古臭いと言わず観て下さい。面白いのです
ハリウッドの新作もいいでしょうが、昔の映画も観て下さい
過去の積み重ねがあって、今があるのです
当時の世相を振り返り、私が思った諸々を、とりとめもなく語ります
今月のこの一本 |
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若く明るい歌声に 「六月の、ある、晴れた日曜日の午前であった」で始まる石坂洋次郎の原作は、昭和22年6月9日から10月4日まで、朝日新聞に連載され、人気を博した。映画化されて封切られたのは昭和24年7月19日。映画も空前の大ヒットとなり、初日、渋谷東宝は一日で一万人の入場者数を記録したと言います。 しかし、オープニングの場面からして原作とは異なるではないか、と言われれば返す言葉はありません。が、駅前と船着き場前、米と卵…としても、漂う雰囲気は少しも変わらないはずだと思います。 |
講談社「昭和二万日の全記録」から
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卵一個15円、正規で買えば20円ぐらいと言いますから当時とすれば貴重品。小学校教員の給料が4千円ぐらい、国家公務員上級職に合格した大卒初任給が4千800円ぐらいの時です。原作(昭和22年)では米一升50円、普通は80円となっています。タイヤキ5円、アンパン・ジャムパン10円、銭湯代10円と比較しても高い。確かに我が幼少の頃を思っても、卵は病人が食すもので、ゆで卵は遠足と運動会というはれの日の食べ物でした。雪子が沼田に贈ったバラは一本百円、高価です。 自転車が頻繁に登場します。銀輪を連ねて海辺へのサイクリング。まさに青春。前輪泥除けに燦然と輝く「光」のマーク。あの自転車は丸石か、宮田か… 「青い山脈'88」は観ていないので語ること無し。。リメイクの帝王・西河克己監督の「青い山脈」、それはもう正真正銘の日活青春映画。脚本に井手俊郎が参加していても、日活色は消しようがない、と言う作品です。 端的に言って、今井作品は大人の観賞に堪えるが、西河作品では無理でしょう。私にとって、新子は杉葉子、六助は池部、雪子は原節子、沼田は竜崎でなければなりません。さらに、ガンちゃんは伊豆肇以外になく、梅太郎に至っては木暮実千代しか存在しないと思っています。岡本先生役の藤原釜足も、「変しい、変しい新子さま」と、ラブレターを読み上げる場面と共に忘れることはできないでしょう。
(2002.04.01) |