星の丘学園物語 学園祭

ハード/PS
発売日/1998年10月22日
メーカー/アトリエ彩・メディアワークス
値段/5800円
備考/-


 よくネット等で見かける本作の評価なのですが、「良作なのだがいかんせんマイナーなため・・・」云々といった内容が多い。
 個人的には十分メジャーな作品だと思っているのですが、どうやら世間的にはそれほど有名ではないようです。残念。
 しかし蓋を開けると中々の良作。いや、本当にこの頃のメディアワークスは良かった。

 主人公・村田一也は、星の丘学園への転入生。丁度、学園祭の時期と重なっていた。
 学園に慣れるためと、学園の仲間と接する機会をもつためにも、一也は様々な部活動の準備を手伝うことになる。
 無事学園祭を成功させ、そして、後夜祭の後……

 舞台は珍しく現代(98年当時)ではなく、ちょっとだけ未来の2010年。実際にはもう手が届きそうな距離ですが。
 そういうわけでちょっとだけ無茶な設定も出てきますが、未来はそうういうものと理解しておきましょう。
 システムの方は中々特異的で、かなり好感がもてる。
 期間は10/12〜11/2までの実質3週間、その中で1日に重点を置く形で話は進む。
 学園祭を成功させるためにマップ化された学園内を詮索しながら、キャラクターの好感度上げや作業の手伝いをすることになる。
 従来の主人公移動型のアドベンチャーとは違い、マップ・移動手段そのものが空間化しており、移動の際の自由度がかなり高い。
 対象キャラクターもSDキャラとして常に学園内を移動しているので、目当てのキャラも比較的発見しやすい仕様になっている。
 移動の区切りは時間制になっており、基本的に一つの場所に移動するたびに15分使用する。
 最終目的として「学園祭を成功させる」という命題があるので、キャラを追いかけているだけでは始まらない。
 各クラス・各部活へと顔を出し、それぞれの作業を主人公が手伝わなければならない。
 作業進行度は%で表示され、基本的に高ければ高いほど良い。
 作業進行度を促進させる作業効率度というのも存在し、それらは主人公のパラメータ、及び作業を促進させるアイテムの有無で決まる。
 主人公は学園の無い土・日曜日はコンビニでバイトすることになっていて、その際にどの作業をするのかによってパラメータの育成が可能。
 それにより体力・芸術・文型・理系の4つの追加効果を帯びることが出来る。
 アルバイトでは1日7000円の収入を得ることが出来、これらの所持金は購買でアイテムを購入する資金にもなる。
 作業を促進させるアイテムは、学園内で拾ったり、キャラクターとのイベントで貰ったり、購買で購入したりして手に入れることが出来る。
 それらアイテムは持っているだけで影響を及ぼすもの、必要としているキャラクターに手渡すことで影響を及ぼすものとある。
 これらを駆使して、学園祭成功への作業を効率よく進めていくのである。
 作業進行度は主人公が手伝うことによって加速しますが、勿論1度も手伝わないことも可能。
 その場合最終的(学園祭当日)には100%に届かず、そのクラス・部活の出し物は不完全なものとして発表されます。
 基本的にはこうして学園際の作業と平行して、対象キャラクターとの交流を深めてシナリオを進めていくという二重構成になっている。
 ちなみに本作、いわゆるオンリープレイというのが不可能です。
 狙ったキャラだけを追いかけ、狙ったキャラの所属するクラス・部活だけを手伝っているだけではエンディングが迎えられません。
 基本的にご機嫌取りゲームなので、こまめに全キャラクターとの交流を深めなければならないという制約付き。
 とはいえそれらは最低限でいいので、それほど気にはならないかもしれませんが。
 ついでに対象キャラクターとのEDは2種類あり、最終的にCGが追加されるハッピーEDは対象キャラクターの所属するクラス・部活が出し物でグランプリを受賞していることが条件になっている。まぁ、つまるところ完全なEDの場合複数同時クリアが不可能ということだ。
 ただし単純にEDを迎えたい(好感度だけ)のなら、3・4人程度なら同時に攻略が可能。
 本音を言いますと、無駄にキャラクター数が多いので全部が全部やってられないだけなんですけどね。

 クリア対象キャラ・非対象キャラ入れると総勢26人という大所帯作品。
 しかしただ無意味にキャラが多いだけの作品(mとかエンジェルグラフィティとか)と違い、中々キャラが立っていて良い。
 それぞれのキャラクター同士の相互関係、掛け合いなどの表現も豊富で、実に学園色に富んだ快作である。
 ただし、その学園色があまりにも強すぎて、恋愛色が若干弱めなのが難。
 そのキャラクター数の多さも強みでもあり弱さでもある、個人的にはちょっと多すぎて鬱陶しい気もしました。
 あまりにも多過ぎる人数の機嫌を取りながら話を進めなければいけないので・・・必然的にほとんどのキャラのシナリオが途中まで進んでしまうのが×。
 キャラクターの多さをものともしない構成には賞賛しますが、もっとスマートにいって欲しかったというのが本音。
 1プレイも2時間弱〜3時間程度とそこそこ短く、細かいイベントが多数発生するのでテンポも悪くない。
 2回目以降のプレイで被ってしまうイベントが多いのは弱点ではありますが、それを差し引いても面白い作品だとは思います。
 特にタイトルにもなっているように学園祭がメインなので、あの学園祭の前にある独特の雰囲気を味わいたいならオススメ。
 同系列作品に「後夜祭」もありますが、あちらは舞台をクラス1つに絞った凝縮型なので。
 「学園全体としての学園祭」を味わいたいなら本作、「クラスとして団結する学園祭」を味わいたいなら後夜祭、でしょうか。
 両作共、あまり目立たないが隠れた名作ですので、是非とも手に取ってもらいたいものです。



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