合成人間の恐怖

 

 そんなこともありましたね。あの時は気持ち悪いというか、怖いというか、なんだか申し訳ない気持ちになっておりました。
 いやいや昔の話ですよ。まだ私たちが結婚する前で、もちろん娘も生まれていない。何年前だったでしょうか、もう6、7年は経っていると思います。
 その頃、私たちはいわゆる「遠距離恋愛」という状態にあった訳です。私が就職して大阪に出て来て、Qは確か東京だったと思います。 とにかくその頃の話ですね。

 確かビルの最上階だったんです。梅田のスカイビル。 そう、あれは「人体の不思議展」を見に行った時だったのでしょうか。まあ、方向音痴でもあるし、もともと大阪の人間でもないから行くのにちょっと苦労した記憶があります。梅田のスカイビルといえば、かなり大きな建物ですから、電車からもよく見えて。でもなかなか行けないんですね。ああ、あっちに行きたいのに、ビル見えてるのにいって感じでした。あれ? 方向音痴はこの場合関係無いわけか。まあ、気にしないでください。
 しかし遠距離恋愛のカップルが「人体の不思議展」に行くというのもどんなもんでしょうか。 知ってますか。「人体の不思議展」。面白かったです。人体標本がいっぱい展示されていて。ホルマリン漬けってわけじゃなくて、人体組織にエポキシやなにかの樹脂を注入して、固めてしまうのです。プラスチックでできた模型みたいでした。人体が。本物です。そういう展示ですから。標本の横に、書いてあるのです「ドイツ人女性、◯◯歳。脳の断面」とかいった風に。そこで色々考えちゃいましたです。はい。やたらと輪切りにされておりました。人体が。

 まあ、そんなこんなで恋人達の甘い時間は過ぎて行ったわけです。人体とともに。
 その後でビルの屋上だか最上階だかで、景色を観たりもしました。一応。遠距離恋愛ですし。恥ずかしいですけどそれはデエトという奴でしたから。

 さてそこに、機械が置いてあったのです。写真を作ってくれる機械です。3分写真とかそういった奴じゃなくて、なんというのでしょうか。モーフィングと言われる奴でしょうか、人間の顔が段々と犬の顔へと変わっていくとかいった効果を出すCG処理技術。あれを応用したものだと思うのですけど、「あなたの子供予想写真を作成します」というものでした。
 若気の至りというのでしょうか、いやあ至っておりましたです。その機械にお願いしましたよ、Qと私の顔をもとに、未来のお子様を垣間見せて欲しいと。

 正直可愛らしい赤ちゃんの映像は期待しておりませんでした。これは本当です。まあ自分でいうのもなんだかあれですが、私の容姿というのもほれ、あれな訳ですから。
 写真ができたところで「すまぬ。Q。俺のせいで出来が今一つであったな。きっと実物はもっと可愛いはずであるから安心するのだ」とか何とかプロポーズとも取れる様なことでも言ってなだめようと思っておりましたです。はい。

 結果。嗚呼それはそれは私の想像を遥かに越えるモノが創造されておりました。

 あのー。リトルグレイって知っていますか。

 テレビでUFO特集が放送される時に出て来る奴です。灰色です。頭でっかいです。眼もでっかいです。でも白目ありません。毛、生えていません。誰も(少なくとも番組制作者は)見たことないはずなのに、CMに行くときに、きーとかきしゃああーとか鳴き声があてられているアレです。

 そんなリトルグレイを彷彿とさせる非生物的な感じ。想像してみて下さい。
 あまりのインパクトに、用意していたセリフはどこかに飛んで行っちゃいました。Qもかなりショックを受けていたようです。
 写真? その場で破って捨ててしまいましたよ。怖かったです。

今になってもPの寝顔を見ながら、ああよかった地球人が生まれて、なんて思ったりしますね。

 Pは時々きぃーとか言いますけど。


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