小ネタ集
2022年末時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2023年1月18日公開)

表中の背景が黄色になっている項目は、旧機種・参考機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・参考機種1からの変更点となります

新機種「EP-885A」と旧機種「EP-884A」を徹底比較する

 EP-885AはEP-884Aの後継機種だ。昨年は新型コロナウイルスの影響により、需要が集中する年末ではなく、年明け2月の発売となったが、今年は年末の10月20日の発売となる。基本的には恒例のマイナーバージョンアップの機種と言える。どの点が変わったのか、細かく見ていこう。

プリント(画質)
新機種
旧機種
型番 EP-885A EP-884A
製品画像



発売日 2022年10月20日 2022年2月3日
発売時の価格(税込) 39,050円 36,850円
インク 色数 6色 6色
インク構成 ブラック
シアン
ライトシアン
マゼンタ
ライトマゼンダ
イエロー
ブラック
シアン
ライトシアン
マゼンタ
ライトマゼンダ
イエロー
カートリッジ構成 各色独立 各色独立
顔料/染料系 染料
(つよインク200)
染料
(つよインク200)
インク型番 カメL(増量)
カメ(標準)
カメL(増量)
カメ(標準)
最小インクドロップサイズ 1.5pl
(Advanced-MSDT)
1.5pl
(Advanced-MSDT)
最大解像度 5760×1440dpi 5760×1440dpi
高画質化機能

 まずは、販売価格を見てみよう。EP-885Aの販売開始時の価格は39,050円で、EP-884Aの36,850円から2,200円の値上げだ。新型コロナウィルスによる世界的半導体不足や製造や輸送、円高などの問題もあって、製造コストが上がり毎年のように価格が上がっているが、2,200円というのは比較的値上げ幅は小さめと言えるだろう。
 それでは、まず印刷画質を見てみよう。インク構成や印刷解像度、最小インクドロップサイズなどは全く同じで、画質は同等だ。使用するインクカートリッジにも変更が無い。

プリント(印刷速度)
新機種
旧機種
型番 EP-885A EP-884A
製品画像
ノズル数 1080ノズル 1080ノズル
各色180ノズル 各色180ノズル
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) 13秒 13秒
A4普通紙カラー(ISO基準) N/A N/A
A4普通紙モノクロ(ISO基準) N/A N/A
ファーストプリント速度 A4普通紙カラー N/A N/A
A4普通紙モノクロ N/A N/A

 続いて印刷速度である。写真の印刷速度しか公表されていないが、こちらも13秒から変化がない。ノズル数も増減がないため、普通紙の印刷速度も同等と思われる。

プリント(印刷コスト)
新機種
旧機種
型番 EP-885A EP-884A
製品画像
印刷コスト
(税込)
L判縁なし写真 増量:23.2円
標準:29.7円
増量:22.7円→23.2円
標準:29.2円→29.7円
A4カラー文書 増量:13.2円
標準:16.5円
増量:13.2円
標準:16.5円
A4モノクロ文書 N/A N/A
インク1本の価格
(税込)
染料ブラック 増量:1,320円
標準:726円
増量:1,320円
標準:726円
カラー 増量:1,320円
標準:726円
増量:1,320円
標準:726円

 続いて印刷コストである。インクカートリッジに変更がないため、基本的には印刷コストは同じである。ただし、写真の印刷コストには用紙代が含まれており、このL判写真用紙が500枚で2,357円から2,600円に値上げされ、1枚あたり4.714円から5.2円に約0.5円上がった事から、写真の印刷コストは0.5円上がっている。EP-885Aでは、増量カートリッジ使用時で23.2円、標準カートリッジ使用時で29.7円となった。ただし、EP-884Aも同様に値上げとなるため、印刷コストに差があるわけでは無い。

プリント(給紙・排紙関連)
新機種
旧機種
型番 EP-885A EP-884A
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 名刺〜A4 名刺〜A4
長尺用紙 長さ1,200mmまで 長さ1,200mmまで
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.6mm厚紙対応)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.6mm厚紙対応)
前面 【カセット下段】
(100枚/40枚/20枚)
【カセット上段】
2L/B6以下
(20枚/20枚/20枚)
【カセット下段】
(100枚/40枚/20枚)
【カセット上段】
2L/B6以下
(20枚/20枚/20枚)
その他
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録 ○(カセット収納連動) ○(カセット収納連動)
用紙幅チェック機能

 続いて、EP-885Aの給紙、排紙機能を比較してみよう。対応用紙サイズや、前面給紙2段カセット+背面手差しという組み合わせは全く同じだ。この項目には変化はない。

プリント(付加機能)
新機種
旧機種
型番 EP-885A EP-884A
製品画像
自動両面印刷 対応/非対応
対応用紙 普通紙
ハガキ
ファイン紙
写真用紙
普通紙
ハガキ
ファイン紙
写真用紙
対応サイズ A4
B5
ハガキ
レター
ユーザー定義サイズ(102×152〜215.9×297mm)
A4
B5
ハガキ
レター
ユーザー定義サイズ(102×152〜215.9×297mm)
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 N/A N/A
A4モノクロ文書 N/A N/A
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能 ○(オートフォトファイン!EX) ○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷 ○(黒だけでモード・5日間のみ) ○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ ○(印刷実行)/○(指定時間) ○(印刷実行)/○(指定時間)
廃インクタンク交換 ○(メンテナンスボックス交換可) ○(メンテナンスボックス交換可)
フチなし吸収材エラー時の対応機能 ○(フチあり印刷継続可) ○(フチあり印刷継続可)

 続いてEP-885Aのその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷機能を搭載している事や、その対応用紙、自動電源オン・オフ機能、メンテナンスボックスの交換に対応している点など、全て同じだ。

スキャン
新機種
旧機種
型番 EP-885A EP-884A
製品画像
原稿サイズ A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
読み取り解像度 1200dpi(1200×4800dpi) 1200dpi(1200×4800dpi)
センサータイプ CIS CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリカード保存 ○(JPEG/PDF) ○(JPEG/PDF)

 EP-885Aのスキャナー機能を見てみよう。原稿サイズや解像度など、EP-884Aと全く同じとなっている。

ダイレクト印刷
新機種
旧機種
型番 EP-885A EP-884A
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード SD(最大256GB) SD(最大256GB)
USBメモリー
(外付けHDD/外付けDVDドライブ/メモリカードリーダー対応)
(最大2TB)

(外付けHDD/外付けDVDドライブ/メモリカードリーダー対応)
(最大2TB)
赤外線通信
対応ファイル形式 JPEG JPEG
最大画像解像度 10200×10200ドット 10200×10200ドット
読込ファイル数上限 9,990枚 9,990枚
色補正機能 ズーム/回転
フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ4段階)
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
シャープネス調整(5段階)
鮮やかさ調整(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
ズーム/回転
フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ4段階)
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
シャープネス調整(5段階)
鮮やかさ調整(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ ○/○ ○/○
PictBridge対応 ○(USB/Wi-Fi) ○(USB/Wi-Fi)
各種デザイン用紙印刷 塗り絵印刷
フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード)
デザインペーパー
証明写真印刷
シール印刷
フォトブック印刷
写真コラージュ
ディスクレーベル印刷
CDジャケット印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード)
デザインペーパー
証明写真印刷
シール印刷
フォトブック印刷
写真コラージュ
ディスクレーベル印刷
CDジャケット印刷

 EP-885Aのダイレクト印刷機能を見てみよう。SDカードリーダーとUSBポートを搭載し、各種色補正やバラエティ印刷機能を搭載している点で変化はない。

スマホ/クラウド対応
新機種
旧機種
型番 EP-885A EP-884A
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 Epson Smart Panel Epson Smart Panel
(EPSON iPrintにも対応)
AirPrint
対応端末 iOS 13.0以降
Android 8.0以降
【発売時】
iOS 11.0以降
Android 5.0以降
【現行】
iOS 13.0以降
Android 8.0以降
スマートスピーカー対応 ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fi接続支援機能 ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG)
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/− ○/−
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
SNS ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト
スキャン アプリ経由/本体 ○/○ ○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
(google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
(google classroomはアプリからのみ)
メールしてプリント ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(リモートプリントドライバー) ○(リモートプリントドライバー)
スキャンしてリモートプリント

 EP-885Aのスマホ、クラウド関連機能を見ていこう。対応アプリは引き続き「Epson Smart Panel」となるが、EP-884Aでは旧アプリ「EPSON iPrint」も利用できたが、EP-885Aでは対応しなくなった。新規に利用するユーザーは問題ないが、これまで「EPSON iPrint」を利用しており、慣れ親しんだ操作性の「EPSON iPrint」を引き続き利用しようと思っていたユーザーには注意が必要だ。なお、対応バージョンがiOSは11.0以降から13.0以降に、Androidが5.0以降から8.0以降に変更されているが、これは製品発表時のアプリの対応バージョンであり、この間にアプリ側に変更があっただけだ。そのためEP-884Aでも、現在はiOS 13.0以降、Android 8.0以降となる。

コピー機能
新機種
旧機種
型番 EP-885A EP-884A
製品画像
等倍コピー
拡大縮小 倍率指定 ○(25〜400%) ○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
フチなしコピー
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー ○(退色復元対応) ○(退色復元対応)
割り付け(2面/4面) ○/− ○/−
その他のコピー機能 プレビュー
濃度調整
背景除去機能
プレビュー
濃度調整
背景除去機能
バラエティコピー 見開きコピー
IDコピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
リピートコピー
見開きコピー
IDコピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
リピートコピー

 EP-885Aのコピー機能を見てみよう。各種拡大縮小やレーベルコピー、写真焼き増し風コピー、2面割付、プレビュー、背景除去、IDコピーなど各種コピー機能はEP-884Aから変更は無い。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
旧機種
型番 EP-885A EP-884A
製品画像
液晶ディスプレイ 4.3型
(90度角度調整可)
4.3型
(90度角度調整可)
操作パネル タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN
対応OS Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.9.5〜
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.9.5〜
外形寸法(横×奥×高) 349×340×142mm 349×340×142mm
重量 6.7kg 6.8kg
本体カラー ホワイト
ブラック
レッド
(再生プラスチック30%使用)
ホワイト
ブラック
レッド

 最後にEP-885Aの操作パネルやインタフェースなどを見てみよう。EP-885Aの液晶サイズや操作性はEP-884Aから変更されていない。ただし、ホーム画面等の「コピー」「写真の印刷」「スキャン」が、スマホ向けアプリ「Epson Smart Panel」の各ボタンと同じ色に変更され、分かりやすくなっている。それ以外のボタンも、青ベースから白ベースに変更され、背景にも薄く柄が付いておしゃれになっている。コピー画面などでも、項目やボタンの配置はそのままながら、色合いやタブのデザインなどに変更があるほか、画面左上の「ホームへ戻る」ボタンが、ホーム画面での各ボタンと同じ色に塗られている。

型番 EP-885A EP-884A
液晶パネル
(ホーム画面)
液晶パネル
(コピー画面)

※実際に製品を撮影した写真です

 その他、インターフェースや対応OSにも変更がなく、引き続き、キャノンとブラザーと比べると古いバージョンまで対応している。本体デザインには変更がなく、ホワイト、ブラック、レッドの3色展開という点も同じだ。ただし、本体のプラスチックの約30%に、再生プラスチックを使用する事で環境に配慮している。



 近年では特にインクカートリッジ方式の機種では、新機種と旧機種の差がほとんど無い事が恒例となっているが、EP-885Aもこの例に漏れず、液晶内のデザインと、再生プラスチックの使用以外の変更点が無い。その上、後者は使う上では違いは無いため、実質前者のみの変更点となる。ただし、元々完成度が高く、大きく改善する箇所がないのも実情だ。逆に新機種になると機能が削られることがあるが、今回はそういったことも無く価格もわずかに上がっただけという点は、逆に良かったと言えるだろう。ただし、EPSON iPrintへの非対応などは注意が必要だ。

(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
キャノンhttp://canon.jp/


EP-885AW
(ホワイト)
EP-885AB
(ブラック)
EP-885AR
(レッド)