プリンター徹底比較
2020年末時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2021年3月5日公開)

表中の背景が黄色になっている項目は、旧機種・現行機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・現行機種1からの変更点となります。

新機種「PX-S6710T」と参考機種「PX-S5080」「PX-M6712FT」を徹底比較する

 PX-S6710TはPX-S5080の後継モデルと見ることも出来るが、実際にはPX-S5080は継続販売されていること、さらにPX-S5080がインクカートリッジ方式なのに対して、PX-S6710Tはエコタンク方式であることからも、全く新しいモデルと言える。実際、エプソンのカラープリント対応のエコタンク搭載機としてはこれまで複合機しかなく、初めての単機能プリンターとなる。イメージ的には2020年夏に発売された複合機、PX-M6712FTをベースとしたプリント機能だけの製品と言えるだろう。今回はPX-S6710Tに一番近いと思われる、ビジネス向け顔料4色でA3ノビプリント対応のPX-S5080と比較しているが、ベースとなっているPX-M6712FTも参考機種として比較している。一体どのような違いがあるのだろうか。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
参考機種
参考機種
型番
PX-S6710T
PX-S5080
PX-M6712FT
プリンター部のみ
製品画像
発売日
2020年10月8日
2017年10月6日
2020年7月9日
発売時の価格(税別)
90,500円
34,980円
139,980円
インク
色数
4色
4色
4色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
エコタンク方式
(「挿すだけ満タン」インク方式)
各色独立インクカートリッジ
エコタンク方式
(「挿すだけ満タン」インク方式)
顔料/染料系
顔料
(DURABrite ET)
キャビネット保存400年
顔料
(つよインク200X)
顔料
(DURABrite ET)
キャビネット保存400年
インク型番
IT08番
76番(大容量)
74番(標準容量)
IT08番
ノズル数
3200ノズル
1568ノズル
3200ノズル
全色:各800ノズル
カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
全色:各800ノズル
最小インクドロップサイズ
N/A(3.8pl(MSDT)?)
2.8pl(MSDT)
N/A(3.8pl(MSDT)?)
最大解像度
4800×1200dpi
4800×2400dpi
4800×1200dpi
PrecisionCoreプリントヘッド
○(600dpi)
(ノズル自己診断システム搭載)
○(600dpi)
○(600dpi)
(ノズル自己診断システム搭載)
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
N/A
45秒
N/A
A4普通紙カラー(ISO基準)
25.0ipm
(最速32枚/分)
10.0ipm
(最速20枚/分)
25.0ipm
(最速32枚/分)
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
25.0ipm
(最速32枚/分)
18.0ipm
(最速32枚/分)
25.0ipm
(最速32枚/分)
印刷コスト
(税別)
L判縁なし写真
N/A
19.2円
N/A
A4カラー文書
2.0円
7.6円
2.0円
A4モノクロ文書
0.8円
2.5円
0.8円
インクボトル1本の印刷枚数
ブラック
7,500ページ
2,200ページ
7,500ページ
カラー
6,000ページ
1,100ページ
6,000ページ
インクボトル1本での価格
(税別)
ブラック
5,200円
4,830円
5,200円
カラー
2,600円
1,930円
2,600円
同梱インクボトル
インクボトル各色1本
セットアップ用インクカートリッジ
インクボトル各色1本

 まずは販売価格を見てみよう。販売開始時の価格はPX-S5080が34,980円、PX-S6710Tは90,500円と大きく異なる。機能面の差が要因では無く、印刷コストが安いエコタンク方式であるため、本体価格は高く設定されている。ちなみに複合機版のPX-M6712FTは139,980円で、5万円近い価格差がある。プリント機能だけで良いなら、かなり安くに、エコタンク方式のA3プリンターが購入できる事になる。
 それでは、印刷画質や速度、印刷コストなど基本的なプリント機能を見てみよう。インクは顔料4色インクというのは同じだが、PX-S5080では「つよインク200X」の名称が付けられていたインクは、「DURABrite ET」インクとなった。「つよインク200X」では写真の耐保存性が、アルバム保存300年、耐光性45年、耐オゾン性30年と高くなっていた。しかし、今回は写真の耐保存性は明言されなくなった代わりに「文書のキャビネット保存400年」がうたわれている。顔料4色構成では画質上、写真印刷向きでは無く、文書印刷がメインになると思われるため、写真の耐保存性が高いより文書の耐保存性が高い方が合っているといえる。
 前述のようにインクカートリッジ方式であるPX-S5080に対してPX-S6710Tはエコタンク方式となる。本体左側にインクタンクを搭載しており、ここにインクボトルからインクを補充する形となる。補充自体は「挿すだけ満タン」インク方式を採用しているため、ボトルを注入口に挿し込むと注入がスタートし、満タンで自動ストップする。ボトル自体はインクがこぼれにくい構造になっている。さらに、差し込み口の形状を色ごとに変えてあるので、間違った色のタンクに補充する心配も無い。インクカートリッジ方式と比べて特に難しいと言ったことは無いだろう。さらに途中で補充可能なので、大量印刷の前には補充しておくことで、途中でインク切れで止まっていたという事も防ぐことができ安心だ。なお、方式の変更に伴って、PX-S5080では76番(大容量)又は74番(標準容量)のインクカートリッジだったが、PX-S6710TではIT08番のインクボトルとなった。
 最小インクドロップサイズに関しては、PX-S6710Tは非公表ながら、同性能の海外のモデルでは3.8plとなっており、おそらく3.8plとなる。PX-S5080では2.8plだったので、ドットは若干大きくなったが、写真や年賀状印刷ならともかく、普通紙への印刷ではそれほど画質は変わらない。文章中のグラフや写真で若干ざらざら感が増している程度だろう。一方PrecisionCoreプリントヘッドは引き続き採用し、普通紙にも600dpiの高解像度で印刷が出来るので、細かい文字や図面なども綺麗に印刷できる。さらに、PX-S6710には「ノズル自己診断システム」が搭載され、ヘッドのドット抜けを印刷ジョブごとに自動検知して調整してくれるため、何百枚も印刷したら、途中から筋が入ってやり直し……という無駄が軽減される。
 印刷速度に影響するノズル数は、PX-S6710Tでは各色800ノズルとなっている。PX-S5080はブラックは同じ800ノズルだったが、カラーは各256ノズルだったので、PX-S6710Tではカラーもブラックと同等のノズル数まで増加したことになる。これが印刷速度に大きく影響しており、カラー印刷はPX-S5080の10.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数。数字が大きいほど高速)から、25.0ipmへ2.5倍高速化している。また、同じノズル数のモノクロ印刷に関しても、18.0ipmから25.0ipmに向上しており、卓上タイプのインクジェットプリンターとしては非常に高速になった。この数値なら卓上タイプのレーザープリンターにも引けを取らない速度だ。
 印刷コストに関しては、PX-S5080がA4カラー文書が7.8円、A4モノクロ文書が2.5円のところ、PX-S6710Tではそれぞれ2.0円と0.8円へと大きく下がった。カラーは約4分の1、モノクロは約3分の1だ。1万枚印刷すると、PX-S5080ならカラーは78,000円、モノクロでも25,000円のところ、PX-S6710Tならカラーが20,000円、モノクロは8,000円まで抑えられる。本体の価格が55,000円上がったといっても、印刷枚数が多ければ元が取れる計算だ。また、PX-S5080のモノクロ印刷より、PX-S6710Tのカラー印刷の方が安いので、今までは印刷コストを考えてモノクロ印刷で我慢していたという場合でもカラー印刷が気楽に使えるようになる。
 この印刷コストの差は、インクカートリッジとインクボトルの容量の差だ。PX-S5080では大容量を使用した場合、A4カラー文書を印刷すると、ブラックインクは2,200ページ、カラーインクは1,100ページ印刷が可能だ。カートリッジ価格はブラックインクが4,830円、カラーインクが各1,930円となる。一方、PX-S6710Tのインクボトルに関しては、1本でエコタンクが満タンになり、ブラックインクは7,500ページ、カラーインクは6,0000ページ印刷できる。ブラックは約3.5倍、カラーは約5.5倍の容量だ。それでいてインクボトルの価格はブラックインクは5,200円、カラーインクは各2.600円と大きく変わらない。ブラックで約7.6%アップ、カラーで約34.7%アップだ。価格差の割に容量が大きく、これが印刷コストの安さにつながっている。また、PX-S6710Tにはもう一つお得な点がある。インクジェットプリンターの場合、初期設定の際、インクの充填が行われ、これに大量のインクを消費してしまうため、同梱のインクの大半は使用してしまうのが常だった。PX-S5080でも同じである。ところが、PX-S6710Tは、別売りの物と同じインクボトルが付属することもあって、インクタンクが満タンの状態から初期充填を行う。そのため、大量に消費してもかなりの量が残るとされている。PX-S6710Tでは正確な値は公表されていないが、海外の同機能のモデルではブラックインクが2,800ページ分、カラーインクが4,500ページ分残るとされており、PX-S6710Tでもこれに近いと思われる。これはPX-S5080の別売りのインクで、ブラックは1本分以上、カラーは各4本分以上となり、27,990円分となる。同梱のインクを使用するだけでも、本体価格の差は縮まると言える。
 ちなみに、これらの機能は、複合機のPX-M6712FTと全く同じとなっている。

プリント(給紙・排紙関連)
新機種
参考機種
参考機種
型番
PX-S6710T
PX-S5080
PX-M6712FT
プリンター部のみ
製品画像
対応用紙サイズ
定型用紙
L判〜A3ノビ
(用紙幅64mmまで対応)
L判〜A3ノビ
L判〜A3ノビ
(用紙幅64mmまで対応)
長尺用紙
長さ6,000mmまで
長さ1,200mmまで
長さ6,000mmまで
給紙方向
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面

(50枚/20枚/20枚)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)

(50枚/20枚/20枚)
前面
【カセット上段】
A3まで
(250枚/65枚/50枚)
【カセット下段】
普通紙A3〜A5
(250枚/−/−)
【カセット上段】
(250枚/50枚/20枚)
【カセット下段】
普通紙のみ・B5〜A3
(250/−/−)
【カセット上段】
A3まで
(250枚/65枚/50枚)
【カセット下段】
普通紙A3〜A5
(250枚/−/−)
その他
排紙トレイ自動伸縮
○(A4/A3伸張量自動調整)
○(A4/A3伸張量自動調整)
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動)
用紙サイズ自動検知機能搭載
○(カセット収納連動)
○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動)
用紙サイズ自動検知機能搭載
用紙幅チェック機能
○(印刷時)
○(印刷時)
○(印刷時)

 続いて、PX-S6710Tの給紙、排紙機能を比較してみよう。対応用紙は最大はA3ノビ、最小はL判という点では共通だ。しかし、PX-S6710Tは大きく進化している。まず、用紙幅はL判の89mmより小さな64mmまで対応している。このサイズは、B6ハーフサイズのプライスカードに用いられ、小売店などで重宝されそうだ。一方長尺印刷に関しては、PX-S5080が1,200mm(1.2m)までだったのに対して、PX-S6710Tでは6,000mm(6m)まで対応し、垂れ幕や横断幕などの印刷にも使用できる。
 給紙に関しては、前面給紙カセット2段+背面給紙という点では同じだ。ただ、PX-S5080の背面給紙は1枚ずつの手差しだったのに対して、PX-S6710Tでは連続給紙が可能なトレイ式へと進化した。普通紙は50枚、ハガキや写真用紙は20枚までセットできる。もちろんA3ノビ対応だ。また、前面給紙カセットは250枚セットできるものが2段あり、下段は普通紙のみである点や、B4やA3サイズをセットする場合はカセットを伸ばす必要があり本体から飛び出す点は、PX-S5080と同じだ。ただ、上段カセットはPX-S5080ではA3ノビまで対応していたが、PX-S6710TではA3までとなり、A3ノビに非対応となった。つまりA3ノビは背面給紙のみとなる。一方の給紙枚数は、上段は普通紙は250枚で同じだが、ハガキはPX-S5080の50枚からPX-S6710Tでは65枚に、写真用紙は10枚から50枚に増えた。また、下段はPX-S5080はA3〜B5サイズの普通紙対応だったが、PX-S6710TではA3〜A5となり、B5より小さなA5サイズにも対応している。合計の給紙枚数は、普通紙は501枚から550枚に、ハガキは51枚から85枚に、写真用紙は11枚から70枚に増え、交換の手間が軽減されたことになる。
 また、排紙トレイはPX-S5080では手動で引き出す必要があったが、PX-S6710Tでは自動伸縮するようになった。引き出し忘れて印刷した用紙が床に落ちてしまったという心配が無くなった。また、A4とA3で伸張量が調整されるようになっており、A4サイズの印刷なのに最大まで伸びて邪魔になるという事がないように工夫されている。
 さらに、用紙種類・サイズの登録機能と印刷設定と異なる場合にエラーが表示される機能は引き続き搭載されているが、PX-S6710Tでは用紙サイズの自動検知機能を搭載しているため、違う用紙をセットした際に、サイズを手動登録する手間が軽減されている。ちなみに、これら機能も複合機PX-M6712FTと同等だ。

プリント(付加機能)
新機種
参考機種
参考機種
型番
PX-S6710T
PX-S5080
PX-M6712FT
プリンター部のみ
製品画像
自動両面印刷
○(1枚目反転と同時に2枚目印刷)
○(1枚目反転と同時に2枚目印刷)
自動両面
印刷速度
A4カラー文書
21.0ipm
6.0ipm
21.0ipm
A4モノクロ文書
21.0ipm
8.7ipm
21.0ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ
−/○
−/○
−/○
廃インクタンク交換
フチなし吸収材エラー時の対応機能

 続いてPX-S6710Tのその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷機能はPX-S6710TもPX-S5080も対応しており同等だ。普通紙だけで無くハガキに対応しているのも同じだ。ただし、PX-S6710Tは1枚目表の印刷時に2枚目を給紙しておき、1枚目を裏返している間に2枚目表を印刷、2枚目を裏返している間に1枚目裏を印刷するという、「両面高速紙送り機構」を採用している。自動両面印刷の場合、表面を印刷した後、そのままもう一度プリンター内に吸い込まれ、前面給紙の場合と同じくプリンター後方で180度方向転換することで、裏返しているわけだが、これに時間がかかってしまい、両面印刷時は印刷速度が極端に低下してしまう。PX-S6710Tでは、この裏返すのに時間がかかる間に2枚目の表を印刷することで、時間を無駄にしないという手法だ。そして、2枚目を裏返している間に1枚目の裏を印刷する形となる。ここで、自動両面印刷の速度を見てみよう。

自動両面印刷速度
型番
PX-S6710T
PX-S5080
PX-M6712FT
A4カラー文書
印刷速度
片面
25.0ipm
10.0ipm
25.0ipm
両面
21.0ipm
6.0ipm
21.0ipm
片面印刷との速度割合
84%
60%
84%
A4モノクロ文書
印刷速度
片面
25.0ipm
18.0ipm
25.0ipm
両面
21.0ipm
8.7ipm
21.0ipm
片面印刷との速度割合
84%
48.3%
84%

 これを見ると、PX-S6710FTは片面の印刷速度が高速なだけで無く、両面印刷時の低下率が小さい。PX-S5080ではカラーでは片面の60%の速度に、モノクロでは48.3%の速度にまで低下してしまっていたが、PX-S6710Tではカラー、モノクロ共に84%までしか速度は低下していない。これならば、両面印刷にすることで用紙の節約にはなるが、印刷完了までの時間が長くなってしまうと言う問題は、大きく改善された。
 それでは自動両面印刷機能以外の部分も見ていこう。PX-S5080では、カラーインクが無くなった際に、一時的にモノクロ印刷が行える「黒だけでモード」を搭載しているが、PX-S6710Tは搭載していない。一度のインク補充で印刷できる枚数が多く、インク切れになる事が少ない上に、途中で補充が可能なためと思われる。エプソンの場合エコタンク搭載機はすべて同機能を搭載しない。廃インクタンク(メンテナンスボックス)のユーザーによる交換はPX-S6710TもPX-S5080同様対応しているが、新たに「フチなし吸収材エラー」時に印刷が継続できる機能も搭載された。フチなし印刷を行う場合、用紙のフチギリギリに印刷するのは用紙の微妙なズレなどを考えると難しいため、少し大きめに印刷し用紙からはみ出す部分は吸収材で吸収させるという方式をとっている。用紙が通る部分のプラスチックが一部欠けておりその下にクッションのような吸収材が見えるが、これがフチなし吸収材だ。このフチなし吸収材エラーが満タンになると、多くの機種では、一切のプリントが止まってしまう。一方、PX-S6710Tでは、この吸収材にインクが落ちることがない「フチあり」印刷に関しては印刷を継続できるようになった。フチなし印刷はできないとはいえ、フチなし印刷はとりあえず置いておいて、急を要するフチあり印刷を行い、余裕のあるときに修理に出すという事ができるわけだ。

スマートフォン/クラウド対応
新機種
参考機種
参考機種
型番
PX-S6710T
PX-S5080
PX-M6712FT
プリンター部のみ
製品画像
スマートフォン連携
アプリ
メーカー専用
EPSON iPrint
EPSON Smart Panel
EPSON iPrint
EPSON iPrint
EPSON Smart Panel
AirPrint
対応端末
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
スマートスピーカー対応
N/A
○(Alexa/Googleアシスタント)
○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fi接続支援機能
○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android))
○(NFC(Android))
○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
クラウド連携
プリント
アプリ経由/本体
○/−
○/−
○/−
オンラインストレージ
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
SNS
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト
メールしてプリント
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
LINEからプリント
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント
○(リモートプリントドライバー)
○(リモートプリントドライバー)
○(リモートプリントドライバー)
スキャンしてリモートプリント
○(受信のみ)
○(受信のみ)

 PX-S6710Tのスマートフォン、クラウド関連機能を見ていこう。専用のアプリは従来のEPSON iPrintに加えて、他の最新機種にならって、EPSON Smart Panelにも対応した。対応端末に変化は無いが、EPSON Smart Panelの場合は、iOSは11.0以降となる。その他、PX-S6710Tでは、Wi-Fiダイレクト接続時の接続支援機能が変更されている。PX-S5080ではNFCによる接続支援機能が搭載されていたが、iOSには非対応な上、AndroidでもNFC対応端末のみだった。そこでPX-S6710Tは、iOSの場合は本体の液晶に表示されるQRコードを読み込めば接続が完了し、Androidの場合は一覧から選んで、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了するように変更された。セキュリティーキーの入力などが不要なのは従来通りだが、より幅広い端末に対応した形となる。その他、クラウド関係の機能等は同等だ。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
参考機種
参考機種
型番
PX-S6710T
PX-S5080
PX-M6712FT
プリンター部のみ
製品画像
液晶ディスプレイ
2.4型
(角度調整可)
2.2型モノクロ
4.3型
(角度調整可)
操作パネル
物理ボタン式
物理ボタン式
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11ac/n/a/g/b
5GHz対応
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11ac/n/a/g/b
5GHz対応
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN
100BASE-TX
100BASE-TX
100BASE-TX
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
耐久枚数
20万枚
15万枚
20万枚
外形寸法(横×奥×高)
515×500×350mm
567×424×304mm
515×500×350mm
重量
17.0kg
15.0kg
21.5kg
本体カラー
ホワイト
ホワイト
ホワイト

 最後にPX-S6710Tの操作パネルやインターフェース、本体サイズなどを見てみよう。液晶は2.2型モノクロ液晶から、2.4型カラー液晶に変更された。サイズはほぼ同じだが、カラー表示となった事により、グラフィカルな表示が可能になり、分かりやすくなった。また、PX-S5080では、本体の前面から上面にかけて面取りされた部分に内蔵されていたが、PX-S6710Tでは本体前面に搭載され、ほぼ水平まで持ち上げて角度調整が可能となった。見やすい角度に調整できる分、高い位置に置いても低い位置に置いても使いやすくなった。なお、これまで機能面で全く同じだった複合機のPX-M6712FTだが、こちらは液晶が4.3型と大きく、タッチパネル操作が可能となっている。操作性はPX-S5080より大幅に改善されたが、PX-M6712FTよりは劣ることになる。ただ、コピーやファクス送信などの操作がなく、本体設定やエラーの確認の他、パスワード印刷(印刷実行時にパスワードを設定しておき、PX-S6710Tでパスワードを入力する事で印刷が実行される機能)や、ユーザー毎の利用機能制限や各種管理者設定に使用するくらいなので、この程度でも十分な操作性だと言える。
 インターフェースはUSB2.0に加えて、無線LANと有線LANにも対応しネットワーク接続出来るのは同じだ。しかし無線LANに関しては機能強化されている。PX-S5080ではIEEE802.11n/g/bのみ対応だが、PX-S6710TはIEEE80.211ac/aにも対応し、5GHz帯にも対応する。IEEE802.11acはIEEE802.11nと比べると通信速度が圧倒的に速いため、無線LAN接続時でも待たされる心配が無い。さらに、IEEE802.11ac/n/a通信時は、5GHz帯の電波を使用できる。PX-S5080やその他の多くの機種は2.4GHz帯のみ対応するが、これはBluetoothや電話の子機と同じ帯域で、電子レンジなどの影響も受けやすい。一方、5GHz帯は無線LAN専用といえるので、通信が安定する。このように無線LANでの安定性が大幅に強化されている。
 対応OSに変化はない。マイクロソフトのサポートの終わったWindows XPやVistaにも引き続き対応し、MacOSも10.6.8以降と比較的古いバージョンから対応する。
 本体サイズは、PX-S6710Tは515×500×350mmである。PX-S5080の567×424×304mmと比べると、横幅は5cm以上小さくなっているが、奥行きは7.6cm、高さは4.6cm大きくなっている。ただし、奥行きに関しては、左側のエコタンク部分が飛び出している分も入れているため、それを除くと450mm程度になる。また、高さに関しても背面給紙が手差しからトレイに変更され大型化した関係で、背面給紙部分だけが飛び出しており、それを除くと300mm程度になる。つまり、背面給紙とエコタンク部分の飛び出しを無視すれば、全体的には横幅が5cm小さくなったような印象だ。
 耐久枚数に関しては、15万枚から20万枚へ強化された。印刷枚数が多いと思われるエコタンク搭載機だけに、耐久枚数の強化はうれしい改良点だ。



 PX-S6710TはPX-S5080のエコタンク版ではなく、大幅に機能強化されている。印刷速度だけで無く両面印刷時の速度も大幅に強化された。また、対応する用紙も、幅の小さい物から長尺まで、より広く対応しており、様々な場面で使えるだろう。本体の操作性や無線LAN、耐久枚数の強化も見逃せない。印刷コストが圧倒的に安いため、本体価格の差も、印刷枚数が多ければすぐに逆転する。具体的には同梱インクで 27,990円分のインクが付属すると考えると、差は27,530円だ。カラー文書なら約5,000枚、モノクロ文書でも約16,000枚で逆転する計算だ。機能的な強化も考えれば、非常のお買い得と言える。また、液晶部以外は全く同じ性能のPX-M6712FTとは、価格差が49,480円もある。コピーやスキャン、ファクス機能が不要なら、比較的安価に非常に高性能で低印刷コストのプリンターが手に入ることになる。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/


PX-S6710T