プリンター徹底比較
2006年末のプリンタ
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2006年10月24日著)

4万円以上の複合機
 
 エプソンのPM-A970、キャノンのPIXUS MP960という4万円以上の機種を比較する。PM-A970はテレビと接続できるPM-T990を除くと最上位機種となるが、複合機としての性能は同等なので最上位機種扱いとする。PM-A970は実売価格5万円、PIXUS MP960が4万5000円と5000円の差があるが、果たしてどのような差があるのだろうか。

メーカ エプソンキャノン
品番 PM-A970PIXUS MP960
製品画像
予想実売価格 50,000円45,000円
プリンタ部 最大解像度 5760×1440dpi9600×2400dpi
インク色数 6色7色
顔料/染料系 染料系(PM-Gインク)染料系/顔料系(ブラック)
カートリッジ構成 各色独立各色独立
色詳細 ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ライトシアン
ライトマゼンタ
ブラック(顔料)
ブラック(染料)
シアン
マゼンタ
イエロー
ライトシアン
ライトマゼンタ
最小インクドロップサイズ 1.5pl
(Advanced-MSDT対応)
1pl/5pl
ノズル数 1080ノズル3584ノズル
180ノズル×6色 512ノズル×7色
特殊機能 DVD/CDレーベル印刷
自動両面印刷
前面給紙 △(A4普通紙のみ)
顔の明るさ補正 ○(オートフォトファイン!EX)○(顔明るく補正)
ダイレクト印刷時のみ
メーカー公称印刷速度
(L版縁なし)
19秒29秒
スキャナ部 読み取り解像度 4800dpi4800dpi
センサータイプ CCDCCD
ネガ読み取り機能 ○(連続6コマ)○(連続12コマ)
退色復元機能
スキャンデーターのメモリカード保存 ○(JPEG/PDF)
ダイレクト
印刷部
カードスロット 対応カード SD/MS/CF/SM/xDSD/MS/CF/SM/xD
(xDはアダプタ必要)
PCからドライブとして利用
外付けドライブ/USBメモリへ保存
CD/DVDドライブ内蔵
外付けドライブ/USBメモリから印刷
動画から印刷
手書き合成シート ○(カラー背景)○(CDレーベル対応)
PictBridge対応
赤外線通信
Bluetooth通信 △(アダプタオプション)△(アダプタオプション)
携帯電話から写真に文字入力
コピー部 コピー機能
CD/DVDレーベルコピー
その他の機能 液晶ディスプレイ 4.0型3.5型
前面インク交換
インターフェイス USB 2.0USB 2.0
外形寸法(横×奥×高) 450×438×227mm471×428×226mm
重量 13.9kg12.0kg

 まずはプリンタ部から見ていこう。最上位機種と言うだけあって、プリンタ部分に関してはどちらのメーカーも最高のものを搭載している。PM-A970は6色インクで1.5plのインク滴、5760×1440dpiの解像度となっている。また、3種類のドットサイズを打ち分けるMSDTが進化し、5種類のドットサイズを打ち分けるようになった「Advanced-MSDT」となっており、よりスムーズな階調表現が行えるようになった。一方のPIXUS MP960は6色+顔料ブラックの7色で、1plのインク滴、9600×2400dpiの解像度となっている。インク滴や解像度はキャノンの方が上だが、このレベルになるとどちらも「最高に綺麗」となり、ほとんど変わらない。ただし、キャノンの顔料ブラックは文字印刷や、コピーの文字などがくっきりするという利点があるため、この点はPIXUS MP960の方が優れているだろう。今回よりエプソンのインクは「つよインク200」となり、アルバム保存200年、耐光性50年、耐オゾン性25年に向上している。一方のキャノンは「ChromaLife100」であり、アルバム保存100年、耐光性30年、耐ガス性10年となっている。キャノンは顔料ブラックという点が、エプソンは保存性の点で優れている。
 補正機能として顔を認識して明るさを補正する機能が両機種とも搭載されている。エプソンは去年より「オートフォトファイン!EX」、キャノンは今年新たに「顔明るく補正」という機能が搭載されている。印刷速度はL版縁なしで、PM-A970が19秒、PIXUS MP960が29秒とそれなりの差があるがどちらも十分高速であることに代わりはない。ただ、PM-A970なら1分で3枚、PIXUS MP960は1分で2枚と考えると結構な差なので、写真印刷が主なら保存性と併せてPM-A970の方がよいかもしれない。給紙機構に関してはPIXUS MP960の方が便利だ。キャノンお得意の前面給紙カセット対応なので、前面と背面に同時に用紙がセットでき、使い分けられて便利だ。また、自動両面印刷機能も搭載している。一方のPM-A970も前面給紙には対応しているものの、カセットではなくトレイとなっており、A4普通紙のみの対応となる。このあたりはPIXUS MP960の方が便利だ。
 次にスキャナを見てみよう。今年はキャノンも解像度を上げてきたので、どちらも4800dpiで並んでいる。もちろんCCDタイプなので、本の綴じ目の様に浮いてしまう様な場合でも安心である。もちろんネガフォルムなどのスキャンにも対応している。PM-A970は連続6コマ、PIXUS MP960は連続12コマの読み取りが行える。PIXUS MP960の方が一度にスキャンできるが、それでもPM-A970の6コマでも1つのスリーブ分スキャンできるのでそれほど問題ではない。一方、エプソンはスキャンデーターをパソコン無しでメモリカードに保存できるという利点がある。どんどんスキャンしてメモリカードに保存しておき、溜まったら後述のCD/DVDドライブでCDに書き込むと言った事が行える。
 続いてダイレクト印刷部を見てみよう。カードスロットからの印刷、PictBridgeによる印刷、赤外線通信による印刷の他、オプションでBluetoothによる印刷が行えるのは共通だ。ただし、PIXUS MP960では、xDカードには直接対応せず、CF型のアダプタを別途用意する必要があるのは注意が必要だ。また、ダイレクト印刷に関しては、PM-A970の方が豊富だ。特にCD/DVDドライブが内蔵されているのが面白い。正確には書き込みはCDのみでDVDは読み込みだけなので、コンボドライブ内蔵である。このドライブを利用して、パソコン無しでメモリーカードの写真をCD-R/RWへの書き込みが行えるのだ。またCD/DVDに書き込まれた写真からの印刷も行えるのである。つまり、デジカメで写真を撮ったら、メモリカードから写真を印刷し、CDにバックアップし、さらにバックアップ後に再度印刷といった作業がパソコン無しで行えるのである。パソコンを持っていない人や苦手な人にはもってこいの機能だろう。また、PM-A970は外付けのDVD書き込みのドライブやMOドライブ、USBメモリへ写真を写したり、逆にこれらから印刷も行える。もう一つPM-A970の特徴は、動画から印刷が行えることだ。最近はデジカメで動画が撮れるのが一般的になってきている。動画で撮影するのは後で見る時は動きがあって良いが、いざ印刷となると非常に手間である。簡単な機能な様で、非常に便利だと言える。
 手書き合成シートはどちらも対応しているが、PIXUS MP960ではCD/DVDレーベル印刷にも対応したのが利点である。CDやDVDにデジカメの写真を入れたけど、レーベル面をデザイン出来ないという人にとって、手書き合成によってレーベル面が簡単に作れるのは便利だろう。この機能は、パソコン無しでCDに書き込めるPM-A970に搭載されていると便利そうだが、残念ながらPM-A970は対応していない。PM-A970の場合、CDに書き込んだ続きの操作で、書き込んだ写真を使ったレーベル印刷が行えるように工夫されているが、ファイル名順に8枚が円形に並ぶという固定レイアウトで、縦写真も横向きに印刷されてしまう。だだし、PM-A970の手書き合成シートは、「手書き部分」の背景にカラーで写真が薄く印刷されるので、手書きと写真の位置あわせはコチラの方がしやすく、使い勝手は上だ。
 もちろん両機種ともコピーは行え、CD/DVDレーベルのコピーも行える。このあたりは完璧である。では、操作に関する部分を見てみよう。液晶ディスプレイはPM-A970は4.0インチ液晶、PIXUS MP960は3.5インチ液晶と十分大きい。また、PM-A970は「Photo Fine Ultra」と呼ばれる従来よりさらに美しい液晶で、PIXUS MP960は斜めから見てもみやすい「高視野角TFT液晶」なので単に大きいだけでなく写真も見やすい。一方、操作パネルは、それぞれのメーカーの独自の部分が現れている。PM-A970はボタンを一列に並べており、一連の作業は左から右へ順に進んで行くことで行える。一方のPIXUS MP960はクルクル回してボタンを押すのが基本操作の「イージースクロールホイール」を備えている。液晶ディスプレイや操作パネルはどちらが優れているか実際に実機に触れて試して頂きたい。ちなみに、PM-A970はスキャナのフタの前(本体の前寄り)に付いているが、PIXUS MP960ではフタの前の方に付いている。この位置だと大型の本など、スキャナからはみ出す原稿でも操作パネルが隠れない反面、蓋を開けて手で押さえてスキャンする場合に操作が行いにくいという問題がある。これ以外にPM-A970は前面からインクを交換できるというメリットがある。
 結局の所、どちらもこの価格にふさわしい性能を持っているといえる。プリントに関してはPM-A970が、コピーやスキャナに関する部分はわずかながらPIXUS MP960が優れているが、どちらでも十分満足できるレベルだ。大きな違いといえば、CDへの書き込みが行える点と動画から印刷が行える点になるので、これらに5000円の価値を感じられる人やxDピクチャーカードのデジカメを持っている人、写真印刷をの性能を1番に考えている人はPM-A970を、それ以外の人はPIXUS MP960をオススメしたい。  

(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/



今回紹介した商品や、その他のハードやソフトの
ご購入はコチラでどうぞ!