小ネタ集
新旧プリンター比較
2017年末発売のプリンターを旧機種と比較する
(2017年10月11日公開)

表中の赤文字は旧機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1からの変更点となります。

EW-M5071FTとPX-5041Fを徹底比較する

 EW-M5071FTはエコタンク搭載プリンターとしては初めてA3ノビプリントとA3スキャンに対応した製品だ。ベースはビジネス向け複合機のPX-M5041Fである。PX-M5041Fの方は、今回PX-M5081Fという新機種に移行したが、EW-M5071FTは旧機種をベースとする。一見すると右にエコタンクを付け、本体を黒くしただけに見えるが、細かな点で違いがある。また、海外モデルをそのまま持ってきたのか、初のエコタンク搭載プリンターEW-M660FTと同じ弱点を持っている機種となる。インクカートリッジのPX-M5041Fとはどう違うのか徹底的に比較してみよう。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
型番
EW-M5071FT
PX-M5041F
製品画像
発売時の価格
109,980円
59,980円
インク
色数
4色
4色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立インクタンク
各色独立
顔料/染料系
染料(カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存300年/耐光性7年/耐オゾン性半年〜1年)
顔料
(つよインク200X)
インク型番
クツ(顔料)
ハサミ(染料)
76番(大容量)
74番(標準容量)
ノズル数
1568ノズル
1568ノズル
カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
最小インクドロップサイズ
2.8pl(MSDT)
2.8pl(MSDT)
最大解像度
4800×2400dpi
4800×2400dpi
PrecisionCoreプリントヘッド
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
39秒(フチあり)
45秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
10.0ipm
10.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
18.0ipm
18.0ipm
印刷コスト
L判縁なし写真
5.2円(フチあり)
19.2円
A4カラー文書
0.8円
7.6円
A4モノクロ文書
0.4円
2.5円

 まずは価格である。EW-M5071FTは109,980円とかなり高価だ。PX-M5041Fの発売時の価格が59,980円、現在は42,980円に下がっている事を考えると価格差は大きい。とはいえ、後述の印刷コストが圧倒的に安い事を考えると、印刷枚数が多ければトータルコストはかなり安くなる。
 それでは、プリントの画質・速度・コスト面を見てみよう。EW-M5071FTのインクはPX-5041Fと同じ4色構成だ。しかし、型番のEWが示すように、ブラックインクが顔料、カラーインクが染料となる。ブラックもカラーも顔料のPX-M5041Fとは異なる点だ。顔料インクは耐水性が高く普通紙にもメリハリのある印刷が行えるメリットがある。PX-M5041Fはカラー文書でもモノクロ文書でもこのメリットが得られたが、EW-M5071FTは黒色の部分に関してだけである。しかも、グレーなどの中間色はカラーインクを混ぜて作り出すため、染料インク、また背景に色が付いていると、その上に顔料ブラックを使えないので、同じく染料インクでの印刷となる。つまり、背景色が無い「黒」色の部分だけである。とはいえ、意外とそういった場面は多く、文書の文字部分や受信したFAXなどの印刷にはEW-M5071FTも同じメリットが得られる。逆に顔料インクのデメリットとして写真用紙に印刷した際に表面の光沢感が薄れポストカードの様になる上、発色も良くない。その点でカラーは染料インクのEW-M5071FTはPX-M5041Fよりも写真の印刷は発色が良く、紙本来の光沢感が出る。ただ写真用紙などには顔料インクを使用しないため、カラー3色での印刷となる。黒色はカラー3色を混ぜて作り出すため、やや茶色っぽくなる。その点では4色染料の機種よりは劣る事になる。
 ちなみに、エプソンのプリンターは「つよインク」などの名称が付く場合が多いが、EW-M5071Fのインクにはそれがない。ただアルバム保存300年、耐光性7年、耐オゾン性半年以上1年未満と、耐保存性が公表されている。PX-M5041Fの採用するインクは「つよインク200X」でアルバム保存300年、耐光性45年、耐オゾン性30年をうたっているのと比べると、アルバム保存は同等だが、耐光性と耐オゾン性では劣る事となる。
 インクは、PX-M5041Fのインクカートリッジ方式から、エコタンク方式となった。エコタンク方式とは、本体右側にインクを入れるタンクを搭載しており、ここにインクボトルからインクを注入する形である。インクボトル1本でインクタンクが満タンになるが、かなり大容量なので印刷枚数は多い。インク交換の手間が省けるだけ無く、インク切れで印刷が止まっていたという自体も軽減できる。インクは途中で注入しても良いし、インクボトルは一度で使い切る必要はないので、同インクの機種を複数台持っている場合、使い回しができる。そして、このインクボトルは大容量の割にインクカートリッジよりも安い価格で販売されている。 そのため、EW-M5071FTの印刷コストはA4カラー文書が0.8円、A4モノクロ文書が0.4円と、PX-M5041Fの7.6円と2.5円と比べても圧倒的に安い。価格と印刷枚数で見てみると、PX-M5041FではA4カラー文書を印刷した場合、大容量ブラックは2,200ページ、大容量カラーは1,100ページの印刷が可能という。一方、EW-M5071FTではボトル1本で、ブラックは6,000ページ、カラーは6,500ページの印刷が可能となっている。それでいて、PX-M5041Fの大容量インクは、ブラックが4,830円、カラーが各1,930円である一方、EW-M5071FTのインクボトルは、ブラックが1,800円、カラーが900円と価格は半分以下だ。印刷コストが安い理由が分かるだろう。ちなみにブラックは140ml、カラーは70ml入りとなっている。例えばA4カラー文書を1ヶ月に300枚(1日10枚)、A4モノクロ文書を1,500枚(1日50枚)印刷する場合、EW-M5071Fでは印刷コストは840円、PX-M5041Fでは6,030円となり差は5,190円、1年で62,280円で、本体の価格差は十分元が取れる。ちなみに、L判写真フチ無し印刷コストは、EW-M5071FTは5.2円、PX-M5041Fが19.2円と差が小さいように見えるが、これは写真用紙代が込みであるためだ。L判写真用紙は500枚で2,143円で計算されており、1枚4.286円なので、これを除くインク代はEW-M5071FTは0.914円、PX-M5041Fが14.914円となる。
 ちなみに他のエコタンク搭載プリンターは、2世代目の「挿すだけ満タン」インク方式となっているが、EW-M5071FTは従来のエコタンク方式となっている。また、他のエコタンク搭載プリンターは、インクボトルが1セット付属しているのも売りとなっているが、EW-M5071FTはセットアップ用のインクボトルの付属のみとなっている。
 インクに関しては大きく異なるEW-M5071FとPX-M5041Fだが、その他の機能は共通している。最小インクドロップサイズや印刷解像度は同じで、PrecisionCoreプリントヘッドを搭載しているため、普通紙への印刷解像度が600dpiと高く、より鮮明に印刷が出来る。印刷速度も同等でA4普通紙の場合、カラーは10.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)、モノクロは18.0ipmというのも同等だ。写真の印刷速度は、EW-M5071FTは39秒で、PX-M5041Fの45秒よりやや高速化したように見えるが、これはEW-M5071FTがフチなし印刷に非対応で、フチありでの印刷スピードになっているためだ。

プリント(給紙・排紙関連)
型番
EW-M5071FT
PX-M5041F
製品画像
対応用紙サイズ
L判〜A3ノビ
(フチ無し印刷非対応)
L判〜A3ノビ
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
手差し給紙(1枚)
手差し給紙(1枚)
前面
カセット上段(250枚)
カセット下段(250枚・普通紙B5以上)
カセット上段(250枚)
カセット下段(250枚・普通紙B5以上)
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納連動)
○(カセット収納連動)
用紙幅チェック機能

 続いて給紙・排紙関連の機能を見てみよう。基本的にEW-M5071FTはPX-M5041Fを踏襲しており、対応用紙や前面カセットの仕様、背面手差し給紙などは同様だ。ただ前述のようにフチ無し印刷には非対応となっている点は注意が必要だ。

プリント(付加機能)
型番
EW-M5071FT
PX-M5041F
製品画像
自動両面印刷
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ
−/○
−/○
廃インクタンク交換

 プリントの付加機能に関しても、EW-M5071FTはPX-M5041Fと同等の機能を有している。唯一、カラーインクが切れた時でも、モノクロ印刷が継続できる「黒だけでモード」は、EW-M5071FTには搭載されていないが、そもそも1回のインク注入での印刷枚数が多い上に、途中で継ぎ足すことも出来るEW-M5071Fではインク切れ自体が起きにくいという判断と思われる。

スキャナー
型番
EW-M5071FT
PX-M5041F
製品画像
読み取り解像度
1200dpi
1200dpi
センサータイプ
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
ADF
原稿セット可能枚数
35枚
35枚
原稿サイズ
A3/B4/A4/B5/B5/レター/リーガル
A3/B4/A4/B5/B5/レター/リーガル
両面読み取り
読み取り速度
カラー
4.8ipm
4.8ipm
モノクロ
8.3ipm
8.3ipm
スキャンデーターのメモリカード保存
○(JPEG/PDF/TIFF)
○(JPEG/PDF/TIFF)

 スキャナの機能に関しては全く同等だ。読み取り解像度だけでなく、ADFが両面スキャンに対応している点から、読み取り速度まで同等だ。

ダイレクト印刷
型番
EW-M5071FT
PX-M5041F
製品画像
カードスロット
対応メモリカード
SD/MS Duo
SD/MS Duo
USBメモリ/外付けHDD/外付けDVD対応
○/○/−
(外部機器共有対応)
○/○/−
(外部機器共有対応)
メモリカードからUSBメモリ/外付けHDD/外付けDVDへバックアップ
○/○/−
○/○/−
対応ファイル形式
JPEG/TIFF
JPEG/TIFF
手書き合成
PictBridge対応
赤外線通信
各種デザイン用紙印刷

 ダイレクト印刷機能もEW-M5071FTはPX-M5041Fと同等の機能を搭載している。エコタンク搭載プリンターではベースとなる機種がSDカード以外にも対応していても、エコタンク搭載プリンターはSDカードのみとされるパターンが多かったが、EW-M5071FTではメモリースティックDuoにも引き続き対応している。

スマホ/クラウド対応
型番
EW-M5071FT
PX-M5041F
製品画像
スマートフォン連携
対応端末
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 9.0以降)
Android 4.1以降
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 7.0以降)
Android 4.0以降
NFC対応
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
○/−
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント

 EW-M5071FTのスマホ、クラウド関連機能もPX-M5041Fと同等だ。対応端末に関して、iOSのバージョンが7.0から9.0、Androidのバージョンが4.0から4.1になっているが、これは本体の発売時のアプリの対応バージョンなので、現在のアプリの対応バージョンは両機種ともiOS 9.0/Android 4.1以上となる。

コピー機能
型番
EW-M5071FT
PX-M5041F
製品画像
等倍コピー
○(対応用紙はA3/B4/A4/B5/A5のみ)
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
自動変倍
オートフィット
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面)
○/○
○/○
バラエティコピー
IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
ブック分割コピー
IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
ブック分割コピー

 コピー機能もほぼ同等となっている。しかし、EW-M5071FTではコピー時に選択できる用紙がA3/B4/A4/B5/A5のみとなる。PX-M5041Fにあった、L判/2L判/KG/六切/四切/ハガキといった、ハガキ、写真に関係したサイズが選べなくなっている。もちろんフチなしコピーも行えない。実は初代のエコタンク搭載プリンターEW-M660FTでもフチなし印刷非対応と、コピー時の用紙サイズの制限があった。EW-M660FTはFAX機能付きA4複合機初のエコタンク搭載機種、EW-M5071FはFAX機能付きA3複合機初のエコタンク搭載機種であり、なぜかFAX機能付き複合機の初代の機種にはこの制限が付くのようだ。

FAX機能
型番
EW-M5071FT
PX-M5041F
製品画像
通信速度
33.6kbps
33.6kbps
画質設定
モノクロ
8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(精細)
8dot/mm×15.4本/mm(高精細)
16dot/mm×15.4本/mm(超高精細)
8dot/mm×7.7本/mm(写真)
8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(精細)
8dot/mm×15.4本/mm(高精細)
16dot/mm×15.4本/mm(超高精細)
8dot/mm×7.7本/mm(写真)
カラー
200×200dpi
200×200dpi
送信原稿サイズ
A3〜A5
A3〜A5
記録紙サイズ
A3/B4/A4/B5/A5/リーガル/レター
A3/B4/A4/B5/A5/リーガル/レター
受信ファックス最大保存ページ数
550枚/100件
550枚/100件
データ保持(電源オフ/停電)
○/○
○/○
ワンタッチ
10件
10件
短縮ダイヤル
200件
200件
グループダイヤル
199宛先
199宛先
順次同報送信
200宛先
200宛先
自動リダイヤル
発信元記録
ポーリング受信/送信/予約
○/○/○
○/○/○
ファクス/電話自動切替
見てから送信
見てから印刷
PCファクス
送受信
送受信

 FAX機能に関しては細部までEW-M5071FTはPX-M5041Fと同等の機能を搭載している。PX-M5041FはPX-M5081Fという新機種になりワンタッチダイヤルがなくなったが、PX-M5041FをベースにしているEW-M5071Fではワンタッチダイヤルもそのまま搭載している。

操作パネル/インタフェース/本体サイズ
型番
EW-M5071FT
PX-M5041F
製品画像
液晶ディスプレイ
4.3型
4.3型
操作パネル
タッチパネル液晶+物理ボタン
タッチパネル液晶+物理ボタン
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN
100BASE-TX
100BASE-TX
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP1
MacOS 10.5.8〜
耐久枚数
8万枚
8万枚
外形寸法(横×奥×高)
666×486×418mm
567×486×418mm
重量
23.5kg
21.8kg
本体カラー
ブラック
ホワイト

 操作パネルに関してはEW-M5071FTはPX-M5041と全く同等だ。4.3型タッチパネル液晶の他にテンキーやスタート、ワンタッチダイヤルは物理ボタンが用意される点も、それらの並びも一切同じだ。インタフェースも変化はない。対応OSはPX-M5041と比べるとWindowsではXPがSP1からSP3に、MacOSは10.5.8以上から10.6.8以上になっている。新製品は対応OSが新しい物だけに限定されるのは仕方の無いところだが、逆に言うとサポートに切れたXPやVistaに対応しているのはうれしいところだ。また、Windows XPのSP1からSP3やMacOSの10.5.8から10.6.8以上には無償バージョンアップが可能なので、特に問題は無いだろう。耐久枚数も変わらず8万枚となっており、エコタンク搭載と言う事で印刷枚数が多くても安心だ。その事もあって、エコタンク搭載プリンターでは全体的に家庭向けの機種に比べて耐久枚数が高くなっているが、EW-M5071Fはエコタンク搭載プリンター中最も耐久枚数が多くなっている。
 本体サイズは666×486×418mmで、ちょうどエコタンクの分だけ横幅が増えている。とはいえエコタンク部分は少し奥まり、高さも抑えられているので、どちらかと言えばPX-M5041Fの567mm×486×418mmに、エコタンクがくっついた感じだ。ただ、どちらにしてもかなり大型の機種である事は確かだ。



 EW-M5071FTはPX-M5041Fをベースにしているため、ほとんどの機能は引き継いでいる。元々PX-M5041Fは完成度が高い製品だっただけに、EW-M5071FTも隙が少ない。注意点としてはカラーインクが染料インクである点、フチなし印刷が行えない点、コピー時に選べる用紙に制限がある点くらいだ。価格は109,980円で、PX-M5041Fやその後継のPX-M5081Fの現在の価格42,980円とは67,000円の差がある。しかし、A4カラー文書なら9,853枚、A4モノクロ文書なら31,904枚で元が取れる。本体の耐久枚数を考えれば、印刷枚数が多い人には十分に得と言える機種だろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/