小ネタ集
新旧プリンター比較
2017年末発売のプリンターを旧機種と比較する
(2017年9月13日公開)
表中の赤文字は旧機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1からの変更点となります。 |
PIXUS TS6130とPIXUS TS6030を徹底比較する |
キャノンのPIXUS TS6130 はPIXUS TS6030の純粋な後継機種というべき製品だ。一見すると見た目は同じだが、細かいところで機能に差が出ている。どういった違いがあるか細かく見ていこう。
プリント(画質・速度・コスト) |
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新機種 |
旧機種 |
型番 |
PIXUS TS6130 |
PIXUS TS6030 |
製品画像 |

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 |
発売時の価格 |
22,880円 |
25,880円 |
インク |
色数 |
5色 |
5色 |
インク構成 |
顔料ブラック 染料ブラック シアン マゼンタ イエロー |
顔料ブラック 染料ブラック シアン マゼンタ イエロー |
カートリッジ構成 |
各色独立 |
各色独立 |
顔料/染料系 |
染料/顔料(黒) (ChromaLife100) |
染料/顔料(黒) (ChromaLife100) |
インク型番 |
380/381(標準容量) 380s/381s(小容量) 380XL(大容量・顔料ブラックのみ) |
370XL/371XL(大容量) 370/371(標準容量) |
ノズル数 |
4096ノズル |
4096ノズル |
C/M/顔料BK:各1024ノズル Y/染料BK:各512ノズル |
C/M/顔料BK:各1024ノズル Y/染料BK:各512ノズル |
最小インクドロップサイズ |
N/A |
2pl |
最大解像度 |
4800×1200dpi |
4800×1200dpi |
印刷速度 |
L判縁なし写真(メーカー公称) |
31秒 |
33秒 |
A4普通紙カラー(ISO基準) |
10.0ipm |
10.0ipm |
A4普通紙モノクロ(ISO基準) |
15.0ipm |
15.0ipm |
印刷コスト |
L判縁なし写真 |
17.2円 |
15.1円→15.8円 |
A4カラー文書 |
9.3円 |
8.3円→8.9円 |
A4モノクロ文書 |
N/A |
N/A |
PIXUS TS6130 はPIXUS TS6030の後継という位置づけだが、販売開始時の価格は3,000円安い22,880円となっている。上位モデルPIXUS TS8130との価格差が大きくなり、お買い得感は増している。では、プリントの基本機能である、画質と速度、印刷コストを見てみよう。インク色数は5色でPIXUS TS6130 とPIXUS TS6030に違いは無い。そのうち1色が顔料ブラック、残りの4色が染料インクだ。最小インクドロップサイズが非公表となっているが、上位機種のように印刷解像度が下がったわけでは無い(というより元から上位機種より低い)ため、おそらく同じ2plと推測される。ノズル数も同等なので、印刷測度に大きな変化無いが、L判写真印刷測度だけが、33秒から31秒に微妙に高速化されている。
大きく異なるのは印刷コストだ。L判フチなし写真が17.2円とPIXUS TS6030の15.1円より大きく上がっている。PIXUS TS6030の370/371番インクは2017年10月1日より価格が上がるため、PIXUS TS6030は15.8円となるが、それでもPIXUS TS6130 は高いと言える。この違いは、インクカートリッジが変更になった事が原因だ。PIXUS TS6130 では、380/381番の新しいインクカートリッジとなる。とはいえ、インク自体には変更は無い。変わったのはバリエーションで、PIXUS TS6030の370/371番インクは、大容量の370XL/371XLと標準容量の370/371が用意されていた。これがPIXUS TS6130 では標準容量の380/381と、小容量の380s/381sの2種類となったのだ。大容量が標準容量に、標準容量を小容量に名称変更したのでは無く、大容量インクが無くなったのだ。唯一顔料ブラックのみ大容量タイプ380XLPGBKを使用できる。そのためか、A4普通紙への印刷コストはカラーでPIXUS TS6130 が9.3円とPIXUS TS6030の8.9円と近くなっている。とはいえ、インクカートリッジの価格改定前の8.3円と比べるとやはり少し高くなった印象だ。また5色セットの場合は標準容量のセットまたは小容量のセットとなり、大容量顔料ブラックがセットになったものはない。ちなみにPIXUS TS6030の標準容量のL判写真印刷コストは21.1円で、標準同士ならPIXUS TS6130 の方が安い。PIXUS TS6130 の小容量の場合は23.7円だ。わかりにくいので、少し計算してみよう。写真の印刷コストには写真用紙代(400枚で1,705円、1枚4.2625円)が込みなので、インク代はPIXUS TS6130 の標準容量で12.9375円となる。写真印刷では顔料ブラックインクを使用しないので、染料の381インク1本1,030円で、4本で4,120円。これを印刷コスト(用紙代除く)で割ると、約318枚。つまり乱暴な計算だが、インクが均等に使用できた場合、染料インク1セットで約318枚印刷ができる。一方、PIXUS TS6030でも同じ計算をすると、大容量の371XLインクは1,310円×4本で5,240円で、印刷コストで割ると約454枚となる。標準容量の371インクは870円×4本で3,480円で、印刷コストで割ると約207枚。この事から、PIXUS TS6130 の標準容量は、PIXUS TS6030の大容量と標準容量の間の量のインクカートリッジを、間の価格で販売しているが、やや割高になっていると言える。ちなみに、PIXUS TS6130 の小容量インクカートリッジ380s番は710円×4で2,840円。印刷コストで割ると約146枚となり、標準容量の半分よりやや少なくなる。いずれにしても、PIXUS TS6130 の印刷コストはPIXUS TS6030に比べると上がり、カートリッジ1セットで印刷できる枚数も減った。印刷枚数が多い人は、逆に印刷コストが下がっているPIXUS XKシリーズへという流れなのだろう。残念ながら、これまでのPIXUSシリーズは印刷コストが安いという傾向は、PIXUS TS6130 では薄れたと言えるだろう。
プリント(給紙・排紙関連) |
型番 |
PIXUS TS6130 |
PIXUS TS6030 |
製品画像 |
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 |
対応用紙サイズ |
名刺〜A4 |
名刺〜A4 |
給紙方向 (A4普通紙セット可能枚数) |
背面 |
○(100枚) |
○(100枚) |
前面 |
カセット(100枚/普通紙のみ) |
カセット(100枚/普通紙のみ) |
その他 |
− |
− |
排紙トレイ自動開閉 |
− |
− |
用紙種類・サイズ登録 |
○(カセット収納(前面)・カバー(背面)連動) |
○(カセット収納(前面)・カバー(背面)連動) |
用紙幅チェック機能 |
− |
− |
続いて、PIXUS TS6130 とPIXUS TS6030の給紙、排紙機能を見てみよう。どちらも印刷できる用紙サイズや、前面給紙カセット+背面トレイという方式は同じだ。同じ本体を使用しているので、前面給紙カセットにA4やB5用紙をセットする場合は、カセットを伸ばす必要があり、本体から44mm飛び出すのも同様だ。ただ、このカセットは若干の変更が加えられた。PIXUS TS6030では、カセットの伸縮は手動だった。PIXUS TS6130 では、カセットを引き出す際に自動的に伸張するようになった。つまり、用紙をセットしていない時は縮めてすっきり収納しておいても、A4やB5用紙をセットする際に自動的にセットできるサイズになるという訳だ。もちろん、カセットを収納する時は自動で縮まったりはしない(そうでないとセットした用紙がぐちゃぐちゃになってしまう)。一見便利だが、B5より小さな用紙をセットしている場合、せっかく縮めておいても、カセットを取り出す度にカセットが伸張してしまう事になる。ただ、ハガキや写真用紙は前面給紙カセットには入れられないので、一般的にはA4やB5の普通紙を使う人が多いという判断なのだろう。
プリント(付加機能) |
型番 |
PIXUS TS6130 |
PIXUS TS6030 |
製品画像 |
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 |
自動両面印刷 |
○(普通紙のみ) |
○(普通紙のみ) |
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷 |
− |
− |
写真補正機能 |
○(自動写真補正II) |
○(自動写真補正II) |
特定インク切れ時印刷 |
− |
− |
自動電源オン/オフ |
○/○ |
○/○ |
廃インクタンク交換 |
− |
− |
続いて、PIXUS TS6130 とPIXUS TS6030のその他のプリント機能を比較してみよう。この部分に変更は無く、自動両面印刷は普通紙のみでハガキに非対応である。自動電源オン/オフを備えているのも同等だ。
スキャン |
型番 |
PIXUS TS6130 |
PIXUS TS6030 |
製品画像 |
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読み取り解像度 |
1200dpi |
1200dpi |
センサータイプ |
CIS |
CIS |
原稿取り忘れアラーム |
○ |
○ |
スキャンデーターのメモリカード保存 |
− |
− |
PIXUS TS6130 のスキャン機能もPIXUS TS6030から違いは無い。解像度なども同等だ。
ダイレクト印刷 |
型番 |
PIXUS TS6130 |
PIXUS TS6030 |
製品画像 |
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 |
カードスロット |
対応メモリカード |
− |
− |
USBメモリ/外付けHDD/外付けDVD対応 |
−/−/− |
−/−/− |
メモリカードからUSBメモリ/外付けHDD/外付けDVDへバックアップ |
−/−/− |
−/−/− |
対応ファイル形式 |
− |
− |
手書き合成 |
○ |
○ |
PictBridge対応 |
○(Wi-Fi) |
○(Wi-Fi) |
赤外線通信 |
− |
− |
各種デザイン用紙印刷 |
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳) |
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳) |
PIXUS TS6130 とPIXUS TS6030は共にメモリカードからのダイレクト印刷機能を搭載していない点で同じだ。唯一PictBridgeに対応しているがUSBポートが無いので、Wi-Fi接続に限られる。定型フォーム印刷機能も同等だ。
スマホ/クラウド対応 |
型番 |
PIXUS TS6130 |
PIXUS TS6030 |
製品画像 |
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 |
スマートフォン連携 |
対応端末 |
iPhone iPod touch iPad (iOS 9.0以降) Android 4.1以降 (Bluetooth対応) |
iPhone iPod touch iPad (iOS 7.0以降) Android 4.0以降 |
NFC対応 |
− |
− |
写真プリント |
○ |
○ |
ドキュメントプリント |
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) |
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) |
Webページプリント |
○ |
○ |
スキャン |
○(PDF/JPEG) |
○(PDF/JPEG) |
クラウド連携 |
スマートフォン経由/本体 |
○/○ |
○/○ |
オンラインストレージからの印刷 |
○ |
○ |
SNSからの印刷 |
○(コメント付き可) |
○(コメント付き可) |
写真共有サイトからの印刷 |
○ |
○ |
メールしてプリント |
− |
− |
リモートプリント |
− |
− |
スキャンしてリモートプリント |
− |
− |
続いて、PIXUS TS6130 とPIXUS TS6030のスマホ、クラウド対応に付いて見ていこう。まず、対応端末に関してはAndroidのバージョンが4.0から4.1、iOSのバージョンが7.0から9.0になっているが、これは本体の発売時のアプリの対応バージョンなので、現在のアプリの対応バージョンは両機種ともAndroid 4.1/iOS 9.0以上となる。PIXUS TS6130 に新たに搭載されたのはBluetooth接続機能だ。ただ、これはBluetoothを使って写真を送信すれば印刷されると言った機能では無い。Bluetoothでお互いを認証しておけば、ダイレクト接続(Wi-Fiダイレクト)の際の接続が簡単という機能だ。Bluetoothは接続時に使用するだけで、印刷操作は「Canon PRINT Inkjet」上で行い、データー転送にはWi-Fiが使用される。ちなみにAndroid 5.1以上の対応で、iOSは非対応だ。もともとPIXUS TS6030にはNFCが搭載されていなかったため、簡単に接続できる方法が用意された点で便利になった。
コピー機能 |
型番 |
PIXUS TS6130 |
PIXUS TS6030 |
製品画像 |
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 |
等倍コピー |
○ |
○ |
拡大縮小 |
倍率指定 |
○(25〜400%) |
○(25〜400%) |
自動変倍 |
○ |
○ |
オートフィット |
○ |
○ |
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー |
○ |
○ |
写真焼き増し風コピー |
○(色あせ補正対応) |
○(色あせ補正対応) |
割り付け(2面/4面) |
○/○ |
○/○ |
バラエティコピー |
枠消しコピー IDコピー |
枠消しコピー IDコピー |
PIXUS TS6130 とPIXUS TS6030のコピー機能は同等だ。機能の追加・削除はない。
操作パネル/インタフェース/本体サイズ |
型番 |
PIXUS TS6130 |
PIXUS TS6030 |
製品画像 |
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液晶ディスプレイ |
3.0型 (90度角度調整可) |
3.0型 (90度角度調整可) |
操作パネル |
タッチパネル液晶+物理ボタン (90度角度調整可) |
タッチパネル液晶+物理ボタン (90度角度調整可) |
インターフェイス |
USB他 |
USB2.0×1 |
USB2.0×1 |
無線LAN |
IEEE802.11n/g/b (ダイレクト接続対応) |
IEEE802.11n/g/b (ダイレクト接続対応) |
有線LAN |
− |
− |
対応OS |
Windows 10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用) |
Windows 10/8.1/8/7 SP1/Vista SP2 Mac OS 10.8.5〜 |
外形寸法(横×奥×高) |
372×315×139mm |
372×315×139mm |
重量 |
6.2kg |
6.2kg |
本体カラー |
ブラック/ホワイト |
ブラック/ホワイト |
最後にPIXUS TS6130 とPIXUS TS6030の操作パネルやインタフェース、本体サイズなどを見てみよう。本体が同じなので、液晶サイズは同等だ。タッチパネル液晶だが、スタートやストップは物理ボタンが用意されるのも変わらない。接続インタフェースはUSB2.0に加えて、無線LANに対応するのも同等だ。対応OSは大きく変化し、Windows Vistaが対応から消えている。さらにWindows 8.1には対応するがWindows 8は非対応となった。また、MacOSのドライバは、PIXUS TS6030もドライバディスクには収録されずダウンロード対応だったが、今回からはキヤノンからは提供されず、AirPrintを使用する方法となった。対応バージョンもMacOS 10.8.5以上から、MacOS 10.10.5以上になっている。
本体サイズは全く同じだ。ただ、本体カラーに関しても、同じくブラック、ホワイト3色展開となっている。
PIXUS TS6130 はBluetoothでの接続設定機能などは追加された物の、基本的には変わっていないと言える。ただ、インクカートリッジを変更する事で印刷コストを高くし、本体価格はやや下がった製品と言える。また印刷コストが高いと言っても、ライバル製品に比べるとまだ安く、また上昇分もL判写真1枚あたり1.4円なので、1,000枚印刷しても1,400円差と考えると、本体価格が下がった事を喜ぶべきかもしれない。印刷枚数が特に多いので無ければ気にはならないが、他にPIXUS TS6030に比べて進化点もほとんど無いため、新機種という魅力は薄いと言える。
(H.Intel)
【今回の関連メーカーホームページ】
キャノンhttp://canon.jp/
PIXUS TS6130BK |
PIXUS TS6130WH |
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