蓮からのホワイトデーメッセージ2005−2

 

早かったんだな。

今、調弦をしているところだから、そのへんに座って少し待っていてくれないか?

(君には最高の音を聴かせたいからいつもより念入りに調弦したいんだ。)

あっ、すまない。

そのへんと言われてもどこに腰掛けたらいいか、わからないな。

じゃあ、その椅子に…

 

「・・・・・」

「(ふぅ〜)」

あまり見つめないでもらえるだろうか?

いや、それが悪いというのではなくて、ただ単に俺が…

(君のことを意識して、つい作業する手が止まってしまうから…)

いや、なんでもない。

悪かった。君の好きにしてくれて構わない。

 

(しばらく調弦していたが、ふと気がついたように顔を上げる。)

 

あっ、こういう時は飲み物とかを出した方がいいのだろうか?

すまない。なれてなくて。

すぐに何か持って来させよう。

では、少しだけ失礼する。

 

 

*  *  *

 

 

今、頼んで来た。しばらくしたら持って来てくれるだろ。

 

(ふと目が合い、照れたように笑う)

 

女性が自分の部屋にいる…というのは何だか落ち着かないものだな。

(ましてや自分の好きな子が…)

実は女性をこの部屋に入れたのは母とお手伝いの菊絵さん以外は君が初めてなんだ。

 

「嬉しい」って? 何が…   あっ…そ…そうか…

 

(顔を少し赤らめる)

 

少しこの部屋で待っていてもらえないか?

すぐに戻るから。

(この部屋にいたらいつまでたっても調弦が終わりそうもないので…)

 

 

*  *  *

 

 

(扉を叩く音)

(扉を開ける音)

 

待たせてしまってすまなかった。

あっ、そのままで構わない。

いや、そうだな。じゃあ、こちらへ…

 

じゃあ、始めよう。

まずは、この曲から。

君は覚えているだろうか? 君と初めて会った時俺が弾いていた曲だ。

では、聴いてくれ…

 

 

 

君は今、どんな顔をして、この演奏を聴いてくれて

いるんだろうか?

 

本当は君に1000の言葉を伝えたいけれど

俺は本当に言葉にするのは苦手だから…

 

だから、この旋律に乗せて俺の気持ちを伝えたい。

一弓一弓がすべて君へのメッセージだ。

 

俺のこの気持ちを君は受け取ってくれるだろうか?

もし、君が受け取ってくれなかったら

俺の中で君への想いが溢れ出して壊れてしまいそうだ。

 

今までこれほど一人の女性(ひと)に愛されたいと

思ったことはない。

 

君だから…

君は俺にとって特別の女性(ひと)だから…

 

これから先もずっと俺のそばにいてほしい。

そして、俺の音を聴いていてほしいんだ。

俺の奏でる旋律はすべて君のものだから。

 

好きだよ…

君のことが…

本当に…

 

この気持ちは変わることはない。

いつまでも…

永遠に…

 

 

FIN

 

 
Rui Kannagi『銀の月』
http://www5d.biglobe.ne.jp/~gintuki/
 

[あとがき]

この作品は2005年2月11日(金)に開催された“Romance 

Ensemble”で限定販売本「Semi-sweet Valentine's

Day」を買ってくださったお客様を対象に2005年3/14〜

4/30まで限定公開していた蓮くんからのホワイトデー・メッセージです。

 

2月にこの企画を考えた時は八葉祭のことが全然頭になくて、企画を立ち上げてから、うわ〜、作成時間が!?

と超あせりながら作りました。その時はすごくたいへん

でしたが、今ではいい思い出です。

 

このホワイトデー・メッセージに関しては最初からお誘

い編と演奏編の2部構成にするつもりでした。ですが、

いきなり演奏を始めても何だかな〜と思って、間に演奏

準備編なるものを加えました。実際には蓮くんのことで

すから、調弦なんて香穂子ちゃんが来る前にちゃんと済

ませているでしょうけどね。まあ、そういう細かいとこ

ろはあまりつっこまないでくださいね(笑)

 

イラの方は、本をお手に取ってくださったお客様のため

にと2枚ともすごく頑張って描いたので、自分でもコル

ダイラとしては今までにないような素晴らしい出来にな

ったのではないかと思います。と言っても今までの自分

のイラと比べて…ですけどね。(^-^ゞ イラに関する詳

しい解説をご覧になりたい方は“イラスト展示部屋”の

方を覗いてみてください。

 

メッセージの方はホワイトデー、しかも特別プレゼント

ということで、コルダでは自分としてもついぞ書いたこ

とがないような砂吐きものの激甘メッセージを頑張って

書いてみたのですが、いかがでしたでしょうか?

 

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