アビエイター
THE AVIATOR
★★★★☆ 2005年 アメリカ 2時間49分
監督 マーティン・スコセッシ
出演 レオナルド・ディカプリオ(ギャング・オブ・ニューヨーク)
ケイト・ブランシェット(エリザベス/ヘブン)
ケイト・ベッキンセール(パール・ハーバー)
アレック・ボールドウィン
ジュード・ロウ
18歳で亡き父の石油掘削機事業を引き継ぎ大富豪となったハワード・ヒューズ(レオナルド・ディカプリオ)。1927年、21歳の彼はその莫大な財産を全て注ぎ込み、航空アクション映画「地獄の天使」の製作に着手。30年に同作を完成させると大ヒットを記録し、ハワードは一躍ハリウッド・セレブの仲間入りを果たす。
やがて、人気女優キャサリン・ヘプバーン(ケイト・ブランシェット)と出会い、2人は恋に落ちる。彼はその後も次々とヒット作を生み出す一方、航空会社TWAを買収し、自らの操縦で世界最速記録を次々と更新するなど、大空への夢も実現させていく。こうして順風満帆な人生を謳歌するハワードだったが…。実在したアメリカの大富豪の波瀾の半生を描いた伝記ドラマ。
WOWOWアカデミー賞月間の最後のビックタイトル「Ray」「ミリオン…」に続いてやっと見ました。なかなか良かったです。3作を並べると僕は「ミリオン…」より評価が高い作品です。ただやはり、3時間近くの長さは必要ないです。もっと削れるはずです。そして終わり方です。あれでもいいのですが、印象が薄くなります。
アカデミー賞として見ると「Ray」はレイ・チャールズが亡くなったので、主演男優賞をJ・フォックスに取られ仕方ないのですし、J・フォックスのピアノ・プレーが際だちました。ディカプリオは「ギャング・オブ・ニューヨーク」に続いてなかなか良い演技していましたが、亡くなったレイ・チャールズに負けた感じです。
M・スコセッシとC・イーストウッドを比較すると、僕はM・スコセッシの重厚な作りが好きです。費用が桁違いなので単純には比較出来ないけれど。M・スコセッシの低予算映画を見てみたいです。
あと、この映画の「ハワード・ヒューズ」を調べて見ました。下調べしてこの映画を見るべきだったかな。


ミリオンダラー・ベイビー
MILLION DOLLAR BABY
★★★★☆ 2005年 アメリカ 2時間13分
監督・制作 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド(ミスティック・リバー)
ヒラリー・スワンク(ボーイズ・ドント・クライ)
モーガン・フリーマン(ショーシャンクの空に)
「自分を守れ」が信条の老トレーナー、フランキー(クリント・イーストウッド)は、23年来の付き合いとなる雑用係のスクラップ(モーガン・フリーマン)と、昔ながらのジムでボクサーを育成している。有望株のウィリーは、教え子を大事に思う余りタイトル戦を先延ばしにするフランキーにしびれを切らし、別のマネージャーの下へと去ってゆく。そんな折、フランキーの前に現れた女性ボクサー、マギー(ヒラリー・スワンク)はフランキーの指導を乞うが、昔気質のフランキーは女のボクサーを認めようとしない。だが連日ジムに通い詰めるマギーの一本気さに、やがてフランキーの心も揺り動かされ始めるのだった…。
キャリアの晩期にある老トレーナーが、女ボクサーとの絆を得て、人生の贖罪を遂げてゆく姿を描いたヒューマンドラマ。77回(2004年度)アカデミー主演女優賞、助演男優賞、監督賞、作品賞の主要4部門受賞。
去年のアカデミー賞を授賞して以来待ちに待った作品をWOWOWで見ました。暗いですが、良い作品です。
最近のクリント・イーストウッドは「ミスティック・リバー」にしても、テーマが暗いです。彼が死を意識してるせいか、不条理をテーマにしたがります。そしてこの映画のストーリーが驚くべきものではないのに、去年のアカデミー賞を総なめしたのはなぜでしょう。同じ年度の「シンデレラマン」の方が良いと僕は思うのです。アカデミー会員がC・イーストウッド同様に年配なのでは?と思ってしまいます。
そしてヒラリー・スワンクが「ボーイズ・ドント・クライ」に続いて主演女優賞獲得も、無冠の俳優が大勢いる事を思うと幸運としか言いようがないです。ショーン・ペンが賞に意見するのも無理ないです。
批判的な事を書きましたが、受賞した作品だけあって2時間を超える作品でも、見てて飽きませんでした。


アイ,ロボット
I,ROBOT
★★★★☆ 2004年 アメリカ 1時間55分
監督 アレックス・プロヤス(ダークシティ)
出演 ウィル・スミス(メン・イン・ブラック)
ブリジット・モイナハン(コヨーテ・アグリー)
ブルース・グリーンウッド
西暦2035年。家庭用新型ロボットNS−5の発売を目前に控えたUSロボティック社で、ロボット工学の第一人者、ラニング博士が謎の死を遂げる。シカゴ市警のスプーナー刑事(ウィル・スミス)は、博士の死をロボットの仕業と読むが、主任のロボット心理学者カルヴィン博士(ブリジット・モイナハン)は『ロボット3原則』を掲げ、人間に危害を加える可能性を全面否定する。そこへ、一体のNS−5が動き出した。それは、3原則をプログラムされていない『特別な』ロボットだった…。近未来SFアクション。
SF小説家、アイザック・アシモフの「われはロボット」をモチーフにした近未来アクション。アシモフが作品の中で考え出した「ロボット3原則」(人間に危害を加えない、人間の命令に服従する、前の2条に反しない限り、自己を守る)を軸に人間の過信の怖さを、壮大なエンターテイメントとして描いていく。
あまり僕の得意なテーマではないのですが、それでも面白かったです。時間つぶしにはぴったり!(^^;;


キング・アーサー
KING ARTHUR
★★★★☆ 2004年 アメリカ 2時間6分
制作
監督
ジェリー・ブラッカイマー(パイレーツ・オブ・カビリアン)
アントワン・フークワ(トレーニングデイ)
出演 クライヴ・オーエン(すべては愛のために)
キーラ・ナイトレイ(パイレーツ・オブ・カビリアン)
ヨアン・グリフィズ(ファンタスティック・フォー)
ローマ帝国の栄華に陰りが見え始めた時代。ローマのために数々の武勲を立ててきたアーサーと円卓の騎士は、15年間の兵役を終えそれぞれの故郷に帰ろうとしていた。だが教皇の権威を振りかざす司教は、彼らの兵役解除と引き替えに、ブリテンに住むローマ人貴族を救出せよという予定外の任務を命じる。ブリテン地方は、森に潜むゲリラ軍ウォード、新たな侵略者サクソンの三つ巴の戦乱にさらされた危険な地域だった。それでもアーサーと騎士たちは、今度こそ自由を得られると信じて最後の任務へ出発してゆく…。
去年10月にWOWOWで録画したものをやっと見ました。なかなか良かったです。
アーサー王と円卓の騎士」の物語は中世ヨーロッパから伝わる伝説で、「円卓物語」「トリスタン伝説」「聖杯伝説」など数多くの物語があり、映画(ブラピのレジャンド・オブ・フォールなど)やワーグナーの歌劇などこの物語を下敷きにしたものが数多くありますし、はたまた「ロード・オブ・ザ・リング」「スター・ウォーズ」、「ドラクエ」「ファイナル・ファンタジー」などにも多くの影響を与えた物語です。
しかし本作は、ハリウッド映画を作らせたら右に出る者がないジェリー・ブラッカイマーが制作をするだけありスペクタクルな映画に仕上がっているのですが、伝説とは異なった物語になりました。ここがブラッカイマーの悪い点で、物語をよく知った人には違和感を与えたでしょう。
映画そのものはスケールも大きく、よく出来ています。さすがブラッカイマー。(彼が制作すると監督の影が薄くなって可哀相)。ただ、クライヴ・オーエンはアーサー王なのにカリスマ性なく描かれ、キーラ・ナイトレイも弱々しく虐待受けてたのが変身するし、物語として弱い部分がありますが、見て損しない映画です。


コールド マウンテン
COLD MOUNTAIN
★★★★★ 2003年 アメリカ 2時間35分
監督 アンソニー・ミンゲラ(イングリッシュ・ペイシェント)
出演 ジュード・ロウ(リプリー/スカイキャプテン)
ニコール・キッドマン(ムーラン・ルージュ)
レニー・ゼルウィガー(ブリジット・ジョーンズの日記)
ナタリー・ポートマン(スター・ウォーズ)
南北戦争末期の1864年、南軍兵士として戦場に送られたインマン(ジュード・ロウ)は、重傷を負って病院に収容される。彼の脳裏に浮かぶのは、故郷コールドマウンテンと、恋人エイダ( ニコール・キッドマン)の面影。彼女への愛が、彼に残されたたったひとつの確かなものだった。インマンは、死罪を覚悟で脱走兵となり故郷へと向う。一方、インマンの帰りをひたすら待ち続けていたエイダは愛する父の急死という悲劇に見舞われ、一人では何も出来ない彼女は途方に暮れるばかりだった。しかし、そこに流れ者の女ルビー(レニー・ゼルウィガー)が現れ、エイダに逞しく生きる術を教える。牧場再建に尽力する中に2人は次第に友情を育んでいった…。南北戦争を背景に、一途な愛を貫く男女を壮大なスケールで描いたラブ・ストーリー。
予想より良かったです。暗い話かな?長い話かな?と身構えて見てたせいかな? 監督アンソニー・ミンゲラの「イングリッシュ・ペイシェント」は僕は★3つです。あの映画も長くて2時間半です。どうもミンゲラは途中の挿話を入れすぎるんじゃないかな。この話ではナタリー・ポートマンの話です。ただこの映画はジュード・ロウとニコール・キッドマンの恋物語に集約している事と、話が飽きてきた頃にレニー・ゼルウィガーが登場して時間の長さを救ってくれました。「ブリジット・ジョーンズの日記」のレニーは好きじゃないけれど、この役は彼女にとって新境地ですね。アカデミー助演女優賞は納得です。
さてこの映画、ラブストーリーを軸にして戦争の悲惨さを訴える話に僕は★5つにしました。よく出来た映画だと思います。そして歴史的背景を見ると「アラモ」以後に南北戦争が勃発しますが、なんとにこの戦争に関わった兵士の数は300万人、そして全人口の約2パーセントにあたる62万人以上が命を落としています。その数字を物語るような凄惨なシーンが展開されます。またこの映画のキーとなる義勇軍の存在も見逃せないでしょう。そしてこの戦争に前後して、共和党(北部)と民主党(南部)の2大政党が生まれています。映画をただ見るだけでなく、その背景を学ぶ事は大事な事だと思います。


アラモ
THE ALAMO
★★★★☆ 2004年 アメリカ 2時間17分
監督 ジョン・リー・ハンコック(オールド・ルーキー)
出演 デニス・クエイド(オーロラの彼方へ)
ビリー・ボブ・ソーントン(チョコレート/バーバー)
ジェイソン・パトリック(スピード2)
パトリック・ウィルソン(オペラ座の怪人)
1835年12月、テキサス、サン・アントニオ。メキシコの一部だったテキサスではメキシコからの独立を目指し立ち上がる。彼らはアラモ砦を占領し、メキシコ軍を町から追い出すことに成功する。しかし、テキサス州議会との対立からテキサス軍司令長官の任を解かれてしまったヒューストン将軍(デニス・クエイド)。そこで彼は、サン・アントニオに赴く義勇兵ジム・ボウイ(ジェイソン・パトリック)にアラモ砦に立てこもらないようにとの忠告を託す。一方アラモ砦の若き指揮官トラヴィス中佐(パトリック・ウィルソン)は兵士たちの信頼を得られず苦悩する。やがて、伝説の英雄デイヴィ・クロケット(ビリー・ボブ・ソーントン)が応援に駆けつけ、熱い歓迎を受ける。そんな中、メキシコ軍は予想以上の早さで、大軍勢をサン・アントニオに進めていた…。アラモ砦の真実を描く戦争スペクタクル。
この映画、アメリカでも日本でも受けなかったみたいですね。なぜだろ?割りといい映画なのに。
最初はジョン・ウェイン監督主演の映画『アラモ』のデイヴィ・クロケットとビリー・ボブのクロケットを比較して見てましたが、ビリー・ボブはやっぱり存在感あって良いです。さすがです。
しかしアメリカの歴史を見るとすごいですね。1800年代にイギリス、フランスから戦争もしくは政治交渉で領土を獲得し西へ西へと広げて行きます。そしてメキシコとの領土争いの最前線がこの映画の舞台、サン・アントニオのアラモ砦だったんですね。この西部への発展はマニフェスト・ディスティニー(明白な天命=アメリカ人にとって天から与えられた運命)という考え方があって、インディアンへの圧政や黒人奴隷問題を引き起こします。(
アメリカ史リンク) そしてイラク戦争などの考え方にも、アメリカ人のそのようなベーシックな考え方があるのではと思いました。映画は僕にとって歴史の教科書にもなります。(^_^)