ファーストKiss☆物語U 〜あなたがいるから〜

ハード/DC
発売日/2002年8月8日
メーカー/ブロッコリー
値段/通常版5800円 限定版7800円
備考/限定版には、DC版「ファーストKiss☆物語」同封


 前作「ファーストKiss☆物語」から4年、プロデューサーの口から「続編の予定はない」と言われながらも製作された後継作品。
 実際のところは続編の要望するファンの声も相成って、かなり前の段階から企画は進んでいたようである(設定資料集参考)。
 ただ・・・メーカーがブロッコリーに移ったのは正直ショックだったな・・・

 主人公・本郷路魁斗は、本郷路グループの筆頭になるために、父親から英才教育を受けてきた。
 だが父のそのやり方に反発し、彼は単身本郷路家を飛び出す。
 彼が向かったその先は、5年前に住んでいた思い出深い街、秋月市だった・・・

 舞台が「秋月市」であるところで、本作は前作と世界を共有するタイプの続編であることが伺えます。
 実際本作は前作から4年後の世界で、前作に登場したキャラクターも成長した姿で顔を見せる。
 続編の形は多々ありますが、個人的にこういう「世界を共有した上で、キャラクター一掃の数年後が舞台」の続編が一番苦手です。
 例えば本作の場合、前作のメインヒロイン・香奈が前作主人公とのエンディングを迎えたという設定になっているのですが、つまり本作は前作がそういう結末を迎えた場合にしか発生しない可能性であると共に、オフィシャルで作品世界の歴史を確定していることになる(前作におけるあらゆる可能性が否定される)のがどうにも解せないので。
 有名なところでは「同級生2」など。まぁ勿論これらは作品を展開する上での一つの方向性と納得していますから、気持ち悪がらずに・・・
 ですがそれ以外に色々思うことも少々。
 本作、上記したように前作のキャラクターがかなり登場するのですが、ファンサービスというよりは前作をプレイしていないと分からない部分が多過ぎるかと。
 いくら続編とはいえ、独立した作品として純粋に楽しめなければ駄目だと思うのですけれど。
 あまりネタバレは避けますが、本当に前作をプレイしなければサッパリ分からないシナリオも存在しますので・・・
 ちょっと前作に依存し過ぎな部分が目立ちます、それとも購買層を完全に前作ユーザーに絞った結果なのでしょうか。
 システムなど主な部分は前作を継承、ただアドベンチャー的な要素はかなり省かれた形になっています。
 基本的に選択肢によってストーリーが進むタイプになり、はっきりテキストアドベンチャーと言っていいでしょう。
 勿論対象キャラとの好感度・シナリオ進行度による2部構成、コミカルな1部からシリアスな2部への移行は健在である。
 そういうわけで、システムは前作を簡易的にしたものと思ってください。

 いい意味でも悪い意味でも、確かに続編と呼べる作品ではあります。
 ただその続編という意味合いに囚われすぎな感も否めません。
 ちょっと無理している箇所(必死に「前作のような作品」にしようとしているところ)が見え隠れして、正直辛いです。
 これなら全く別の舞台で、続編ではない後継作品を仕切り直して制作した方が良かったかもしれません。
 確かに雰囲気のソレやキャラクターの掛け合いなど、紛れも無い「続編」だとは思います。
 ただし、本当にそれだけの作品です。
 自分自身前作は好きですし、本作もその上で懐かしさと同時に面白さも理解しましたが、それ以上のものはないと思って下さい。
 本作は、「ファーストKiss☆物語U」という単品では恐らく楽しめないでしょう。
 前作をプレイした上で、さらにそれが面白いと感じた方のみにオススメです。



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