エコミュニティ研究会報告 岩元泉

名瀬市のNPO法人「ユーアイ自立支援の会」の活動について(レポート)

 

1.           NPO法人「ユーアイ自立支援センター」

NPO法人「ユーアイ自立支援の会」(通称ユーアイ自立支援センター)は平成13年6月1日に設立された障害者,高齢者など,環境保全のためのリサイクル活動を通じて就労したり,作業したりする活動を支援するという目的を持った特定非営利活動法人である。

理事長は富山佳郎さん(47歳)で,8人の役員がいる。富山さんは名瀬市(?)の知的障害者の社会福祉法人施設で働いていたが,知的障害者でも様々な活動を通じて自立する道があると考えて施設において提案し,実践してきた。しかし,社会福祉法人施設の制度的な枠組みや職員の意欲の限界を感じて数年前に独立し,ユーアイ自立支援の会を設立して活動してきたが,昨年NPO法人として認可され,現在その理事長として活動している。

奄美郡全体では身体障害者が8771人,知的障害者が約1000人,精神障害者が約3000人いるが,そのうち施設利用者はそれぞれ130人,250人,0人にすぎない。高齢者福祉は高いレベルで整備されているといわれているが,障害者福祉は立ち後れているという認識であった。(ちなみに全国では560万人の障害者がいるといわれている。)

 ユーアイ自立支援センターの活動としては大別して「生活支援活動」と「作業支援活動」を予定している。「生活支援活動」は精神,知的,身体障害者,高齢者の支援として@デイサービス,A福祉移送サービス,B福祉ガイドヘルプサービス,C福祉買物代行サービス,D生活就労支援活動,E奄美特産品販売活動,F福祉情報,施設,作業所,障害児者団体等のネットワーク活動,Gその他の福祉活動を支えるための支援と実践活動がある。「作業支援活動」にはA.資源ゴミの収集,運搬,分別,B.資源ゴミの収集から商品化,C,牛乳パックで名刺,葉書等の製品販売,D.牛乳パックのトイレットパーパー販売E.アルミ缶回収販売,F.ビン回収販売,G.ダンボール回収商品販売,H.発泡スチロール中間処理,I.廃食油,J.有害ゴミ,K.リサイクル事業,L.農作業,M.その他などを予定している。現在,下線を引いた事業を実施している( は実施。 は実施したが保留中のもの)。

 センターには富山氏を含めて4名のスタッフがおり,50−60名の精神,知的,身体障害者が登録されているが,常時10名ほどが通って活動に参加している。障害者は手帳を持っているが,当センターでは手帳での確認などは行わず,氏名,住所,電話番号だけを聞いて受け入れている。また親とも面会はしない。先入観を持たないためだという。仕事は,まずやらせてみて本人の出来ること,出来ないこと,得意なこと,不得手なことを見極めてから仕事を割り振っていく。また,障害者だけでなく,不登校児や高齢者なども受け入れる方針だという。

 

2.           ユーアイ自立支援センターのエコロジー活動

 平成12年4月から容器包装リサイクル法が施行されたことに伴い,奄美大島の5つの市町村と,小中高校や市内のスーパー店舗から牛乳パックを回収し,手漉き和紙としてリサイクルし,葉書や名刺などに加工している。製品にはウコンやサネンなど奄美の植物から抽出した染料を漉き込んで奄美らしい製品を作っている。また,市の委託事業としてビンとペットボトルの回収事業を行っている。(事業量は未調査,名瀬市のペットボトルの3分の1程度を回収)

 環境保全活動の一環として行われるリサイクル活動イベントを提案し,主催団体あるいは共催団体として活動し,イベントの中で牛乳パックからの紙漉の実演などを行ったり,市民が持ち寄った資源ゴミを回収したりしている。例えば,2001121日「21世紀夢探しリサイクル活動」同年48日「大型リサイクル品バザー」同年429日「日曜朝市」にてリサイクル品回収,同年56日「朝市&フリーマーケットアマンディー市」にてリサイクル品回収などの活動を行っている。

 

3.           ユーアイ自立支援センターのエコノミー活動

 ユーアイ自立支援センターの場合,障害者はセンターに通って各種の活動に能力に応じて参加するが,半日500円,1日1000円の手当(?)を支給している。現在全国に約5000カ所の障害者のための作業所があるが,一月1万円以上の給与を支払っているのは1割に満たないそうである。 

 現在請け負っている作業としては,焼酎工場におけるビンの洗浄受託,養鶏場の作業手伝い(餌やり,卵収集,パック詰め),高齢農家のタンカンの収穫作業などである。養鶏場の手伝いと高齢農家の収穫作業手伝いは無償であるが,規格外のものを現物でもらい,それを朝市などで販売して収入にしている。以前は委託販売をしており,1パック50円の手数料収入があったが,現在は現物支給されたものを販売しているので,全額収入になるという。そのほか,様々な作業を行う中で現物をもらうものを皆で分けており,現物支給によるものが生活の足しになり,昼食は供与しないのが原則だが,貰い物で昼食の賄いなどをしており,来所者には助かっているはずだという。

 以前は日常的には牛乳パックからの紙漉作業が主な仕事だったが,いまは請負作業が忙しくなり,紙漉は後回しになっている。

 紙漉の仕事は牛乳パックを開いて,裁断し,表裏のビニールをはがし,さらに裁断して水につけて原料を作る。それを和紙の紙漉の要領で枠に流し込んで葉書や名刺大の上を作っていく。このようにいくつかのプロセスがあるので,それぞれのプロセスで技術を学ぶことが出来る。チームワークが出来る。さらに新しく入ってきた人に教えるという経験もするということで,自立を促す活動だと位置づけられている。新たに養鶏場の卵収集とパック詰めの作業が始まったが,卵を扱うのが焼酎工場でのビン洗いの作業を行ったおかげで上手になったというようなこともある。

 NPO法人ユーアイ自立支援センターでは役員2名に報酬を支払うことになっているが,活動初めて1年後にようやく月5万の報酬が出た。収支については法人会計が3月末日までなので,未調査。

 

4.           ユーアイ自立支援センターのコミュニティ活動

名瀬市の中心商店街でもスーパーや商店が倒産し,空き店舗が出来たために活力が低下している。そこで,ユーアイ自立支援センターは中心商店街の空き店舗を活用した「地域交流センター」の提案をした。現在市の商工会に一部管理委託されているスーパーの空き店舗を利用した「アイアイ広場」を@市民の憩いの場,A福祉・教育サービスコーナー,B合同ショップコーナー,Cイベントコーナー,D情報発信コーナー,E国際交流コーナー,F伝統工芸コーナーなどを設置しようというもので,NPO法人ユーアイ自立支援センターと商店街が連携して取り組もうとしており,近く実現する運びとなっている。

このほか,奄美空港のイベントコーナーを利用して,各種の小規模団体と連携した合同ショップの計画や旧奄美幼稚園跡地活用などに積極的な提案を行っている。

また,200239日閉店した壽屋の前で,中心街の女性たちによる「商店街土曜市」を第3回「島のむんづくり市」と位置づけ,ユーアイ自立支援センターも出品した。

小中学校や地域の団体などで環境リサイクル活動の一環として牛乳パックからの紙漉の実演を行っている。