夢☆色いろ

ハード/PS
発売日/1998年7月30日
メーカー/フェザード
値段/5800円
備考/-


 知名度や販売台数の低さではトップクラスの一品。
 作品の存在自体も知らないという人や、知ってはいてもどこにも売っていなくてプレイしたことがないという人も多いようだ。
 まぁ・・・それほど必死になってまでプレイする必要のある作品ではないけれど。

 夢美が丘学園高等学校へ33期生として入学する主人公。
 学園生活を送っていく一方、彼(彼女)は夜眠っている間に色々な夢を見ることになる。
 それは夢だけの物語・・・?

 この作品の珍しいところは、ゲーム開始時に主人公を男か女か選択出来るところ。
 それによって、登場するキャラクターが友人になるか恋愛対象になるかが決まります。ちなみに同性は恋愛対象に出来ません
 あとは、何と「主人公の名前をキャラクターが呼んでくれる」というシステムも積んでいます。
 ですが、告白シーンなどといった重要なシーンでしか喋りませんし、何より名前を呼ぶためのシステムそのものが酷い出来です。
 「名前を呼ぶ」と聞いて、まず皆さんが思い浮かべるのはときめきメモリアル2や同3などに搭載されたEmotional.Voice.System(E.V.S)でしょう。
 詳しくは知りませんが、このE.V.Sは収録された数多の音声を頼りにして、独自に違和感の無い呼び名を構成・導き出すといったものです。
 そして結果として発せられる音声は、ほとんど日常会話で用いられるような自然さで、ユーザーの耳を驚かせました。
 そこで話は戻りまして、この本作が搭載した「名前を呼んでくれるシステム」なのですが・・・
 ただ単に50音を高低差別に録音し、一音一音を読み込んで発音しているだけという・・・何とも言えない仕様になっています。
 とても機械的で、感情のないその呼び方には・・・やり切れなさを感じることはあっても、喜びを感じることは無いと言っていいでしょう。
 ゲーム本編のシステムは、オーソドックスな自己育成方のシミュレーションタイプです。
 ですが、その育成の結果は数字化されません。では、どうやって主人公の育成状況を確認するのでしょう。
 まず体調や運動力・容姿などのパラメーターですが、これは主人公の部屋に置かれている鏡を見ることによってチェック出来ます。
 ただその表記は「人並みの体力はあるぞ」「顔はいいんだけど服装のセンスがなぁ」など、いまいち掴みづらい。
 そして学力系のパラメーターですが、これは中間・期末テストでの結果を参考にするしかありません。他に知りえる手段は皆無です。
 本作のゲーム期間は3年間なのですが、一年間に5回しか自分の育成状況を知ることが出来ないという素敵設計。
 恐らく、実際(リアル)では数字化出来ないということを考慮して、ゲーム内にリアルさを取り入れようとしたのでしょうけど・・・
 ゲームであるということと、リアルであるということを把握していない証拠でしょう。明らかに失敗です。
 通常の自己育成タイプは数字化されたパラメータを見ながら、スケジュールを決めていくことに面白さがあるので・・・スケジュールの破綻には難有り。
 そういった日常パートに関しては不親切極まりないシステムを積んでいる本作ですが、他特色として夢パートというものが存在する。
 これはゲーム進行時ランダムで発生し、それは主人公が見る様々な夢として表現される。
 その夢の中では主人公は小説家を目指す学士だったり、姫を守る騎士だったりと内容は豊富である。
 そしてその夢には、現実世界のキャラクターがこれまた様々な登場人物で現れ、独立した物語として展開していくという仕組みである。
 つまり現実の日常パートの他に、キャラクター達が特殊な設定でまた別の物語を描いているという多面性を表現したかったのだろう。
 夢パートはいくつかのセクションに分かれており、大体1つの話が3回くらいの夢で終了し、それは単独の物語として完結する。
 この夢パートと現実世界のリンクや影響に関してはよく分からないが、まぁ・・・製作サイドのお遊び程度のものと思っても問題はないかと。
 ・・・いや、特筆するべきなのだろうけど、大して特徴があるシステムというわけでもないので・・・
 こんな風になんとも煮え切らない日常と、どう考えても武器にもならない特殊システムを積んだ本作なのですが。
 ゲームとして面白いかどうかと聞かれたら、やはり個人的にはつまらないと答えるしかないと思います。
 男女ともに楽しめるゲームとしても、特に取り上げるところもなく、ただ対象を変えただけのコピー品のようにも感じますし。
 育成が育成の面白さを発揮出来ないシステム、パッとしないシナリオ・テキスト。
 一体どこを評価していいか分からない作品というのも、珍しいですね。

 作品自体の存在が珍しい、という希少価値でしか評価出来ないような作品です。
 ほとんどコレクターズアイテムなので、安ければ購入する・・・程度の認識で問題ありません。
 勿論本作を純粋に面白いと思える方もいると思いますけれど、とりあえず俺は楽しめませんでした、と記しておきます。
 色んな意味で笑える個所はありましたが。特に声優関係で。
 男性声優陣は今考えるととんでもないぐらいの揃いぶりで、女性の方は声優目当てで購入してもいいかもしれません。
 それに反して女性声優陣は・・・何故か代表作に「ウィザーズハーモニー」と書かれるような方が、さも当然のように演じています。
 もう、この差は一体何だろうかと。
 こんなお金の使いどころを完璧に間違っている本作を製作したフェザードですが、CSで発売されたソフトはこれ一本だけです。
 今は何をしているかと心配になりましたが、以前某恋愛ゲームのEDテロップに社名が表記されていたので、一安心。
 ・・・また恋愛ゲームを製作して欲しいですね。
 本気で。

追記・「夢☆色いろ ファンクラブ」について詳細をご存知の方は、情報をいただけると幸いです。
   ・・・そもそも、会員がいたのかどうかすら怪しいですが・・・



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