白き日に・・

 

たとえ舞や楽ではなくても
洗練された業と言うものは美しいと思う






白き日に・・






雪の舞う中でたたずむ人影
流れるような動作で印を切り、印を踏む
大気に広がる力からあたりが清められていく









パサリ・・・・




終わりを告げるように音を立てて袖が重力に従った。
彼以外、誰もいない白の世界。
だが彼の目は一点に向いていた。

「・・・・で、どうしてここにいるのだ?」

その言葉に、ぴしっっ・・・・・と、そばにあった気配が固まった。
泰明は一つため息をつくと近くにある巨木のそばまで行った。
しかし木の手前でぴたりと止まる。

もう隠れていてもしょうがないということがわかっているし、こちらから出てくることを待っている。
あかねは木の陰からひょっこりと顔を出した。

「えへへ・・・・」

どこかばつが悪そうな笑いを浮かべながら現れたあかねに泰明が再びため息をついた。
あかねは、軽く勢いを付けて泰明に抱きつきその腕を取った。

「すごい綺麗でした」

したから覗き込むようにしていったあかねに対して泰明は軽く眉をあげる。

「ただ、穢れを祓っていただけだ」
「それでも綺麗でした・・・・・・・でも・・・・・」

あかねはふっと言いよどみ顔を曇らせた。
急な変化に泰明は不思議に思う。
頬に手をかけてうつむいた顔を上げさせ、覗き込む。

「でも、なんだ?」

困ったように顔を傾けていたあかねは優しい目と声に促されて小さく言葉をつむぐ。

「雪の白さに飲み込まれていきそうでした・・・・・どこにも行かないでください」

あかねはさらに強く泰明の腕をぎゅっと抱きしめる。
離れていくことがないように。
泰明はふと笑むとあかねを抱きしめた。

「すぐにどこかへ行ってしまうのはお前だろう?」

いたずらっぽく返された言葉にあかねはぷうっと膨れる。

「そんなことありませんっ」
「そうか?・・・・・・抜け出してきたのだろう?」
「む〜〜〜〜〜」

答えに詰まったあかねに抑えきれないというように泰明が笑い出した。
膨れていたあかねもその笑いにつられていく。
あかねの笑顔を見て泰明の目が優しくなる。
泰明はそっとあかねの肩に手を回し歩き出した。

「戻ろう」
「はい・・・・・・・今日はまだお仕事ですか?」

ピッタリと寄り添いながらあかねが尋ねると以外にも泰明は微笑んだ。

「今日は終わりだ。第一これでは仕事にならぬ」

促されて二人で見上げた空からは先ほどよりも雪の色が濃くなってきている。
と、ふわりとあかねの頭の上に泰明の片袖がかけられた。



寒さに触れさせないように、守るように。



あかねは泰明を見上げる。

「じゃぁ今日はずっと一緒にいてください」
「お前が望むなら」

笑みとともに返された言葉にあかねはうれしそうにまた泰明の腕に自分の腕を絡めた。




おりしも今日は12月24日。
大切な日に大切な人と・・・・・。

 

桂華様『水晶の華』
http://homepage3.nifty.com/suisyoubana/

 

≪桂華様コメント≫

イブということであかねちゃんが一緒にいようと泰明を探しに抜け出してます(笑)

[涙のひと言]

桂華様のサイトで『クリスマス』『お正月』の冬の企画

としてUPしていたものをいただいて参りました♪

真っ白い世界で印を切り、穢れを祓う泰明さん…もう想

像するだけでもヤスアキストにはたまらない光景ですよ

ね…でも、その美しさゆえにその風景に溶け込んで消え

てしまうんじゃないかなとふと不安を感じるあかねちゃ

ん。その気持ち、わかるわ〜 泰明さんってば美しすぎ

るもの!!p(≧▽≦)q

私も泰明さんと二人でクリスマスを過ごした〜い!!

桂華様、絵画的な美しささえ感じる、それでいてさりげ

ラブラブなお話をどうもありがとうございました!

 

 

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