スタンプラリーの旅路 1日目 後編

 

大豊神社

 

次に向かったところは大豊神社。やはりバスで行く。京都のバスは何系何系でいろ

いろ分かれていてかなり複雑。神子ミズキがいただいたバスMAPに首っ引きでい

ろいろ調べて、「次は何番か何番のバスね。」とか「ここで降りて乗り換え」とか

言ってくれるので、我が神子はとても楽だと言っていた。

神子…少しは自分で調べろ。人に頼ってばかりではダメだぞ。

コンコンコン…

咳でごまかすな、神子!

 

宮ノ前町というバス停で降りたものの、どっちへ行けばいいかさっぱりわからない。

ここで、やっと神子が旅行の前日買って来たガイドブックが役に立った。地図に

載っていた横道を見つけて大豊神社の方へ。

近くに行くと、手書きで『大豊神社 東へ3分 椿・枝垂紅梅・ねずみの社』の看

板が、す…すごく分かりやすい。

そして、鳥居をくぐり、中へ。途中にも要所要所に手書きの看板が出ていた。

そしてきわめつけは『スタンプラリー会場「はるかなる時空の中で」』の看板が…

大豊神社はかなり“遙かナイズされている”…とは聞いてはいたが、何となく嬉し

くなってしまう。

 

 

御手洗い処もただの御手洗い処と違って、椿の花が添えてあって実に風流である。

そして、そこには『椿の峰の御神水』と書いてあった。本当にこの大豊神社という

ところは細部にわたって気遣いがされていて、とても好ましいところだ。もちろん、

切り花でない椿も境内にちゃんと咲いていたぞ。

 

 

途中、お守り売り場(というか見本の珍列場?)があって、我が神子も神子ミズキ

もその中の狛ねずみの土鈴に目を奪われる。

「かわい〜〜〜〜〜い!!!」

二人の神子は声をそろえて言っていた。

 

ここのスタンプは途中の舞台の上に丁寧に置いてあった。スタンプの周りにはおそ

らくどこぞの神子が描いたのであろう八葉の絵がいくつか貼ってあった。

本当にここの遙か度はすごい。

ここでもスタンプを押しているのは我が神子たちだけだったので、ゆっくりと時間

をかけて、スタンプを押していた。ここのスタンプは詩紋。詩紋はスタンプ台の扱

いがいいのか、JTBのオリジナルスタンプ台で結構色濃く押すことができた。

我が神子が横に『京 旅の手帳』を置いて、葉書の方にスタンプを押していた時で

ある。急に見知らぬカップルが我らの方にやって来て、その女人の方が我が神子の

スタンプ帳を手にとって、パラパラめくり、

「あっ、このゲーム知ってる!!」

と言い出した。い…いったい何なんだ、この者たちは。人の物を勝手に見るとは無

礼ではないか…。我が神子もご友人神子もあっけにとられて咄嗟に言葉を失う。

我が神子が口を開く前にその彼氏の方が

「それ、人のもんだよ。」

と我らに気がついて女人に小声で言った。本当にすぐ横にいて、荷物とかも一緒に

置いてあるのに今まで我らに気がつかないとは…あきれて物も言えない。

するとその女人は

「あっ…」

と言って、我らの顔を見るとスタンプ帳を元のところに置いてそそくさと去って

行った。後には何となく妙な空気が漂っていた…

 

スタンプを押し終わると、いよいよ狛ねずみと対面だ。

「ゲーム画面の通りかわいい〜〜」

と我が神子も神子ミズキも大喜びだった。確かによく見れば、何とも愛らしい顔を

している。

 

 

右のねずみの横に絵馬がたくさん奉納されていて、見れば、何と『遙か』の絵馬ば

かりではないか! 我ら八葉の上手な絵が描かれたものもたくさんあった。

「すごい…さらさらとこんなもの描けちゃうなんて…」

と我が神子はとても感心していた。我が神子は絵を描くのにとても時間がかかるの

で…。

 

 

途中、行きに見た狛ねずみの土鈴がどうしても欲しくなった二人の神子はさっそく

社務所に向かう。社務所の前のテーブルには何と噂の『はるか通信』が!!

そして、そこには“『遙か』スタンプラリーの人は声をかけてください”(だっけ?)

という張り紙が貼ってあった。神子ミズキが呼び鈴を押したが、何も反応がない。

もう一度押すとちゃんと呼び出し音がなった。宮司さんが引き戸を開けてくれたので、

「あの狛ねずみの土鈴がほしいんですけど…」

と我が神子が言った。

「一対ですか?」

と宮司さんが聞いたので、

「はい!」

と答えたのだが、「え〜、バラ売りっていうのもあるの〜!?」と我が神子は思っ

たそうである。箱には片方に“阿”、もう片方には“吽”と書いてあった。「そう

だよね、狛犬と同じなんだから狛ねずみも阿吽なんだ〜」と我が神子は当たり前の

ことに少し感動していた。

神子ミズキももちろん一対、狛ねずみの土鈴を求める。我が神子はそれからかわい

いねずみのお守りも求めていた。

袋に入れてくれている間に辺りを見回すと、『遙か』のクリアファイルが飾って

あった。

「ねえねえあそこにクリアファイル飾ってあるよ♪」

クリアファイルはスタンプ設置箇所にはどこでも置いてあるものだが、何だかこの

大豊神社の社務所でそれを見て、二人の神子は嬉しい気分になったようだ。

宮司さんは土鈴の入った袋を我が神子に渡しながら、

「椿の花が綺麗に咲きました。」

と話し掛けた。

「本当に綺麗ですよね。」

と我が神子は返したが、何となくそれだけで会話が終わってしまった。

二人の神子は嬉しそうに狛ねずみの土鈴の袋を持ち、笑顔で会釈すると社務所の外

に出た。

 

帰り道を歩きながら、我が神子が言った。

「ねえ、“『遙か』スタンプラリーの人は声をかけてください”って書いてあった

 から、『スタンプラリーで来たんですけど』って言ったらもっといっぱいお話し

 てくれたのかな?」

「そうかもね。」

「惜しいことをしたな。お話聞いてみたかったな…」

我が神子はさかんに残念がっていた。それならば、神子、先ほど椿の話をしかけて

くれた時にちゃんと話をすればいいではないか。

「だって、私、口下手なんだもん…」

我が神子はちょっといじけてそう言っていた…

 

大豊神社の近くにはそれはそれは見事な桜の木があった。これは我が神子が4月に

自分のサイトの表紙に使わせてもらったものである。我が神子は帰ってから風邪で

ダウンしたので、実質これが今年最初で最後の花見となってしまったそうである。

そうと知っていたらもっとちゃんと見ておいたものを…と神子は後でかなり悔やん

でいた。

 

 

 

 

 

 

熊野若王子神社(大文字山)

 

地図を見ると大豊神社から若王子神社まではたいへん近いようなので、哲学の道沿

いに自然を満喫しながら散策する。途中『遙か』話に花を咲かせながら、二人の神

子は若王子神社を目指す。

 

ここのスタンプは頼久。本堂の横の机の上に芳名帳と並べて置いてあった。本堂を

参拝してからさっそくスタンプを押す。スタンプを一つ押そうとして

「わっ!?」

我が神子は声を上げた。ここの机はとてもぐらぐらしていて、ちょっと力を入れる

と本当に壊れそうだ。神子は辛うじて免れたが…危なかった。

二枚目からはより慎重に押す。ここでもオリジナルスタンプ台が残っているようだ。

少し薄くはなっているが、二人はそれを使ってスタンプを押していた。

 

 

途中、『京 旅の手帳』を手にした親子連れの神子がやって来た。押す枚数が多い

ので、我が神子と神子ミズキは場を譲って、先に押してもらったのだが、その神子

はスタンプを『旅の手帳』に押すと、挨拶もなく去って行った…

やっぱり親子連れの神子は話し掛けづらい。せっかく他の神子様とお会いできたの

に残念だ。親子連れが去ると再び残りのスタンプを押した。

 

そして、時計を見ると、すでに時間は午後3時半を回っていた。

我が神子たちはスタンプを慎重に何枚も押していたので、一箇所のスタンプを押し

終えるまでに15分〜20分ぐらいかけていた。時間が押してしまった原因はどう

やらこれらしい。当初の計画ではあと今日回る予定のところは下鴨神社、糺の森、

上賀茂神社、そして神泉苑。上賀茂神社は特に拝観時間は決まっていないし、神泉

苑は午後11時ぐらいまで開いているが、下鴨神社のスタンプ設置時間は午後4時

30分までだ。

神子たちは時間が心配になって急いでバス停を目指す。

 

バス停に着いた神子たちはバスを待ったが、待てども待てどもバスが来ない。時刻

表に書いてある時間はとっくに過ぎているのに、見通しのいい直線道路の先には一

向にバスの来る気配はない。

結局バスが来た時はすでに4時を回っていた。この時間からでは下鴨神社に行って

も駆け込みになってしまう。スタンプ設置場所もわからないので、ギリギリに着い

ても間に合わないかも知れぬ。糺の森だけでも行こうかとも思ったのだが、糺の森

はゆっくり散策したいという我が神子の希望もあり、下鴨神社と糺の森は翌日に回

すことになった。

そして、二人の神子は上賀茂神社に向かうことにした。

 

 

 

 

上賀茂神社

 

上賀茂神社はとっても清々しいところだ。入口の鳥居から中の鳥居までも結構距離

がある。そこに至るまでの道筋は芝生が広がっていて、実に広々としていて、とて

も雰囲気がよい。途中には柵に囲まれた大きなしだれ桜の木もあった。まだ、咲く

気配はなかったが、これが花開いたらさぞかし美しいことだろう。

ゆっくりと歩いて中の鳥居を抜ける。そして、念願の立砂とご対面! 思わず我が

神子は深呼吸をする。(笑)

 

 

この時点では雨は完全に止んでいたのだが、今日は雨が降ったり止んだりしていた

ので、立砂の下の方はまだちょっと濡れていた。ただ、いつもはあるはずの松の小

枝も雨のためか立ててなくて、少し淋しかったと神子が言っていた。

 

上賀茂神社は建物も実に美しい。境内には小さなお社がいくつもあった。そして、

奈良の小川の歌碑もあった。見所がいっぱいある素敵なところだ。我が神子もえら

く気に入って、写真をいっぱい撮っていた。

 

 

 

ゆっくりと散策した後、神子たちはバス停に向かう。

 

バスに乗ってから二人の神子はハタと気がついた。考えてみたら二人ともここに至

るまでまったく食事をとっていなかったのだ。もうすぐ午後6時になるというのに、

我が神子は朝の4時から、そして神子ミズキに至っては前の日の夜から何も口にし

てはいなかった。

「さすがにお腹空いたね〜」

神子ミズキが言った。

「そうだね。でも、食べてないわりには空いてないかも…」

我が神子はこの時すでに相当咳き込んでいたので、いつもより食欲がなかったので

ある。

「涙、大丈夫?」

神子ミズキが盛んに気遣ってくれた。

だが、我慢しようとすると余計に咳が出るらしい。やはりこの体調で来るのは少し

無謀だったのではないか、神子…

 

 

 

 

神泉苑

 

神泉苑のバス停に着いたのは午後6時を少し回ったころ。最初、一本離れた道を

行ってしまって、

「あれ? こんなに離れていたっけ?」

と神子たちは言っていた。

「もう一本向こうの道じゃない? 確か反対側の入口は二条城のまん前だったから。」

と我が神子が言い、もう一本先の道に入るとすぐに神泉苑の入口が見つかった。

それまで食事をしていなかった神子たちはもし、前にツアーで昼食をとった神泉苑

内にある京料理の『平八』が手の届くぐらいのものであれば、ここで夕食をいただ

こうと言っていた。

だが、当然と言えば当然だが、うどんだけでも2,500円というお値段! 他の

ものなど今回のケチケチ旅行にはとてもとてもというお値段だった。

そこで、神子たちはあきらめてスタンプと散策だけすることにした。

 

後で聞いた話であるが、この日ちょうど同じぐらいの時間に平八で、神子今日香が

ご家族と一緒にお食事をしていたらしい。何という偶然!! もう少し我が神子た

ちに金銭的余裕があれば、短い時間だけでもお会いできたかもしれないのに…今、

思い返してもつくづく残念だ。ぜひご主人様とお子様方にお目にかかりたかった…

と我が神子は言っていた。

 

まず、平八の入口の横に設置してあるスタンプ置き場に行く。我が神子たちが着い

た時は他の神子がちょうどスタンプを押していた。

 

スタンプ置き場の前にはちょうど例の竜頭の朱塗りの船があって、今回訪れた時は

その中で一家族が食事をしていた。

「へえ〜、ここでお食事できるんだ。」

我が神子たちがそちらを見ていると、前にいた神子たちはスタンプを押し終わり、

その場から離れて行った。

 

二人の神子はスタンプ置き場に行き、スタンプを押す。ここのスタンプは幸鷹と泉

水。もう辺りはすっかり暗くなっていて、手元がよく見えない。だから、後で見た

ら我が神子の泉水スタンプはかなりブレていたそうだ。我が神子はとてもガッカリ

していた。

まっ、前回のツアーの時の私のスタンプよりはましだ、神子。(byあっきー)

 

我が神子たちがスタンプを押していると別の神子が来た。そして、その神子は

「まだ時間かかります?」

と聞いた。

二人が

「あと少しです。」

と答えると、

「じゃあ、15分ぐらいしたらまた来ます。」

と言ってすぐに去って行った。

せっかく他の神子たちに会ってもどうにも話がはずまないな、神子。

コンコンコン…

だから、神子。咳をしてごまかすなと言うに…

 

スタンプを押し終えると、二人の神子は神泉苑内をゆっくりと散策した。

まず善女竜王社をお参りする。そして、神子たちは法成橋を渡る。

「あっ、願い事するのを忘れちゃった…」

そう言うと我が神子はもう一度法成橋を願い事をしながら渡り直していた。

どんな願い事をしたかと言うと…内緒だと言って、我らにも教えてくれなかった。

水臭いぞ、神子。我らになら教えてくれてもいいではないか。

「だめだよ。言ったら願い事叶わなくなっちゃうでしょ!」

…だが、神子、渡り直しで、果たしてご利益があるのだろうか…

 

 

前に行った時は気がつかなかったのだが、カップルのアヒルの看板があり、その前

に一羽のアヒルが佇んでいた。なかなかかわいかったので、我が神子はそれもカメ

ラに収めていたようだ。

 

 

神泉苑を出る時、表看板を見る。

するとガラスの掲示BOXの中に『遙か』のポスターが貼ってあるにはあったのだ

が、無残にも真ん中から切って、並べて貼ってあった。

何かちょうど真ん中にいらっしゃった方は切れてしまっているような…

もうちょっと貼り方があるのではないだろうか。これではあまり…

複雑な気分になった。

 

 

 

 

夕食

 

バス停に着き、しばらくして我が神子が時計を見ると、7時10分過ぎだった。

二人の神子は取りあえず夕食を食べに京都駅へ向かうことにした。

 

このへんの店は当然あまりなじみがないので、二人は伊勢丹デパートの上にあるレ

ストラン街を目指す。そして、いろいろ見て回った後、おそば屋に入ることにした。

この日は京の散策でも人が多かったが、ここでも人が多く、どの店も行列が出来て

いた。神子たちもそこに並び、少ししてやっと店内に入る。

我が神子は海老とろろそばを頼んだのだが、関東の味に慣れ親しんだ我が神子は出

汁のきいた関西風味のそばつゆでは少々物足りなく感じたと言っていた。

でも、ちょっとしたデザートがついていたので、二人の神子はちょっぴり喜んでいた。

 

 

 

 

バス案内所にて

 

食事の後、二人の神子はバスの案内所に翌日行く予定のルートの効率的な行き方を

聞きに行った。何しろ翌日の散策ルートは神護寺⇒松尾大社⇒下鴨神社&糺の森と

いうあっちに行ったりこっちに行ったりというすごいルートだったので、聞いてみ

た方がよいと神子ミズキが提案したからである。神子ミズキは本当に賢いな。

コンコンコン…

神子…だ・か・ら〜、咳をしてごまかすな〜!!

 

案内所で二人の神子が行きたいルートを言うと、京都弁のとてもやさしいいかにも

ベテランという女人が丁寧に応対してくれた。その女人はまるで京の生き字引のよ

うだった。すべての観光地とバス路線が頭に入っているらしい。

「神護寺に行きはるのか? なら、まず地下鉄で四条烏丸まで出て、そこから8番

 のバスに乗って…これ、1時間に1本しか出てないので…そうだ。時刻表をあげ

 とくな。」

と言って、高雄行きのバスの時刻表をくれた。

「で、次はどこへ?」

と次々に聞いて、そのたびにどこで乗り換えたらいいのか、どれぐらいの間隔で出

ているのか丁寧に教えてくれてそのバスの時刻表をくれた上に、乗り換え場所がか

なり離れているところはその場所の地図を見せてくれて、ていねいにどう行けばい

いか説明してくれた。そして、観光用のバスMAPには乗っていない市内バスの路

線図もくれた。

実は先ほど我が神子たちの目の前でちょうど上賀茂神社行きのバスが1台停留所に

止まったのだが、神子たちは一瞬躊躇してそれに乗り損ねたのだ。なぜならそのバ

スは京都駅でもらったバスMAPに乗っていなかった番号だったので。ああ、あれ

もこの市内バスだったんだなとこの時初めてわかった。この市内バスの路線図があ

れば、きっと次に京の散策に訪れた時にも役に立つことだろう。

二人の神子たちはいっぱい必要な資料をもらい、説明も受けて、案内所の女人に丁

寧にお礼を述べると案内所を後にした。

「聞いてよかったね。この時刻表、すごく役に立つよ。」

「うん。このバス路線図もいいよね。これがあると乗れるバスも多くなる。」

「本当に助かった。」

二人の神子は本当に本当に心から案内所の女人に感謝していた。

ここで、これから京に訪れる神子たちにアドバイス。もし、バスで回るつもりなら

この京都駅前の案内所は訪れて見る価値があるぞ。

 

 

 

 

ホテルにて

 

二人の神子はやっとホテルに戻った。ホテルに着いたのは午後8時30分ごろだっ

たが、もう1階のレストランは閉めているところだった。

「えっ!? この時間でもう閉店なの? あ〜あ、ウェルカムドリンク飲み損ね

 ちゃった…」

我が神子が少しだけ嘆いていた。今回のプランは格安であったが、ちゃんとウェル

カムドリンクというのも付いていて、このレストランで好きなドリンクを飲めるこ

とになっていたのだ。

せこいぞ、神子。あきらめろ。

 

部屋に戻ると神子ミズキは持って来ていたモバイルパソコンをいじり始める。

ここのホテルの唯一の欠点はコンセントが少ないこと。コンセントはベッドルーム

に一つしかない。ところが、幸いにも気が利く神子ミズキが二又(三又?)コンセ

ントを用意して来ていたので、少しは効率的に使うことが出来た。ミズキ、偉いぞ!!

 

神子ミズキがパソコンをいじっている間、我が神子は同じ日程で京を訪れているは

ずの神子沙桐姫宛にメールを書いていた。

 

京の夜を満喫してますか?

こんばんは、沙桐姫さん。涙です!京のお宿から書いてます。

今日は『遙か』の名所を一杯回られましたか?

今日はどこに行っても人が多くてびっくりしました。考えて

みれば今日は祝日だったんですね。そのわりには神子様方に

はあまり出会いませんでしたが…

私は明日は神護寺、松尾大社、糺の森を回る予定です。時間

があれば他も立ち寄るかもしれませんが…

どこかで行き会うといいですね。

それではまた!

☆涙より

 

そして夜の11時半ごろ送信!

 

その後、二人の神子はMDやCDを聞く。まず、神子ミズキがラジオが上手く入ら

なくて聞き損ねているという“ネオパラ”の石田氏ご出演の回のものを聞いた。神

子ミズキはすでに発売されているCDを聞いているということだが、本放送の時に

出て来た固有名詞にかかわるものはCD収録の際にすべてカットされていることが

判明した。

そして、次にCDではまだ発売されていない同じく“ネオパラ”の井上氏出演の回

を聞いた。

最後は神子ミズキが持って来ていた『十二国記』。これには何と我らの声を担当し

ている石田 彰氏も登場しているとのこと。我が神子は初めて聞くので、嬉しそうに

聞いていた。

だが、二人ともベッドの上に寝っ転がって聞いていたので、いつしか一日の疲れで

眠気が襲った。我が神子も

「あっ、石田さんの声だ!!」

と石田氏登場までは聞いていたのだが、その後は何となくぼんやりと聞いていて、

あまりストーリーなどは頭に残っていないそうだ。CDドラマが終わって我が神子

がベッドから身体を起こすと、神子ミズキはそのまま眠ってしまっていた。

そこで、我が神子は神子ミズキを起こさないように静かにシャワーを浴び、髪の毛

を乾かすと再び床についた…

 

よく寝て疲れを取るのだぞ、神子。風邪が少しは回復するといいな…

 

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