エフィカス この想いを君に・・・

ハード/PS
発売日/1998年10月1日
メーカー/元気
値段/6800円
備考/-


 「ワゴンセール」という季節が過ぎて需要が少なくなったものや、古くなったり人気が落ちたりしたものを一つに突っ込んで格安で売る商法がある。
 コレは勿論ゲーム業界にもあり、人気のないゲームや人気も衰え出荷台数が多くなったゲームがここに回されることが多い。
 本作は「ギャルゲーワゴンセール四天王」を名乗っても頷けるほどのワゴン常駐者だが、実際、本作の出来はどうなのだろうか・・・

 主人公・堂田元気は、親の転勤に伴い転校を余儀なくされた高校2年生。
 むさ苦しい男子高校の生活から一転、彼はマンモス校で有名なエフィカス学園での新しい生活に心を躍らせる。
 男子校舎と女子校舎が分断されている状況ながらも、奮闘する日々が始まるのである。

 別にこれといった事前設定があるワケでもなく、主人公が舞台となるエフィカス学園に転校するところから本編がスタートする。
 この主人公、元々男子校に通っていたこともあって、かなり女性に対してアクティブ。
 男子校舎と女子校舎が分断されているという設定のエフィカス学園の中で、本編中でも彼が突飛して女性へのアプローチが多いと、よく言われているようだ。
 勿論この手の作品で女性への干渉を制限するということはないのだが、問題なのはその表現。
 この主人公、はっきり言って「一昔前のエロゲーの主人公」みたいな性格しています。
 「朝から男に囲まれて授業か・・・嫌だな」とか「やっと男だらけの世界から解放される」とか、もの凄い勢いで男を嫌悪する傾向にあるようです。
 いあ、男好きでも困るんですが・・・何というか、同性の友人すらいない主人公というのは、逆に悲しいと思うんですがね。
 男子校でトラウマになるような過去でもあったなら話は別なのですが、そんな表現は見当たらない。
 「男が嫌いで友人も欲しくない、女だけがいればいい」なんて主人公は、エロゲーだけで十分なんですよ。ヤレヤレ。
 そんな愚痴をこぼしつつ、システムをば。
 本編は主人公が転校する10月1日から、12月24日までの約3ヶ月という期間が舞台になる。
 スタイルは1日1日を重点に置く主人公移動型のアドベンチャータイプになるが、そのシステムは若干特異的なものになる。
 主人公が移動出来るのは、平日学校時の昼休み・放課後、それから休日。
 移動可能な場所は学校内と街中の各場所という、オーソドックスなものになっている(平日昼休みは学校内のみ移動可能)。
 しかし、本作が一般的な主人公移動型アドベンチャータイプと異なるところは、それが場所選択移動型ではなく、マップ移動・アクティブタイム型だということである。
 つまり、多くの主人公移動型アドベンチャータイプは、それこそ校内や街中の場所を選択→移動→キャラと会う→高感度上げ→リピートというスタイルだが、本作は実際のマップを主人公を実際に動かし、移動させるという・・・早い話が同級生タイプのゲームなのである。
 そしてその上で、本作は時間の経過がアクティブに進行する。
 マップ上を歩いているだけで時間が進むという仕様になっており(5分刻み)、その中で主人公を動かし、対象キャラと出会うというスタイルになっている。
 時間は昼休み時には12:00〜12:50、放課後は15:00〜23:00、休日は10:00〜23:00と、その中がゲームの中心になる。
 各場所に誰かがいる場合には、その対象キャラクターのアイコンが表示されているので、規定の時間内にマップ上を歩き回り、目当てのキャラクターがいる場所に向かえば、対象キャラクターと出会い会話→好感度上げ・及び条件によってはイベント、という仕組みになっている。
 通常会話による経過時間は10分で、これは誰もいない場所に向かった場合でも10分が経過する。
 各女性キャラクターもアクティブに行動しているので、一つの場所に留まっているということはないし、停滞場所に決まったパターンはないので、(とは言えキャラの特徴による頻度の差異はある)、プレイスタイルはマップ上をひたすらキャラクターを探しまくるというものになっている。
 勿論これだけでは非常に単調なゲームになってしまうので、本作も恋愛ゲームではお馴染みのデートが存在する。
 本作には「モバイル」というシステムがあり、この小型モバイルが各種システムをサポートしているのだが、自宅に帰宅している時にはセーブやカレンダーなどの確認が出来る。
 その中にある電話をかけるコマンドにより、対象キャラクターにデートの段取りをつけるというオーソドックスなものだ。
 デートは平日放課後と休日に取り付けることが出来、取り付けた場合その日付と時間割通りに、約束の場所に行くとデートモードに移行する。
 この辺りが、時間概念とマップ自動型の演出の強みだとは思うが、まぁあまりそんなことを気にすることもないだろう。
 デートに関しては当日出向く場所を決めるので(場所によってはお金がかかる)、相手にあった場所を決め、選択肢による好感度上げというものとなる。
 好感度や場所などという条件下であると、特定のイベントが発生するのもお約束だ。
 そしてお金の概念が出たが、本作ではお金が必要になる状況が度々発生する。
 お金はバイトで貯めることが出来、バイトは平日・休日特定の時間から任意に出来るようになっているので、お金に困り次第選択すれば良いだろう。
 (バイトを選択するとその日丸々潰れる、だが1時間につき1000円の収入が入る)
 ・・・と、本作は基本的に「マップ上を移動して好感度上げ」と「デートして好感度上げ」ありきで、シナリオの進み次第によりエンディングと非常にオーソドックス。
 イラストは癖がありますが、その道の人には有名な撫荒武吉氏。キャラクターも当時としては前衛的で、個人的に結構好きです。そしてシナリオもそこそこ好印象。
 ですが、本作は各所であまりいい話を聞きませんし、ワゴンセールの常連にもなってます。
 それは何故か。
 答えは単純明快、本作はブッチギリでプレイ時間が極悪なまでに長いんです。
 正当法でプレイすると10時間以上はかかります。ノベルタイプでもなくキャラクターが多い作品で、このシステムを延々とやり続けるのは、正直苦痛です。
 それから、結構イベントの条件等が厳しいです。攻略本でもない限り、全てのイベントを見ることは不可能だと思います。
 各種ロードなどの僅かな遅さもかなり目立ちますし、その上でこのシステムだと、滅茶苦茶テンポ悪い上に時間がかかってしょうがない。
 ワゴンセールに並んでいるのも、もしかしたら「誰もクリアせずに面倒臭くなって売ってしまった」方が手放した成れの果てなのかもしれません。
 その茨の道でも構わないくらい、他が良質だったら良かったんですけどね・・・

 そんなワケで、「プレイ時間が長くて面倒くさい」という最大の難所に打ち勝つための、個人的エフィカスプレイスタイルをば。
 まず攻略本を用意して下さい、これがあるだけでかなり楽になります。
 記載されているイベントは全て通過するとして、肝心の好感度上げですが、そのほとんどをデートに依存してください。
 マップ上での会話は、ハッキリ言って学校内の中庭をウロウロして、対象のキャラクターが現れた時にだけ特攻するくらいで十分です。結構簡単に上がりますから。
 そして、平日は全てバイト。バイトまでの時間は上述したように中庭でウロウロ、そしてたまにデートを取り付けるくらいで問題なし。
 休日、これもバイト。デートはイベントが起こる日・場所は確実に起こし、あとは適度に入れておけばOK。バイトコマンドにするだけで時間の短縮になります。
 ただ1キャラに絞らなければ使えない戦法ですが、これだけでプレイ時間を5〜6時間に出来ます。
 ・・・まぁ、だからどうしたと言われればそれまでなんですが。

 ・・・と、まず本作は根気と時間がある方じゃないと受け入れることは出来ません。確実に。
 プレイ時間を短縮する方法を記しておきましたが、「攻略本を使うなんて邪道」と思っていると、かなりキツイです。
 まず問題なのはその広大なマップ。大マップだけで6箇所、そしてその中でちまちまと選択できる場所があり、キャラクターによる出現し易い場所などがあるので、そのマップの構造を理解しつつ、その「出現し易い場所」のルートを構築していかなければなりませんので。
 さらに、そのプレイ時間という難所をクリアしたところで、本作が面白いのかと聞かれると・・・沈黙するしかありません、こればっかりは。
 や、個人的には結構好きなのですが、人を選ぶのは間違いないかと。
 根気と時間があり、キャラクター表現そのものに魅力を感じることが出来、主人公とシンクロしなくても問題ないと思えて、気が短くなければ多分・・・問題ないかと。
 それだけでかなり門を狭めている気もしますが、まぁこの時代の作品なんてこんなもんです。
 勿論俺は好きですけどね、最近元気が調子に乗ってるみたいなので、リメイクして欲しいものです。

追記・OPアニメーションはテロップ見る限りゴンゾ(GONZO)が担当しているようなので、かなりキレイです。
   当時CMでもよく流れたので覚えている方も多いかも・・・まぁ、そのアニメーションに騙されたという感想も無きにしろあらずですが。

追記2・ちなみに、「エフィカス」という言葉には特に意味は無く、その語呂から決めたようである。
   本来の意味は、フランス語で「効果がある」という言葉とのこと。仏語辞典を調べている時に、気に入ったので付けたようだ。



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