エターナルメロディ

ハード/PS・SS
発売日/PS・1996年11月22日 SS・1996年10月4日
メーカー/メディアワークス・シグナルライト
値段/5800円
備考/-


 色んな意味で有名な迷作・ウィザーズハーモニーのスタッフが製作した作品。
 正直不安半分・期待半分で待ち望んだ本作・・・その出来はさて置いても、個人的にはとても感慨深い作品となった。
 あの時代は良かったと、今でも思うことがあります。

 工事中の建設物を通り過ぎる際に、落下する鉄柱にぶつかってしまう主人公。
 思わず目を閉じ・・・再びその目を開いた場所は、剣と魔法が飛び交う異世界。そして自分が現実世界に戻るには、五つの魔宝が必要と知る。
 元いた世界へ還るため、3人の仲間と妖精のフィリーと共に、彼は冒険の旅へと出発するのだった。

 典型的な、異世界召還ファンタジーもの。
 今思うと出だしから脱力感満載な感じですが、この作品に「緻密な世界設定」とかを望んだらお終いです。
 雰囲気やキャラクターの掛け合いなどに最大の魅力を置いている作品なので、設定主義者な方はまず遠慮しておいた方がいいかもしれません。
 主人公はまず最初に立ち寄った街で冒険する仲間を探すのですが、対象は偶然出会った11人の女性と1人の男性に絞られます。
 危険が伴う冒険に一般市民ともいえる人を、それも年端もいかない少女を対象とする時点でおかしいと思っては負けです。
 その12人の内の3名(女2・男1)は仲間に出来ず、それぞれ強制的に冒険でのライバルキャラクターに移行。
 で、残った9人の内3人を主人公の仲間に選び、他6名は3人ずつ男・女2人のライバルチームにランダムで同行することになる。
 そして、冒険(ゲーム本編)が始まるのである。
 システムは自他育成シミュレーション+ボードゲームといった具合。
 ゲームの主な流れは街出発→育成期間→新たな街へ→(繰り返し)→魔宝ダンジョン(ボードゲーム・戦闘パート)→(繰り返し)というものとなっている。
 主人公含む4人のパーティの育成は、オーソドックスなコマンド決定型のパラメータ形式。
 それぞれのパラメータ(筋力、知力等)に対応したコマンドを実行し、それぞれを育成していきます。
 ただし、各キャラクターには得手・不得手のコマンドもあり(主人公はゲーム開始時にパラメータ割り振りが可能)、コマンド成功・失敗に影響。
 そしてコマンドが成功し続けると対象キャラクターは「自信過剰状態」になり、他キャラクターとの相性が険悪→他キャラへ悪影響。
 コマンドが失敗し続けると「自信喪失状態」にもなり、この場合はコマンドが失敗し易くなり、他キャラへも影響を及ぼします。
 他にも各キャラクター同士の喧嘩や、ノイローゼ状態などパラメータ・コマンド依存の特殊状態はかなり多い。
 パラメータ依存の状態はHP・MPなどを休養で回復すれば治り、キャラクター間の悪状態は街に訪れた時に可能なミーティングで解消出来る。
 さらに、キャラクターを育成するためにはお金を使用し、つぎ込めば効率はいいが渋ると効率が悪くなる仕様。
 お金(ゴールド)は街で選択可能なアルバイトか、ダンジョン時でのライバルキャラクターとの戦闘等で稼ぐことが可能。
 こうして見るとかなり注意する部分が多いように思うかもしれないが、辛いのは最初の方だけで、中盤以降はあまり気にすることもなく進められる。
 最初はとにかく各キャラクターを単独で育成・バイトでお金を稼ぎ、早い内にダンジョン時にライバルキャラからお金をふんだくれるようにする。
 育成時にお金をかけられるようになると、各キャラクターを同一コマンド実行→相性上がるという具合に進むので、非常に楽である。
 ダンジョン(ボードゲーム)時は、ルーレット(目押し可能)型のスゴロクで進み、誰が一番早くゴールに着くかで勝敗が決まる。
 途中止まったパネル毎にイベントが起きたり、ライバルキャラ達と戦闘になったりもする。
 ここでの戦闘は育成時のパラメータに影響され、勿論ライバルも育成をしているワケなのでそこそこ注意が必要。
 他対象キャラクターとのイベント・シナリオですが、各キャラ毎2つのダンジョンイベント(特定の期間中に発生)、3つのデートイベント(街で、対象となる場所と一定以上の好感度でデートに誘う)、2つの突発イベント(特定の期間中に対象キャラと特定のコマンドを実行)が存在。
 最終的に、イベントの成功回数と好感度によって対象キャラクターとのエンディングが決定されます。
 ただしラストダンジョンだけは必ず勝利しなければ強制バッドエンドになってしまうので、最後まで頑張りましょう。
 さらに、大きな区切りとなっている魔宝を手に入れる5つのダンジョンでどれだけ魔宝を手に入れたか・ライバルキャラを何回倒したか等のプレイ状況で主人公が現実世界に帰還・未帰還の2つの結末が用意されています。
 つまり各キャラクターエンディングはライバル含む12人×2(帰還・未帰還)種類あるということですな。
 1プレイ5時間程度ですのでさすがに全種類は辛いかもしれませんが、各キャラクター1種類づつはEDを迎えて欲しいものです。

 結構本作を難しいと言う方が多いのですが、パラメータに気をつけていれば戦闘に負けることはまず無いですし、個人的には比較的簡単だと思います。
 しかしまぁ、スゴロク時でのルーレットの目押しが出来ると出来ないとでは難易度が天と地ほど違うのは事実ですが。
 今プレイする分には、長いローディングや不親切な環境設定など不満点が見えるのは仕方ないとしても、個人的には大好きな作品。
 すでに懐古的なものになってしまいましたが、当時のユーザーだけではなく、新規ユーザーにも広まって欲しいと切に願います。
 とはいえ、やはり客観的に見て「オススメ」とは言えないかも。
 育成ゲーム好きと、キャラクターそのものの魅力に重点を置くような方にはプレイを勧めます。
 今でもファンが多い作品というのも珍しいんですよ?そういう意味では、96年作品の中でも名作とも言えるでしょうね。



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