100年を越えた出逢い?

 

「いって〜」

天真は急に後ろから頭を小突かれて、ムッとした顔で振り向いた。

「いったい、どこのどいつだ? 俺の頭を…ん!?」

振り向いた天真の目の前にはどこかで見たような顔が…

「なっ! お…おまえ、誰だ!?」

その人物はそれには答えず、天真の顔を覗き込むようにして、言った。

「おまえのせいでなぁ、とんだとばっちりを受けたんだよ、俺は! ちっとも似てなんかないじゃないか。ったく。何であの女、こんなどんくさいやつと俺が似てるなんて言ったんだか…」

わけのわからない人物に突然わけのわからないことを言われて、天真はますます不機嫌になった。

 

――いったいなんなんだよ!

 

そして、自分の頭をくしゃくしゃすると、腹立たしげに言った。

「あ〜? ちっともわかんね〜よ おまえ、何言ってんだぁ? って言うか、おまえ、

いったい誰なんだよ!」

そこへ

「勝真さ〜ん」

手を振りながら、一人の少女が駆け寄って来た。

少女は二人のそばまで来ると天真を見るなり、

「わぁ〜、会えたんですね! 龍神様の言った通りだわ。ホントそっくり〜!!」

笑い声を立てながらそう言った。

 

天真は自分の前で明るい笑い声を立てている見知らぬ少女をいぶかしく思いながらもその言葉をちょっと反芻してみた…

そして…

 

――りゅ…龍神!?

 

一瞬、嫌な予感がした。

 

「あっ、ごめんなさい。この人は勝真さん。あなたの100年後の地の青龍なんですよ。」

少女は言った。

 

――やっぱり…

 

天真はげんなりとしてため息をついた。

 

「あの女、シリンとかいう鬼の女がなぁ、俺とおまえが似てるなんて言うもんだから、どんな奴か拝んでやろうと思ってこうしてわざわざ来てやったのに…」

勝真と呼ばれた男が言った。

「だけど、ちっとも似てないじゃないか。ったく!」

「それはこっちのセリフだ!」

ついに天真が怒り出した。

「いきなり訪ねて来て、人の頭を小突いておいて、何だその言い草は!? あん? 喧嘩売ろうってのか? なら買ってやるぜ!」

「やろうってのか? やるなら相手になるぜ!」

今にも臨戦態勢に入りそうになった二人を慌てて少女が止めた。

「やめて、二人とも! ほら、勝真さんも!」

そう少女に言われると勝真はしぶしぶ拳をおさめた。

「ねっ、ねっ、それよりもあなたも…えっとお名前は?」

「天真」

天真はまだぶすっとしたままぶっきらぼうに答えた。

「天真さんもやっぱり先代の神子と一緒に帰って来たんですか?」

少女は興味津々という感じで大きな瞳で天真のことをジッと見ている。

「うっ…」

その質問に天真は思わずつまってしまった。

そうして、つまりながらも言葉を発した。  

「あ…あったりまえじゃないか。あいつに一緒に帰ってくれ!なんて言われちゃってさ…」

 

――一緒に帰って来たことは…事実…だからな。

 

「わぁ〜、やっぱりそうなんだ!!」

少女はますます瞳を輝かせて天真を見た。

「ねっ、ねっ、私、先代の神子に会ってみたいな〜♪」  

天真はそれを聞くとさらにしどろもどろしながら答えた。

「えっ…あっ…ああ」

そして、時計をさりげなく見るともうすぐ昼の12時!

 

――やばい! あいつらが来る!

 

天真は内心大慌てしながらもわざとらしく二人に言った。

「わあっ、もうこんな時間だ! おまえら腹減ってないか? あっ、ちょうどいい。あそこのバーガーショップに行こう!」

そう言って二人の背中を押しかけた時である。

「天真く〜ん」

一人の少女がこちらに手を振りながら走って来た。

 

――ま…まずい!!

 

「わっ! わっ! あれっ! もしかして、先代の神子!?」

気がついた時はもうすでに遅し…

先ほどの少女は走って来る少女をすでに見つけてしまっていた。

「わぁ〜っ、ドキドキする〜v

少女は手足をバタつかせて、すごく興奮しながら紅潮した顔でそう言った。

 

やって来た少女は天真と一緒にいる二人の人物を見て、ちょっと首をかしげながら聞いた。

「天真くん、この人たちは?」

そして、勝真の顔を見て、一瞬“えっ?”という表情をしてから、つけ加えた。

「親戚の人?」

「親戚なもんか! こいつらは…」

天真がそう言いかけた時…

「あかね!」

少女を呼ぶ低い男性の声がして、少女は満面の笑顔でその声の方に振り向いた。

「泰継!?」

勝真は思わず言葉を発した。

近づいて来た男はその声を聞いて、怪訝な顔で勝真の方を見た。

「泰継? 私の名は安倍泰明だ。なぜそのような名で私のことを呼ぶ?」

勝真はこの泰継にそっくりの人物を見て、ピンと来た。

「ははん。そういうことか!」

「な…なんだよ。」

勝真はにやにやしながら、天真の首に腕を回すと天真の耳元で楽しそうに言った。

「おまえ、ふられたんだな?」

天真はそれを聞いて、耳まで赤くなった。

「こりゃ、いいや! はははははっ!」

勝真は天真から腕をどけると高笑いした。

 

――こいつにだけは知られたくなかった…

 

笑いながら勝真は言った。

「やっぱり俺とおまえは全然似てないじゃないか。俺はこうして…」

勝真はそう言うとこれ見よがしに一緒にいた少女の肩を抱き寄せた。

「花梨と一緒にこの世界に来たんだからさ!!」

 

花梨の肩を抱きながら高笑いを続けている勝真とわけがわからずキョトンとしているあかねと泰明の横で

「チックショ〜〜〜〜〜!!!!!」

一人叫ぶ天真であった。

 

ちょんちょん

 

おしまい

 

 

 

 
Rui Kannagi『銀の月』
http://www5d.biglobe.ne.jp/~gintuki/

 

[あとがき]

私としては初めての天真・勝真創作です。

いつもお世話になっているSAK様のサイトの開設3周年の

お祝いにと特別に書かせていただきました。

でも…申しわけございません〜〜〜(>_<)

先に平に謝ってしまいます〜

何て似てないんだ〜!!(大汗)

本当に嘘っぽい天真くんと勝真さんでごめんなさい。

最初は絵の方だけを贈ろうと思っていたのですが、絵のデザ

インを考えているうちにこんなストーリーがついつい浮かん

で来たので、一緒にプレゼントしようと思って、書いてみた

のですが…ああ、やっぱり慣れないことはするもんじゃない

ですね。しかもSAK様の最愛の天真くんがちょっとかわい

そうなラストになってるし、さりげに自分のダーリンをいい

役で出してるし…(*_*;)

タイトルを見ると一見壮大なラブ・ストーリーのような感じ

ですが、最後の“?”がみそです。そう、ギャグ・ストー

リーです! どうぞ笑ってすませてやってくださいませ。

 

本当に天真くんや勝真さんの素敵創作をたくさん書かれてい

らっしゃるSAK様にはお目汚し以外の何物でもないかもし

れませんが、万が一にでもお気に召していただけましたら、

どうぞ絵とWでお持ち帰りくださいませ。

 

最後になりましたが、サイト開設3周年、本当におめでとう

ございます!! (^^)

サイトを3年間維持して来られるのって、本当に並大抵なこ

とではなかったと思います。これからも4年、5年と年を重

ねて素敵な作品をいっぱい見せてくださいね。

今後ますますSAK様のサイトが発展しますことを心よりお

祈り申し上げます。

  2003.2.16

 

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