カレーにしてね、母さん


アウトドアの定番、給食の人気メニューといえばカレーですね。

私が子供の頃はカレーといえば「ハウスバーモントカレー」、
♪〜カレーにしてね母さん♪の「ハウスインドカレー」、
「ボンカレー」ぐらいだったけど、今はスーパーにいくと
ありとあらゆる種類のカレーが並んでいる。
タイカレー、、インドカレー、チキンカレー、豆カレーなどなど,
国籍様々、素材もいろいろ、固形の素からお手軽レトルト、
本格スパイスセットなどなんでもござれである。
ちなみにヒヤさんのお気に入りはレトルトなら
新宿中村屋の「インドカリー ベジタブル」。
かぽちゃが入っていて、これがカレーに合う。

うちで作るカレーはポークである。
ジャガイモは入れない。
材料にトマトの水煮缶、リンゴ、にんにくははずせない。
バリエーションで茄子や生のトマト、ひよこ豆なんかを入れるのも好き。

吉本ばななの小説(「哀しい予感」だったかな?)には
フルーツカレーなるものが出てくる。
甘いのかな〜
自分では恐ろしくてつくれないが、ちょこっと食べてみたい気はする。


カレーの匂いはどんな時でも美味しい匂いと思っていたが、
一度だけ「つらい匂い」と思ったことがある。

8年前、阪神大震災後2月末に職場からの派遣で
西宮市の小学校に設けられた
避難所にお手伝いに行っていた時のことだ。
体育館の2階スペースの小部屋に救護所が設けられていたので、
2階の観覧席から居住スペースになっている1階が一望できた。
体育館は寒くてどうにもならない、というほどではなかったが
観覧席に立つと冷気が立ち昇ってくる。

自衛隊の特設のお風呂の暖簾が掲げられ、
その日の夕食はカレーとサラダだった。
普段だったらいいな〜と思うところだが、
体育館中にカレーの匂いが充満し、
2階にも寒々した空気に混じって立ち昇ってきた時
「これは匂いの暴力だな」と思った。

なんでそんなふうに思ったのだろう。
その日の巡回で体調を崩している人が何人かおられて
「匂いで気分が悪くないだろうか」と思ったのもある。

今になって思うのは・・・

災害などなければ、暖かいそれぞれの家で
その家の味のカレーを前にして楽しい夕餉を囲んでいたはずなのに
家をなくし、カレーを作ってくれた母をなくし、
「おいしい!」と喜ぶ子供を亡くした人もいた。
体調のすぐれない人はもちろん、それ以上に集団生活に精神的にまいっている人達がいた。
震災発生から1ヶ月半近くが経ち、仮設住宅の抽選が始まり、
人々の心もただ身を守るのに必死だった直後の状態とは
違ってきていた時期だったと思う。
ダンボールの上に畳を敷き仕切りもなく、支給される食事を食べ、
布団を並べて眠り、他所の家族と生活をともにする毎日。

そんな避難所の様子を目の当たりにして
カレーの匂いは、いろんなものを無くして否応なしに
「そこにとどまっていなければならない自分」を
意識させるのではと思ったから?