プリンター徹底比較
2006年末のプリンタ
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2006年10月24日著)

3万円台の複合機
 
 エプソンのPM-A920、キャノンのPIXUS MP810という3万円台の機種を比較する。PM-A920はPM-A890の後継、PIXUS MP 810はPIXUS MP800の後継となる。上位機種と比べて1万円前後も安いこの2機種だが、性能的にはそれほど劣らず、ねらい目といえる。PM-A920、PIXUS MP810は共に実売価格3万8000円となっているが、どのような違いがあるのだろうか。

メーカ エプソンキャノン
品番 PM-A920PIXUS MP810
製品画像
予想実売価格 38,000円38,000円
プリンタ部 最大解像度 5760×1440dpi9600×2400dpi
インク色数 6色5色
顔料/染料系 染料系(PM-Gインク)染料系/顔料系(ブラック)
カートリッジ構成 各色独立各色独立
色詳細 ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ライトシアン
ライトマゼンタ
ブラック(顔料)
ブラック(染料)
シアン
マゼンタ
イエロー
最小インクドロップサイズ 1.5pl
(Advanced-MSDT対応)
最小1pl
ノズル数 540ノズル4608ノズル
90ノズル×6色 1536ノズル×2色(C/M)
512ノズル×3色(Y/顔料BK/染料BK)
特殊機能 DVD/CDレーベル印刷
自動両面印刷 △(オプション)
前面給紙
顔の明るさ補正 ○(オートフォトファイン!EX)○(顔明るく補正)
ダイレクト印刷時のみ
メーカー公称印刷速度
(L版縁なし)
23秒18秒
スキャナ部 読み取り解像度 3200dpi4800dpi
センサータイプ CCDCCD
ネガ読み取り機能 ○(連続6コマ)○(連続6コマ)
退色復元機能
スキャンデーターのメモリカード保存 ○(JPEG/PDF)
ダイレクト
印刷部
カードスロット 対応カード SD/MS/CF/SM/xDSD/MS/CF/SM/xD
(xDはアダプタ必要)
PCからドライブとして利用
外付けドライブ/USBメモリへ保存
CD/DVDドライブ内蔵
外付けドライブ/USBメモリから印刷
動画から印刷
手書き合成シート ○(カラー背景)○(CDレーベル対応)
PictBridge対応
赤外線通信
Bluetooth通信 △(アダプタオプション)△(アダプタオプション)
携帯電話から写真に文字入力
コピー部 コピー機能
CD/DVDレーベルコピー
その他の機能 液晶ディスプレイ 3.5型3.0型
前面インク交換
インターフェイス USB 2.0USB 2.0
外形寸法(横×奥×高) 446×432×241mm470×416×226mm
重量 12.0kg12.0kg

 まずはプリンタ部から見ていこう。PM-A920は上位機種PM-A970と同等の印刷解像度とインク滴、インク構成をしている。そのため画質面では最上位機種と同等で、最高レベルの美しさを持っている。ただ、ノズル数が半分になっているので、印刷速度が若干劣る。一方のPIXUS MP810はライトシアン、ライトマゼンダを除いた5色構成となっているのが上記機種PIXUS MP960との違いだ。PM-A920と比べると劣る印象だが、インク滴は最小1plなので十分美しい。またブラックインクは染料インクに加えて顔料インクも搭載しているので、モノクロコピーなどは逆にくっきりした印刷結果が得られる。逆に、エプソンのインクはアルバム保存200年、耐光性50年、耐オゾン性25年の「つよインク200」であり、キャノンの「ChromaLife100」(アルバム保存100年、耐光性30年、耐ガス性10年)と比べて保存性の点では優れている。補正機能として顔を認識して明るさを補正する機能は、エプソンが「オートフォトファイン!EX」、キャノンが「顔明るく補正」として両機種とも搭載されている。印刷速度はL版縁なしで、PM-A920が23秒、PIXUS MP810が18秒とどちらも非常に高速である。特にPIXUS MP810は4608ノズルは上位モデルよりも多く、そのため上位モデルより速くなっている。
 PIXUS MP810はキャノンのお得意の「前面給紙」と「自動両面印刷」機能を備えているため便利だ。一方のPM-A920も前面給紙に対応しており、自動両面印刷もオプションで対応している。上位機種PM-A970と異なり、PIXUS MP810と同等のカセット形状になっており、様々な用紙に対応する。
 次にスキャナを見てみよう。PM-A920は上位機種より1ランク下がって3200dpi、PIXUS MP810は上位機種と同じ4800dpiである。どちらも連続6コマまでのネガスキャンを行える点は同じだが、実際のネガスキャンを本格的に行うならPIXUS MP810がオススメだ。ただ、3200dpiでも十分なスキャン結果が得られるはずだ。また、スキャンデーターをパソコン無しでメモリカードに保存する機能はPM-A920だけである。ちなみに、どちらでもCCD方式なので、本の綴じ目など浮いてしまう原稿でも安心だ。
 続いてダイレクト印刷部を見てみよう。カードスロットからの印刷、PictBridgeによる印刷、赤外線通信による印刷の他、オプションでBluetoothによる印刷が行えるのは共通だ。ただし、PIXUS MP810では、xDカードには直接対応せず、CF型のアダプタを別途用意する必要があるのは注意が必要だ。PM-A920の特徴は、外付けのDVD書き込みのドライブやMOドライブ、USBメモリへ写真を写したり、逆にこれらから印刷も行える点と、動画から印刷が行えることだ。最近はデジカメで動画が撮れるのが一般的になってきているものの、印刷となると非常に手間であるので、後者の機能は特に便利だろう。一方、PIXUS MP810は手書き合成シートがCD/DVDレーベル印刷にも対応したのが特徴である。PM-A920でも写真の手書き合成が可能だが、CDやDVDのレーベル面のデザインが出来るのはPIXUS MP810だけである。CDやDVDに写真はバックアップできたが、レーベル面のデザインは出来ないという人には便利だろう。しかし、PM-A920は手書き合成シートの「手書き部分」の背景に、カラーで写真が薄く印刷されるので、手書きと写真の位置あわせはコチラの方が断然使いやすい。手書き合成をしたいという人は、「合成しやすさ」か「レーベル印刷への対応」か、どちらを優先するかも重要となりそうだ。
 コピー機能は両機種とも同等レベルで問題がない。もちろん、普通のコピーに加えて、CD/DVDレーベルのコピーも行える。続いて操作に関する部分を見てみよう。液晶ディスプレイはPM-A920は3.5インチ液晶、PIXUS MP810は3.0インチ液晶で、PM-A920の方が大きいが、角度を変えられるのはPIXUS MP810の方である。操作パネルは、それぞれ特徴がある。PM-A920はスキャナのフタより前(本体の前寄り)の部分にボタンを一列に並べており、一連の作業は左から右へ順に進んで行くことで行える。一方のPIXUS MP810はフタの上の前寄りにクルクル回してボタンを押すのが基本操作の「イージースクロールホイール」を備えている。PIXUS MP810の位置だと大型の本など、スキャナからはみ出す原稿でも操作パネルが隠れない反面、蓋を開けて手で押さえてスキャンする場合に操作が行いにくいという問題がある。
 上位機種と比べると若干ながら機能面で劣るものの、十分な高性能となっており、よほど高性能を求めなければこの価格帯の機種でも十分だろう。PM-A920とPIXUS MP810のどちらを選ぶかと言うことだが、プリントのインク色数や動画からのダイレクト印刷機能、xDピクチャーカードへの対応を優先するならPM-A920を、スキャナ解像度や顔料ブラック搭載を優先するならPIXUS MP810を選ぶと良いだろう。

(H.Intel)


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エプソンhttp://www.epson.co.jp/
キャノンhttp://canon.jp/



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