[北行庵]  HOMETRAVEL
ニュージーランド紀行〔2日目〕2000/10/23 火曜
南島クライストチャーチ着、市内観光ツアー
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約10時間の飛行の後、現地時間の11時にクライストチャーチ 国際空港に到着した。入国審査は簡単に済み、スーツケースを受け取り、 待合室に出たら旅行社のガイドが出迎えてくれた。パック旅行のことで同行 のご夫妻が一組あり、ガイドが互いの紹介をして、すぐ8人乗りのボックス カーに案内された。午後はすぐ市内観光である。

クライストチャーチ市内観光 Page Head ▲


南極センター:  まず、空港近くの南極センター(Antarctic Center)だった。クライストチャーチは人口32万人の都会で、南極までは約3800Kmしかなく、飛行機で5時間のところに位置する。この理由でアメリカやイタリアなどの国々が南極観測隊の本部を設置しているそうである。オゾン層破壊の影響も受けやすく皮膚ガンの発生率も高いので、必然的に南極への関心も高いようだった。南極センターそのものは普通の展示博物館で中規模程度だったが、あくまで観光客としての感想であり、当地での象徴的な存在感は大きいものであろう。

土産店:  次は、パック旅行に付き物の土産店であった。「ワイン」に力を入れ、試飲できる店だったが、良質なウール製品で知られるお国柄だけにセーター類も結構並べていた。試飲して昼から赤い顔をするわけにも行かず、最初の店での買い物も難しい。ただの冷やかしで終わった。1時30分頃ここを後にした。

モナ・ベール:  今度はモナ・ベール (Mona Vale Hoestead) と呼ばれる旧邸の庭園につれて行かれた。規模は大きくはない。高級住宅街を流れるエーボン川沿いに小径があり春たけなわの庭園を歩いて邸宅へ向かった。川面には水鳥が遊び、あちこちに見事なシャクナゲとレンゲツツジが色を競い、満開の草花も歩道を飾り、芝の緑が心地よいすばらしい小公園だ。以前は個人のお屋敷だったそうだが、よくあるように今は公的所有となっている。建物はレストランとか結婚式場に利用されているが高級なので予約無しでは利用できないそうだ。 

エーボン川:  脱線するが、ロンドン、パリ、ニューヨークなど大都会の多くには川がある。32万都市のクライストチャーチにはエーボン川がある。なんと愛らしき川であろうか。川幅は10〜15mぐらいなもので、自然にして手入れが行き届き、まるで絵に描かれた川である。オックスフォード大学クライストチャーチ学寮の人達が指導者として入植し理想郷を作ろうとしたのがこの街の発端だそうだが、この川と街並みを見ると信じられる。この公園の部分だけではなく、見た限り市中のどこでもすばらしい。美しい川とはエーボン川のことであろう。 

「心が形を作り、形が心をつくる」とすれば、ただの清流をここまでに仕立て上げたクライストチャーチの人々の「心」を伺い知ることができよう。さらに、川沿いの各種の建物、その先の住宅街と数々の低中層ビル群、それらを結ぶ道路、多い緑と咲き乱れる各種の花、全てにその「心」は現れていた。そして結果としての「形」が訪れる人々に感銘を与え、「綺麗な街」の評価をつとに高めている。
ここに一年以上住み、この環境に慣れ親しんだ後に他の国の 都市を訪れたらどんな印象を持つだろうか?しかし、エーボン川も時には 洪水のいたずらもするそうだし、冬には「頑固な英国気質」に基づく暖房の 煙で臭く汚いとの話も聞いた。第一印象とは違う面もあるのだろう。

ガイドの説明では、ここの人達は住居を3年ぐらいで変えることが多いそうだ。英国系の人達のこと、自分で手を加えて付加価値を増し、有利な時に売却して生涯の住居費を安くしようとするのだろうか。それとも、増改築の手仕事が趣味で、完了すると次の中古住宅に移り住むのだろうか。何れにせよ、クライストチャーチでは庭・プール付きの中古住宅が1000万円以下で購入できるという。 

ここの人々は園芸も好きで、シャクナゲが多く植えられ日本では希な大木になっている。木蓮、はなずおう、八重桜のような馴染みの植物も多く、違和感のない清潔な住宅街である。
庭の手入れを怠り枝が伸びすぎたらどうなるか。 お役所から注意を受ける。それでも放置して藪園にすると、役所が無許可で庭職人を送り勝手に手入れをする。そして受け取るのは、請求書。文句は言えない。 個人の庭も綺麗なはずです。 
そんな住宅街を見ると、日本の大資産家など別荘を持つには適していると思われた。季節は逆さま、南島の自然は日本とは全く違うスケールである。東京から数時間の同じ焦熱地獄に家をもって、「別荘でござい」は国内向け、小さい印象はいなめない。「日本人の心」が「形」を作っているのであろうか。イエ、ナニ、単なる僻みです。

大聖堂:  市内観光は中心部にある大聖堂(Christ Church Cathedral)となった。英・国教会に所属するこの地の中心的大寺院だが、欧州の著名な大聖堂と比するとこじんまりしたものである。カンタベリー、ウェストミンスター、セントポールなどの大寺院から受ける印象や感銘は期待していなかったが、その通りの結果であった。歴史ある奈良の大仏殿と明治維新後の都市の寺院の違いと同じである。しかし大聖堂は街の地理的中心にあり、精神的な象徴であろう。静かに参観させて頂いた。こんな大寺院ながら、首席司祭1人と数百名のボランティアで運営されているという。しかも、ここでは超宗派的に行事が行われるそうで、いわする教会活動の範囲を越えている。行事の呼び物は24人構成の少年聖歌隊とパイプオルガンとか。
見学の終わり頃、聖堂関係者らしき2人が「Thank you!」と声をかけたのは驚きでした。15年ぐらい昔、宗教関係の白人婦人が拙宅を突然訪ねてきて、「私、ニュージーランドから来ました」と一言だけ残して帰った不思議な出来事が思いだされました。3時頃、大聖堂参観を終えました。

追記(2016.09.12): 石造りのクライストチャーチ大聖堂は2011年2月に発生した大地震でその建物の約3/4が崩壊しました。名物の大聖堂が失われたことは残念なことです。修復も検討されたが、解体が決まっているようです。
現在は日本人建築家の提案による「クライストチャーチ・カードボード大聖堂」と呼ばれる段ボール製の建物が6〜7ブロック東に作られ、大聖堂として一時的に使用されています。[終]

大聖堂前の広場は憩いの場で、いろいろな人達が休んでいる。黒ガウンに黒い尖り帽子の年輩の男性が何やら演説をぶっていた。魔法使いの街頭演説!どこにも暇人はいるもので、5〜6人が耳を傾けていた。VWの前半分をくっつけた黄色い改造車が聖堂前にあったが、この魔法使いの自家用車なのだそうだ。ここが職場で毎日来ているので、クライストチャーチの名物の一つとか。ロンドンはハイドパークの生まれかも・・・。

広場には、くちばしと足は赤く体は白い鳥が沢山いた。ハトのように餌をもらう姿をよく見ると、小さい水掻きがあり、カモメのような顔付きと目付きだった。海には少し距離があるが・・・。 

トラム:  パンティングと呼ばれるエーボン川のゴンドラ乗りがセットされていた。が、市内電車で中心部一周のコースに変更となった。軌道は一方向のみで、エーボン川を中心に川の東西に数ブロックづつ、南北に2ブロックを走り中心部を一周する観光用のチンチン電車である。レトロな電車は私の地元でも走っているが、それよりかなり大きい車両だった。数十分の乗車でも街の雰囲気はかなり眺め知ることができる。テーマパークのそれとは違い、こちらは本物である。通りには電柱と電線は見あたらないが、電車用電力線は張られている。支柱の上部で腕が軌道上に伸び電線を釣り支えているが、横に伸びる腕が優雅な曲線で街の雰囲気に良く合致している。途中で運転手交代に手間取り時間がかかった。3時35分頃、出発点で下車した。

ホテル Page Head ▲

これで今日の市内観光は終わり、植物園などがあるハグレー公園をはさみ繁華街の反対側のホテルに案内された。カントリークラブ風の2〜3建てのホテルで都市型ホテルとは感じが違う。正直な第一印象は「こりゃ、古くさい宿につれてこられたナ。」しかし、小さい玄関を入ると立派な応接セットの並ぶホールである。左奥にこじんまりしたフロント、右側はレストラン等、その間の応接セットの向こう側は池のある中庭、その向こうはカフェテリアだった。ガサガサした雰囲気は全くない。日本の高級旅館の風情ともいえる。ガイドの説明どおり当地の最高級結婚式場 (パーティー会場)の一つであろう。

2階の部屋には階段を上がって行った。階段・廊下も広くはなく複雑に曲がってやはり昔風の旅館と共通するところを感じた。入室(206)は16時25分頃だった。ダブルベットのツインで、バスルームも大きく、清潔な感じのする部屋だった。日本のホテルにはないスチームアイロンとアイロン台があるのも気がきいている(これは利用した他のホテルでも同じだった。) 2晩過ごすこの部屋に大満足した次第である。

黄昏の散策と夕食 Page Head ▲

一休みして夕食に出かける予定だった。適当なレストランをガイドに聞いてみたら、大聖堂広場から歩いて行けるところを3つほど地図にマークしてくれた。このホテルの食事も勧められるとのことだった。当地の人達は木・金・土にお金を使ってしまい、月・火・水は外食しないのでレストランはがら空きだそうだ。経済と生活行動が一致して、市民の真面目さと保守性を感じさせる話である。

6時頃にフロントでタクシーを呼んでもらった。来たのは箱形のタクシーで8人乗りだった。思わず、「これが、2人用のタクシーか?」と言ってしまった。後部ドアーを開けてくれた運転手はおかしそうに笑っていた。大聖堂広場までは7.60ドルだった。運転手は降りてドアーを開けてくれた。チップを1ドル渡そうとすると、「ニュージーランドではチップは不要だよ」と言い、受け取らなかった。ニュージーランドの人達は日常はチップは渡さないようである。旅行者は欧米と日本の中間と考えて、レストランでは釣りの小銭をチップにする、良くしてくれた運転手とかホテルで荷物運びを頼んだ人には渡す、等の気遣いは必要な場合 も有るようです。

また脱線ですが、日本は本当にチップの不要な国でしょうか。
欧米ではチップは給仕、タクシー運転手、ホテルの接客係り、等々の顧客担当者に「満足以上のサービスを受けたとき」に渡す慣例となっています。しかし、それらの人達の固定給は低く、チップが生計の為の収入の一部で、当然ながら所得税の課税対象に含まれると言われます。米国の税務当局が多くの給仕に対しチップの過少申告で厳しい税務調査を行った、との報道がかなり以前にありました。たとえ「社会的には身分が低い」としても、サービス業内での位置づけが確立され、稼ぎの一部として堂々とチップを受け取る。原則的に、これが欧米社会のチップでしょう。

日本では確かにこの種のチップは存在しない。先日テレビを見ていたら、病気で医者にかかったら、治療費以外に巨額の「心付け」を医師個人に渡すのが通例と言っていた。出演者の有名タレントによれば、「東京では30万円が今の相場」という。出演していた医者も「受け取ります」と言い、「若い修行中の医師は給料も安く、数万円の専門書も買えないから。」出演していた欧米人達はびっくり仰天、「とんでもない。 欧米では医者にその種の金は絶対に渡さない。」実際には、事前に医師に「よろしく」と渡すのか、完治したら「お礼」として渡すのか、どちらにするか常に付きまといます。事前の方が効果的、しかし賄賂に近いですね。

医師の世界だけではない。戦後の首相、故吉田茂氏は「何を召し上がっておられますか」と聞かれて、「私は人を食っています。」日本の社会的食物連鎖の頂点です。日本では、サービス授受に関わる相対的「立場の強弱」が「心付け」の動機を生む。強者は「無税の巨額チップ」を受け取り、弱者は「失礼にならない額」を工面して渡す。さらに「代金」ももちろん支払うのである。日本の一角には、「個人的チップを渡さなければ、何事も不利になる」世界があるとも言える。心の中の「定規」と社会的な「法」にてらして行動するのではなく、すべからず自己の「円滑な 人間関係」を求め「相対的」な状況判断から行動する個人と社会が変わるには、もし変わるとしても時間がかかることでしょう。60万円の贈与税控除がある以上、変えたがらない、肯定的な人達も実に多いとも思われます。「青二才の書生論」で、つい大幅な脱線となりました。

さて、大聖堂広場の周辺はクライストチャーチの中心繁華街(商店街)で明日の偵察としてブラブラ歩いてみることにした。土産屋が結構あり、ブランド・ショップが出店している免税店もあった。それなりのダウンタウンになっている。サラリーマン諸氏の理想の人生(金があり、ゴルフ三昧の海外生活)を送っているとも言われる大橋巨泉氏のOKギフトショップなる店もあった。通りも商店内も観光の日本人らしき東洋人がかなり目に付きましたね。夜8時近くまでは暗くならないので、丁度良い散策でした。 

レストラン The Club Page Head ▲

夕食は教えられた The Club にしたので、エーボン川まで5分ほど歩き、橋を渡ったところのレストランに行った。階段を上る入り口の右手はバーになり、奥は料理場らしかった。青いクロスのかかったテーブルが左手の窓沿いに並べられ、エーボン川が眺められるようになっている。ロンドンのパブを少し高級にした雰囲気の店作りだった。丁度7時、夕食には最適の時間と思われるが、今日は火曜日だ。バーに2〜3人の客がいるだけで、テーブルには誰もいなかった。

ニュージーランド初のデナーである。羊肉ステーキを賞味せずには帰れない。ワイフには付き合ってもらうこととした。グラスワイン(白)、当日のスープ、ラムステーキ、ガーリックブレッドを注文した。ウエイターはマオリ系だったが、ニコニコして愛想の良い人だった。ワイフのグラスにワインを半分注いだ時に、「それで十分」といったら注ぐのをやめた。何を言おうとグラス一杯にするのが普通だが・・・。白ワインは飲みやすかった。ポタージュの野菜スープも薄味で美味しく感じられたが、パンが一切れづつなのは少々物足りなかった。恐らく日本人だから少なく出したのであろう。

いよいよラムステーキである。テーブル幾つかを隔てた背後で白人コックが何かを皿に盛りつけているのを見た。高く盛り上がりステーキとは思えない。「バーの客の次か・・・。待たせるナ」と思った。ウェイターが持ってきたのは、正にこの高く盛りつけられたものだった。 ラムステーキ 白無地の皿、その窪みに生トマトのみじん切りが散りばめられたキノコのグレービーがたっぷり、そしてグリーンのソースがビスケット大に数カ所配置されていた。中央部には巨大コロッケ風の揚げ物を置き、その上に骨付きラムステーキが2個乗っている。ステーキの骨はあばら骨で上向きに3〜5本むき出しになっている。あたかも手を広げ指を交互に組み合わせた形で巨大コロッケの上で安定していた。手のひらに相当する部分に丸々とした羊肉がある。白い骨には小型の葉の付いた長い茎の生野菜が1〜2本からませてあった。 おみごと!グルメでなくとも分かる。感心して写真を撮りました。 その味は・・・。表現する筆力は私にはありません。  脂肪分はなく羊肉特有の臭みもない、柔らかく弾力が少しあるものでした。  肉類は数口で止めてしまうワイフが、1個片づけたのに驚きました。  1.5人分(3個)のすばらしいラムステーキを堪能できて、私は幸せな気分でした。 

温野菜とサラダも付いていて、量的には十分以上です。 巨大コロッケを片づけるのはとても無理で少し味をみる程度で済ませました。しかし完全主義になり、デザートにパブロバ(Pavlova:ニュージーランドお得意のデザート)を追加注文したら置いていなかった。 チョコレートケーキにしましたが、盛りつけが上手で目を楽しませてくれます。 やはり量がありすぎる感じでした。

全部で96ドル(税込み)。1ドル45円位のレートですから、 約4300円です。 タクシーを呼んでもらいチップを10ドル渡したらとても 喜んでいましたね。旅行社でくれたタクシーチケットで車代は払いましたが、 この運転手はチップを受け取りました。

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