小ネタ集
新旧プリンター比較
2017年末発売のプリンターを旧機種と比較する
(2017年9月29日公開)

表中の赤文字は旧機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1からの変更点となります。

PIXUS TS5130とPIXUS TS5030を徹底比較する

 旧機種PIXUS TS5030は上位機種PIXUS TS6030から前面給紙カセット、自動両面プリント、タッチパネル液晶などを省き、印刷速度を抑えた一方で、PIXUS TS6030には無いSDカードスロットを持ち、写真のダイレクト印刷が可能であるなど、上位下位での機能の逆転現象がある不思議な機種だった。新機種PIXUS TS5130は純粋な下位機種といった機能になった一方、PIXUS TS5030と大きく変わったところもある。細かく比較してみよう。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
型番
PIXUS TS5130
PIXUS TS5030
製品画像


発売時の価格
15,880円
19,880円
インク
色数
4色
5色
インク構成
顔料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
染料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
黒独立、カラー3色一体
各色独立
顔料/染料系
染料(カラー)/顔料(黒)
(ChromaLife100)
染料/顔料(黒)
(ChromaLife100)
インク型番
340XL/341XL(大容量)
340/341(標準容量)
370XL/371XL(大容量)
370/371(標準容量)
ノズル数
1792ノズル
4096ノズル
C/M/Y:各384ノズル
顔料BK:各640ノズル
C/M/顔料BK:各1024ノズル
Y/染料BK:各512ノズル
最小インクドロップサイズ
N/A
2pl
最大解像度
4800×1200dpi
4800×1200dpi
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
36秒
33秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
6.8ipm
9.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
13.0ipm
12.6ipm
印刷コスト
L判縁なし写真
19.5円
15.1円→15.8円
A4カラー文書
13.1円
8.4円→9.0円
A4モノクロ文書
N/A
N/A

 PIXUS TS5130は、発売時の価格が15,880円と、PIXUS TS5030と比べると4,000円安くなっており、より下位機種らしい価格設定となっている。それではプリント機能の画質、速度、印刷コスト面から見てみよう。PIXUS TS5130のインクは4色構成で、PIXUS TS5030の5色構成から1色減っている。具体的には、染料ブラックが無くなり、顔料ブラックと染料カラーの組み合わせとなった。顔料ブラックのおかげで普通紙印刷時の黒色部分はメリハリがある印刷が行えるのはPIXUS TS5030と同じだが、染料ブラックが無くなったため写真印刷時にブラックインクが使えず、カラー3色を混ぜて黒に近い色を表現している。そのため、黒色が非常に濃い茶色になるため、全体としてコントラストが悪くなる。これは写真用紙だけでは無く、ファイン紙や、普通紙でも背景がカラーの部分でも起こる問題だ。最小インクドロップサイズは非公開となったが、解像度から推測するにおそらく2plで変わらないだろうが、インクの分だけ画質は劣る。また、それ以上に問題なのが、インクカートリッジが各色独立から、黒とカラー3色一体の2カートリッジ構成になった事だ。つまりカラーインクの内1色でも無くなると3色一体での交換となるため無駄が多い。印刷コスト面でL判縁なし写真がPIXUS TS5030の15.8円からPIXUS TS5130では19.5円に、A4カラー文書も9.0円から13.1円へと大幅に高くなっている。PIXUS TS5030の使用する370/371番インクが2017年10月1日より値上げし、印刷コストが上がってもこの差である。またノズル数も減っているため、印刷速度、特にカラー文書の印刷速度に大きな影響が出ており、PIXUS TS5030の9.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)からPIXUS TS5130では6.8ipmまで遅くなっている。実はこのインクカートリッジの構成やノズル数は、旧モデルの下位機種PIXUS MG3630と同等の物だ。インクカートリッジも同じ物を使用する。PIXUS TS5030では上位機種と同じ構成だったので、機能面でかなり落とされた印象だ。

プリント(給紙・排紙関連)
型番
PIXUS TS5130
PIXUS TS5030
製品画像
対応用紙サイズ
名刺〜A4
L判〜A4
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○(100枚)
○(100枚)
前面
カセット(100枚/普通紙のみ)
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納(前面)・カバー(背面)連動)
○(カバー連動)
用紙幅チェック機能

 続いて給紙・排紙関連の機能を見てみよう。PIXUS TS5030は上位機種から大きく機能が削減されていたが、PIXUS TS5130は上位機種と同等の機能になっている。ちょうどプリント画質や速度、印刷コストの項目とは逆のパターンだ。対応用紙がL判より小さな名刺サイズに対応した。またPIXUS TS5130は前面給紙カセットと背面給紙の2方向からの給紙となり、PIXUS TS5030の背面給紙だけだった事と比べると利便性は大幅にアップしている。

プリント(付加機能)
型番
PIXUS TS5130
PIXUS TS5030
製品画像
自動両面印刷
○(普通紙のみ)
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(自動写真補正II)
○(自動写真補正II)
特定インク切れ時印刷
自動電源オン/オフ
○/○
○/○
廃インクタンク交換

 続いてプリントのその他の機能を見てみよう。PIXUS TS5130では自動両面印刷が復活しているのが大きい。普通紙のみでハガキ印刷には非対応だが、プリントやコピー時に効果を発揮するだろう。CD/DVD/BDレーベル印刷は引き続き非対応だ。

スキャン
型番
PIXUS TS5130
PIXUS TS5030
製品画像
読み取り解像度
1200dpi
1200dpi
センサータイプ
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリカード保存

 スキャン機能はスペック上の違いは無い。ベーシックな機能となっている。

ダイレクト印刷
型番
PIXUS TS5130
PIXUS TS5030
製品画像
カードスロット
対応メモリカード
SD
USBメモリ/外付けHDD/外付けDVD対応
−/−/−
−/−/−
メモリカードからUSBメモリ/外付けHDD/外付けDVDへバックアップ
−/−/−
−/−/−
対応ファイル形式
JPEG/TIFF
手書き合成
PictBridge対応
○(Wi-Fi)
○(Wi-Fi)
赤外線通信
各種デザイン用紙印刷
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳)
カレンダー印刷
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳)

 PIXUS TS5030にあったメモリカードからのダイレクト印刷機能は、PIXUS TS5130では非搭載となった。PictBridgeには引き続き対応するがUSBポートが無いため、Wi-Fi接続に限られ、対応するデジタルカメラは限られる。また、メモリカード内の写真を使用する機能である、手書き合成とカレンダー印刷機能も非搭載となっている。

スマホ/クラウド対応
型番
PIXUS TS5130
PIXUS TS5030
製品画像
スマートフォン連携
対応端末
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 9.0以降)
Android 4.1以降
(Bluetooth対応)
iPhone
iPod touch
iPad
(iOS 7.0以降)
Android 4.0以降
NFC対応
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
○/−
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント

 続いて、PIXUS TS5130とPIXUS TS5030のスマホ、クラウド対応に付いて見ていこう。まず、対応端末に関してはAndroidのバージョンが4.0から4.1、iOSのバージョンが7.0から9.0になっているが、これは本体の発売時のアプリの対応バージョンなので、現在のアプリの対応バージョンは両機種ともAndroid 4.1/iOS 9.0以上となる。PIXUS TS5130に新たに搭載されたのはBluetooth接続機能だ。ただ、これはBluetoothを使って写真を送信すれば印刷されると言った機能では無い。Bluetoothでお互いを認証しておけば、ダイレクト接続(Wi-Fiダイレクト)の際の接続が簡単という機能だ。Bluetoothは接続時に使用するだけで、印刷操作は「Canon PRINT Inkjet」上で行い、データー転送にはWi-Fiが使用される。ちなみにAndroid 5.1以上の対応で、iOSは非対応だ。もともとPIXUS TS5030にはNFCが搭載されていなかったため、簡単に接続できる方法が用意された点で便利になった。

コピー機能
型番
PIXUS TS5130
PIXUS TS5030
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
自動変倍
オートフィット
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
○(色あせ補正対応)
割り付け(2面/4面)
○/○
○/−
バラエティコピー
枠消しコピー
IDコピー
IDコピー

 PIXUS TS5130のコピー機能もPIXUS TS5030から変化がある。まず、写真をスキャナ面に複数枚置くと、自動的に1枚ずつ認識してコピーしてくれる、写真の焼き増し風コピー機能を搭載した。その際、色あせた昔の写真を自動的に復元する「色あせ補正」機能にも対応している。また、1枚の用紙に複数の原稿を割り付ける機能は、PIXUS TS5030では2面だったが、PIXUS TS5130では2面と4面が可能となった。その他、PIXUS TS5030の搭載していたIDコピーだけで無く、枠消しコピーも搭載した。この辺りは上位機種と同等機能で、かなり強化されたと言える。

操作パネル/インタフェース/本体サイズ
型番
PIXUS TS5130
PIXUS TS5030
製品画像
液晶ディスプレイ
2.5型
(90度角度調整可)
3.0型
(90度角度調整可)
操作パネル
物理ボタン
(90度角度調整可)
物理ボタン
(90度角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
有線LAN
対応OS
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
Windows 10/8.1/8/7 SP1/Vista SP2
Mac OS 10.8.5〜
外形寸法(横×奥×高)
425×315×147mm
372×315×126mm
重量
6.5kg
5.5kg
本体カラー
ブラック/ホワイト
ブラック/ホワイト

 最後にPIXUS TS5130とPIXUS TS5030の操作パネル、インタフェース、本体サイズを比較してみよう。操作パネルと液晶が本体前面に搭載されて持ち上げて角度調整が可能な点や、タッチパネル液晶では無く物理ボタンによる操作なのは同等だ。ただ液晶サイズはPIXUS TS5030のの3.0型から2.5型に小型化した。とはいえ十分なサイズである。特にダイレクト印刷機能が非搭載となり写真を本体で確認する必要がなくなったので、このサイズでも問題ないだろう。インタフェースなどには違いは無い。対応OSは大きく変化し、Windows Vistaが対応から消えている。さらにWindows 8.1には対応するがWindows 8は非対応となった。また、MacOSのドライバは、PIXUS TS6030もドライバディスクには収録されずダウンロード対応だったが、今回からはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となった。対応バージョンもMacOS 10.8.5以上から、MacOS 10.10.5以上になっている。
 本体サイズは一見すると液晶が小さくなったために相対的に大きくなっただけに見えるが、実際にサイズが増している。高さに関しては前面給紙カセットが搭載された分大きくなったとも言えるが、横幅も425mmと、PIXUS TS5030の372mmから5.3cmも増えた。去年小型化を果たしていたが、一昨年の455mmのの近くまで逆戻りしてしまったのは残念だ。唯一同じサイズの奥行きだが、PIXUS TS5130は前面給紙セットに対応したため、ここにB5以上の用紙をセットする場合、カセットを伸張する必要がある。すると44mm飛び出た状態となる。サイズは一回り大きく、また上位機種よりも大柄になっていると言える。




 PIXUS TS5130はPIXUS TS5030の後継とも思えないほど機能が大きく変わっている。PIXUS TS5030は5色印刷で写真印刷が遅い割にSDカードからのダイレクト印刷に対応するなど、やや迷走気味の機種だった。それに対して、PIXUS TS5130は写真印刷を諦め、文書印刷に舵を切った様だ。SDカードスロットだけで無く、コストダウンのために染料ブラックを無くす事を選んだのも、その現れだろう。一方で給紙を前面カセットと背面の2方向に対応したり、自動両面印刷に対応、コピー機能も強化し、より方向性が明確となった。価格が下がったのもうれしいところだ。ただ、2点いただけないのが、インクカートリッジが各色独立でない点と、本体サイズが大型化してしまった点だ。キャノンには5色以上は各色独立、4色はカラーが一体と決めているようで、4色インク構成を選択した時点でこれは仕方が無いのかもしれないが、本体サイズをわざわざ大型化するのは勿体ない。多少のコストアップだとしても、PIXUS TS5030のサイズに前面給紙カセットを付けた、つまりPIXUS TS6130と共通化は出来なかったものだろうかと思わなくも無い。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
キャノンhttp://canon.jp/


PIXUS TS5130BK
PIXUS TS5130WH