ピアニスト
LA PIANISTE
★★★☆☆ 2001年 仏・オーストリア 2時間12分
監督 ミヒャエル・ハネケ
出演 イザベル・ユペール
ブノワ・マジメル
アニー・ジラルド
エリカ(イザベル・ユペール)は中年のピアノ教師。幼い頃からピアニストになるために母親(アニー・ジラルド)に厳しく教育され、恋人を作ることも、流行の洋服を着ることさえ許されない生活を送ってきた。しかし、結局ピアニストとして成功することが出来なかった彼女は、名門ウィーン国立音楽院のピアノ教授の職に就き、たまにサロンコンサートに出演するといった暮らしをしていた。いまだ独身であり、過干渉の母親のもとで暮らすエリカには“歪んだ性癖を持つ”という誰にも言えない秘密があった。そんなある日、とあるコンサートで才能ある若者のワルター(ブノワ・マジメル)に見初められたエリカは、彼の情熱的なアプローチに次第に心を許し、誰にも語ったことのない自分の性的願望を打ち明けようと決意するが…。2001年のカンヌ映画祭、最優秀主演女優賞ほか3部門受賞したミヒャエル・ハネケ監督の話題作。
この映画、こんなに話題作だったんですね。ちょっと変質的な主人公とストーリーに面食らいます。やはり、フランス人って独特の感性を持ってますね。


フロム・ヘル
FROM HELL
★★★★★ 2001年 アメリカ 2時間4分
監督 アルバート・ヒューズ
アレン・ヒューズ
出演 ジョニー・デップ
ヘザー・グラハム(キリング・ミー・ソフトリー)
イアン・ホルム
1888年ヴィクトリア朝末期のロンドン。貧民地区ホワイトチャペルで娼婦ばかりを狙った残忍な連続殺害事件が起きる。2年前に妻子をなくし、アヘンでその苦しみから逃避しているアバーライン警部(ジョニー・デップ)は、この事件を担当する。聞き込みを続ける中、赤毛の美しい娼婦メアリ(ヘザー・グラハム)に惹かれ、二人は愛と信頼を育むようになった。そしてアバーラインは、上流階級の人々が密かに参加している秘密結社フリーメイソンの黒い影を嗅ぎ付ける。しかし娼婦は切り裂きジャックと名乗る謎の犯人に次々と殺されていき、残されたのはもうメアリだけになった…。実在した謎の殺人鬼切り裂きジャックをめぐるミステリー。
退廃的な映像が良いです。ジョニー・デップのはまり役ですね。「ショコラ」や「耳に残るは君の歌声」のようなジプシー役、そしてこの麻薬に浸かった警部役など、ジョニー・デップならではの役ですね。ストーリー的には物足りない部分もありますが、ジョニーファンならぜひ見て欲しい1本です。


ブロウ
BLOW
★★★☆☆ 2001年 アメリカ 2時間3分
監督 テッド・デミ(ビューティフル・ガールズ)
出演 ジョニー・デップ
ペネロペ・クルス(すべての美しい馬/バニラ・スカイ)
レイ・リオッタ(ハンニバル)
父の会社が倒産し貧乏な暮らしの中で成長したジョージ(ジョニー・デップ)は、1960年代後半カリフォルニアでドラッグの密売をはじめ、みるみる商才を発揮する。しかし72年、販売目的のマリファナ不法所持で逮捕。だが獄中で裏社会の大物パブロ・エスコバルに出会い、彼の信頼を得たことでジョージの名はますます轟くことになる。70年代後半、ジョージの提供するコカインはバブル期のアメリカにおいてパーティー・ライフの必需品と化した。またその頃、久々に愛を注げる女性マーサ(ペネロペ・クルス)に出会い、2人は結ばれ娘をもうける。しかしジョージの人生は、80年代に入ってから凋落していく…。実在の麻薬ディーラー、ジョージ・ユングの半生を描いた人間ドラマ。
実話だから面白いのか、面白くないのか。僕にとって後者です。映画として面白くないし、そもそも麻薬のディーラの話など、見たくないです。それにしてもジョニー・デップという俳優は素晴らしいです。このような汚れ役(?)でも、しっかり彼のキャラクターが出ているのです。この手の作品では「フェイク」の方が僕は好きですが、この映画もジョニーのファンには必見の1本です。


ボーイズ・ドント・クライ
BOYS DON'T CRY
★★★☆☆ 1999年 アメリカ 1時間59分
監督 キンバリー・ピアース
出演 ヒラリー・スワンク(インソムニア/ザ・コア)
クロエ・セヴィニー(ジュリアン)
アリシア・ゴランソン
1993年、ネブラスカ州リンカーン。20歳のブランドン(ヒラリー・スワンク)は男装して小さな町フォールズタウンへ向かう。そこで地元の青年ジョンとその弟分トムらと知り合い、彼らの仲間の女性ラナ(クロエ・セヴィニー)と出会い、彼女はブランドンを男性と思い恋におちる。また元詐欺師のジョンや、彼の刑務所仲間で暴力的なトムは危険な存在であったが、男して仲間になるのだった。ある日ブランドンはスピード違反で捕まり、以前車を盗んだ過去のため逮捕され、免許証から女性とバレて拘留されてしまう。そして面会に現れたラナから真実の告白を迫られ、自分は性同一障害者であると打ち明けたのだ…。ヒラリー・スワンクがアカデミー主演女優賞を受賞した作品。アメリカで実際に起きた事件を題材にした異色の青春ドラマ。
レイプシーンのある映画は苦手で点数が低くなりますが、いい映画でした。この話も実話を元にしてますが、恋人だった女性が「事実と違う」と映画会社を訴えているらしく、それだけ脚本が練られているのだと思います。(事実をそのまま映画にしても、面白いわけがない)。そして「イージー・ライダー」もそうでしたが、アメリカというのは一見自由な国のようですが、やはり閉鎖的な国だなと思ってしまいます。また「性同一性障害」についても、アメリカでは異質だったのでしょうか。アカデミー賞主演女優賞は、ノミネートで十分のような気がするからです。ちょっと見終わって暗い気分になりますが、見て損しない映画です。


まごころを君に(アルジャーノンに花束を)
CHARLY
★★★☆☆ 1968年 アメリカ 1時間43分
原作
監督
ダニエル・キイス
アーサー・J・オーニッツ
出演 クリフ・ロバートソン
クレア・ブルーム
リリア・スカラ
脳手術を受けた精神薄弱の青年チャーリー。その結果彼は、健常人よりも高い知能を得て、自分の病気を研究する学者となるが…。主演はアカデミー賞主演男優賞を獲得したクリフ・ロバートソン。1968年に公開されたダニエル・キイス不朽の名作『アルジャーノンに花束を』の映画化。
この映画化は2000年カナダの作品『アルジャーノンに花束を(原題:Flowers for Algernon)』と、本作品の2作があり混同しやすいので注意。2000年の作品は本作品より評価が低いようだ。あと、ユースケサンタマリア主演の日本のテレビドラマまである。原作は非常に評判が良いのだが、概して映画はいまいち。僕も記憶に薄い映画でした。ちなみに「アルジャーノン」は実験マウスの名前です。


マルホランド・ドライブ
MULHOLLAND DRIVE
★★★★☆ 2001年 アメリカ 2時間26分
監督 デビッド・リンチ(エレファントマン/ツインピークス)
出演 ナオミ・ワッツ(ザ・リング)
ローラ・エレナ・ハリング
ジャスティン・セロウ
アン・ミラー
ロサンゼルスを見下ろす高台をはしる「マルホランド・ドライブ」で交通事故が発生。乗員はひとりのブルネット(ほぼ黒髪)の女(ローラ・ハリング)を除いて全員死亡した。女は闇の中に明るく浮かぶハリウッドの街に下りてゆく。そのころブロンド(金髪)のベティ(ナオミ・ワッツ)はハリウッドで大女優になるという夢をいだき、叔母で女優のルース(アン・ミラー)をたよって田舎から上京。ウキウキと間借りする部屋のバスルームのドアを開けると、黒髪の見知らぬ女がシャワーを浴びていた。女は「リタ」と名乗り、自動車事故に遭い記憶を失くしているという。リタの記憶を取り戻すためベティは手助けをするのだが…。カンヌ映画祭監督賞など受賞したデビッド・リンチのミステリー。
難解な映画です。ナオミ・ワッツ演じるベティとダイアン、ローラ・エレナ・ハリングのリタとカミーラと、一人二役の構造が映画の謎解きになります。ベティの住む家の大家ココも、パーティーでアダム・ケシャー監督の母親として登場します。どうなってるのでしょう? 謎解きには興味ないので1回しか見ませんが、それでも印象に残る映画です。しかしナオミ・ワッツっていいですね。ピンク・フロイドのエンジニア&マネージャーのピーター・ワッツの娘で、この映画で評価され「ザ・リング」出演も良さそう。(スリラーなので見ないけど。)