Missing Blue

ハード/PS2
発売日/2001年7月26日 廉価版・2004年7月22日
メーカー/トンキンハウス
値段/6800円 廉価版・2800円
備考/初回限定版有り・ボックス仕様、トレーディングカード封入
   廉価版有・廉価版のみ18歳以上推奨


 Lの季節スタッフが製作した本作。
 雰囲気や世界設定などもLの季節のそれに近く(実際の設定としても接点が存在する)、良い意味で続編とも言えるかもしれない。
 まぁ問題は、あの極悪なプレイ時間も引き継いでしまっていることだが・・・

 主人公・牧村功司は、聖遼学園に通う高校2年。恋人(モドキ)の瑠羽奈や、幼馴染みの沙夜と何気ない日々を過ごしていた。
 そこに現れた転校生・瑞希……彼女から不思議な水晶を手渡される功司。そして彼女は呟く。
 「思い出して……」と。

 システムはいたって普通のノベルアドベンチャー、Lの季節のように見計らって口出しするようなシステムはありません。
 これでスキップ中に誤って選択肢を逃してしまうという事故が無くなったワケです。
 ただし似たようなシステムとして、IPS(イメージプロジェクティブシステム)というものがあります。
 これは特定の状況に発生する選択肢で、主にその選択肢の内容が主人公をとりまく世界の構成を主人公がイメージするシーンで発生します。
 例として、「○○という店がどこにあったか」といった問いに主人公が「どこにあったか」を思い出す(イメージ)するということになる。
 このIPSは結果的に通常の選択肢となんら変わりはないのですが、本作の世界設定に大きく関わってくるのでここでは割愛。
 他にはLの季節と同様のものとして、ブロック毎に区切られたシナリオ・選択肢で区分されたシーンの視覚的表示を搭載。
 そのブロック数の多さには滅入るほどで、全ルート制覇には総プレイ時間がとんでもないLの季節よりもかかることは必至なのでご注意を。
 ある程度プレイしてみて、ハマったのなら根性で全制覇、ちょっと入りにくそうだとしたら早めに切り上げた方がいいかもしれません。
 ちなみに自分は後者でした。
 やればやるほど作品の奥深さに気付かれる・・・等々、魅力的なキャッチコピーもあるのですが、まずそれ以前の問題にぶつかりました。
 最初に目についたのは、恐らくは演出として行われている画面の無駄な動きやSEです。
 特にウィンドウアクションにはイライラしました、勿論周辺設定でON/OFFに出来るのですが、初回プレイでの悪い印象は拭えません。
 他スキップ時に読み込むような効果音、画像演出にはどうにも慣れずに、最終的には音声・SEはOFFでプレイしていました。
 勿論これは個人的に思ったことですし、こういった演出が好きな方や、必ずキャラクターの声を聞く人には関係ないかもしれません。
 今現在もう本作には手を出していない状態なので、改めて設定を変えて始めれば、また別の思いを抱く可能性もありますしね。
 そして問題の世界設定、及びシナリオなのですが、これは人を選ぶとかそういうものなのかどうかすら怪しいです。
 別にそんな度の過ぎた怒涛の泣けるシナリオが展開するワケでもなく、無意味に難解で抽象的な表現で埋め尽くされたシナリオがあるワケでもない。 いたって淡々な日常の中に、設定に基づいた僅かばかりの謎をほのめかす表現がちらほらと見受けられるオーソドックスなものです。
 何でしょう、自分自身それほど前記したようにプレイしたわけでもないので、大きな声では言えないのですが・・・
 全くもって奥深さの欠片もない世界設定の上で、許容できる範囲のちょっといい話が展開する。その程度の気がしました。
 確かに話はまとまっていて良い出来だと思います、テキストがちょっと読みにくいのが難点でもありますが。
 ただその展開していくシナリオ上で明かされていく世界設定というのが、期待外れというか・・・驚きのない「ああ、そうか」というような。
 意味深なキーワード、不可解な言動をするキャラクター、かなり魅力的な展開をするのですが、その最終地点で拍子抜けたのが正直な感想です。
 ですので、どうにも盛り上がる部分で盛り上がれずにエンディングを迎えてしまうのが悲しかったです。
 や、勿論もっとルートを制覇していけば、もっと凄い世界設定が待っているのかもしれませんが・・・
 そこまでして世界を知ろうと思わせないところで、駄目だと思うしかないようです。

 何といいますか、キャラクターが世界で生きているという感じがなく、世界にキャラクターが生かされているという感じもありました。
 どうもこの世界設定を伝えることに重点を置きすぎて、キャラクターが希薄になっているような。
 世界設定が刺身なら、キャラクターはそのツマ。そんな印象があります。
 確かに設定に基づいていいシナリオを展開するキャラクターもいます、正直グッときたキャラクターもいました。けれども・・・
 そのキャラクターやシナリオそのものが、世界設定を伝えるためも道具になっているのが、非常に残念です。
 これらは勿論個人的見解なので、いささか度が過ぎた解釈をしているかもしれません。反省。
 良いところをくみ上げて言うならば、まずキャラクターデザインを担当した渡辺明夫(ぽよよんろっく)氏が好きな方はどうぞ。
 それから純粋にLの季節が好きな方にもオススメ、まぁそういう方はすでに購入していると思いますが。
 少し個人的に駄目だと思う部分を強調して書き過ぎましたが、実際のところ普通にプレイする分には平均以上の面白さは体験出来るかと。
 今現在は手に入りやすい値段になっているので、軽い気持ちで購入してみるのもアリかと。
 世界の全貌を制覇するには躊躇するかもしれない作品ですが、純粋に各エンディングを迎える分には面白い作品だと思います。

 最近になって廉価版が発売されたのですが、何故か18歳以上推奨作品に。
 そんな規制喰らうような過度の表現なんてあったかしら・・・落ち着いたらもう一度プレイし直して見るのも悪くないかも。



戻る