決戦の朝−頼久8


「頼久、君が行かないんだったら、私が代わりに行こう。私は例えどんな状況でも神子殿のためにならいつだって全力で戦えるよ。」
「いいえ、神子殿を守り、戦う役目をどなたにも譲るつもりはありません!」
頼久は思わずそう叫んでいた。友雅はふっと笑みをこぼし、
「それでこそ、頼久だよ。もう大丈夫だね。先に行っているよ。」

と言葉を残し、部屋から出て行った。

頼久はもう迷わなかった。神子を守り、戦うこと。それが自分のすべて。神子を最後の瞬間まで守り通すことが自分の喜び。頼久はキッと顔を上げると、部屋を後にした。

「神子殿、お待たせいたしました。」
その声に神子が振り返り、笑顔を見せた。
「頼久さん、今日はよろしくお願いしますね。」
そうだ。この笑顔を守るために自分がいるのだ。それだけのために戦える。
さあ、行こう。神子を守り、京を守るために。

 −完−
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