機械だあ と おぼろげな記憶
多段プレスという設備がある。
職場での話だった。とある試験サンプルを前に職場のS君とAさんが話をしている。
「こっちとこっちのサンプルの違いは何ですか?」
「こっちは多段プレスで作ってんねん」
「……多段プレスって何ですか?」ここで二人が私の方を見る。Aさんは多段プレスを知っている。S君は知らない。私は多分知っている。わかりやすく説明してやってくれという顔でAさん、「何て説明したらいいかなあ」
「……デスラー三段空母見たいな奴だ」
よりによって三段空母は無いだろうと思う。
多段プレスとはその名が示す通り複数のプレス板が一度に複数枚の板をプレスするという、本当にそのままの機械であったはずだが、振られたら何かしらひねりの効いた答を返したい私なのであった。今回は失敗だ。
しかしそれに対して帰ってきたS君の答えに私は仰天する。「……なんですかその、デスラー三段空母って?」
おいこらちょっと待て、三段空母を知らない?デスラー知ってるだろ、デスラー。
「……知りません」
若ぶったってダメだぞS君、同い年じゃないか。先日君もサーティーズの仲間入りをしたはずだ。
しかし知らないものは知らないのであった。確かに我々の年代はヤマト世代とガンダム世代の狭間というかどっちかというとガンダムなのである。
ここで私は回想する。
かつてこんなことがあった。
私に今の仕事を教えてくれたOpera座の客人ことNさん(ハンドルネーム不明)は、板と板の間に塗った接着剤がぬちゃあっと糸を引いたままで硬化した状態を「ガミラス星の内部みたいになってんねん」
と説明し、それで私は見たことのない板と板の間の内部接着状態を、さも断面を切断し観察したかのように理解することができたのであった。
ここで私は確認する。
あれ?ガミラス星ってどんな星だったっけか。
googleによるイメージ検索を試みるも、ガミラス星の画像は見つけられなかった。著作権やらの問題も有るのだろう。確か硫酸の海が有るのだったよなあ。ガミラス。
確かではないガミラス星の画像を頭の中に思い浮かべ、描いてみたものがこれである。
ん?これでは蜜柑ではないか。
追記(2003/6/7):音っとっとさんより画像を頂きました。ああ、こんな奴だったよなあ。三段空母。
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