オフサイド対策
ねらい
・オフサイドのルールを覚えさせる
背景
サッカーのルールの中で一番難しいのはオフサイドかもしれない。いつも応援に来られるお母さん方に聞くと大抵はよく分からないと言う。分かっているようでなかなか正確にルールを説明できる人は少ない。理解していてもきわどい瞬間に判断しなければならないこともあり、正しい判断は難しい。そんなに難しいことを低学年の子達が理解できるだろうか?そう思って4年生位まで教えずにいると試合のたびに子供達はわけが分からないままコーチに怒られっぱなしである。こういうことは早めに教えておいた方が良いと思うし、うまく教えれば案外簡単に覚えてしまうかもしれない。
それともう一つ理由がある。西地区のU-8リーグ戦ではまだオフサイドをとらないことにしている。ところが、キーパーの近くで待っているとおいしいボールが転がってきて簡単に点が取れることに味を占めてしまった子が数人出てきた。これがクセになってしまったら直すのは非常に大変であり、早目に教えておくことにした。
1.オフサイドの説明とクイズ出題
口で説明してもなかなか理解しずらいので、試合中によくオフサイドになる子を使ってクイズ形式で説明することにした。
「それでは今からオフサイドの説明をします。簡単に言うと敵の陣地内(ハーフウエーラインより前)で前方にキーパーしかいない(相手選手が2人いない)所で待ち伏せをしていると、大抵は後から味方のパスをもらってオフサイドになります。」
「試合中によくオフサイドになるチカヤ君に見本になってもらいます。」
(1) キーパーの近くで待ち伏せしているとオフサイドになりやすい
「それではチカヤ君、最終バックラインよりも前の方で待ち伏せしてください。」
「さて、第1問です。チカヤ君が待っていた所に後ろから味方のパスを受けました(1-2の場合)。オフサイドだと思う子は手を上げてください。」
この場合はほとんどの子が手を上げた。「オフサイドが正解です。」
「さて、第2問です。チカヤ君、今度はパスをもらいに最終バックラインよりも手前まで戻ってきてください(1-3の場合)。」
「これがオフサイドだと思う子は手を上げてください。」
今度は手を上げる子は少なかった。
「分かりにくいですが、オフサイドは蹴った瞬間の位置で決まるので、オフサイドが正解です。蹴った瞬間、チカヤ君はキーパーの近くで待ち伏せをしていました。その後最終バックラインより手前に戻ってパスを受けましたが待ち伏せしていた位置でオフサイドを取られます。」
(2) 走りこんでパスを受ければオフサイドになりにくい
「さて、第3問です。今度は自分の前にキーパーも入れて敵が2人いる所でチカヤ君が走る準備をして待っています。そこへ味方のパスが最終バックラインの後ろに出ました。チカヤ君は走りこんでこのパスを受けました(2-2の場合)。オフサイドだと思う子は手を上げてください。」
今度は数人の子が手を上げた。
「この場合はオフサイドではありません。なぜかというと、蹴った瞬間はチカヤ君の前に敵が2人いたからです。蹴った瞬間に前に敵が2人いれば、その後で前にキーパーしかいないところに走りこんでボールに触ってもオフサイドにはなりません。」
(3) ハーフウェーラインの手前でパスが出るのを待っていればオフサイドにならない
「さて、第4問です。今度はハーフウェーラインより手前でチカヤ君が走る準備をして待っています。そこへ味方のパスが前方に出ました。チカヤ君は走りこんでこのパスを受けました(3-2の場合)。オフサイドだと思う子は手を上げてください。」
今度は数人の子が手を上げただけだった。
「この場合はオフサイドではありません。なぜかというと、蹴った瞬間、チカヤ君はハーフウェーラインより手前の自分の陣地にいたからです。蹴る瞬間まで自分の陣地にいればオフサイドにはなりません。」
(4) パスが出る前にボールより手前にいればオフサイドにならない
「さて、第5問です。今度は大人でも間違えてしまうかもしれない難しい問題です。コーチがドリブルで最終バックを抜いたところにキーパーが前に出てきました。この時チカヤ君は左サイドでボールのラインよりも手前にいてパスを待っていました。そこへ味方のパスが左前方に出ました。チカヤ君は走りこんでこのパスを受けました(4-2の場合)。オフサイドだと思う子は手を上げてください。」
今度は半分以上の子が手を上げた。
「この場合はオフサイドではありません。なぜかというと、蹴った瞬間、チカヤ君はボールのラインより後ろにいたからです。蹴る瞬間までボールの後ろにいれば前に敵の子がいなくてもオフサイドにはなりません。」