焼き物雑感その5
  4月の末,久しぶりに釣りに出かけました。2日間の予定でサクラマス,イワナを釣りながらのんびり過ごすことができました。

  開高健は,釣った魚をリリースすればその河が自分のものとなるといっていましたが,海に注ぐ大河もブナの原生林の雪渓の下を流れる谷川も,自分の河なのだと思うとうれしくなってきます。
   
  ところで,魚釣りに行くと河の中でいろいろなことを考えます。どこかに潜んでいる魚のこと,水の量や水温のこと,対岸の岩棚にさいているウワミズザクラのこと・・・。「地球に優しく」等という言葉をよく聞きますが,なかなかあたりがこないときに,ふと,地球に優しくなんて実はおこがましい考えなのではないかと思いました。川底の岩盤も自分を押し流そうとしている流れも釣ろうとしている魚もどこかで歌い始めたウグイスも,実は,形の違いこそあれ,皆地球の一原子なのではないかと・・・。
     
  地球はビッグバンでできた一つの大きな焼き物であるという話を聞いたことがありますが,その焼き物の中で焼き物を必死に造りつづける人や集めて楽しんでいる人が無数にいるというところ人間のたくましさを感じます。

  さて,そんな焼き物が縁で多くに方々と知り合いになりました。手元にある一つ一つの作品が,単にものとしてではなくそんな方々とのつながりを感じさせてくれます。

  仕事が忙しく深夜(朝方かな・・・)に帰宅しても必ず焼き物を手にして,時を過ごしますが,焼き物を通して知り合った方々との楽しいひとときが思い出されます。作品を購入するとき,明らかに「もの」としての焼き物の質や美しさを基準に選んでいるはずなのに,それ以上に人とのつながりが心に残っているような気がするのです。

   
  
志野茶碗三態
志野茶碗 
 径12.5 高8.5 高台径6.2
志野茶碗 
 径11.2 高8.1 高台径6
志野茶碗 
 径11.8 高8 高台径5.6
同高台
同高台
同高台