「星の丘学園物語 学園祭」発売から4ヶ月後に、ほぼ全く同じコンセプトで製作された作品。 勿論その共通コンセプトは学園祭、とはいえ両作共似通いながらも全く別の方向性において力を発揮する快作である。 何にせよ、隠れた名作の一つだと個人的に思う。 |
半ば強引に文化祭実行委員になってしまった主人公は、文化祭当日の成功を目指し活動を開始する。 文化祭の成功という共通の目的で、結ばれていく友情……そして恋。 文化祭の終わりを告げる後夜祭、主人公の隣に立つ人は…… |
期間は10/1から11/3までの約1ヵ月で、実質のゲーム期間は10月一杯。1日に重点を置いていくタイプ。 最初の3日でまず出し物を決めるのだが、お化け屋敷と露店(たこ焼き)のどちらかに決めるため、同じ実行委員の5人の意思を導くことになる。 基本的に相手との会話での選択肢で自由に決められるので、主人公含む6人の内半数以上を占めれば出し物が決定する。 多数決において3対3に分かれてしまった際には、隠しシナリオとして人力飛行機を出し物にすることも可能。 出し物が決定したら、翌週(10/5)から製作開始である。 基本的に平日は昼休み・放課後製作・下校の3つに分けられ、メインとなるのは放課後の製作パートになる。 昼休みおよび下校は対象となるキャラクターを選択し、好感度上げに使われる。 本作には一応選択肢というものはあるが、基本的に「誘った段階」で好感度があがるので、選択肢に関しては特に気にすることはない。 期間2週目の日曜日(10/11)を過ぎれば、対象キャラクター(男女共)を翌週の日曜日にデートへ誘うことも可能になる。 まぁ男の場合はツレだって遊びにいくという形になるが・・・ そして放課後での製作パートだが、各出し物にそれぞれ6つの部署が存在し、進行度が各%で表示される。 製作の際各部署に配置出来るのは3名までで、多ければ多いほど作業がはかどるし、少なければその程度の進行しか望めないという仕様だ。 製作委員として起用出来るキャラクターはデフォルトで女3・男3(主人公含む)、最大で女5・男4まで増やせる。 その限られた人数の中で、いかに効率良く各部署に配置し製作を進行していくかが鍵になるというワケだ。 さらにその部署に配置されたキャラが男・女の場合、ラブラブボーナスといった追加効果も発生する。 ちなみにこの製作を規定(100%)以上にすることはかなり簡単で、意図的に間違った配置にしない限りまず失敗することはないだろう。 他の特異システムとしてR.E.S(レスポンス)システムというものが存在する。 これは製作パートが終わって下校までの間に発生し、対象となるキャラクターからの問いかけに肯定・否定・無反応の3つの返答を示すものである。 とは言え直接ゲーム本編に影響を及ぼすわけではないので(返答次第でEDが決まるとかはない)、特に気にせず日常に重点を置いてプレイ。 各種イベントも頻繁に発生し、1ヶ月という短期決戦型の長所を活かし飽きがこない構成は中々のもの。 出し物毎の特定イベントも結構多いので、3パターンのプレイが楽しめるというのもかなり○だ。 女性キャラ・男性キャラも同様の存在として扱われ、何というかちゃんとクラスメートとして団結している様には懐かしさにも似た感動を覚える。 主人公もかなり有性格志向(それでも限界はあるが)で、その言動にはかなり共感出来て良かった。個人的にだが。 ただし難点もチラホラ。 まずセーブ箇所が3つしかないこと、それからCGモードがないこと。特に後者は致命的である。 本作の強みの一つとして、キャラクターデザインを美樹本晴彦氏が担当したということが挙げられるが、実際に氏が原画及び修正原画を担当した本編CGが閲覧出来ない というところはかなりマイナス。 氏の絵に対しては好みも分かれるだろうが、とにもかくにも表情や描き分けがそこら辺のゲームとは段違いなので。 通常グラフィックがバストアップなのでちょっとクドく感じることもありますが、やはり上手いものは純粋に上手いのです。 やはりこの2つは痛いなぁ・・・下手に出来が良い作品なので、非常に残念です。 正直「あともうちょっと」が欲しい作品ではありますが、個人的にオススメの一品です。 キャラクターの掛け合いやグラフィック・テキストのセンス・シナリオ等も平均以上ですし、声優に関してもかなりのベストキャスティング。 何と言いますか、声優に関してはもう意表を付かれまくりのとんでもない英断。素晴らしいの一言(特に沙絵が)。 今現在廉価版も発売していますし、是非とも普及して欲しい作品の一つ。 特に本作は男性キャラクターとのシナリオ・エンディングが用意されているので、女性ユーザーにも広がって欲しいところ。 前記したように同系列作品に「星の丘学園物語 学園祭」がありますが、あちらは「学園全体の群集劇」な学園祭色が強いです。 本作は「クラスを一つとした学園ドラマ」であり、似通ってはいても主人公のスタンスや作品構成は全くの別物。 とはいえ両作とも個人的隠れた名作なので、もう少し表に出てもらいたいものである。 |