プリンター徹底比較
2021年春時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2021年9月13日公開)

表中の背景が黄色になっている項目は、旧機種・現行機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・現行機種1からの変更点となります。
2021年3月31日の「消費税転嫁対策特別措置法」終了に伴い、税込み価格表示が義務となる事から、各メーカーの価格表示も税込み価格に切り替わっております。
そのため、当ページでも、今回より「実売価格」「印刷コスト」「インク価格」など各種価格表示を税込み価格で表示させて頂きます。

新機種「PX-S6010」と旧機種「PX-S5080」、参考機種「PX-M6011F」を徹底比較する

 PX-S6010は、A3ノビプリントとA3スキャンに対応したインクカートリッジ方式のビジネス向け複合機だ。型番は大きく変わったがPX-S5080の直接の後継モデルとなる。5000番台から6000番台となり、型番上も大きく進化したのを伺わせるPX-S6010だが、旧モデルPX-S5080とどこが進化したのか、細かく検証する。また、昨年10月に先行して登場していたPX-M6011Fは、PX-S6010のベースとなった複合機で、PX-M6011Fのプリンター機能だけとしたものがPX-S6010と考えても良さそうだ。しかし、細かく見ても違いは無いのかも合わせて検証する。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
参考機種
型番 PX-S6010 PX-S5080 PX-M6011F
(プリント機能のみ)
製品画像
発売日 2021年6月24日 2017年10月6日 2020年10月8日
発売時の価格(税別)
38,500円
38,487円 44,550円
インク 色数 4色 4色 4色
インク構成 ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 各色独立インクカートリッジ 各色独立インクカートリッジ 各色独立インクカートリッジ
顔料/染料系
顔料
(文書キャビネット保存400年)
顔料
(つよインク200X)
顔料
(文書キャビネット保存400年)
インク型番
IB07B番(大容量)
IB07A番(標準容量)
76番(大容量)
74番(標準容量)
IB07B番(大容量)
IB07A番(標準容量)
ノズル数 1568ノズル 1568ノズル 1568ノズル
カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
最小インクドロップサイズ
N/A(3.8pl(MSDT)?)
2.8pl(MSDT) N/A(3.8pl(MSDT)?)
最大解像度 4800×2400dpi 4800×2400dpi 4800×2400dpi
PrecisionCoreプリントヘッド ○(600dpi) ○(600dpi) ○(600dpi)
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) N/A N/A N/A
A4普通紙カラー(ISO基準)
12.0ipm
(最速22枚/分)
10.0ipm
(最速20枚/分)
12.0ipm
(最速22枚/分)
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
25.0ipm
(最速32枚/分)
18.0ipm
(最速32枚/分)
25.0ipm
(最速32枚/分)
印刷コスト
(税別)
L判縁なし写真 N/A N/A N/A
A4カラー文書
9.4円
8.3円 9.4円
A4モノクロ文書
2.9円
2.8円 2.9円
インク1本の印刷枚数
ブラック 2,200ページ 2,200ページ 2,200ページ
カラー 1,100ページ 1,100ページ 1,100ページ
インク1本の価格
(税別)
ブラック
6,446円
5,313円 6,446円
カラー
各2,332円
各2,123円 各2,332円
同梱インク セットアップ用インクカートリッジ各色1本 セットアップ用インクカートリッジ各色1本 セットアップ用インクカートリッジ各色1本

 まずは販売価格を見てみよう。販売開始時の価格はPX-S6010が38,500円で、PX-S5080の38,487円と同等の価格となっている(税込み価格で切りの良い価格になっただけ)。一方PX-S6010の複合機版であるPX-M6011Fは44,550円で、6,050円の差となる。
 それでは、印刷画質や速度、印刷コストなど基本的なプリント機能を見てみよう。インクは顔料4色インクというのは同じだが、「つよインク200X」の名称が付けられていたインクは、ただの顔料インクとなった。「つよインク200X」では写真保存時に、アルバム保存300年、耐光性45年、耐オゾン性30年と高くなっていた。しかし、今回は写真の耐保存性は明言されなくなった代わりに「文書のキャビネット保存400年」がうたわれている。顔料4色構成では画質上、写真印刷向きでは無く、文書印刷がメインになると思われるため、写真の耐保存性が高いより文書の耐保存性が高い方が合っているといえる。
 インクの変更に伴って、PX-S5080では76番(大容量)又は74番(標準容量)だったインクカートリッジは、PX-S6010ではIB07番となった。IB07の後ろに色の記号(K/C/M/Y)が付き、その後ろがBなら大容量、Aなら標準容量となる。
 最小インクドロップサイズに関しては、PX-S6010は非公表ながら、同性能の海外のモデルでは3.8plとなっており、おそらく3.8plとなる。PX-S5080では2.8plだったので、ドットは若干大きくなったが、写真や年賀状印刷ならともかく、普通紙への印刷ではそれほど画質は変わらない。文章中のグラフや写真で若干ざらざら感が増している程度だろう。一方PrecisionCoreプリントヘッドは引き続き採用し、普通紙にも600dpiの高解像度で印刷が出来るので、細かい文字や図面なども綺麗に印刷できる。
 印刷速度に影響するノズル数は、PX-S6010はカラー各256ノズル、ブラック800ノズルで、これはPX-S5080と同等だ。それでもPX-S5080ではA4カラー文書が10.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数。数字が大きいほど高速)、A4モノクロ文書が18.0ipmだったが、PX-S6010ではそれぞれ12.0ipmと25.0ipmへと高速化している。特にモノクロプリントの高速化が顕著だ。
 一方、印刷コストに関してはやや高くなった。PX-S5080ではA4カラー文書が7.6円、A4モノクロ文書が2.5円だったが、PX-S6010ではそれぞれ8.5円と2.6円となった。モノクロはほぼ同等だが、カラーは約12%高くなっている。インクカートリッジ1セットでA4カラー文書を印刷した場合の枚数は、ブラック、カラー共に変化していない。ただしカートリッジ自体の価格は、ブラックインクが5,313円から6,446円に、カラーインクが各2,123円から各2,232円に上がっている。それぞれ21%と10%の値上げだ。ブラックインクの値上げ幅が大きいのに対して、モノクロ印刷コストはほぼ変わっておらず、逆にカラー印刷コストが大きく上がっているのが不思議だが、モノクロ印刷主体なら、1枚あたりの印刷コストは気にしなくても良いといえる。ちなみに、この印刷画質や速度、印刷コストなどの面は複合機のPX-M6011Fと同等だ。

プリント(給紙・排紙関連)
新機種
旧機種
参考機種
型番 PX-S6010 PX-S5080 PX-M6011F
(プリント機能のみ)
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙
L判〜A3ノビ
(用紙幅64mmまで対応)
L判〜A3ノビ L判〜A3ノビ
(用紙幅64mmまで対応)
長尺用紙 長さ1,200mmまで 長さ1,200mmまで 長さ1,200mmまで
給紙方向
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)

(50枚/20枚/20枚)
前面
【カセット上段】
A3まで
(250枚/65枚/50枚)
【カセット下段】
普通紙A3〜B5
(250枚/−/−)
【カセット上段】
(250枚/50枚/20枚)
【カセット下段】
普通紙のみ・B5以上
(250/−/−)
【カセット上段】
A3まで
(250枚/65枚/50枚)
【カセット下段】
普通紙A3〜B5
(250枚/−/−)
その他
排紙トレイ自動伸縮
○(A4/A3伸張量自動調整)
○(A4/A3伸張量自動調整)
用紙種類・サイズ登録 ○(カセット収納連動) ○(カセット収納連動) ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動)
用紙幅チェック機能 ○(印刷時) ○(印刷時) ○(印刷時)

 続いて、PX-S6010の給紙、排紙機能を比較してみよう。対応用紙は最大はA3ノビ、最小はL判という点では共通だ。しかし、PX-S6010は用紙幅はL判の89mmより小さな64mmまで対応している。このサイズは、B6ハーフサイズのプライスカードに用いられ、小売店などで重宝されそうだ。
 給紙に関しては、前面給紙カセット2段+背面手差し給紙という点では同じだ。前面給紙カセットは250枚セットできるものが2段あり、下段は普通紙のみである点や、B4やA3サイズをセットする場合はカセットを伸ばす必要があり本体から飛び出す点は、PX-S5080と同じだ。ただ、上段カセットはPX-S5080ではA3ノビまで対応していたが、PX-S6010ではA3までとなり、A3ノビに非対応となった。つまりA3ノビは背面手差し給紙のみとなる。背面手差し給紙は1枚ずつセットする必要があるため、A3ノビ用紙を多く印刷する場合は不便になったと言える。一方、前面給紙カセットの給紙枚数は、上段は普通紙は250枚で同じだが、ハガキはPX-S5080の50枚からPX-S6010では65枚に、写真用紙は20枚から50枚に増えた。ちなみに、この点は複合機PX-M6011Fと異なる点で、PX-M6011Fでは前面2段カセットは同等だが、背面給紙は手差しでは無くトレイ式となっている。普通紙50枚、ハガキ20枚、写真用紙20枚までの連続給紙が可能である。また背面給紙はA3ノビに対応することから、A3ノビの連続給紙にも対応する。前面給紙カセットにセットした用紙以外にも、その都度様々な用紙を使う場合や、A3ノビ用紙を使う場合は、PX-S6010ではPX-M6011Fに比べてやや不便と言えるだろう。なお、背面給紙がPX-M6011Fと同じトレイ方式とせず、手差し給紙のままとなったのは高さの問題があるためだろう。PX-S6010はPX-M6011Fと比べるとスキャナ部が無くなった分高さが抑えられた事になる。PX-M6011Fの背面給紙はスキャナ部の高さと揃っていたため、そのままの背面給紙とすると、PX-S6010では背面給紙部分だけ高くなってしまう。実際にPX-S6010のエコタンク方式であるPX-S6710Tは背面給紙がトレイ式のままだが、50mmほど高くなっている。PX-S6010では高さを揃えるために手差し給紙となった可能性がある。
 排紙トレイはPX-S5080では手動で引き出す必要があったが、PX-S6010では自動伸縮するようになった。引き出し忘れて印刷した用紙が床に落ちてしまう心配が無くなった。また、A4とA3で伸張量が調整されるようになっており、A4サイズの印刷なのに最大まで伸びで邪魔になるという事がないように工夫されている。この点はPX-M6011Fと同等だ。

プリント(付加機能)
新機種
旧機種
参考機種
型番 PX-S6010 PX-S5080 PX-M6011F
(プリント機能のみ)
製品画像
自動両面印刷
自動両面
印刷速度
A4カラー文書
9.0ipm
6.0ipm 9.0ipm
A4モノクロ文書
16.0ipm
8.7ipm 16.0ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能 ○(オートフォトファイン!EX) ○(オートフォトファイン!EX) ○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷 ○(黒だけでモード・5日間のみ) ○(黒だけでモード・5日間のみ) ○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ −/○ −/○ −/○
廃インクタンク交換 ○(メンテナンスボックス交換可) ○(メンテナンスボックス交換可) ○(メンテナンスボックス交換可)
フチなし吸収材エラー時の対応機能
○(フチあり印刷継続可)
○(フチあり印刷継続可)

 続いてPX-S6010のその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷機能はPX-S6010もPX-S5080も搭載しているが、その速度が向上している。片面印刷の速度がPX-S6010の方が高速なので当たり前といえばそうなのだが、細かく見ていくとそれだけでない事が分かる。

自動両面印刷速度
型番
PX-S6010
PX-S5080
A4カラー文書
印刷速度
片面
12.0ipm
10.0ipm
両面
9.0ipm
6.0ipm
片面印刷との速度割合
75%
60%
A4モノクロ文書
印刷速度
片面
25.0ipm
18.0ipm
両面
16.0ipm
8.7ipm
片面印刷との速度割合
64%
48.3%

 これを見ると、PX-S6010は片面の印刷速度の向上に加えて、両面印刷時の速度低下率が抑えられている事がわかる。カラーの場合PX-S5080では片面印刷の60%の速度だが、PX-S6010では75%の速度が出ている。モノクロ印刷でも48.3%から64%にアップしている。両面印刷の速度が片面に対して劣る理由は2つある。両面印刷の場合、表の印刷後に、そのままもう一度プリンター内に吸い込まれ、前面給紙の場合と同じくプリンター後方で180度方向転換することで裏返しているわけだが、その反転動作に時間がかかる事が1点。もう一つは印刷内容によっては内部にインクが付いてしまわないよう、乾燥させる時間がかかる事がある。両面印刷の高速化は、この反転動作が高速化したのか、インクの乾きが速くなったのかのどちらかだろう。どちらにしても、両面印刷をよく使うユーザーには注目ポイントだ。
 それでは自動両面印刷機能以外の部分も見ていこう。廃インクタンク(メンテナンスボックス)のユーザーによる交換はPX-S6010もPX-S5080同様対応しているが、新たに「フチなし吸収材エラー」時に印刷が継続できる機能も搭載された。フチなし印刷を行う場合、用紙のフチギリギリに印刷するのは用紙の微妙なズレなどを考えると難しいため、少し大きめに印刷し用紙からはみ出す部分は吸収材で吸収させるという方式をとっている。用紙が通る部分のプラスチックが一部欠けておりその下にクッションのような吸収材が見えるが、これがフチなし吸収材だ。このフチなし吸収材エラーが満タンになると、多くの機種では、一切のプリントが止まってしまう。一方、PX-S6010では、この吸収材にインクが落ちることがない「フチあり」印刷に関しては印刷を継続できるようになった。フチなし印刷はできないとはいえ、フチなし印刷はとりあえず置いておいて、急を要するフチあり印刷を行い、余裕のあるときに修理に出すという事ができるわけだ。なお、これらの機能はエコタンクモデルのPX-M6011Fと同等だ。

スマートフォン/クラウド対応
新機種
旧機種
参考機種
型番 PX-S6010 PX-S5080 PX-M6011F
(プリント機能のみ)
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用
EPSON iPrint
EPSON Smart Panel
EPSON iPrint EPSON iPrint
EPSON Smart Panel
AirPrint
対応端末 iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
スマートスピーカー対応 ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fi接続支援機能
○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android))
○(NFC(Android)) ○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/− ○/− ○/−
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
SNS ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト
メールしてプリント ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(リモートプリントドライバー) ○(リモートプリントドライバー) ○(リモートプリントドライバー)
スキャンしてリモートプリント ○(受信のみ) ○(受信のみ)

 PX-S6010のスマートフォン、クラウド関連機能を見ていこう。専用のアプリは従来のEPSON iPrintに加えて、他の最新機種にならって、EPSON Smart Panelにも対応した。対応端末に変化は無いが、EPSON Smart Panelの場合は、iOSは11.0以降となる。
 その他、PX-S6010では、Wi-Fiダイレクト接続時の接続支援機能が変更されている。PX-S5080では、NFCを搭載しており、タッチすることで簡単に接続ができたが、Android限定で、しかもNFCに対応した端末のみだった。そこで、PX-S6010では、iOSの場合は本体の液晶に表示されるQRコードを標準カメラアプリで読み込めば接続が完了し、Androidの場合は一覧から選んで、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了するようになった。セキュリティーキーの入力などが不要なまま、iOSでもAndroidでも利用できるようになった。その他、クラウド関係の機能等は同等だ。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
旧機種
参考機種
型番 PX-S6010 PX-S5080 PX-M6011F
(プリント機能のみ)
製品画像
液晶ディスプレイ 2.4型
(角度調整可)
2.2型
モノクロ
4.3型
(角度調整可)
操作パネル 物理ボタン
(角度調整可)
物理ボタン タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11ac/n/a/g/b
5GHz対応
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11ac/n/a/g/b
5GHz対応
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX
対応OS Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
耐久枚数 15万枚 15万枚 15万枚
外形寸法(横×奥×高)
515×400×298mm
567×452×304mm 515×450×350mm
重量 13.7kg 15.0kg 20.2kg
本体カラー ホワイト ホワイト ホワイト

 最後にPX-S6010の操作パネルやインターフェース、本体サイズなどを見てみよう。液晶はPX-S5080の2.2型から、PX-S6010では2.4型とやや大きくなっただけのように見えるが、PX-S5080はモノクロ表示だったのに対して、PX-S6010はカラー表示となり、視認性は格段に向上した。また、PX-S5080では、本体の前面から上面にかけて斜めに面取りされた部分に液晶と操作パネルが搭載されており、角度は固定だったが、PX-S6010では前面に搭載され、持ち上げてほぼ水平まで角度調整が可能となった。PX-S5080でも斜めになっているためある程度はどの角度からでも操作できたが、角度調整が出来るPX-S6010は非常に操作しやすくなったと言える。プリント単機能機という事で、本体でコピー操作などを行うわけではないため操作性は重要では無いと思われがちだが、ビジネス向けのため、印刷ジョブの管理や、ユーザーによる利用制限、操作パネルの操作制限や、USB接続の無効化などの設定など、本体で多人数で使いやすいように様々な設定が可能だ。また印刷時にパスワード印刷を設定し、プリンター本体でパスワードを入力するまで印刷されないように機能も搭載されているなど、家庭向けの機種よりは本体での操作は多いと思われるため、操作性が向上しているのはありがたいといえる。もちろん本体でインク残量やエラー内容が確認できる他、Wi-Fi接続の設定やクリーニングなどの一般的な操作も行いやすい。ちなみに複合機のPX-M6011Fは更に大きな4.3型液晶を搭載している上に、タッチパネル操作が可能となっており、PX-S6010よりさらに操作性は上だ。
 インターフェースはUSB2.0に加えて、無線LANと有線LANにも対応しネットワーク接続出来るのは同じだ。しかし無線LANに関しては機能強化されている。PX-S5080ではIEEE802.11n/g/bのみ対応だが、PX-S6010はIEEE80.211ac/aにも対応し、5GHz帯にも対応する。IEEE802.11acはIEEE802.11nと比べると通信速度が圧倒的に速いため、無線LAN接続時でも待たされる心配が無い。さらに、IEEE802.11ac/n/a通信時は、5GHz帯の電波を使用できる。PX-S5080やその他の多くの機種は2.4GHz帯のみ対応するが、これはBluetoothや電話の子機と同じ帯域で、電子レンジなどの影響も受けやすい。一方、5GHz帯は無線LAN専用といえるので、通信が安定する。このように無線LANでの安定性が大幅に強化されている。
 対応OSに変化はない。マイクロソフトのサポートの終わったWindows XPやVistaにも引き続き対応し、MacOSも10.6.8以降と比較的古いバージョンから対応する。
 本体サイズは、PX-S6010は515×400×298mmで、PX-S5080の567×452×304mmと比べるとかなり小型化している。幅が52mm、奥行きも52mm小さくなっており、かなりコンパクトな印象だ。また複合機のPX-M6011Fと比べても、スキャナ部が無くなった分高さが52mm、背面給紙が手差しとなった分50mm小さくなっている。耐久枚数に関しては、15万枚で据え置きとなる。



 PX-S6010はPX-S5080と比べると大幅な機能強化がなされている事が分かる。印刷速度が向上に加えて、排紙トレイの自動伸縮、自動両面印刷の高速化、無線LANの強化、操作性の向上と多岐にわたって改良されており、それでいて大幅に小型化しているのも見逃せない。その割に本体価格は同等を維持しており、大幅に魅力が増したといえる。欠点が少なくなったが、唯一残念なのが印刷コストが上がってしまったことだろう。とはいえ、カラーで0.9円、モノクロで0.1円なので、1万枚印刷して9,000円と1,000円の差だ。特にモノクロ印刷が主体なら問題ないし、この差が気になるほど印刷枚数が多いなら、エコタンクモデルのPX-S6710Tの方はトータルではお得になるため、その点は印刷枚数によって棲み分けがなされていると言える。PX-S5080も完成度は決して悪くは無い製品だったが、PX-S6010は様々な面で高性能になり、より魅力が増したと言えるだろう。
 ちなみに、PX-M6011Fと比べるとプリント機能はほぼ同等だが、背面給紙がPX-S6010では手差し給紙であるのに対してPX-M6011Fではトレイ式となり連続給紙が可能だ。背面給紙からしか使えないA3ノビ用紙、又は前面給紙カセットにセットした用紙以外の用紙をよく使うなら、PX-M6011Fの方が便利だ。また、PX-M6011Fの方が液晶が大きくタッチパネルなので操作性が良い。本体での操作が多い場合もPX-M6011Fが良さそうだ。価格差は6,050円なので、コピー機能が必要な場合だけで無く、背面給紙または本体の操作性の違いが気になるならPX-M6011Fを、そうでないならPX-S6010はほぼ同等のプリント機能が安価に手に入ると言えるだろう。

(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/


PX-S6010