PC-FX最後のソフトにして最後の砦だったのだが、PSにあっさりと移植。 移植の際多くのPC-FXファンの涙をさらったことで有名、あと「タイトルが恥ずかしい」と苦情がきたことでも有名。 初期タイトルはただの「ファーストキス」でロゴデザインも異なっており、個人的にはそっちの方が好きだった。 |
高校卒業を目前として、親の移転が決まってしまった主人公・水沢芳彦。 わざわざ転校するのどうかと思った彼は、父親の友人の家へ居候することに。 てっきり老夫婦が住んでいると思っていたその居候先・織倉家は・・・何と女性だけの三人家族だったのである。 |
システムはオーソドックスな主人公移動型のアドベンチャータイプで、期間は2月からの約1ヵ月。 場所移動のタイミングは平日放課後に2回(若干差異有り)と休日に2回、舞台となる街の中から選択することになる。 選択する際にアイコンが表示され、「その場所に誰かがいる」ことは分かるが、その誰かまでは分からない仕様。 対象キャラクターの出現はランダムではなく決まっているタイプなので、何度かプレイすると自然と出現タイミングが掴めてくる。 アドベンチャー部分にランダムな理不尽さもなければ、誰がいるか分かる安易なタイプでもないので、良いスタンスである。 キャラクター(男女関わらず)の掛け合いやテンポも非常に良く出来ており、ストレスの溜まらないシステムも相成ってかなり受け入れやすい。 ただし表現が少々漫画的であるので、コミカルな展開やお約束なシーンなどが苦手な人にはちょっと味付けがキツイかもしれません。 そうして対象キャラクターとの交流を深めながら好感度を上げつつ、シナリオは進んでいくのですが。 2月後半に差し掛かると主人公は決断を迫られ、現時点で最も好意を寄せている女性(クリア狙いのキャラ)を選択することになる。 さてここで選んだキャラクターの好感度・シナリオが一定以上の場合は、第1部が終わり第2部の始まりです。 本作は2部構成になっており、好感度上げのアドベンチャーが主体の1部と、各ヒロイン個別シナリオに突入する第2部があります。 基本的に2部は物語を読み進めるだけで、稀にある選択肢を選ぶことで話は進んでいきます。 コミカルな色合いが強い1部とは一変して、2部では各ヒロインに突っ込んだ結構シリアスなシナリオが展開していく。 当時としては中々意欲的な演出で、実際この急展開に引き込まれた方も多いようです。 キャラクターに関しても、システムに関しても、シナリオに関しても、何と言ってもこの作品の凄いところは良い意味で欠点が少ないというところ。 確かに人を選ぶような箇所も多々あるが、究極的言うとに完全に大きな欠点が無いのである。 本作を好きだという方もかなり多いのも確かに頷けるが、それ以上に凄いのは本作を酷評する方が圧倒的に少ないという実態。 個人的に、ある意味では恋愛ゲームの一つの到達点とも言えるかもしれません。あくまでも個人的、1つのという限定条件の下ですが。 今現在本作をプレイする手段は、PC-FX・PS・DC(U限定版)・PS2(ストーリーズ)とかなり広い。 それぞれの変更点ですが、まず基本的にPC-FX版は18才以上推奨作品なので、オリジナルとは言え他3つとは大きく異なります。 PC-FX版ではパンチラ、及び18才以上推奨と思われるイベントがいくつか存在。 それから製作元のHunexのキャラクターが登場する、ヤケに出来の良い格闘ゲームが収録されている。 他機種版では版権の問題で収録出来ないらしいが、タイトルであるヒューネックスファイターズという名前だけは登場する。 PS版は18才推奨イベントの変更、パンチラ・一部グラフィックの修正。 DC版では18才以上推奨イベントは収録されていないが、プラットホームの規制からパンチラはOKになっている。 その代わり、グラフィックの荒さが目立つのが難点である。 PS2版は今現在未プレイなのでハッキリしないが、恐らくはPS版とほとんど変わらないだろうと思われる。 そういうこともあって、古参のファンはPC-FX版以外は別物であると断言することも少なく無い。 ただしPC-FX版はハード最後のソフトの上に生産枚数の問題で、かなりのプレミアがついています。 ここは大人しく他ハードでの購入を考えた方が無難ですね。 今だと少々古臭さが目に付くかもしれませんが、それを含めて本作の魅力です。ちょっと懐かしさ漂うラブコメ漫画という匂いが。 そういうわけなので、基本的に漫画的恋愛話が好きな方にはオススメ。 上記したように明確な欠点という欠点(一方には欠点ではあっても、それを嗜好する方向もあるという意味で)はほとんど無いので、かなり万人向けな作品なのかもしれません。いろんな意味で。 ただ、ベタな部分やお約束が多く、それらを笑ってやり過ごせる懐の深さが無いとやっぱり辛いです。 あと強いて言うならキャラクターデザイン・原画を担当した水上広樹氏の好き好きで分かれるか否か、でしょうか。 確かに癖のあるイラストですが(頭がでかいとか)、世界の雰囲気によく合ってると思うので、個人的にはなんら問題はないかと。 続編でもある「ファースト☆Kiss物語U」も発売されているので、どうせなら同封版もあるDC・PS2版での購入を。 少々褒め過ぎなところもありますが、CS恋愛ゲームに手を染める上で確実にプレイしなければいけない作品の一つだとは思います。 |