小ネタ集
2022年末時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2022年5月16日公開)

表中の背景が黄色になっている項目は、旧機種・参考機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・参考機種1からの変更点となります

新機種「GX4030」と参考機種「GX7030」を徹底比較する

 キャノンのギガタンク搭載モデルには、ビジネス向けのGXシリーズと、家庭・小規模オフィス向けのGシリーズがあるが、これまでは、GXとGの下に付く数字が同じだと、同系統の製品となっていた。GX7030とG7030はファクス付き複合機、GX6030とG6030はファクス無し複合機、GX5030とG5030はプリンターという風にである。しかし、今回GXシリーズとして登場したGX4030は、ファクス付き複合機だ。Gシリーズの4030と言えば、GM4030というモノクロ複合機だが、GX4030はカラーである。つまり、GX7030の下位機種という位置づけだ。旧機種が存在しないため、上位機種のGX7030と比較し、どの点が下位機種なのか細かく見ていこう。

プリント(画質)
新機種
参考機種
型番 GX4030 GX7030
製品画像
発売日 2022年11月10日 2021年5月中旬
発売時の価格(税込) 61,050円 79,750円
インク 色数 4色 4色
インク構成 ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 ギガタンク方式
(挿して注入・満タン自動ストップ・色ごとに形状変更・オフキャリッジ式)
ギガタンク方式
(挿して注入・満タン自動ストップ・色ごとに形状変更・オフキャリッジ式)
顔料/染料系 顔料 顔料
インク型番 36番 36番
最小インクドロップサイズ N/A N/A
最大解像度 600×1200dpi 600×1200dpi
高画質化機能

 まずは、GX4030の販売価格を見てみよう。GX4030の販売開始時の価格は61,050円で、GX7030の79,750円より、18,700円安い事になる。その分、機能が省かれていると言えるだろう。
 では、GX4030の画質を見てみよう。GX4030は全色顔料の4色インクという点でGX7030と同じだ。インクボトルも同じ物を使用し、印刷解像度も同等で、肝心の最小インクドロップサイズが非公開なので確実なことは言えないが、画質面ではGX7030から変わっていない可能性が高い。細かい点で言うと、ギガタンク注入口のキャップにバネが付き、開いた状態を保持しやすく改良されている。

プリント(印刷速度)
新機種
参考機種
型番 GX4030 GX7030
製品画像
ノズル数 4352ノズル 4352ノズル
カラー:各1024ノズル
黒:1280ノズル
カラー:各1024ノズル
黒:1280ノズル
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) N/A N/A
A4普通紙カラー(ISO基準) 13.0ipm 15.5ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準) 18.0ipm 24.0ipm
ファーストプリント速度 A4普通紙カラー 10.0秒 8.0秒
A4普通紙モノクロ 8.0秒 7.0秒

 続いてGX4030の印刷速度を見てみよう。ノズル数がGX7030と同等であるため、印刷速度も同等でもおかしくはないが、実際には速度差が付けられている。カラーはGX7030の15.5ipmから13.0ipmに16%の低下、モノクロは24.0ipmから18.0ipmに25%の低下となっている。特にモノクロ印刷が遅くなっているが、この速度でも十分に高速とは言える。1枚目の印刷速度であるファーストプリント速度もカラーは8.0秒から10.0秒に、モノクロは7.0秒から8.0秒に遅くなっている。

プリント(印刷コスト)
型番 GX4030 GX7030
製品画像
印刷コスト
(税込)
L判縁なし写真 N/A N/A
A4カラー文書 2.2円 2.2円
A4モノクロ文書 0.9円 0.8円
インク1本の印刷枚数
(カラー文書)
ブラック 6,000ページ 6,000ページ
カラー 各14,000ページ 各14,000ページ
インク1本の価格
(税込)
ブラック 4,730円 4,730円
カラー 各6,160円 各6,160円
同梱インク インクボトル各色1本 インクボトル各色1本

 続いてGX4030の印刷コストである。同じインクボトルを使用しているため、印刷コストにはほぼ変化はない。モノクロ文書がGX7030の0.8円から、GX4030では0.9円に変化しているが、大きな違いではないだろう。しかし、インクボトルの価格は同じで、印刷可能枚数も同等にもかかわらず、それらから算出する印刷コストに差が出るというのは、いささか不可解だ。

プリント(給紙・排紙関連)
新機種
参考機種
型番 GX4030 GX7030
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 名刺〜A4
(フチ無し印刷非対応)
L判〜A4
(フチ無し印刷非対応)
長尺用紙 長さ1,200mmまで 長さ1,200mmまで
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面

(100枚/40枚/20枚)

(100枚/40枚/20枚)
前面 【カセット】
普通紙のみ
A5/B5/A4/レター(250枚/−/−)
【カセット上段】
普通紙のみ
A5/B5/A4/レター(250枚/−/−)
【カセット下段】
普通紙のみ・A4/レター
(250/−/−)
その他 【背面水平トレイ】
A4/B5/レター
0.7mm厚対応
(1枚/1枚/1枚)
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録 ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動) ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動)
用紙幅チェック機能

 続いて、GX4030の給紙、排紙機能を比較してみよう。対応用紙サイズは最大はA4なのは当然だが、最小がGX7030のL判(89×127mm)だったのが、GX4030では名刺サイズ(55×91mm)に対応した。ユーザー定義サイズでの指定となるが、小売店などで使われるB6ハーフサイズの64mm幅にも対応できることになる。上位機種にもない便利な点だ。給紙はGX7030が前面2段+背面給紙であるところ、GX4030は前面が1段になっている。2種類の用紙をカセットにセットしたり、2段とも同じ用紙を入れて大量使用に備えるという事が出来ない。背面給紙は100枚、前面給紙カセットは1段で250枚までの給紙という点は同等だ。代わりと言ってはなんだが、GX4030には新たに「背面水平トレイ」が搭載された。本体背面の、排紙トレイのちょうど裏側を開けると、1枚ずつ給紙出来るようになっているが、途中で紙が曲がらない事から、0.7mmまでの厚紙に対応している。通常の背面給紙では0.3mm厚程度までなので、冊子の表紙や、自立されるPOPなどの印刷に便利だろう。ただし、その構造上、後方に用紙の長さ分のスペースが必要となる点は注意が必要だ。

プリント(付加機能)
新機種
参考機種
型番 GX4030 GX7030
製品画像
自動両面印刷 対応/非対応
対応用紙 普通紙 普通紙
対応サイズ A4
レター
A4
レター
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 8.0ipm 10.0ipm
A4モノクロ文書 10.0ipm 13.0ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
特定インク切れ時印刷
自動電源オン/オフ ○(印刷実行/時刻指定)/○(指定時間操作無し/時刻指定) ○(印刷実行/時刻指定)/○(指定時間操作無し/時刻指定)
廃インクタンク交換 ○(メンテナンスカートリッジ交換可能) ○(メンテナンスカートリッジ交換可能)
フチなし吸収材エラー時の対応機能

 続いてGX4030のその他のプリント機能を比較してみよう。A4とレターサイズのみ対応の自動両面印刷機能や、自動電源オン・オフ、メンテナンスカートリッジの交換対応などはGX7030と同等だ。自動電源オンは、印刷が実行されるとオンになる方法と、時刻を指定してオンにする方法が選べ、自動電源オフも、プリントや本体操作が一定時間無いとオフになる方法と、時刻を指定してオフにする方法が選べるのも同等だ。ただし、印刷速度が低下したために、自動両面印刷速度も、カラーが10.0ipmから8.0ipmに、モノクロが13.0ipmから10.0ipmに遅くなっている。

スキャン
新機種
参考機種
型番 GX4030 GX7030
製品画像
原稿サイズ A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
読み取り解像度 1200dpi
(1200×2400dpi)
1200dpi
(1200×1200dpi)
センサータイプ CIS CIS
原稿取り忘れアラーム
ADF 原稿セット可能枚数 35枚 50枚
原稿サイズ A4/レター/リーガル
(216×356mm〜210×280mm)
216×356mm〜148×148mm
両面読み取り ○(同時両面)
読み取り速度 カラー N/A
(7.1ipm?)
N/A
(22.6ipm(両面時)?)
(22.1ipm(片面時)?)
モノクロ N/A N/A
(23.2ipm(両面時)?)
(22.1ipm(片面時)?)
スキャンデーターのメモリカード保存 ○(JPEG/PDF)

 GX4030のスキャナー機能を見てみよう。原稿サイズは同等だが、読み取り解像度に関してはGX4030の方が性能は上だ。とはいえ、読み取り解像度の内、前の数字は「主走査」といい、短辺側の解像度、つまり読み取りセンサーの解像度だが、これはGX4030もGX7030も1200dpiで同等だ。一方後ろの数字は「副走査」といい、長辺側の解像度、センサーの移動方向の解像度で、これが1200dpiと2400dpiで違いがある。つまり、GX7030は1200dpiの読み取りセンサーを1200dpiの精度で移動させることが出来るが、GX4030は1200dpiの読み取りセンサーを2400dpiの精度で移動させることが出来るという違いとなる。実際には、主走査の解像度以上で読み取る事は少ないため、1200×1200dpiが最高となる事に加えて、そもそも紙などの反射原稿しかスキャンできないため、文書なら150〜300dpi、写真でも300〜600dpiまでである事がほとんどである事を考えると、実用上の差は無いと言える。
 一方、原稿取り忘れアラームはGX4030では非搭載となる。また、GX4030もGX7030同様、ADFを搭載しているため、複数枚の原稿を連続で読み取る事が出来る。スキャンやコピー、ファクス送信時に便利だ。ただ、GX7030は同時両面スキャンに対応しているため、一度のスキャンで、裏表のスキャンが行えるが、GX4030は片面のみとなる。また、原稿のセット可能枚数もGX7030は50枚だったが、GX4030では35枚となる。また、対応サイズも、最大はA4より大きい、216×356mmのリーガルサイズまで対応する点では同等だが、最小サイズはGX7030が148×148mmで、A5やB5サイズも読み取れるが、GX4030は210×280mmまでなので、A5やB5原稿はADFではスキャンできない。読み取り速度に関しては、両機種とも非公開だが、海外の同機能の製品を参考にすると、GX7030はカラー原稿の片面読み取りが22.1ipmなのに対して、GX4030は7.1ipmである可能性が高い。GX4030のスキャン速度は3分の1以下であると言える。GX7030が搭載している、本体操作でスキャンしてUSBメモリーに保存する機能は、GX4030では非搭載だが、これは機能的に非搭載と言うより、GX4030がUSBメモリーに非対応であるためだ(詳しくは後述)。

ダイレクト印刷
新機種
参考機種
型番 GX4030 GX7030
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード
USBメモリー
赤外線通信
対応ファイル形式 JPEG/TIFF/PDF(本機でスキャンしてUSBメモリーに保存した/本機で受信したファクスを保存した/Canon IJ Scan Utilityで作成したPDFのみ)
最大画像解像度 N/A
読込ファイル数上限 N/A
色補正機能
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ −/− −/−
PictBridge対応
各種デザイン用紙印刷 定型フォーム印刷(レポート用紙/原稿用紙/スケジュール用紙/方眼紙/チェックリスト/五線譜/漢字練習用紙/アルファベット練習用紙)
組み込みパターンペーパー
定型フォーム印刷(レポート用紙/原稿用紙/スケジュール用紙/方眼紙/チェックリスト/五線譜/漢字練習用紙/アルファベット練習用紙)
組み込みパターンペーパー

 GX4030のダイレクト印刷機能を見てみよう。GX7030はUSBメモリーに対応しており、本体だけでJPEG、TIFF、PDFファイルをプリントできたが、GX4030は非対応となる。ただし、レポート用紙や原稿用紙などを印刷できる「定型フォーム印刷」と、カラフルなパターンを印刷できる「組み込みパターンペーパー」機能はGX4030も搭載している。

スマホ/クラウド対応
新機種
参考機種
型番 GX4030 GX7030
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 Canon PRINT Inkjet/SELPHY Canon PRINT Inkjet/SELPHY
AirPrint
対応端末 iOS 14.0以降
Android 6.0以降
【発売時】
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
【現行】
iOS 14.0以降
Android 6.0以降
スマートスピーカー対応 N/A N/A
Wi-Fi接続支援機能 ○(QRコード読み取り(iOS/Android)) ○(QRコード読み取り(iOS))
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG)
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/○ ○/○
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
SNS ○(Facebook・コメント付き可) ○(Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト ○(googleフォト/image.canon) ○(googleフォト/image.canon)
スキャン アプリ経由/本体 ○/○ ○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
メールしてプリント
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ) ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ)
スキャンしてリモートプリント

 GX4030のスマホ、クラウド関連機能を見ていこう。アプリからのプリントやスキャン機能はGX7030と同等だが、GX7030はiOSの場合、iOSに標準搭載のプリント機能であるAirPrintを利用してプリントする事が可能だが、GX4030はAirPrintには非対応であるため、必ずキャノンのアプリを経由しなければならない。ちなみに、対応OSはGX4030はiOS 14.0以降、Android 6.0以降となり、GX7030の発売時のiOS 13.0以降、Android 5.0以降より上がっているが、これはアプリの対応バージョンが変更されたためで、GX7030も現在はOS 14.0以降、Android 6.0以降となる。
 一方、両機種ともWi-Fiダイレクト接続時にQRコードを利用した接続支援機能が搭載されているが、GX7030はiOSのみ対応なのに対して、GX4030はAndroidでも利用できる。これは発売が新しいための違いと言える。

コピー機能
新機種
参考機種
型番 GX4030 GX7030
製品画像
等倍コピー
拡大縮小 倍率指定 ○(25〜400%) ○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
フチなしコピー
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面) ○/○ ○/○
その他のコピー機能 プレビュー
濃度調整
プレビュー
濃度調整
バラエティコピー 部単位コピー
ADF手動両面コピー
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約
部単位コピー
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約

 GX4030のコピー機能を見てみよう。各種拡大縮小コピーや2面/4面割り付け、プレビュー機能などは、GX7030と同等だ。唯一、バラエティーコピーとして「ADF手動両面コピー」機能が搭載されているのが違いだ。GX4030のADFは片面読み取りにしか対応しないが、この機能を利用すれば両面原稿を両面プリント又は片面にページ順にプリントすることが可能だ。逆に言うと、両面読み取りができるGX7030には不要な機能であり、GX4030の方がコピー機能が豊富なわけでは無い。
 なお、ADFを利用したコピー時の速度には注意が必要だ。スキャナーの項目で説明した、ADFの読み取り速度が海外モデルと同じだと仮定すると、GX7030は片面のカラー原稿の場合22.1ipmでスキャンが出来る。GX7030のカラープリント速度は15.5ipmなので、スキャナーがボトルネックにはならず、高速プリントを最大限に生かすことが出来る。実際には、処理時間なども必要なので、公式には12.2ipmとなっているが、比較的高速だ。一方GX4030のスキャン速度は7.1ipmで、プリント速度は13.0ipmなので、スキャナーがボトルネックになってしまう。公式にも7.4ipmとなっており、GX7030との差は大きい。プリント速度はカラー文書の場合GX4030とGX7030では大きな差は無いが、ADFを使用したコピー時は速度差がはっきり出てしまう。これらの機能を使う場合は注意が必要だ。ちなみにモノクロ文書の場合のコピー速度は、GX4030は15.2ipm、GX7030が22.2ipmで、こちらはプリント速度の差が影響している印象だ。

ファクス機能
新機種
参考機種
型番 GX4030 GX7030
製品画像
通信速度 33.6kbps 33.6kbps
画質設定 モノクロ 8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(ファイン)
8dot/mm×7.7本/mm(写真)
300×300dpi(ファインEX)
8dot/mm×3.85本/mm(標準)
8dot/mm×7.7本/mm(ファイン)
8dot/mm×7.7本/mm(写真)
300×300dpi(ファインEX)
カラー 200×200dpi 200×200dpi
送信原稿サイズ N/A N/A
記録紙サイズ A4/リーガル/レター A4/リーガル/レター
受信ファクス最大保存ページ数 250枚/30件 250枚/30件
データー保持(電源オフ/停電) ○/− ○/−
ワンタッチ
アドレス帳 100件 100件
グループダイヤル 99宛先 99宛先
順次同報送信 101宛先 101宛先
自動リダイヤル
発信元記録
ポーリング受信/送信 −/− −/−
ファクス/電話自動切替
見てから送信
見てから印刷
受信ファクスを メール送信
共有フォルダ保存
外部メモリー保存 ○(USBメモリー)
PCファクス 送信のみ 送信のみ

 GX4030のファクス機能を見てみよう。基本的な機能はGX7030と変わらず、画質設定は保存ページ数、アドレス帳の件数や、自動リダイヤルなどの機能は完全に同じだ。ただし、GX4030はUSBメモリーに対応しないため、受信ファクスをUSBメモリーに保存する機能は搭載されていない。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
参考機種
型番 GX4030 GX7030
製品画像
液晶ディスプレイ 2.7型 2.7型
(角度調整可)
操作パネル タッチパネル液晶+物理ボタン タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11ac/n/a/g/b
5GHz帯対応
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/a/g/b
5GHz帯対応
(ダイレクト接続対応)
有線LAN 100BASE-TX 100BASE-TX
対応OS Windows 11/10/8.1/7 SP1 Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.12.6〜(AirPrint利用)
耐久枚数 10万枚 15万枚
外形寸法(横×奥×高) 399×417×251mm 399×410×314mm
重量 9.5kg 13.0kg
本体カラー ホワイト&ブラック ホワイト&ブラック

 最後にG4030の操作パネルやインタフェースなどを見てみよう。GX4030の操作パネルと液晶は本体前面の中央に取り付けられている。GX7030のように本体前面の左寄りに、後付けのように飛び出しているのでは無く、しっかりと「内蔵」されているデザインだ。ただ、GX7030では角度調整が可能だったが、GX4030は固定式となった。デザイン的にはいかにも角度調整ができそうだが、少し上を向いた状態で固定されている。高い位置に設置する場合は問題ないが、棚の一番下の段や、床など低い場所に置く場合は操作がしづらいだろう。ただ、下位機種だからといって液晶サイズは変わっておらず、2.7型となっているため比較的操作はしやすいだろう。

操作パネル全体
GX4030 GX7030
GX4030.jpg">

 ここで、GX4030とGX7030の実際の操作パネルを比較してみると、取り付け位置の関係で、見た目はずいぶん異なっている。しかし、よく見ると、並びは違うものの、ボタンの種類は同じである為、操作性は同等と言える。むしろ、GX4030の方が、ボタンがやや大きく、完全な平面のGX7030に対して、GX4030ではボタンの中央がへこんでいるため、押しやすくなっている。
 GX4030のインターフェースはUSB接続と無線LAN、有線LANの3種類という点ではGX7030と同等だ。ただし、無線LANに関しては少々異なっている。GX7030では一般的なIEEE802.11n/g/bに加えてIEEE802.11aに対応しており、2.4GHz帯の電波だけで無く、IEEEE802.11n/a使用時は5GHz帯の電波も使用できる。2.4GHz帯はBluetoothや電話の子機、電子レンジなどの影響を受けるが、5GHz帯は無線LAN専用とも言えるため、通信が安定する。しかし、最も高速な規格がIEEE802.11nである事は変わりなく、通信速度は変わらなかった。GX4030では新たにIEEE802.11acにも対応した。IEEE802.11ac/n/a使用時は5GHz帯を使用できるだけで無く通信速度が上がっている。ストリーム数やチャンネル幅などが不明なのでなんとも言えないが、1ストリームの場合、IEEE802.11nは帯域幅20MHzで72.2Mbps、40MHzで150Mpbsだが、IEEE802.11acは最低の帯域幅80MHzでも433Mbpsとなり、3〜6倍の速度になる。高速プリントや、ADFによる高速スキャンが可能であるため、通信速度が高速化した事で、待ち時間が軽減される可能性がある。
 GX4030の対応OSは、Windowsの場合は、Windows 7 SP1以降(8は非対応)となっており、これはGX7030と変わらない。一方、MacOSに関しては、GX7030は対応していたが、GX4030は完全に非対応となった。これはAirPrintが関係している。近年のキャノンの機種は、Windows用は専用ドライバーを提供している一方、MacOSには専用ドライバーを提供せず、MacOS標準搭載のプリント機能であるAirPrintを使う方式に切り替えている。GX7030のMacOSはこのAirPrintを利用している。一方、GX4030は、「スマホ/クラウド対応」の項目で説明したとおり、AirPrintに対応していない。これはスマホに限った話ではない。そのため、GX4030はMacOSは専用ドライバーは提供されず、AirPrintは非対応となる為、MacOSそのものに非対応となる。Macユーザーは注意が必要だ。
 耐久枚数はGX7030の15万枚に比べて、GX4030は10万枚と低くなっている。しかし家庭用のプリンターが1万〜1万5000枚と言われているため、10万枚でも十分高耐久だ。プリンターの寿命は5年と言われており、GX7030なら年間3万枚、月に2,500枚となるが、GX4030でも年間2万枚、月に1,667枚となる。これより少ないようであれば、耐久枚数に関しては気にする必要は無いだろう。
 GX4030の本体サイズは399×417×251mmで、GX7030の399×410×314mmと比べると高さ以外はほぼ同等だ。高さも、前面給紙カセットが1段であるためだ。ファクス機能は搭載しないがGX7030と同じデザインの前面給紙カセットが1段のGX6030では高さは254mmで、GX4030と変わらない。GX4030は下位機種だからといって小型なわけでも、逆に大型なわけでも無い。



 近年では企業でもレーザープリンターからインクジェットプリンターへの移行が進んでおり、その中でも印刷コストが安いタンク方式は注目されている。そのため、上位機種と下位機種の2機種体制とする事で、ラインナップを強化したことになる。下位機種と言っても、目立つ違いは、印刷速度が低下する事、前面給紙カセットが1段になる事、ADFが両面スキャンが出来ず速度が遅い事、USBメモリーに非対応である事、操作パネルが角度調整が出来ない事、耐久枚数が低下したことくらいだ。同じインクを採用している為、低印刷コストや全色顔料インクは引き継いでおり、他の基本機能も問題ないレベルだ。印刷速度の低下も、モノクロでは特に顕著だが、それでも1分間に18枚プリントできれば、問題ない場合も多いだろう。耐久枚数も前述のように、月に1,667枚以下なら基本的には問題ない。逆に、背面水平トレイによる厚紙対応や、無線LANの強化など、上位機種より優れた点もある。逆に機能的な差が思ったより多くないため、GX7030との価格差は18,700円で、61,050円というとまだまだ高価である。そのため、これらの機能差も小さいが価格差も小さく、悩みどころと言えるだろう。とはいえ、ビジネス向けと考えると、ある程度の機能は必要なわけで、価格を下げる為に必要な機能まで削ってしまえば、意味の無い製品になる。あくまで「使える」レベルで、できる限り価格を下げた製品と言え、そういった意味では、下位機種といえども安心して購入できる製品と言えるだろう。ただしMacOSには非対応である点は注意が必要だ。

(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
キャノンhttp://canon.jp/


GX4030