恥ずかしさのあまり、いたたまれなくなった私は身をよじり、銀の腕の中から逃げ出そうとしたのだけれど、身体にしっかりと回されていた腕に押さえられて、とてもじゃないが身動きなんて出来なかった。 「放して、銀」 「いいえ、放しません」 静かな、でもどこか力強さを秘めた言葉が、更に私の身体を見えない力で縛り付ける。 「そのような可愛らしいことを言われて、放せるわけがございません」 そう言って抱きしめる腕に力をこめた銀は、耳元に寄せた唇で「神子様」と、私を呼んだ。
恥ずかしさのあまり、いたたまれなくなった私は身をよじり、銀の腕の中から逃げ出そうとしたのだけれど、身体にしっかりと回されていた腕に押さえられて、とてもじゃないが身動きなんて出来なかった。
「放して、銀」
「いいえ、放しません」
静かな、でもどこか力強さを秘めた言葉が、更に私の身体を見えない力で縛り付ける。
「そのような可愛らしいことを言われて、放せるわけがございません」
そう言って抱きしめる腕に力をこめた銀は、耳元に寄せた唇で「神子様」と、私を呼んだ。
2006年9月24日発行 アンジェ金時新刊
知盛×望美・銀×望美アンソロジー本『紅い月銀の月』収録
「千以上の言葉を並べても」銀×望美(著:葵沙)より
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