ふれあい

ハード/PS・DC
発売日/PS版2001年8月30日
メーカー/D3パブリッシャー
値段/PS版1500円・DC版2000円
備考/PS版SIMPLE1500シリーズ・DC版SIMPLE2000シリーズ


 SIMPLEシリーズ・恋愛シミュレーション2として発売された本作。
 まぁシミュレーションは銘打ってみたものの、内容に関してはノベルアドベンチャーなのだが。
 詳しくは知らないが元々は同人ゲーム企画の作品。色々と噂は聞きますが、あくまで家庭用版としてその辺は割愛します。

 主人公・矢萩俊平は、大学に落ちた一浪の19歳。
 夏のある日、姉が勤める学習塾での講師補佐を頼まれ、それを受けることになる。
 そこから話は始まる。

 シナリオ・システムなどを担当したのは、名作・ファーストKiss☆物語を製作した小澤武彦氏。
 その他、スタッフはFKSからの流れで製作に入った方も多いようです。
 FKS・同Uとの間に製作された作品で(プリズムパレットとかもありましたが・・・)、全体的な雰囲気もそれらの作品に近いです。
 あまり声を大にしては言えないのですけど、本作をちゃんとした形で製作してファーストKiss☆物語Uにした方が良かったのではと思ってます。
 システムはオーソドックスなノベルアドベンチャー、選択肢によって各シナリオが進んでいきます。
 他ノベルゲームとしての周辺機能も完備していますので、スキップやバックログに関しても問題無し。及第点以上です。
 そういうわけで必然的にシステム以外のところに評価の対象を移行することになりますが、本作は良い意味でも悪い意味でもFKSです。
 FKS未プレイの方のために記しておきますと、結論としてちょっと古臭い80年代ラブコメ漫画のテイストをかもし出している、ということ。
 キャラクターそのものの表現・掛け合い・シナリオなどに関して、そういった懐かしさにも似た雰囲気が苦手な人は止めておいた方が賢明です。
 例えば中途半端な非現実性(小澤氏十八番な部分ではありますけど)、いわゆるお約束的展開、うだつの上がらない主人公など。
 個人的な意見として、当時流行っていたハーレム系ラブコメ漫画のような感覚を覚えました。
 ですが、そんなお約束を容認出来、尚且つFKS等の狙ったかのような展開が好きな方にはたまらない一品。
 他おまけ要素も充実していて、各キャラクターをクリアする毎にもらえる「ふれあいポイント」を使い、おまけそのものを購入するシステムも愉快。
 音楽鑑賞モードや、隠しシナリオ・隠しキャラクターまで売ってますので、その辺のサービスも好印象。
 グラフィックや画面構成に関してはちょっと見づらいような印象も受けましたが、その辺も変に神経質な方じゃなければすぐに慣れるでしょう。
 とは言え、最初の方に書きましたが「ちゃんとした形で製作して・・・」という思いがあります。
 何と言いますか、シナリオの整合性・及び完結性において本作は未完成と言わざるを得ません。
 実は製作途中で無理矢理構成して発売したんじゃないだろうか・・・と邪推したくなるほど、シナリオ後半で粗が目立ちます。
 そんなわけで「物語」としての評価は皆無です、それ以外に関してはかなり好きなんですけどね。

 OPソング有りでフルボイス、CGやシナリオの力不足も見え隠れしますが1500円・2000円です。
 ことコストパフォーマンスにおいてはかなり高いです。まぁ5800円でもいいからもっとしっかり作ってくれという思いもありますが。
 高価で出来がイマイチな作品を購入するよりは、こちらを手に取った方がいいです。
 確かに上記したように人を選ぶ点も多いのですが、それでもこの安さがダメージを防いでくれます。
 例え自分に合わなかったとしても、笑い話にして済ますのも吉。
 ・・・正直、これだけ安価でこれだけのものが発売されることが一番の衝撃。「おかえりっ!」と並んで総合的に見て純粋に凄い作品だと思います。



戻る