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ハード/PS2 発売日/2006年3月23日 メーカー/KID 値段/通常版・5040(税抜4800)円 限定版・7140(税抜6800)円 備考/限定版同封-スペシャルドラマCD ポストカードセット 12歳以上推奨 |
色々な意味で好評を得た、「Memories Off 〜それから〜」の続編的存在。 今まで「Ater Rain」などの外伝などを製作してきたとはいえ、単品作品という形で発売したということは、やはり人気があるのだろう。 そんな管理人も、「それから」は普通に好きです。よくまとまってるよね。 |
舞台は、「Memories Off 〜それから〜」から数ヶ月後。 いのり/果凛/雅、それぞれの、それからの物語… |
■便宜上、「続編」と上述しましたけれども。 正確には続編ではありません、明確に表現するならば、「ファンディスク」と言ったほうが正しいでしょう。 …確かに、基本的に主人公と対象キャラクターの関係が完結して終わる恋愛ゲームにおいて、そのままの続編はありえませんからね。 どこかの大作RPGじゃないんだから。 ■ファンディスクということで、収録されているのはそれからで描かれた、いのり/果凛/雅シナリオのさらに「それから」の話。 つまり、単純に主人公-一蹴とのエンディング後を、それぞれオムニバス形式で描いている。というワケだ。 残念ながら縁と葉夜は単独のシナリオを用意して貰えなかったが、一応サブとして登場はしている。 選別は人気順なのかな…?いのりと果凛はともかく、雅はキャラ構築もシナリオもへっぽこぴーだったのに…よく分からん。 ともかく、そういうことなのである。 システムはいつものノベル風。 最初に三人の内誰のシナリオをプレイするかを選別したら、あとはただのデジタルノベルという感じだ。 途中選択肢があることはあるが、複数キャラのフラグ管理等がないので、ほとんど別ルート/別イベントを見るためのものと思っていい。 ただし、オムニバスとはいえ一応エンディングがいくつか用意されているので、全く無意味ということでもなさそうだ。 他、プレイ環境は特に不満もなく快適。 ノベルゲームに必要な環境設定、及びシステムはほぼ完備です。この辺はいつものことだけど。 「Memories Off #5」で気になった、データロード画面での、セーブした場面のサムネイル表示の読み込みの遅さも本作では無く、 そこはちょっとだけ感動したり。システムは外注とか、そういうオチなのかもしれないが… あと、ちょっと音声/画像読み込みが頻繁にあり過ぎる気がする。ウチのPS2がヒィヒィ言って困る。 とはいえ、これはウチのPS2の所為って可能性も。 ともかく、プレイ自体には特に不満はありません。いつものKIDです。 ■さて、次は内容。 最初に言っておきますが、本作、これがとんでもない曲者。 何故なら、本作を「面白い」か「つまらない」かを感じるかは、全てユーザーのスタンスに預けられているからである。 つまり、合う人間は果てしなく合うし。 合わない人間は、絶望するくらい合いません。 ちなみに管理人は、後者です。それはもう、絶望という感情がこれほどまでに甘美なものと思えるくらいには。 単純に言うと、本作は「オフィシャルで作られたMemories Off 〜それから〜の同人ゲーム」です。 同人ゲームと書いてしまうと、ちょっと悪い意味で捉えられてしまいそうですが… なので、もっと正確に書くと、「オフィシャルで作られた二次創作」というのが正しいかもしれない。 うん、こっちの方がより近い。 これはどういうことなのかというと、そもそも「Memories Off 〜それから〜」において、主人公-一蹴と三人の関係は完結している。 では、本作で描かれるのは、「どういう関係」なのか。 答えは簡単、「完結された恋人関係」。 つまり…本作はシナリオが存在するとはいえ、延々と「完結された恋人関係」を描いているだけの、そういう作品なのです。 そうなってしまうと、まず恋愛ゲームにおける面白さの一旦を担っている、対象キャラクターとの関係/距離の表現は消し去る。 ついでに、主人公にしろ対象キャラクターにしろ、想いのベクトルが固定されちゃってるので、心理描写も多くは望めない。 言ってしまえば、「恋愛ゲームとしての面白さ」は皆無です。 勿論、それはいい。何故なら、本作は「ファンディスク」だから。 延々と、大した事件も、シナリオの起伏もなく、主人公と対象キャラクターのバカップルぶりを眺めるだけに苦痛を感じなければ。 好きな作品の、好きなキャラクターの、ただ単純に幸福な姿を見ることに喜びを感じるならば。 そうであるならば…恐らく、本作はファンディスクとしての責務を、ちゃんと果たしていると思う。 管理人は苦痛でしたが。 実のところ、内容にちょっと無理があるというか、原作へのアプローチが非常に二次創作的に思える。 それを色濃く感じたのは、まず「キャラクターありき」なところ。 上述したように、基本的に本作は延々とキャラクター表現を見せ付けられます。それもかなり断片的に。 刹那的なキャラクター表現、という手法は二次創作ではよく使われる技法で、「○○に○○をさせる」「○○が○○なら」という、 極めて小さいフィールドでキャラクターを再構築するというやり方です。 で、本作はどうにもそれに近い臭いがします。 関係が完結している状態で、ある程度の体裁を整えるためには、こういうやり方しかなかったというのは頷けますが… けど、それらが一応「イベント」として機能している分、まだ違和感は無いかも。 ここまでくると、邪推の領域になるかもしれないし。 この辺は、管理人が何となく感じたことです。どうにも、製作サイドで原作をどう扱っていいか迷っているような、そんな感覚が。 ■結局のところ。 良くも悪くもファンディスク、です。原作が好きな方のみどうぞ、という感じで。 ただし、原作のキャラクターが好きなんだ!というスタンスの方のみ、購入をお考えください。 間違っても、管理人のように原作の雰囲気やシナリオが好きなんだ!というスタンスの方は購入をしてはいけません。 その不自然に甘ったるい世界に、到底耐えられません。 …果凛とかは素で好きなキャラだったんだけど、それでも駄目でした。 あまりにも関係と場が完成されすぎて、原作の過程上で描かれた魅力が一切描かれてない。 何故なら、本作で描かれる彼女らは、原作で最後に見せた姿のまま移行するからだ。 本来はカタルシスの果てに表現されるキャラクターが、過程なしで描かれるんだもの。この辺も二次創作的、なのかもしれない… ファンとしての共有意識に、ある程度の情報を依存してるっていうことが。やり方は間違ってるとは言えないけど… それでも。 メモオフのグッズとかを素で買ってしまえるような信者なら、楽しめるとは思います。 管理人は、別にメモオフに関してはキャラが好きっていうよりも、雰囲気が好きって比重が大きいからなぁ… 内容に関してはちょっと残念だったかな、値段が少し安めだったのがせめてもの救いかも。 ■本作には、「プリント機能」というのがついてます。 これは、PS2と周辺機器のプリンタを直結させて、ゲーム内のCGを印刷出来るという、需要性がいまいち分からないシステム。 「Memories Off 〜それから〜」のデータが存在するメモリーカードからデータをコンバートすれば、原作で使われた CGもプリント可能。 |