なぜ泰明は髪形を変えたのか5


入口を入ろうとした時、あかねは目の前にかかっている垂れ幕を見て、叫んだ。
「あっ、文化会館の4階で“世界の猫展”やってるんだ。行きたいな。」
「じゃあ、そちらを先に見に行こうか。」
「いいんですか? わーい、行きましょう!」
あかねは嬉しそうに泰明の腕にそっと自分の腕を回すとそう答えた。

文化会館のエレベーターに乗ると、さきほどより回りの視線が気になった。

――本当に何をじろじろ見ているのだ。

泰明は気になったが、また、あかねによけいな気づかいをさせてはいけないと思い、表情には出さないように気をつけた。


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