初めてのコス(開演前)

 

 

このコーナーを訪れてくれた神子、久しぶりだ。いや、もしかしたら初めまし

ての神子もいるやも知れぬ。このコーナーで神子達に会えて嬉しく思う。

私の名は“チビあっきー。第1回プレミアムツアーから神子に同行している。

私の名は“チビつぐっち”。第1回は同行することができなかったが、第3回

プレミアムツアーからあっきーと共に我が神子に同行している。

これから、我らが我が神子の今回の旅の様子を皆さまにあれこれお伝えして行

こうと思う。お時間のある神子はしばし我らの話に耳を傾けてほしい。

そして、例のごとく我らを作る時、神子が心のかけらを入れ忘れてしまっ

たので、一部記憶があいまいなところがあるかもしれぬが、そのへんはご了承

いただきたい。

それでは、よろしくおつきあい願い奉る。

 

 

 

「つぐっち、いよいよだな。」

「ああ、いよいよだ。」

「神子はまた夜更かししていたようだが、大丈夫なのだろうか…」

「・・・問題ない…とは言えぬが、我らに出来ることは神子を見守ることだけだ。」

「ああ、そうだな。以前のような失態があってはならぬ。全力で神子を守ろう…」

 

2002年7月20日(土)の早朝5時半ごろに我らの神子は目覚めた。

と言っても、布団に入ったのが2時半ごろ、そして寝付けなかったみたいなので、

実質的にはほとんど寝てないに等しい。

まったく…(ため息)。神子、おまえは学習能力があるのか? 前回の大阪フェ

スタの時は寝不足で臨んで、眠気との戦いでたいへんだったではないか。また、

同じ轍を踏むとは、本当に神子としての自覚が足りぬ…(再びため息)

 

今回我らの神子は第1回のプレミアムツアーで友人となった神子ミズキと神子

ばれんしあみかん(以下略して神子みかんと言う)と一緒に会場まで行く約束に

なっていた。と言ってもみな乗る駅が違うので、同じ電車に乗って、電車の中で

合流することになっていたのである。

我らも二人の神子に会うのは久しぶりなので、とっても楽しみだ。

今回乗る電車は神子みかんに教えてもらった“新宿湘南ライン”というもの。直

通で横浜まで行けるそうだ。電車とかいうものも知らぬ間に便利なものがいろい

ろできているのだな。

神子たちが乗る電車は赤羽を7時32分、池袋を741分、新宿を749分にそれぞ

れ発車する。今回は電車の中で待ち合わせるので、どこの車両に乗るかという段

になって、神子みかんが「では、涙さんのお好きな泰明さんの相方、後ろ向きな

永泉さんにちなんで一番後ろではどうでしょう(笑)」という素敵な提案をして

くれたので、最初はそうすることにしていた。

だが、当日の朝、神子みかんから電話がかかってきて「後ろだと切り離しのおそ

れがあるので、一番前の車両に変更しましょう」とのことなので、もっともだと

同意して、我が神子はすぐにその旨を神子ミズキにもメールした。

そして、最終的には皆で一番前の車両に乗ることになったのだ。

 

新宿は我が神子の庭のようなものだから、たかをくくって10分ぐらいの余裕で

行ったのだが、JRの新宿駅の構内に入ってみたら“湘南ライン”のホームに行

けども行けどもたどりつかない。

「何でこんなに遠いの〜〜」

と叫びながら、我が神子は重い荷物をひきずりひきずり必死に走る。案内板から

階段までがまた遠い。

「わぁ〜、時間が! 時間が!」

この電車に乗り損ねたら他の神子たちと合流できない。本当に神子は思慮が足り

ぬ!! 急げ、神子!

息を切らしきって、何とかホームに電車が入る直前に目的のホームまでたどりつ

くことができた。もう汗だくで、着物が身体にぺったりと貼り付いている。

大丈夫か、神子? まだまだ先は長いのだぞ。

 

何とか目的の電車に乗り込んだ我が神子は中の通路を通って一番前の車両へ向か

う。そして、何とか神子ミズキ、神子みかんのお二人と再会することができた。

二人は我らとの再会も喜んでくれて、「久しぶり〜」と頭をなでてくれた。本当

にやさしい神子たちだ。

今回、我が神子は“うぃっぐ”とかいうものを持参していたので、着替えの衣装

を大きな紙袋に入れて持っていったのだが、他の二人の神子はキャリアカートに

荷物を入れて来ていた。我が神子も本当はそうしたかったのだが、“うぃっぐ”

が入りそうなものがとっさに見つからなかったので、紙袋にしたのだ。

そして、いずれこのことは大きな後悔につながることとなった…

 

三人は電車の中で『遙か』話に花を咲かせながら楽しそうに語らいながら横浜へ

と向かった。我らもニコニコしながら三人の話に耳を傾けていた。神子たちが楽

しそうだと我らも嬉しい。我が神子はお会いした神子達に渡すようにとせっせと

作って行った“おりじなる・ぽすとかーど”をお二人の神子達に渡していた。

そして神子みかんの新作名刺もいただいていた。何でも神子みかんが“こすこん”

なるものに応募した時の姿絵の幸鷹と同じポーズだそうだ。とっても素敵な名刺

だった。

 

皆でしゃべりながら行ったせいか、横浜へは本当にすぐに到着した。

そこで、電車を降りて、乗り換えて桜木町駅に向かう。

我が神子はまだこの時は元気があったので、重い荷物でもそれほど苦もなく持ち

上げて、乗り換えホームへと向かった。桜木町駅に着くと、お泊り用の荷物をコ

インロッカーに預けて、一路フェスタ会場であるパシフィコ横浜へと向かう。

この日は本当に照りつける陽射しもものすごく、とても暑い。

だが、これからずっと前から待ち望んでいたフェスタ会場に向かうのだ。我が神

子とご友人神子の二人はいそいそと重い荷物も何のそのという様子で長い通路を

歩いて行った。パシフィコ横浜には歩く歩道を乗り継ぎ、建物の中を通って行く。

最後の建物を抜けるとやっと会場が見えて来た。

途中で壊れ隊の集団と行き会う。神子みかんがすぐ見つけ、ご挨拶をしていた。

我が神子は“素顔”の彼女らとお会いするのは初めてなので、最初はよくわから

なかったのだが、神子紫乃を見つけ、頭を下げる。神子みかんは今回、2日目の

“こすこん”とやらの最終選考に出場することになっているので、今まで以上の

人気者になっていたようだ。すぐにみなに囲まれる。

そして、その一行と別れると再びフェスタ会場に向かった。懐かしの階段を下る

と、そこには長蛇の列。だが、今回は一人ではないので、待つのも少し楽しいと

我が神子は言っていた。我が神子達は列の一番後ろに並んだ。

 

三人でおしゃべりしながら待っていると、偶然神子ぱーぼぅが目の前を通り過ぎ

た。神子ぱーぼぅとオフでお会いするのは恋ウル以来だ。我が神子と神子ぱーぼぅ

はヒシと抱き合って、再会を喜び合っていた。無論、我らも神子ぱーぼぅと再び

お会い出来て、とっても嬉しい。神子も我らとの再会をとても喜んでくれた。

神子ぱーぼぅからも新しい名刺をいただく。今回、神子ぱーぼぅは絵柄の違う

4種類のものを用意していて、

「どれもぱるくんとのカップリングがとってもかわいい!!」

と我が神子が言っていた。みんな欲しかったようだが、迷ったあげく我が神子は

友雅のものをいただいていた。

 

――だが、つぐっちなぜ我らのものがないのだ?

――私もそれを思っていた。

――何だか少し淋しい…

――確かに…

 

列に並んでいるといろいろ人間ウォッチングができると神子が言っていた。列で

せっせと友人にお団子を作ってもらっている神子…きっとあの者は我らの“こす”

とやらをするのだな。長いしっぽが私で、短いのがつぐっちか…

あの者はカップルで見に来たのか。そういう関係もいいものだな…

 

並ぶこと1時間と少し、開場時間になって、やっと列が動き出した。

入り口でチケットをもいでもらって、チラシ袋をもらって中に入る。前回と同様

のハート型の“ネオロマンス・フェスタ3”の文字の入った看板付のばるーんが

目に入る。きっとあそこは写真を撮るポイントなのだな。また、後で行ってみよ

うと思いながら、三人の神子達はそれぞれ自分の分担の場所に走る。三人はコス

をする前にまず購入予定のものをすべて買い集めることにしたようだ。

今回は時間を効率的に使うため、神子みかんはアニメイトコーナーへ、神子ミズ

キは限定販売品コーナーへ、そして、我が神子はパンフレットコーナーへそれぞ

れ向かうことに分担を決めていた。なかなか賢いではないか、神子達は。

 

パンフレットコーナーには限定CDも売っていた。わが神子は、どうしたものか

と一瞬迷ったそうだが、CDは神子ミズキの方で買うことになっていたので、パ

ンフレットのみを買うことにしたようだ。神子ミズキの分が2冊に神子みかんの

分が1冊に自分の分が2冊にそして買って帰る約束をしていた神子柊に1冊…と

我が神子は計6冊買った。

パンフレットにはそれぞれ“ネオロマンス・フェスタ”のピンクのビニール袋が

付く。我が神子がパンフレット6冊とその袋6枚を受け取ろうとすると、販売し

ていた御仁が我が神子に

「かなり重いですよ。」

と声をかけた。受け取ったパンフレット6冊は確かにズシンと来るように重い。

何しろパンフレットと言うからには普通の冊子だと思っていたのだが、B4サイ

ズの厚さ1cmの箱…それが今回のパンフレットなのだ。後で家に帰ってから郵

送用に計ってみたら、何と1冊760gもあったということだ。それが6冊だか

ら計約4キロ500グラム…重いはずだ。それに前述したように我が神子はその

他に重たいコス装備一式の大型紙袋も持っているのだ。

「だ…大丈夫か、神子!?」

「うん、何とか…」

「我らに出来ることはないか?」

「そこにぶら下がって、他の神子たちを探してくれる?」

「・・・わかった。」

そうだ。今回、我らには神子の目印として、他の神子を見つける重要な役割があ

るのだ。

「お〜い、我らはここだ〜! 見つけてくれ〜!!」

 

我が神子は“せかんどばっぐ”と称して持って来ていた袋にパンフレットを入れ、

待ち合わせ場所のDVD売り場のそばに移動する。まだ、他の神子は来ていな

かった。

神子が携帯を確認するとプレミアムツアー1でお会いした神子と神子ちる、それ

に神子SAKからのメールが入っていた。どうやら着信音が聞こえなかったらし

く、また、混んでいて到着もかなり遅れていたらしく、発信した時間はかなり前

のものだ。だが、返事を書こうとした神子はやがて大きなアクシデントに見舞わ

れてしまった。何と急に送信メールが書けなくなってしまったのだ。というか、

メニュー自身に送信メールBOXの文字がなくなってしまっている。もちろん、

当然ながら返信メール作成も送信もできない。

「え〜〜〜っ、どうして!?」

我が神子はかなり混乱していて、いろいろボタンを押したりしていたが、ちっと

も直る気配はない。

「困るよ〜〜〜 携帯だけが頼りなのに〜〜〜〜〜」

もちろん分厚いマニュアルとかを持って来ているわけはなく、さっぱり対処の仕

方がわからず、ただ時だけが過ぎて行った…

「ごめんよ〜、みんな…」

神子…仕方がない。やはり地道に我らが目印となって、神子達を探そう。文明の

利器などあてにならぬものだな。

 

やがて、神子ミズキが集合場所にやって来た。神子ミズキは約束の品以外に

“ぼいすかーど”というものを手に入れて来ていた。それもスゴイ数!!

この“ぼいすかーど”は、事前にGAMECITYで公開していた限定販売品一覧には載っ

ていなかった本当のレア商品だ。神子ミズキは、何でもみんなに配る分も買って来

たらしい。ちゃんと我が神子のために泰明の物も1枚買って来てくれていた。もち

ろん神子みかんの分の白虎の二人の分も。

神子ミズキは本当に気の効く心やさしい神子だ。我が神子も思いがけず素敵なもの

を手に入れて、とても喜んでいた。この感謝の念は翌日さらに大きなものになる…

 

途中、我が神子は『遙か2』のトレーディングカードなるものを買いに寄った。

我が神子は通信販売とやらで、すでに申し込んであるので、1箱のみを買う。

よいカードが入っているといいな、神子。

 

神子みかんから反対側の更衣室側の方にいるという電話が入り、神子ミズキが再び

出掛けた買い物から帰るのを待って、そちら側に移動する。

 

それぞれ分担分の買い物を済ませた3人の神子はコス衣装に着替えるために更衣室

に入った。入り口で使用料の500円を払い、手に薬品を塗ってもらう。遊園地と

かでもよくやっている光を当てると発光するあのシステムだ。

いよいよ初コスだ。このためにこの一ヶ月地道に準備して来たのだ。頑張れ、神子!!

――と我らはやはり後ろを向いていた方がいいのだろうか?

――いや、問題なかろう。自然に任せよう。

――そうだな。

 

三人の神子達は着替えに入った。今日の出で立ちは、神子みかんが鷹通、神子ミズキ

が泰明(私だ!!)、そして我が神子が泰継(私だぞ♪)をすることになっている。

我が神子は念のため、今日の午前中しかセフルコスをしないという神子ちょまを探す

が、思っていたよりセフルコスが多いことに気づく。

「これじゃあ、どれがちょまさんかわからない〜!!」

取りあえず一旦探すのをあきらめて、自分の着替えを始めた。

 

我が神子は一番下の着物と2枚目の着物を衿の重ねが崩れないよう、2枚重ねて

縫ってあった。だから、着る枚数としては2枚、そして、実質的な厚さは3枚分

というわけだ。

その下の着物を着るなり、もうすでに玉のような汗が噴き出していた。

「あつい〜〜〜〜〜!!!!!」

神子、まだ着たのは1枚だけだぞ。大丈夫か?

我が神子は根性でもう1枚着物を重ねる。

ますます暑そうだ。つぐっちの着物は冬使用だからな。暑いはずだ。

衿と服の端につけたホックを留め、帯を締めて、取りあえず着物は着終わった。

 

問題は、ウィッグとかいうやつだ。出発の前の日、購入したお店で、地毛がはみ出て

しまう部分をかなり直してもらって、かぶり方も丁寧に教えてもらったのだが、

「家に帰って何度も練習してくださいね。」

と言われていたのにもかかわらず、時間がなくて我が神子は一度しか練習していな

かったのだ。それに鏡もあまり大きなものは持って行けずに床に座って、何とか見え

る程度。頑張れ、神子!

専用ネットをまずスポッと首までかぶって、髪の毛全部をネットの外に出す。細い方

を生え際まで上げる。そして、今度は太い方を生え際まで持って行き、輪の端を持ち

上げて地毛をネットと一緒に上げて、包み込んでピンで留める…

一見何でもなさそうだが、これがものすごくたいへんな作業だ。どうしても耳を出す

時に地毛がネットから出てしまったりして、上手くかぶれない。何度かやり直して、

やっとまあ妥協できるぐらいにかぶることができたようだ。

そして、問題の泰継ウィッグをかぶる。出てしまいがちの右側からかぶって、要所を

ピンで留めて行く。こちらは何とか上手くかぶることができたらしい。

「あっ、首飾りが…」

ウィッグをかぶり終えてから、我が神子は首飾りをまだしてないことに気がついた。

だが、幸いなことにかなり大きく作ってあるので、無事髪を乱すことなく、身につけ

ることができた。あとは、足飾りをつけて完成!!

 

そうそう忘れてはいけないのは、ここでの出会い!

何と我が神子は更衣室で神子沙桐姫達一行と運命の出会いを果たしたのだ。しかもお

互い後ろ合わせのごくごく近い距離で!!

「あの…もしかして、神凪 涙様ですか?」

と後ろから声を掛けられて我が神子が振り向くと、そこには前にお写真で見たお顔が…

「はい、そうです。沙桐様ですか?」

「キャ〜〜〜ッ!! やっぱり!!」

というわけで、我が神子と神子沙桐姫は運命的な出会いをしたのであった。二人とも

着替え中だったので、お互い感激の抱擁をするところまでは至らなかったようだが…

そして、同行の神子百合華と神子癒聡ともお会いした! 今回、神子沙桐姫は浴衣を

そして、神子百合華と神子癒聡は何と我が神子(byつぐっち)の花梨のコスをするとい

うことだ。

我が神子が我らを紹介するとみんな初めての出会いを喜んでくれた。神子百合華は

私(つぐっち)を抱きしめてくれるという約束だったが、抱きしめるというか、私は

その手の中にすっぽり入ってしまった。我らは本当に小さいからな。(笑)

あとで聞くところによると我が神子と神子沙桐姫は生電話で過去二度ほど話をしてい

るので、我が神子の声を聞いて、神子沙桐姫はすぐに我が神子のことがわかったらし

い。そして、我らチビやっすーを見つけて、確信したと…

「ああ、我らも神子のお役に立てたのだな。よかった…」

神子たちは名刺と葉書を交換していた。

我が神子は神子ちょまの顔を知っている神子沙桐姫に神子ちょまのセフルがいるかど

うかをたずねたが、どうやらその場にはいなかったようだ。そして、我が神子はその

まま神子ちょまとの出会いを果たせずに終わることになる…

神子沙桐姫と話しながら携帯をいじっていた我が神子が突然「あっ!」と叫んだ。

どうやら、急に“送信メールBOX”が再び表示されるようになったらしい。我が神

子は喜んでいたが、更衣室内は圏外…。本当に文明の利器は役に立たぬな、神子。

支度が早く終わった神子沙桐姫達一行はまた後で一緒に写真を撮ることを約束して、

先に更衣室を出た。

 

神子ミズキの泰明ヘアは地毛で結い上げるのでかなり時間がかかった。その間、先ほ

ど分担して買ったものをそれぞれに振り分ける。神子みかんが買った限定ポスターは

同じものばかり間違って渡されたことに気づき、即取替えに走って行った。販売員よ、

ちゃんと頼むぞ。それぞれ自分のものをしまって、立替金を払い合う。我が神子は幸

い、二人に払う分はちょうどあったので、上手く払い終えたようだ。

 

壁に沿って姿見が何枚も置いてあったので、我が神子はそのうちの一つのところに

行って、自分の姿を映していた。どうだ、神子。私に近く出来たか?(byつぐっち)

鏡を見ていた我が神子は一人の神子から声を掛けられた。

「あの…」

「はい?」

「泰明のお団子ってどっちについてるんでしょうか?」

「あっ…この反対側です!」

 

――神子〜、もっと答え方があるだろう! 右とか左とか言えばよいではないか!

  子どもじゃあるまいし…

 

――だ〜ってこの方がわかりやすいじゃな〜い

 

「どうもありがとうございました!」

と言って、その神子はにっこり笑って去って行った。

 

――ねっ! わかったみたいだよ♪

 

――・・・・・

 

更衣室内には荷物を置いてはいけないことになっていたが、多くの神子達が端の

方に荷物を置いていた。どうやら半黙認状態のようだ。特にキャリアカートのよ

うな鍵の掛かるものは置いて行っている者が多かった。我が神子は紙袋で、上が

空いている上に規則破りが出来ない性格なので、羨ましいなと思いつつも荷物を

ちゃんと持って出ることにしたようだ。神子ミズキも神子みかんもちゃんと自分

の荷物は持って出た。

 

出てから、神子ミズキが首飾りをし忘れていることに気づく。その場で出すのも

たいへんなので、また後ですることにしたようだ。

 

更衣室を出るともう神子沙桐姫一行はいなかった。

「まあ、座席もわかってるし、また後で会えるね。」

と言って、神子達は歩いて行った。

我が神子は平静を装っていながらも、周りのみながどう見ているかドキドキして

いたらしい。何せ初コスなのだから、「イメージ狂う〜」と思われていないか、

何処からか石でも飛んで来ないか内心ビクビクしていたようだ。

大丈夫だ、神子。これだけお仲間がたくさんいるのだ。むしろ普通に見えるぞ!(笑)

 

途中、一人の神子に呼び止められる。

「神凪さん?」

「はい、そうですけど?」

それは、神子葉月だった。我が神子のパソコンが壊れた時によきアドバイスをくだ

さった心優しい神子だ。二人は初めての出会いにとても喜び合っていた。そして、

神子葉月は翌日も参加することになっていたので、翌日写真を撮ることを約束して、

その場は別れた…

だが、神子、思えば、この時写真を撮っておけばよかったのだ。運命的な出会い

だったのに…本当に惜しいことをしたな。

 

開場時間が近くなって来たので、1階席の入り口際に進む。

すると石鹸らしきものを配っている詩紋姿の一人の神子が目に入った。

「桃ちゃん?」

見ると、神子桃嘩のサイトで見た写真と顔が似ている…ような気がする…

声を掛けようかどうか迷っていた我が神子は別の神子に声を掛けられた。

「神凪さんですか?」

見るとイサト姿の一人の神子が…

「ちるさん?」

そうして、二人の神子は感激の出会いを果たしたのだ。もっとも正確に言えば、

二人の神子はプレミアムツアー1の時にそれと知らずすでに会っていたのだが。

プレミアムツアー1の時、イベントの様子を必死にメモしていた神子(詳しくは

プレミアムツアー1のレポート参照♪)…それが神子ちるだった。そして、ツア

レポつながりで再びサイト上で出会った二人の神子はこの場で本当の再会を果た

したのである。

「チビあっきーとチビつぐっち♪」

神子ちるがすぐに合言葉を言ってくれて、我が神子は賞品()のポストカードと

名刺をお渡ししていた。そして、神子ちるから心のかけら型ゼリーもいただいた。

そしてそして、何と我が神子のサイトの10000HITのお祝いに神子ちるが

くださったWやっすー画の原画もくださったのだ。我が神子はとても喜んでいた。

「ほんと小さいね〜」

我らを見て、神子ちるが言った。初めて我らを見た者は必ずこう言うな。(笑)

二人で話していると、先ほどの石鹸配りをしていた神子が寄って来た。やっぱり

彼女が神子桃嘩だったのだ。名刺交換をして、我が神子は約束通りウィッグを触

らせてあげていた。そうこうしているうちに開場が始まり、列が動き出した。

「じゃあ、また後で〜」

我が神子は二人の神子にそう言うとホール内へと入って行った。

思えば、時間がなくてもこの時に神子桃嘩から石鹸をもらっておくべきだったの

だ、神子。その後悔はこれを書いている7月28日現在、さらに大きくなること

をこの時点では我が神子はまったく知らなかった…

 

会場に入ると、アクラムともう一方(アンジェのキャラらしい)の場内アナウン

スが流れていた。前回は泰明と天真のアナウンスだったが、今回は八葉のほとん

どが出演するので、この二人にしたのだな。だが…今回一人だけ不参加の天真の

アナウンスを流してくれてもいいのではないか…とふと思ってしまった…

 

昼の部の座席は何と神子ぱーぼぅの隣だ。神子ぱーぼぅはこの日は手作りのラン

の出で立ち。なかなかかわいく、よく似合っている。我が神子と神子みかんは座

席についた。我が神子の紙袋は大きすぎて、足の上に乗っている状態。よって身

動きが取れないようだ。ゆえに他の神子を探しに行くことはあきらめ、おとなし

く座席に着いていた。

我が神子たちの席はちょうど通路の前だったので、多くの神子たちが通りがけに

我が神子と神子みかんを見つけてくれた。最初にお会いしたのは、壊れ隊の神子

津高正輝。うっとりするような素敵な翡翠だったと我が神子が言っていた。我が

神子はちょくちょく壊れ隊のサイトの方に通ってはいるが、多くの方はお会いす

るのは今回が初めて。もちろん神子正輝も。お名刺をいただいて、とても喜んで

いた。そして、自分の名刺も慌てて渡していた。

それから、神子今日香がチビつぐっち2号、通称継ちゃんを連れて来てくれた。

神子今日香とお会いするのは今度で二度目。継ちゃんは今回はストラップはつけ

ていなかったが、晴明神社の縁結びのお守りはつけていた。やっぱり継ちゃんは

かわいがられているのだな。我らチビやっすーもここで感動の再会を果たした。

それから先ほどの神子沙桐姫の一行とも再びお会いした。神子沙桐姫、神子百合

華、神子あんこ、神子ちゅんこ、神子癒聡。彼女らはお隣にいた神子ぱーぼぅと

もお会いすることができて、たいへん喜んでいた。

そして、通路際というのは本当にいいものだ。神子ラズリと壊れ隊の他の方々と

もお会いすることができた。神子ラズリは首飾りのみかん(笑)の作り方や宝玉

のつけ方などいろいろアドバイスしてくれた心やさしい神子だ。そして、今回壊

れ隊の座席分布図なるものを自主製作までしてくれているのだ。まったく頭が下

がる。我が神子は座席分布図を受け取り、名刺交換をした。

 

開演5分前、隣の席の神子ぱーぼぅが神子SAKの席に行って来ると言った。

我が神子も一緒に行こうと誘われたが、今の状況では身動き取れる状態ではない。

そこで、後ろ髪を引かれる思いだったが、この場では行くのを断念した。

終わってから会いに行こう…

そう思いながら…

 

開演を待っている時、神子みかんの携帯に電話が入った。神子藤菜からだと言う。

2階から手を振っているとのことで、2階の方を見ると、下の方がかぶっている分、

見づらくはあるが、確かにこちらを向いて手を振っている神子達がいた。どうやら

我が神子の緑色の髪がいい目印になっているらしい。我が神子もちょっと緊張しな

がら、初めて神子藤菜と電話越しに少しだけ話をしていた。

 

開演寸前に神子ぱーぼぅが神子SAKのところから戻って来た。

「涙さんに会えなくて残念がってたよ。終わったらすぐ帰らなきゃならないん

 だって。」

と神子ぱーぼぅに言われて、我が神子はやっぱり無理してでも行けばよかったかな

と少し後悔していた。

 

――神子、落ち込むのはまだ早い。まだ、お会いする機会はあるかも知れぬ。

  それよりも、幕が開くぞ!

 

――そうだね。今は舞台に集中しよう。せっかく生石田泰明様を拝めるんだものね。

  ありがとう、あっきー、つぐっち。

 

そして…いよいよ多くの神子達が待ちわびた『ネオロマンス・フェスタ3』の幕が

開いたのである…

 

 

 

戻る  続く