってます。もし、興味があるのであれば場所と開催日を後でFAXしますよ」

ふなきさん「
じゃ、自宅の電話番号教えるのでそっちにFAXお願いします。男でも踊れるようになるもんですかね?

電話の女性「
大丈夫です。男の人で教わってる人もいるんですよ。やる気があれば大丈夫です。

ふなきさん「
そーですか。とりあえず今の期間は秋田ノーザンハピネッツの応援とか小学生バレーの審判とかやってるので、行けるかどうか?わかりませんが、行けそうになったら行きます!

電話の女性「
わかりました。お待ちしてます。

自宅に帰ってみるとFAXが入っており、それには練習場所と開催日が記載されていた。門戸は開かれたが、あとは本気でやるかどうか?だ。そしてプロバスケットボールシーズンが終わって、小学生バレーの春の大会が終了してある程度暇になった6月、ふなきさんは国立の西馬音内盆踊りの虎の穴を訪れることを決意する。

2015年6月6日(土)
12時10分、国立駅到着。FAXの案内どおり、この道をまっすぐ行けば西馬音内盆踊りの虎の穴だが、開始時間の13時までにはまだ時間がある。しょうがないので、駅の近くにある日高屋でラーメンを食べてエネルギー充填。



ふなきさん「電話したふなきですぅ。宜しくお願いします。」

師匠「
よく来てくれました。中へ入ってください。

家の中にリビングにはふなきさんとり歳は上の生徒のおねーさまたちが4人。全員、黒の半被のようなものを着ている。話を聞くとみなさん秋田の出身らしい。やっぱりなぁ。西馬音内盆踊りを知ってる人は秋田生まれの人くらいだもんなぁ。師匠は、新参者のふなきさんに軽くレクチャーを開始する。

師匠「
西馬音内盆踊りは”音頭”と”がんけ”があります。”音頭”はお囃子はにぎやかですけど、踊りは優雅にゆっくり行います。逆にがんけはお囃子はゆっくりですけど、踊りは(身体を)1回転したりして”音頭”に比べると動きがあります。

ふなきさん「
御意!

師匠「
まずは”音頭”です。手の振りつけは不要ですから、足の運びを覚えてください。同じ運びの繰り返しです。私は他の人の踊りを見ねばだめだがら、首を(本来の動きとは別に)動かすことがあるから気にしないでください。

ふなきさん「
御意!じゃ、まずは見てます。

”音頭”の練習がスタートする。ふなきさんは部屋の隅で体育館座り。師匠がラジカセをセット。聞こえてきた寄せ太鼓の音とともに、師匠と生徒さん4名は輪になる。そして”音頭”の曲が始まり、5人はゆっくりと踊り始める。皆さん上手い!やっぱり稽古してるだけのことはある。はたして









私もこのレベルまで行くことは可能であろうか?

1回目の”音頭”終了。

師匠「
○○さん、片足に体重を乗せきる前に動作しているもんね。そうなると踊りが不安定になるから、まずは体重はできるだけ片足にのせるように心がけてください。

師匠「
えぇーと□□さん、かいぐりやるときに手が身体に近すぎる。本番やるときは笠かぶるから、あんまり手が近いと笠に当たる。もう少し(身体から)放してかいぐりやるように!

へぇー、すげー!みんな上手だと思ってたが、師匠からの容赦ないダメ出しされる。西馬音内盆踊りは奥が深い!で、ふなきさんに師匠が説明。

師匠「
かいぐり”っていうのは、こー両手をくるっと回す動作のことを”かいぐり”って言うんだ。

師匠「
じゃもう1回行きましょう!

ふなきさんは、またもや隅で体育館座り。師匠と生徒のおねーさんの踊りをじっくり見る。上半身は軽く見て、まずはステップを研究する。師匠が言ったように、ステップは単純な動きの繰り返しだ。これはなんとか理解できた。2回目の”音頭”が終了。師匠のダメ出しは終了したあと、3回目の”音頭”スタートしようとしたとき

師匠「
じゃ(ふなきさんも)やってみるが?

ふなきさん「
やる!黙って見ててもしょうがないし、やってみる!

師匠「
手はいいから、まずはステップだけ真似してみて!

ふなきさん「
わがったス。では師匠の後ろに陣どらせてください。

3回目の”音頭”スタート。他の生徒は普通に踊っているのに、ふなきさんだけは見よう見真似でステップだけを地道に続ける。3回目の”音頭”終了。ここで師匠から指導。

師匠「
足のステップはわがったスべ?では、最初の部分だけちょっとやってみて。



師匠「
輪の中心にかがり火があるから、そこに向って

@最初は両手を目線のところまであげる。男の人だから手の幅は肩幅くらいまで広げたほうがいい。手首はあまり曲げない。極端に曲げる人いるども、ちょっと下に曲げるくらい。

Aその後は手のひら1回回して、手のひらを自分に顔に見せるようにする。

Bその後はその手をこーゆーふーに下に下ろして、

Cその後また目線のところまで少し握ってからパッと開く。

初めの@〜Cも付けてみてステップ踏んでみて!


とりあえず曲が始まったら@〜Cだけやってあとはステップを踏むという、ヘンテコな新人親父がそこにはいた。でもローマは一日にしてならず。初日の音頭の練習はこれの反復練習で終わる。



約1時間 音頭の練習をして小休止。お茶とお菓子食べて師匠と生徒のおねーさまたちとしばし会話。30分程度休憩して、今度は”がんけ”の練習。

師匠「
”がんけ”は右足からスタートします。いつでも右足から。手の振りは今日は覚えなくてもいいから、今日はまずはステップを覚えてください。手は徐々に覚えていきましょう。

ふなきさん「
御意! じゃ、ステップ見てます。

師匠と生徒のねーさんたちは再び輪になり、”がんけ” スタート。音頭と違って動きが速い。こ、これは...










絶対覚えれん...

究極の脳トレ踊りだ。何がどーなっているか?さっぱりわからん。しかし、ここはステップだけでも覚えないと。部屋の隅に座り、”がんけ”の踊りをじっくり見つめる。とりあえず1曲終了した。そのまま黙ってみてても面白くないんで、早速輪の中に加わる。そして足の動きだけを見よう見真似でステップするふなきさん。次の”がんけ”も次の”がんけ”も、前にいる師匠の足だけを見て真似る。

手の動きなんかは真似てる暇はない!とにかく”がんけ”はステップを覚えるのだ。

ひたすら”がんけ”の曲に合わせてステップだけをして踊りの輪に加わるふなきさん。そして時刻は17時。ふなきさんの初稽古は終了です。師匠から言われたことは忘れないように、次回からは筆記用具と紙用意しておこう。

師匠「
疲れだスべ?まずは”音頭”をしっかり踊れるようになりましょう。それがら”がんけ”だ。”音頭”はステップと1〜4の手の動き、”がんけ”はステップをよく覚えてください。

ふなきさん「
わかりました。Youtubeでも見て練習します!

師匠「
Youtubeをあんまり真似しないほういいよ。癖のある踊り方する人いるから。参考にする程度にしてください。

ふなきさん「
あ、そーなんですか?じゃ、参考にする程度にYoutube見ます。

この日を境に毎日の通勤の電車の中で西馬音内盆踊りのYoutubeを参考程度に”ガン見”する日々が続く。誰もいない新幹線デッキは絶好の練習場所になる。



ステップを踏んで、手を振り上げ練習する。たまに振り上げた手がドアセンサーにひっかかり、自動ドアが開く。座っていた乗客と目が合う。デッキで変なポーズを取っているサラリーマンを見た乗客はドン引きしていたことは言うまでもない...


2015年7月4日  2回目の稽古。

Youtubeを何回も見て”音頭”は一通りモノマネが出来るようにはなって、まずは稽古の輪の中に入って邪魔にならんレベルくらいにはなったと勝手に思い込む。師匠に何と言われるか?早速、1回目の”音頭”で一踊り。そして師匠の容赦ないダメ出しがここから始まる。

師匠「
1〜4やって、5〜6やるときはもっと手を下に下ろして大きく振ること!


2回目の”音頭”

師匠「手はあんまり自分のほうに倒さない事!手と身体の間に空間を作ること!


3回目の”音頭”

師匠「
交差した後はそのまま貝が開くように手を平を見せる!


4回目の”音頭”

師匠「
両手は後ろさやった後は、斜めでねぐ前さ出さねばだめだ!前さ!


次から次へとダメ出し!実際は上のダメ出しの4倍くらいダメ出しされました。Youtubeでモノマネできても無茶苦茶師匠にダメ出しされました。やはり稽古は厳しい!

1時間みっちり稽古した後、休憩し今度は”がんけ”

師匠「
まずはステップをちゃんと覚えること!
して1〜4まではやってみで!身体の横下さ手のひら見せて、その後手を握りながら目線のところまで持ってきて、またさっきと同じで身体の横下さ手のひら見せて、その後手を握って右手は右目、左手は腰さもって来る。
まずここまで覚えれ!





しかし、ステップがおぼつかないところで1〜4のポーズを決めるとなると、これがまた至難の業。一つ追加すれば一つ忘れる状態。”がんけ”進歩なし。回転がまた難しい。

師匠「
回転は右足で回るから!右足に体重のせて回れ!

そらぁ、理解はしてるんだが...

PM5時 稽古終了!

Youtubeモノマネ”音頭”は師匠のダメ出しに完全に沈黙。”がんけ”はまだまだ全然...サラリーマンの苦悩は続く。



8月16日(日)

西馬音内盆踊り本番が秋田県羽後町で始まる。師匠と生徒さん数人も現地で踊る模様。一度、本場の踊りを見てみたいという欲望はあるが、今はそんな時間も余裕もない。

現地には行けないが、ライブカメラで盆踊り会場の様子だけじっくりモニターする。音声は無いが、踊りの型だけは学習できる。中日17日は雨で体育館開催でライブカメラでは見ることはできなかったが、16日18日の2日間はじっくりと観測しましたよ。おかげでがんけも自己満足ではあるが、「なんちゃってがんけ」を踊れるようになった。



8月29日(土)

西馬音内盆踊り本番後のお稽古。師匠から土産話をいろいろ聞くことができました。西馬音内はこじゃれたホテルなど無し。盆踊りに参加した生徒さんは、師匠の家に泊まってるみたいです。生徒さんたちもわざわざ西馬音内まで足を運ぶ熱い人たちです。

それはそーとして今日もお稽古です。師匠からのダメ出しは相変わらず私に...

師匠「
手はあんまし身体に寄せないように。あまり寄せれば笠さぶつかる!

師匠「
両手振るときは大きく振れ!振るときはちゃんと手のひらを見ねばね!でねーば、笠さぶつかる!

などなど...。ダメ出しされてから休憩時間に入る。座布団しいてお菓子食べながら雑談。ここで師匠に気になっていたことを聞いてみる。

ふなきさん「
師匠、ネットでいろいろ見てると明らかに身体を妙にくねらせて踊っている人いるスやな?あれはあれでいいの?

師匠「
私は盆踊り保存会の流れで踊りおへでるんだども、あれはあれで別の会派での踊り。だがら保存会の流れと形が違う。だがらYoutubeを見て真似しねほうがいいよって言ったんだ!

へー、そーなんだ。いろいろ派閥があるんだ。私からすればどの派閥も上手に踊っていると思うんですが。

ふなきさん「
やっぱりどーしてもYoutube見てしまうんだよな。なんか、見てもいい動画ってないスか?

師匠「
このDVDに出ている、この人の踊りは真似してもいいよ



ふなきさん「
誰ですか?


















師匠「
私の母です。私の踊りは母の踊りを目標にしたものだがら...

へー、師匠の師匠ですか?早速見てみると...






無駄がない!

非常に淡々と踊っているようだが、無駄な動きがなく完成されている。では、このDVDを神DVDとして今後の参考にしよう。休憩が終わり「がんけ」の練習スタート。



「なんちゃってがんけ」初披露

とりあえず動きだけは最後までついていけた。しかしその後、






師匠からのダメ出し連射砲で





凹まされたのは言うまでもない...


西馬音内盆踊りに触れるようになり、ある一つの野望が頭の中に湧きはじめて来た。





総本山、羽後町西馬音内に行ってみたい!

Youtubeで見ている盆踊り会場を一度は自分の足で歩いてみて、いろいろ情報を入手してみたい。これはやはり1度行くしかない!2015年11月に、出張で秋田へ行く機会があった。休日の土日をはさんでいて、他にやることもなかったのでここは1発、野望の実行してみる。JRで実家のある土崎駅から普通列車で湯沢駅を目指す。9時45分湯沢駅着。西馬音内行きバスに乗るため、バス停へ移動。時間を見ると...





まだ40分もあるじゃねーかぁ!

しょうがない。時間を潰すか。湯沢市内をブラブラと徘徊。人通りは少ない。シャッターが閉まった店も多々ある。そんな中、人がやたら入っている店を発見。
名前は『高市青果店』。中に入ってみると、たいやき、たこやき、大判焼きなどB級グルメが売られている。その中で興味を引く名前が一つ





オランダ焼き

なんじゃ?そりゃ?とりあえず1個注文してみよう。



ふなきさん「
すいません。オランダ焼き1個ください。

店員さん「
はい。100円です。

ふなきさん「
(この机で)食べてもいいですか?

店員さん「
いいですよ。どーぞ、どーぞ。




見れば普通の大判焼きですが、中にはチーズ、ハムが入ってて美味い!設置されているテレビで秋田朝日放送の「サタナビ」を見ながら、丁度いい時間つぶしができました。そして再びバス停へ移動。西馬音内行きバスがやってきました。乗り込むのはふなきさん含めて二人。どこで降りればいいのか?わからないので運転手さんに聞いてみる。

ふなきさん「
あのー、盆踊り会館へ行きたいんですけど、どこで降りればいいですか?

運転手さん「
盆踊り会館ですか?じゃ近くになったら案内しますよ。

さすが!秋田の路線バス、お客にやさしい!バスはJR湯沢駅を発車し、川を越え、田んぼ道を横切り、バスからの風景はドンドン田舎っぽくなってくる。一時は田んぼばっかの風景になったと思ったら、今度は段々住宅が増えてくる。その時

運転手さん「
お客さん、次で降りてください!降りてからちょっと先に行くと右側にあるから!

運転手さんから案内があった。そのバス停で降り、言われたとおり歩いてみる。そーしたら



あった!盆踊り会館

ここかぁー。おれはとうとう聖地に降り立った。


さっそく中へ入ると薄暗い展示室に係員の女性がたった独り。他に客はいない。係員さん、ふなきさんのいきなりの訪問に意表をつかれた模様で、バタバタと正面のモニターのスイッチをオンする。館内に『音頭』が響きわたり、西馬音内盆おどりの映像スタート。しばし映像を食い入るように見る。

一通り映像を見たあと1Fフロアーを眺める。

 

羽縫いの衣装の展示、人形の展示と、まあ展示物は大したことはない。早速、係員さんに質問。

ふなきさん「
盆踊りで使う藍染の生地とかって、どさ行けばあるんだスべが?

係員さん「
この近くだと あかがわ呉服店 さんが取り扱ってるんで、そこで聞いてみたら教えてくれると思います。

ふなきさん「
わかりました。衣装って1Fに展示しているものだけですか?

係員さん「
あと2Fにも展示してるんですけど、見てみますか?普段は人を入れないんですけど、今日は他にいないから案内しますよ。

ふなきさん「
じゃ、折角なんでお願いします。

係員さんとともに2Fに移動し、大広間に案内される。

係員さん「
こちらにも衣装は展示してます。こちらは盆踊り本番のときに囃子方が入る部屋です。盆踊りのときは窓あけてそこからお囃子を演奏します。普段はここには入れないんですよ。

ふなきさん「
へー、そらぁありがとうございます。貴重な体験になります。



2F囃子方の部屋も一通り見て、盆踊り会館を満喫した。では、係員さんに案内された「あかがわ呉服店」に行ってみよう。



早速、あかがわ呉服店に徒歩移動し、店内へ入る。そーすると、ちょっと小柄な親父が店の奥から出てくる。

ふなきさん「
あのー、盆踊りのときに着る藍染の衣装の生地ってばどんたものあるんダスべが?

あかがわ呉服店親父「
おめぇも踊るんだが?

ふなきさん「
んだス。まだ始めたばっかダスども、東京にいる師匠がら教わってラス。

あかがわ呉服店親父「
東京がぁ?へば、家の姪っ子と同じ教室でねーがなぁ?待て!今写真見へでやる。

親父はタブレットを取り出し、写真フォルダを物色。

あかがわ呉服店親父「
これだっけが?あれ、違う。これがぁ?これだ!これだ!これ姪っ子。隣が東京の師匠でねーがぁ?

ふなきさん「
あ、これ師匠ダス。んだども姪っ子さんは今教室にはいないスや。

あかがわ呉服店親父「
んだが?これが去年の盆踊りの時だったがな?こっちさもあるや、待て...

田舎の呉服店の親父が先端の情報端末タブレットをしなやかに操作し、これも見ろ!あれも見ろ!と写メを見せつける。

なんか変な光景だぁー!



あかがわ呉服店親父
「これは今年のヤツだなぁー。これは藤沢でやったヤツ!

親父はこれでもか!と言わんばかりにタブレット内の盆踊り写メを見せつけてくる。あれもこれもと写メ見てると日が暮れる。そろそろ 本題を質問してみる。

ふなきさん「
ウチのおふくろが私の身体の寸法測ってもらえって言われたんだスども、わがるスか?

実はおかんが浴衣製作に必要な各部を紙に書いてくれて、それを親父に見せた。

あかがわ呉服店親父「
ん!わがった。だいたいわがる。男物だなぁ。

親父はメジャーを手にとり、ふなきさんの身体各部を測り始める。測った結果をおかんが書いた紙にドンドン書いていく。さすが親父!
この姿を見ればやはりプロだ。タブレットばっかいじってるオタク親父ではない!ひととおり計測が完了し、おかんが書いた寸法カテゴリーには全て数字が書き込まれた。



ふなきさん「
ありがとうございます。これを元に浴衣作るってば、生地はどれくらいするんダスか?

あかがわ呉服店親父「
ピンキリだなぁ。(生地を数本取り出してきて)男物一式作るってば、仕立てもいれてこの生地くらいだば8万くらいがなぁ。もっと安くするってばこっちの生地を使って作れば4万くらいでできる!









高げぇーーー!

即決した。浴衣作るなら自作するしかないな!サラリーマンの道楽に数万もかけるなど、かみさんが許すはずがない!

ふなきさん「
あのー、笠はどーやって入手するんだスべが?

あかがわ呉服店親父「
おれも毎年踊ってるども、(編み笠もってきて)ほれ!これだな。今日は店やってねども、西馬音内の店屋で売っ てる。1万ちょっと!







高げぇーーーー!

阿波踊りのおけさ編み笠はネットで2500円くらいで販売しているのに、なんだこの高さは?

あかがわ呉服店親父「
まず初めて踊るってば編み笠より彦三頭巾使え。ほれ!これだ。900円!買え!

なんと彦三頭巾を売ってるではないかぁー!安っ。この価格はわが財布の制空権内。即決。

ふなきさん「
買うス!

彦三頭巾、衝動買い。とりあえず聖地西馬音内訪問に記念に購入を即決した。



あかがわ呉服店の親父とFacebook友達になり、聖地巡礼の旅は終わった。巡礼の旅で知ったこと









盆踊りグッズは高い!



2016年最初のお稽古。見知らぬ人が一人、師匠とともに会話している。また新たに盆踊りを覚えたいという新弟子さんが加わった。聞くところによると東京ドームで行われた「ふるさと祭り2016」で西馬内盆踊りに惚れたらしい。去年の年末にも新弟子さん入って大盛況の教室。

今日は新弟子さんが加入したんで、新弟子さんもベテランさんも一つ一つステップを確認する。

師匠「
いぃーち!にぃー!さぁーん!...じゅういち!じゅうに!音頭のステップこれの繰り返しです。まずはよくステップを覚えてください。これに手をつけていきます。自分の目線よりちょっと上あたりに少し握り加減にした手をもってきて、これを八を書くように開きます。



ふなきさん「
八の字なの?下から上げてそのままにするんでねーの?



結構、そーやって踊ってる人いるスやな?


師匠「
下から手を上げる踊りは昔の踊り。ばーさんの時代はそーやってあったけど、今は八の字を描くように上から下ろしていくんだや!

ふなきさん「
へーそーなんだ。Youtube見てれば、みんなしたから上げてそのままポーズとってるどもなー。

師匠「
それは昔の踊りだ。踊りも時代とともに変化してるのよ!

へー、それは知らなかった。Youtubeの真似ばっかしてればダメなんですねー。それは修正しよう。そして円となって曲に合わせて練習。1曲踊ってみて早速師匠からのダメ出しをくらう。

師匠「
ふなきさん!上下動が大きすぎる。西馬音内の盆踊りは上下動少なくして優雅に踊らねばダメだ!

新弟子さんがいるにもかかわらず、最初のダメだしは大抵ふなきさんからなんだよなー。

師匠「
あとふなきさん!足前さ出すときは、もー少し前さ出さねばダメだ!あとふなきさん...

師匠からのダメ出しは続く。修行の道は長い。



2016も春になり稽古は続く。最近よく言われるのが

師匠「
ふなきさん、がぐがぐすればだめだ!やっぱり止めるときは止める。決めるときは決めねばね!

ふなきさん「
自分でもわがるんだども しかだねんだよ!アダス、左膝の靭帯1本半ブチ切れてるがら...

師匠「
んだども、なんとかふんばらねばね!

師匠から見ると音頭を踊るとき、左足に重心がかかったときにグラグラ身体が不安定化するのが気になる模様。こればっかりはしょうがないんだ。靭帯が欠損してるから。がんけでは動きが速いから、あまり気にならないらしい。しかし音頭は左足に重心がかかる時間が長いんで、不安定さが目立つらしい。

ふなきさん
「...次週、対策してくるス!

膝を安定させるには昔、インディアカというスポーツしてたときに使ってたあれを使用するしかない。



強力サポータ

膝の両サイドに強力なワイヤーが入っており、膝を曲げても重心を支えることができる。これなら姿勢は安定するはずだ!しかし、反面膝が圧迫されるので血のめぐりは悪くなるし、汗もかく。しかし対策はこれしかない。次の稽古のとき

ふなきさん「
師匠、今日はこれ使ってみる!

師匠「
きつくね?

ふなきさん「
きつい!でもしょうがね!これしかね!

両足にサポータを装着し、イザ稽古開始。音頭の稽古を約1時間実施し、師匠の講評を聞く。










師匠「
ふなきさん、今日はあまりグラめがねくなった!

やった!効果あり。身体のガクガク問題は解決された。











師匠「
んだども、右足前さ出すとき出し方が少し足りない。もう少し前さ出せ!

そっか。膝が固定化されたから、動きに制限がかかるから右足の出が少なくなったらしい。一難去ってまた一難。師匠のダメ出しは永遠に続く...


師匠「7月の藤沢、出てみるか?

は?何それ?聞くと神奈川県藤沢市で行われる「
藤沢宿 遊行の盆」と呼ばれる盆踊りの一大イベントに師匠他、弟子たちが出るらしい。今年は7月29−31日の3日間。地元藤沢の遊行おどりと、日本三大盆踊りの高知/阿波踊り 岐阜/郡上踊り 秋田/西馬音内盆踊り が一同に介し披露されるイベントだ。しかも今年は






秋田の竿燈まつり

も参加する!これは行かねば!

ふなきさん「
師匠!出ます!藤沢。但し30日の土曜日だけ...」

29日は仕事、31日は小学生バレーの審判、消去法で30日だけしか出れない...。そうと決まったら









浴衣を準備しなければ!

素人がいきなり端縫いの衣装を着るのは、秋田の重要無形文化財を冒涜する行為なので今回はまずは浴衣を準備しよう!しかし浴衣と言っても、あかがわ呉服の親父が言った言葉を信用すると...









高い!

こんな資金、かみさんが承認するわけがない。どうする...







作るしかない!

ここは裁縫の仏様、秋田のおかんに頼むしかない。しかし頼むにしても下準備は必要だ。まずはユザワヤに行って紺色の生地を8メートルほど購入。赤色は1メートル購入し、図書館で和裁の本を読んで予習。必要部分をコピーして秋田に出張した際におかんに相談。

ふなきさん「
あのよー、この生地使って浴衣作ってもらいたいんだども...

おかん「
なしたど?浴衣ってが?

ふなきさん「
んだ!(和裁の本のコピー出して)こんな感じの男物だな。部分部分のパーツを作ってくれればいい。最後のジョイントは次女に頼むから。

おかん「
(和裁のコピーを見て)...おれは洋裁なんだや。和裁はあまり上手でねぇんだよ...

ふなきさん「
時間はあるからゆっくりやってくれればいい。できるか?

おかん
「...まったく...お前来れば大変な思いするなぁ...








単なる親不孝者だぁーーーー!







日本の若者よ!








このような親父になるなよーーーーーー!

おかん「
...待て。メジャー持ってくる。

おかんはふなきさんの寸法を測り、次々と紙にメモした。ひととおり寸法を記載しおえたら

おかん「
......わがった。やってみる。」

ふなきさん「
あんまり気合入れてやるな!ゆっくりやってけれ!

今回は片手間ではできない大掛かりな創作物なので、パーツだけ仕上げてくれるよう頼み、最終調整は次女にお願いしてとにかくおかんの身体に負担にならぬようゆっくり作ってくれ!と念を押す。数週間後、再び出張で秋田を訪れたとき

おかん「
...頼まれた浴衣、出来てるど!










ぬおーーーー!おかん、






さすがだ!全部できてるじゃねーかぁ!

ふなきさん「
全部つなげなくてもいいって言ったのに...

おかん「
次女ではできね!全部やっておいた。

歳くってるとは言え、やっぱすげーなー。これで浴衣のベースはできた!そしておかんの恨み節が始まる...


おかん「
なぁーんと大変だったぁ! 目、真っ赤なって、肩は貼るし、グタグタグタ(以下略)





よし!次は、模様を入れねば!



藍染生地は、白の生地を藍色の染料に漬けて染めるのが世間一般の常識でしょう。今回はその藍染の浴衣の逆をやりましょう。つまり色付の生地に白色を付加していく逆の手法を取り入れる。







ブリーチ染め







つまり

ハイターによる漂白









筆にハイターをつけて点、点、点 していけば何か模様は出来るだろう!点、点、点で描ける模様っていったらやっぱり






星!







ここでひらめいた。










浴衣に宇宙を描こう!

思い立てば即行動のB型人間。ベランダに床保護のための新聞紙を敷き詰め、浴衣を広げ匂いの強い塩素系をやめて酸素系のキッチンハイターをカップに準備し、足の部分から点点作業を始める。頭に描いた模様は、









天の川

今は丁度七夕の時期!これしかない!では早速、点点作業開始!とりあえずハギレの生地で少し練習する。1回点をうっただけでは薄い。白をはっきり出すには3回以上点を付けないとだめだ!というのがわかった。練習を終了して、いよいよ本番開始!



点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点......

点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点......

点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点......




疲れる!体の位置を変え、格好を変え作業を継続!

点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点......

点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点......

点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点......

給水!休憩!

点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点......

点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点......

点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点......










作業開始から2時間














どーだ!天の川!




遠目に見れば問題ないだろう!次だ!次!



次は上だ。肩の部分にインパクトのある模様をつけなければならぬ。左肩付近から何も考えずに点をつけていく。

点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点......

点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点......

点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点、点......





左肩から放射状の模様にしたが、ここでふと考える。








銀河系を真上から見た形にしよう!




渦巻きだ!



ここで方向転換。放射状の模様を渦巻きに形を変える。かなり白が強くなってしまうが




なんとか形になってきた。作業を開始して4時間。もうやめよう!


体力の限界!

まだ完成してないがここで一度師匠に見てもらおう。次の週のお稽古。

ふなきさん「
師匠!浴衣の模様作った。なんとだべ?

      

師匠「
いやぁー、いいねがぁ!よぐ作ったごどぉ!おもへ模様だなぁ。他に無い模様だがら目立つど!

ふなきさん「
だけど、まだ途中なんだよなー!

師匠「
右の袖にも流れるような模様にできねが?袖にも模様つけたほうが、形が良くわかる!

ふなきさん「
そーか、袖かぁ...次、やってみる!

他の生徒さんも珍しそうに作成中の浴衣を覗き込む。つかみはOKだ!





翌日、再び点々作業を再開する。右の袖にも流れるようにってがぁ...ならば渦巻きでかくしていくしかねーなぁ。渦の流れが同心円状になるように、右袖にも渦の端がかかるようにしてみる。作業開始して2時間。


   

どーだ!これで完成!これで藤沢に出演できる!いよいよ




メジャーデビューだ!


2016年7月30日(土)

AM11時、新幹線で高崎駅を出発。大宮駅で上野東京ラインに乗り換えPM1時10分、藤沢着。集合場所の藤沢商工会議所「ミナパーク」に到着。そっから先はどこに行けばいいのか?全くわからず...。しょうがないので師匠に連絡。

ふなきさん「
師匠、ミナパークさ着いた!次、どさ行けばいい?

師匠「
じゃ、2階に来てください。控え室は男性と女性で分かれているから、男性にほうに行ってください。

そらそーだよな。着替えがあるから男性、女性分かれるのは当然だ。ということで男性の控え部屋に行くと4人の男性がいた。初対面なのでまずは挨拶。

ふなきさん「
はじめまして。群馬県のふなきさんと申します。今回初めて踊るス。

聞くと一人が囃子方で後は踊り手の方。皆さん関東地区に在住の秋田生まれの人だ。言葉が都会だ。訛りがないクリーンなしゃべりだ。踊り手の男性と会話した。

踊り手男性@「
踊りはどこで練習したんですか?

ふなきさん「
国立の師匠のところです。

踊り手男性@「
どのくらい練習したんですか?

ふなきさん「
丁度1年くらいです。皆さんはどちらで習ってるんですか?

踊り手男性@「
私は横浜で習ってるんですよ。先生は横浜以外にも教えてるんですよ。一番練習生が多いんじゃないかなぁ。

へぇー!初めて知った。師匠以外にも教えてる人いるんだ。いろいろ西馬音内音踊りの裾野を広げる活動をしている人がいるんですなぁ。そーしているうちに控え室に一人また一人と人が入ってくる。話す言葉はピュアな秋田弁。この人たちは秋田県羽後町からやってきた囃子方の方々、及び羽後町観光協会の方1名、そして若い踊り手1名。



若い踊り手「
皆さん、お土産もらいました?もらってない人、持っていってください。

羽後町の手土産もらった!昼の弁当も頂き、至れり尽くせりだ。そして15時、そろそろ準備。ここで問題発生!










角帯のしめ方わからない...

角帯はネットで準備したが、しめ方練習してなかったぁ...ここは教えてもらおう...

ふなきさん「
すいません...私、初めてなんで角帯のしめ方わからないんです。教えてください。

踊り手男性A「
あ、いいですよ。男性はできるだけ下で巻いたほうがかっこいいです。

恥ずかしながら、角帯巻いてもらいました。これは、後で練習しておかなければ!そして、彦さ頭巾を着けて準備はOK。



商工会議所ビル内の6階の大ホールに移動。女性の踊り手も合流。結構、凄い人だ!60人くらいいるかね?女性の方は関東平野の方だと思うので、結構関東で練習している人がいるんだね。

時間になった。寄席太鼓の演奏が始まりホールの中へ移動し、会場の方々を囲むように円の形になる。そして囃子方の「音頭」が演奏され、踊りスタート。これほど大きな円を作っての踊りは初めてだ。会場内はライトダウンしているので暗い。前方との間合いを気にしながら踊っていたら








間違えた...

やばい!他の事に気をとられていたら間違った。会場で見ている人にはわからないとは思うが、間違ったのは事実。集中しなければ!「音頭」が終わり次は「がんけ」。ここで問題発生!









彦さ頭巾、下に少しずれてきた...

目ん玉の穴が下にシフトしてきた。やばい!前方が見えずらくなってきた!しかし、今更頭巾を直すという恥ずかしいことはできない!これは最後まで踊りきらないとダメだ!視界はやや下のほうしか見えない状態で、前の踊り手との間隔を保ちながらなんとか踊りきった。

終わった。
ほろにがデビューだった...



場所を変えて今度は屋外へ移動。屋外では丁度、藤沢の遊行の盆おどりコンテストの真っ最中。沿道には沢山の人が盆踊りを見ている。このコンテストが終了すると西馬音内盆踊りの開始。
西馬音内盆踊りの踊り手さんのうち、男性の方はふなきさん含めて6名。女性の踊り手に平均的に配置されると思いきや、男性の踊り手は最後尾で一塊に配置される。つまり








隔離か?

ふなきさんの前後は男性の踊り手さんが配置された。時間となり寄席太鼓が始まる。と同時に会場内に2列になって歩いていき、大きな輪を作って配置につく。





やぁーーーとぉーーーせぇーーーー!

「音頭」が始まる。踊りスタート。今回は豆絞りをがっしり巻いたので彦さ頭巾がズレルことはなかった。つまり視界は100%確保される。踊っていて気がつく。2人前の西馬音内から来た若い踊り手が威勢がいい!お囃子に合わせて






うりゃー!



おりゃー!



キタカさっさー!ほぅーーーーウォ!キタカさっさー!あ、ドッコイナ!

と合いの手がヤカマシイ。踊りもダイナミックだ!明らかに女性の踊り方とは違う。






そぉーか!これが男踊りってやつか!


Youtubeではちらっと見たことはあったが、男踊りを生で見たのはこれが初めてであった。そーいえば以前、師匠はふなきさんに言ったある言葉を思い出す。







もっと大きく踊れ!

そーか。男踊りはデッカくてダイナミックなんだ。これはこれでいい。私は女性踊りにフォーカスしすぎていたのだ。がんけも終了し、観客からは拍手喝采。今回は間違いは無かったが、師匠から用意してもらったぞうりの裏がいきなりはがれた。がんけで回転するときに無理やり回転したのが原因だ。あと1回屋外で踊りがあったので、持ってきた結束帯で暫定対策をする。



ふなきさん「
師匠!ぞーり1発で裏はがれたや!






師匠「
それはそれだけ踊りが下手だってことだ!







一蹴されてしまった...

日も落ち、周囲は暗くなり最後の盆踊りを踊る。今度は曲に合わせて合いの手を大声で言って踊ってみる。




そらっ!そらっ!





キタカさっさー!ほぅーーーーウォ!キタカさっさー!あ、ドッコイナ!


面白いじゃねーかぁ。男踊りも踊ってみて面白いもんだ。シャナリシャナリ踊るより、私には男踊りのほうが合っているのかも。最終の盆踊りも無事に終わり、最後に師匠一門で記念写真をとる。



終わった。メジャーデビューは終わった。しかし、本当の意味のメジャーデビューはやはり













聖地 西馬音内で踊らないと!






西馬音内で男踊りで盆踊りしよう!


2016年8月16日 23時JR大宮駅

これより聖地 西馬音内 巡礼の旅にでる。移動手段は








高速バス フローラ号

片道9800円。安く移動するにはこれしかない!


2016年8月17日 6時半 

JR秋田駅東口に無事に到着。一旦、土崎の自宅に移動しシャワーを浴びて朝飯食べてから奥羽本線にて湯沢へ移動。14時半湯沢駅到着。前日、西馬音内入りしていた実兄の車にのせてもらい聖地 西馬音内到着。盆踊り会場には交通規制が既にかかっており、車は進入禁止になっていたためここで車を降りる。しばし会場内をウロついてみると、会場内の真ん中にはかがり火。沿道には有料の席が準備されている。



周辺の店は、盆踊りTシャツ、盆踊り手ぬぐい、盆踊り用草履...右から左まですべて盆踊り!





聖地はまさに盆踊り一色!




盆踊りと共に生きる町 それが聖地 西馬音内!


さて、そろそろ師匠の家を目指そう。早速、沿道で会話しているにーちゃんに聞いてみる。

ふなきさん「
あのー○○さんの家ってどっちかわかりますか?

沿道のにーちゃん「
あー、○○さんね。多分、あっちのほうだと思いますけど...

にーちゃんが示した方角に向って歩いていく。ひたすら歩く。町のはずれに出た。あら?おかしい。師匠の家ってそんなに町外れではないはずなんだが...。ここでまた沿道のねーさんに聞いてみる。

ふなきさん「
あのー○○さんの家ってどっちかわかりますか?

沿道のねーさん「
○○さんね、(今歩いて来た方向を指さし)あっちのほうで時計屋があってその先。









全然逆じゃねーかぁ!

沿道のにーちゃん大嘘!まーず田舎のにーちゃんはいい加減だ。早速今まで歩いて来た道を引き返す。師匠の家の近くにきた。しかし、表札がない!しょうがないんで電話。

ふなきさん「
師匠!来たよー。今、師匠の家の近くにいるらしいんだども...

そしたら師匠が、近くの家から電話持ちながら出てきた。

師匠「
よく来たなぁー!

ふなきさん「
はい!これ土産。群馬のがっこ!師匠のかーさんに食べさせれ!

師匠「
どうも!どうも!(かーさん、がっこ)好きだがら!さ、上がってけれ!

師匠の家はの2階の案内される。2階はだだっ広いおお広間。長机が置かれておりその一角で既に昨日から盆踊りに参加しているおばさん連中がビールを飲んでいる。

師匠「
男衆は奥の部屋使って。この布団持っていって。

大広間に用意されている布団を男衆部屋に運びまずは寝床を確保する。昼飯も食ってないので、ここで妙に腹が減ってきた。あれを食わないと

ふなきさん「
師匠!腹へった!西馬音内の蕎麦くいたい!どこさ行けばいい?

師匠「
橋の手前の弥助そばって美味いど!だども17時からだから今やってない!

ふなきさん「
今、食いたい!

師匠「
そーすれば、橋渡ったところに松屋ってあるからそこに行ってみれ。そこなら今でもやってる。

ふなきさん「
お勧めメニューは?

師匠「
西馬音内の蕎麦は”ひやがけ”を食べるのが一番。冷たい蕎麦だども、冬でも”ひやがけ”食べる。うめど!

ふなきさん「
わがったー!行ってくる。

早速、松屋までテクテク歩いていく。店には他の客はだれもおらず貸切状態。早速オーダー。

ふなきさん「
すいませーん。”ひやがけ”大盛と瓶ビール1本!

師匠の教室の生徒さんから「踊りの前には飲むな!」といわれましたが、すでに掟破り。まず飲まねばね!

店員のおばちゃん「
はい!ビールです。これつまんでください。

枝豆もってきてくれた。やさしい!西馬音内の人、やさしい。ビールを半分くらい飲んだところで噂の”ひやがけ”登場!食ってみる。








美味い!

歯ごたえが全然違う。日頃、富士そば、箱根そばで昼飯をすましているサラリーマンには無茶苦茶美味い。そばが美味いと感じたのは久しぶりだ。やっぱ、田舎のそばは違う!

どっぷりと聖地 西馬音内を楽しむ。



ひやがけ食べてエネルギー腹いっぱい。次はやっぱり









飲まねば!

まずはスーパーに直行!ビールを6本購入して師匠の家に戻る。大広間で飲んでいるおばちゃん連中に合流!おばちゃん連中は東京、千葉から参加の師匠のお弟子さんたち。昨日の初日から参加している気合の入った方々だ。お囃子用の横笛持っている方、和太鼓やっている方、習い始めの方などバラエティにとんだおばちゃんたちとまずは







かんぱーい!

師匠から踊る前はあまり飲むな!とは言われていたが、やはりどーしても



お祭り気分!

酒を飲みながら、おばちゃん連中と話がはずむ。いつの間にか陽は沈み、あたりは真っ暗。おばちゃんたちとの会話がまったりしてきたので、気分転換のため外に出る。その時、思いがけない事態が...








雨だ!

ひどい雨だ!傘がないと外に出れない。最悪の事態かぁ?スマホで雨雲レーダーを見る。今は西馬音内は真っ赤だが、この雲は2時間後には過ぎ去る。




雨は絶対やむはず!

そう確信し、再び師匠の家に帰って




飲み直す!


師匠のお弟子さんが更に増えてきて、酒飲みの輪は2つ3つと増える。秋田の話、東京の話、踊りの話 いろいろ会話しましたが









よく覚えてませーん!






20時 雨は止んだ。


予想通りに雨は止んだ!

行ける!一斉に大広間で飲んでいた弟子さんたちは着替えの準備に入る。大広間は女子の更衣室になるので、まずは男子の私がとっとと着替えて外に出なければならない!速攻に浴衣に着替えて彦さ頭巾、足袋を装着し、あとは問題の角帯。




ふなきさん「
師匠!帯付けてけれー!

と今日のために借りてきた角帯を師匠に渡す。

師匠「
どれ!

と角帯を手にして、私の腰に取り付けようとすると

師匠「
....硬い!この角帯!....ん!んん!

かなり苦戦している模様。そこで大広間で飲んでいたおばちゃんの一人がやってきて

おばちゃん「
失礼!

と、帯をぎゅっ!ぎゅっ!としめる。





プロだ!

この盆踊りには衣装のスペシャリストがいる!着付け全然問題なし!と思ったら師匠に

師匠「
いずれ一人で(角帯)付けれねばダメだ!



と一蹴される...反省。いずれ練習しましょう!さて、外へ出てみるか!

ふなきさん「
師匠!もう踊っていいんだべが?

師匠「
いいよー!踊れ!



時は来た!サラリーマンはいよいよ聖地で西馬音内盆踊りを踊る!


原価数千円のなんちゃって浴衣、西馬音内に立つ!



外へ出る。地面は濡れているが、雨は降っていない。沿道には観光客がびっしりで、歩き進むのも大変な状態。西馬音内盆踊り会館の上のやぐらでは囃子方が本場の「音頭」を演奏している。






これが本場だ!



本場の雰囲気だ!

ウズウズしてきた。足が進む。で、踊り子さんは...いた!まだ輪になってはいないが、ブツ切り状態の輪になって本場の踊り子さんが目の前で






踊っている!

ウズウズしてきた!どこで踊ろうか?いきなり盆踊り会館の目の前で踊るのは気が引ける。なので、通りの一番奥に行く。そこでなんと


休憩タイム!


そーか。休憩タイムあるのか。とりあえず脇にある椅子に座り、再開を待つ。そして再び踊り再開のアナウンスが聞こえてくる。沿道に散っていた踊り子さんが、再び道路に集まってくる。ふなきさんの目の前にもいつの間にか列ができて、輪ができた。そして音頭の演奏が聞こえてくる!





音頭スタート!



ここに、一人のサラリーマンは聖地 西馬音内での盆踊りの輪に加わり踊りを踊った。一人のサラリーマンの野望はここに完遂された。師匠には
「前の人にぶつからないように注意さねばだめだや!」と注意されたが、意外に間があったので特に気にしないで踊ることができた。

彦さ頭巾からの視界は狭いが、沿道の観光客が踊り子を見入る姿が確認できる。師匠は踊っているのか?師匠のお弟子さんはどこなのか?まったくわからず。ただ、反対側の列で大声を出して踊る威勢のいい男の踊り子がいるのは確認できた。たぶん、藤沢にいたあのにーちゃんかなぁ。

後になってわかったが、時間の経過がまったくわからない。何分踊ったのか?1時間経ったのか?まったくわからない。音頭を踊り続けているが、時間の経過がまったくわからない。ただ、通りの端っこからスタートした音頭が、今は盆踊り会館前で踊っている事実が確認できた。囃子方の生演奏が上方から聞こえる。




あー、じっくり聞きたい!じっくり見てみたい!せっかく西馬音内に来たので、盆踊りをじっくりとみてみたい。


しかし、踊っている間は踊り続けるしかない。しょうがないから、踊り終了前10分くらいに踊りやめてじっくりと見ることにした。囃子方の




下ネタ歌詞

が威勢よく聞こえてくる!





あー、じっくり聞きたい!

残念!踊り続けるしかない...下ネタ歌詞の音頭、CDで発売してくんないかねぇ...








聖地西馬音内での盆踊りは続く





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