アナライズ・ユー
ANALYZE THAT
★★★☆☆ 2002年 アメリカ 1時間36分
監督 ハロルド・ラミス(アナライズ・ミー/恋はデジャ・ブ)
出演 ロバート・デ・ニーロ(ゴッドファーザー/レイジング・ブル)
ビリー・クリスタル(アナライズ・ミー/アカデミー司会)
リサ・クードロー(アナライズ・ミー/フレンズTV)
収監中のマフィアのボス、ポール・ヴィッティ(ロバート・デニーロ)の様子がおかしい。突然「ウエストサイド・ストーリー」を歌い上げたかと思うと一気に塞ぎこんで無反応。そこで以前ポールを診ていたベン・ソボル(ビリー・クリスタル)が呼ばれ、ポールはベンの保護観察下におかれる。ベンは父を亡くしたばかりなのにポールの身勝手さが追い討ちをかけもううんざり。ポールを更正させようと堅気の仕事に就けても持ち前のマフィア気質が邪魔しどれもうまくいかない。ギャングドラマの監修を依頼され引き受けるが、リアリティがないと昔の仲間を集結させるのだが…。コメディー「アナライズ・ミー」の続編。
笑えるが心底笑えるほどおかしくない。2作目は駄作のいい例かな。野球のトーリ監督が出てきたのには、びっくりしたのと、エンドロールのNGシーンが一番面白かった。


永遠のマリア・カラス
CALLAS FOREVER
★★★☆☆ 2002年 伊・仏・英・西 1時間48分
監督 フランコ・ゼフィレッリ(ロミオとジュリエット)
出演 ファニー・アルダン(8人の女たち)
ジェレミー・アイアンズ(ダイ・ハード3)
ジョーン・プローライト(わが心のボルチモア)
20世紀のオペラ界で、その美声と美貌から名を馳せたマリア・カラス(ファニー・アルダン)。だが、彼女は今ではその歌声も失い、愛するギリシャの大富豪オナシスも亡くして失意の中、パリで隠遁生活を送っていた。そんなカラスのもとにある日、彼女のかつての仕事仲間ラリー(ジェレミー・アイアンズ)が訪ねてくる。彼は何やら企画書を持参していた。それは、カラスの全盛期の録音を用いて彼女が主演するオペラ映画を製作するというもの。最初は戸惑い、そのオファーを拒否するカラスだったが、次第に彼女の中であの頃と同じ情熱が甦ってくるのだった…。ヒューマンドラマ。
実話のようで実話ではない変な映画。オペラのシーンはそこそこ迫力があって興味のある人には面白いのかも。でも実際のマリア・カラスが吹き替え映画を作ったの?という疑問が払拭できず、馴染めなかった。


シェフと素顔と、おいしい時間
DECALAGE HORAIRE
★★★☆☆ 2002年 フランス 1時間33分
監督 ダニエル・トンプソン(ブッシュ・ド・ノエル)
出演 ジュリエット・ビノシュ
(ショコラ/イングリッシュ・ペイシェント)
ジャン・レノ(ニキータ/レオン/WASABI)
セルジ・ロペス
ゼネストの影響でごった返すシャルル・ド・ゴール空港。携帯電話の貸し借りをきっかけに、元シェフのフェリックス(ジャン・レノ)と、メイクアップ・アーティストのローラ(ジュリエット・ビノシュ)は、成り行きで、出発までの時間を一緒に過ごすことになる。神経質で何事にも懐疑的なフェリックスは、やたらに化粧の濃いローラの香水の匂いにさえ我慢できない。反対にローラはオープンマインドだ。反目しながら会話を重ねるうちに、いつしか2人はお互いの痛いところをチクリとついてしまうのだった…。ラブストーリー。
シェフものは大好きなので期待して見ました。それにジャン・レノとジュリエット・ビノシュですよ。期待しますよね。(二人は初共演です) ところが、どうもピンとこない。フランスでは当たったそうです。どうもフランス語の台詞が多すぎて、字幕にうまくのらなかったみたいです。
フランス文化を知ってフランス語で聞くと、エスプリがきいて良かったみたいです。ちなみに原題はフランス語で、英語では“JET LAG”つまり「時差ぼけ」です。邦題が良すぎます。


抱擁
POSSESSION
★★★★☆ 2002年 アメリカ 1時間42分
監督・脚本 ニール・ラビュート(ベティ・サイズモア)
出演 グウィネス・パルトロー(恋におちたシェイクスピア)
アーロン・エックハート(ザ・コア/エリン・ブロコビッチ)
ジェレミー・ノーザム
ジェニファー・エール
19世紀の桂冠詩人ランドルフ・ヘンリー・アッシュ研究のためロンドンにやって来たアメリカ人ローランド(アーロン・エックハート)はこの日、大学の図書館でアッシュ(ジェレミー・ノーザム)の蔵書の中に古い手紙が挟まれているのを発見する。やがてローランドは、それは愛妻家で知られるアッシュが同じ詩人でレズビアンのクリスタベル・ラモット(ジェニファー・エール)に宛てたラブレターであると確信する。それが証明できれば文学史を書き換える大発見となる。
そこで彼はラモットの研究家で大学教師のモード(グウィネス・パルトロウ)に協力を仰ぎ、この詩人たちの封印された熱き愛の真相に迫るべく本格的な調査を始める。イギリスからヨーロッパ大陸へと手がかりを追い、100年以上前の情熱的なカップルのロマンティックな旅をなぞっていくうちに、恋に億劫な2人は次第に詩人たちの情熱的なロマンスに大きく影響されていく…。文芸ラブロマンス。
現代イギリス最高の知性と称される女流作家A.S.バイアットによる英国を舞台にした官能と情熱に満ちた壮大なラブストーリーを映画化した作品。原作はアメリカを除く英語圏でもっとも権威のあるブッカー賞を受け、全世界でベストセラーとなった。また原題のPOSSESSIONは日本語では「憑依ひょうい」憑りつかれたように夢中になり、それを所有したいと思う気持ちのことを意味している。
19世紀と現代の2つのラブストーリーが同時進行する、そんな素敵な映画です。謎解きの面白さと、ロンドンの大英図書館やイギリスの田園の風景などが相まって格調高い映画になっています。グウィネスの清楚なファッションとルックスがぴったりです。そして、この二つの恋物語をつなげるのは、過去の恋人達のラブレターです。映画の中で随所に出てきますが、天才詩人の書いたものだけに、字幕を読んでいるだけでも伝わってきます。ただ英語で理解出来たら、さぞ良かったのだろうと思います。字幕を追うのに精一杯で、味わう時間が欲しいのです。
残念なのは、現代の恋が十分じゃないのです。恋愛ドラマとして見ると物足りないのです。しかし、格調高く物語としても面白く、グウィネスも素敵でお勧めの映画でした。


誰も知らない
Nobady Knows
★★★★★ 2004年 日本 2時間21分
監督・脚本 是枝裕和(ワンダフルライフ/幻の光)
出演 柳楽優弥(やぎら ゆうや)
北浦愛(きたうら あゆ)
木村飛影(きむら ひえい)
清水萌々子(しみず ももこ)
韓英恵(かん はなえ)、YOU、タテタカコ
とある2DKのアパートに引っ越してきた母けい子(YOU)と4人の子供たち。しかし追い出されるのを恐れるけい子は、自分と12歳の長男・明(柳楽優弥)だけの2人暮らしと大家に嘘をついていた。けい子は子供たちにも近所にバレないようにと言い聞かせる。兄妹たちは父親がみな別々で、学校に通ったこともない。けい子がデパートで働き、明が母親代わりとなって家事をし兄妹の面倒を見ていた。
そんなある日、新しい男ができたけい子は現金20万円と「しばらく頼むね」という書置きを明に残し、姿を消してしまう。それでも4人兄弟は子供だけの楽しい生活を送るのだが、やがてお金が底をつきはじめ…。
1988年に実際に起きた事件をモチーフに映画化した人間ドラマ。4人の子供を置き去りに、新しい恋人と暮らすため母親が出ていく設定は事件と同じだが、残された子供たちの生活、心理描写は是枝監督の創作。2004年のカンヌ国際映画祭出品、カンヌ映画祭男優賞(史上最年少受賞)、挿入歌:タテタカコ『宝石』
映画を見終わり駅までの雑踏が、まだ映画の中にいるようです。いま見た映画を反芻して、思いを巡らします。長い映画でしたが、その長さが必要な映画です。途中で早く物語りを終わらせてもういいだろうと思うのですが、柳楽優弥の顔が救ってくれます。子供たちの一見過酷なまでの日常が、淡々と綴られます。
人とのつながりってなに?家族ってなに?社会ってなに?と考えさせられる映画でした。やっぱり見て良かったと思いました。でも人に勧められない。ほかの人にはつらい映画かも知れないから。でも、僕にはこの映画の空気が好き。カメラワークや絵の切り取り方も好き。僕の中で今年一番の映画になる予感がします。


運命の女
UNFAITHFUL
★★★☆☆ 2002年 アメリカ 2時間4分
監督 エイドリアン・ライン(フラッシュダンス/危険な情事)
出演 リチャード・ギア(愛と青春の旅立ち/シカゴ)
ダイアン・レイン(陽だまりのグラウンド/トスカーナの休日)
オリヴィエ・マルティネス(S.W.A.T./プロヴァンスの恋)
コニー(ダイアン・レイン)はニューヨーク郊外で暮らす専業主婦。マンハッタンで会社を経営する夫エドワード(リチャード・ギア)と9歳になる息子チャーリーと3人で、平凡だが幸せな生活を送っていた。ある日、コニーはチャーリーの誕生日プレゼントを買うためマンハッタンへ出掛けた。通りを歩いていたコニーは、大量の本を抱えた青年と衝突した。その青年、フランス人でブック・ディーラーのポール(オリヴィエ・マルティネス)は、膝を怪我したコニーの治療をするため彼女を自分のアパートに招き入れる。以来、何度か彼を訪ねることになったコニーは、やがて越えてはならない一線を越えてしまう…。ラブストーリー。
ストーリーが僕の好きなものではなく、評価が低いです。夫も子供もある満足している主婦が、そんな簡単に不倫するとは思えないんです。不倫する人はもっと以前から兆候があるだろうし。そんな真面目に考える事もないかも知れないけれど、とにかく物語の前提が馴染めない。そして最後の結末も甘いです。
しかし、ダイアン・レインは体当たりの演技で評価出来ると思います。「陽だまりのグラウンド」「トスカーナの休日」と見ていますが、年を追う事に魅力的になってきてると思います。そして不倫相手のオリヴィエ・マルティネスの色っぽさは特筆もの。この二人を見るだけでも価値あるかな。