数字を疑う

 

 数字で示せと言われることが多い。
 まあこれは職種に限らず言えることで、説得力を持った表現をせよと言われれば自然と数値表現をすることが多くなるということだと思う。
 例えばこんな感じである。
「君が開発したあの商品だが、どのくらい売れてるのかな」
「あの……えーとまずまずといったところかと思われます」
「いやどれだけ売れてるの」
「まあ予測よりは緩やかな出だしかと……」
「何ケース売れてるの」
ピンチだ。はっきり言って売れていないのである。
「2000位ですか」
「んん?結構出てるなあ」
引き続きピンチは続いている。ほぼ間違いなく月にどれだけ売れているかと聞かれているのだが、発売後3ヶ月の、のべ販売数量を答えているのだ。確信犯である。

数字で示さないとこんなことになる。
「これは接着大丈夫か?」
「めっちゃ強いす」
どれほど強いのかわからない。まあこの場合聞き方も悪いが。

こんなのもあるだろう。
「みんな言ってましたよ」
一体何人中何人が言ってましたよ、なのだかわからんという話である。

 要するに数字はウソをつかないから、数値表現でもって正確に物事を伝えなさいということなのだが、最初の例に有るように、数字を使って目眩ましをかますこともまた容易であったりするので、注意が必要である。

 私は自他ともに認めるややこし人間(ひねくれ者)なので、テレビや新聞のニュース、CM等に対していちいちケチをつけにかかる。
 特に以下のようなものには過剰に反応する。

「最大で30%以上もおトク」
オイオイ最低限いくらおトクなんだよ。

「売れています。前年比◯◯%」
前年に売れてなかっただけではないのか。

これはどうだ。
「レモン◯◯個分のビタミンC」
わかりやすくしようという意図から、インパクトを持たせる表現に変わってきている例である。

「通常の◯◯倍の有毒物質を検出」
出た。この手のニュースは記事の隅から隅まで読んでなおかつ信用しないこともある。よくよく読んでみるとその有毒物質も、「有毒性が指摘されている」程度のものであったりするのだ。
これについては「何百倍に濃縮したサンプル液を毎日ラットの鼻に塗布し続けたら100日後にはラット100匹のうち2匹の鼻にガンが発生した」とかいったふうに正確に表現して貰う訳にはいかないだろうか。

上記の延長線上にこういったものもある。
「環境に影響のない程度の放射能漏れ」
ああ。漏れた時点で環境には影響しておる。

学術論文の発表ですらこんなのがある。
「炭酸飲料を一日平均3本以上飲んでいる少年少女の40%以上が不良になっている」
アメリカではこういった報告がよく行なわれるそうだ。
まず不良の定義を教えて欲しい。類似多数である。

とかなんとか原稿を書きながら、「一粒でバナナ1本分の食物繊維」が含まれているという菓子を購入しちゃっている自分がいちゃったりしちゃうのであった。
ん。まあ美味しい。

 

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